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【子供のおしっこが近い】心因性頻尿の原因と家庭での声かけのコツ
この記事を監修した医師
もくじ

「おしっこに行ったばかりなのに、10分後にまたトイレに…」
「痛がる様子はないけれど、膀胱炎などの病気だったらどうしよう」
「幼稚園や学校の授業中に迷惑をかけてしまわないか心配」
お子さんが突然トイレに頻繁に行くようになると、親御さんとしてはとても不安になりますよね。
病気が原因のこともまれにありますが、その多くは「心因性頻尿(しんいんせいひんにょう)」(小児期特発性頻尿:PEDUF)と呼ばれるものです。心理的なプレッシャーや緊張が原因で起こる、機能性の頻尿です。
この記事では、練馬区・中村橋の当院の診察室で、実際に親御さんにお話ししている内容をまとめました。
- 心因性頻尿の原因や仕組み
- 家庭でできる具体的な声かけのコツ
- 小児科を受診したほうがよいサイン
この記事の3つの要点
夜寝ている間は起こさない・遊びに集中している時は過度な心配は不要。
「さっき行ったでしょ」「我慢しなさい」は逆効果。
「トイレに自由に行ける環境」を保育園や学校と協力して作ってあげることが大切。
こんなことでお悩みではありませんか?
- 子どもが何度もトイレに行くが、排尿痛や発熱はない
- 外出前など、特定の場面になると子どもが頻繁にトイレに行きたがる
- 子どもが頻尿で受診して心因性と言われたが、どう声をかければいいか悩んでいる
「さっき行ったのにまた?」子供のおしっこが急に近い時の判断基準
一般的な基準として、昼間の排尿回数が8回以上になる状態を「頻尿」と定義しています。〔1〕
しかし、次のような場合は、身体の大きな病気が隠れている可能性は低いです。
- おしっこをする時に痛みがない
- 夜寝ている間は、朝までぐっすり眠れている
小児科では、尿検査や超音波検査で異常がないことを確かめたうえで、次のような状況を確認できた場合に心因性頻尿と診断しています。
- 夜、寝たあとは症状がなくなる
- 何かに夢中になっていると尿意を忘れる
頻尿で受診する子は5〜6歳(年長さん前後)が多い
医学書にはあまり書いていないですが、私自身の診察室での実感として、心因性頻尿を訴える子どもは5歳から6歳(年長さん前後)に多いと感じています。
その理由は、年齢によるトイレの受け止め方の変化にあると考えています。
- 3〜4歳の頃:トイレに行けるようになるだけで「すごいね!」と褒められる時期
- 5〜6歳の頃:それが当たり前になり、「もらしてはいけない」という義務感やプレッシャーに変わってしまう
お子さまの性格を伺うと、次のような子が多い印象です。
- 真面目で責任感の強い子
- 少し心配しがちな子
「今トイレ行ったけど、大丈夫かな?」と不安になり、結果としてしょっちゅうトイレに行くことが多くなります。
「お出かけの時だけ行きたがる」は典型的なサイン
外来でお話を伺っていると、「お出かけの時だけやたらと頻尿で、家でリラックスしている時は全然頻尿症状がないんです」とおっしゃる親御さんが非常に多いです。
実は、そうしたエピソードはまさに典型的な心因性頻尿のサインです。
- 家という安心できる空間では、症状が出ない
- 外に出るという少し緊張する場面で、尿意を感じてしまう
なぜ10分おきにトイレに行きたくなるの?(脳と膀胱のアラーム誤作動)
心因性頻尿の背景には、脳と膀胱をつなぐ神経ネットワーク(脳・膀胱相関)の緊張が関係しています。
- ふだん:おしっこが膀胱に十分にたまると、脳にシグナルが送られる
- 緊張や心理的ストレスがかかると:脳の感情をつかさどる部分が過敏になり、ほんの少し尿がたまっただけで「強い尿意」として受け取ってしまう
これが「おしっこアラームの誤作動」です。

子ども自身も「本当に漏れそう」と感じています。「気の持ちよう」と責めたりせず、脳と膀胱のシグナルが一時的に敏感になっているのだと理解してあげることが大切です。
「実は便秘が原因」というケースも
お腹の中に硬い便がたまっていると、直腸が前にある膀胱を物理的に圧迫することがあります。すると、おしっこをためられる量が小さくなり、頻尿になることがあります(膀胱・腸管機能障害)。
次の点もあわせて確認してみましょう。
- 最近うんちが毎日出ているか
- スッキリ出ているか
どう声をかければいい?家庭でできる「寄り添い方」5つのコツ
心因性頻尿は数週間〜数ヶ月で自然に落ち着くことが多いですが、ご家庭での対応が回復を大きく後押しします。
1. 「いつでも行っていいよ」と安心させる
一番やってはいけないのは、次のような対応です。
- 「さっき行ったでしょ」「今日もう〇回目だよ」と回数を数える
- トイレに行くことを止める
プレッシャーがかかると症状は長引きます。行きたいと言ったら、「いいよ、いつでも行って大丈夫だからね」と笑顔で送り出してあげてください。
2. 「体は元気だから大丈夫」と明確に伝える
子どもは「自分のお腹の中に悪い病気があるのでは」と、無意識の不安や罪悪感を抱いています。体が健康であることを、はっきり言葉にして伝えてあげましょう。
- 「お腹はどこも悪くないから大丈夫だよ」
- 「おしっこに行きたくなるのは一時的なもので、だんだん落ち着いてくるから心配いらないよ」
3. 「ちゃんとためられるから大丈夫」と伝える
「もらしてしまったら、どうしよう」と不安になっているお子さんには、「あなたのお腹(膀胱)は、ちゃんとおしっこをためられる力があるから大丈夫だよ」と言葉にして安心させてあげてください。
4. 意識をそらす「思考タスク」の問いかけ
強い尿意にとらわれている時は、脳に別の作業(認知タスク)を与える問いかけをしてみましょう。
- 「100から7を引くといくつ?」
- 「大好きな歌の歌詞を思い出せる?」
脳の意識を別の作業に向けさせることで、膀胱へのハイパーフォーカス(過剰な注目)を逸らしやすくなります。
5. 「尿意の波」を受け流す声かけ(アージ・サーフィン)
強い尿意に襲われた時、パニックになって慌ててトイレに走ると、逆に尿意が増幅してしまいます。おしっこの波を「海の波」に例えて、声をかけてみましょう。
- 「おしっこの波がやってきても、ピークを過ぎるとスーッと引いていくよ」
- 「深呼吸して、波が落ち着くのをいっしょに待ってみよう」
ゲーム感覚で前進!「ご褒美シート」の活用法
少し症状が落ち着いてきたら、排尿の間隔を焦らず少しずつ延ばしていく「膀胱再訓練」を家庭で取り入れることがあります。
この時に役立つのが「トークンエコノミー(ご褒美システム)」です。
- 小さな目標を設ける:「あと5分だけ好きな絵本を読んでから行ってみよう」「タイマーが鳴るまで待ってみよう」と、負担にならない小さな時間を設定します。
- ご褒美でポジティブに強化する:目標をクリアできたら「シールを1枚貼る」「ご褒美のスタンプを押す」といったゲーム要素を取り入れます。
- できたことを具体的に褒める:「少し間隔が延びたね!」「自分でコントロールできたね」と小さな前進を一緒に喜び、成功体験を積み重ねていきます。
【注意】無理な「定時排尿」や「我慢の強制」は逆効果です
「〇分間は絶対に行ってはダメ」といった我慢の強制は、「漏らしたらどうしよう」という予期不安を高め、かえって尿意を強くしてしまいます。
失敗しても叱らず、達成できた時だけを評価することが大切です。
幼稚園・保育園や学校の先生への伝え方
幼稚園や学校の先生には、次のように伝えておくことがおすすめです。
「小児科で心因性頻尿と言われています。本人が行きたいと言ったら、いつでも自由に行かせてあげてください」
そしてお子さんにも、「先生にはいつでもトイレに行っていいって伝えてあるから、安心してね」と教えてあげましょう。「授業中に言えなかったらどうしよう」という心の負担が軽くなりやすくなります。
ただの頻尿じゃない?早めに小児科を受診してほしい4つのサイン
心因性頻尿であれば過度な心配はいりませんが、以下のような症状が見られる場合は、別の治療が必要な身体の病気が隠れている可能性があります。

1. 多尿(1回の尿量がしっかり多く、水分を異常にガブガブ飲む)
→ 糖尿病や尿崩症といった代謝・内分泌系の病気が疑われます。
2. 急な強い尿意(尿意切迫)や、起きている時の漏れ(昼間尿失禁)がある
→ 過活動膀胱という病気の可能性があります。
3. 排尿時の痛み、発熱、血尿がある
→ 膀胱炎などの尿路感染症が疑われます。
4. 突然一晩で激しい頻尿になり、急な行動の変化が見られる
→ 感染症などをきっかけとした神経免疫学的な影響(PANS/PANDASなど)がないか、見分ける必要があります。
診察室での工夫「エコーで見て、安心を持ち帰る」
当院で心因性頻尿が疑われるお子さんを診察する際、私はよく超音波(エコー)検査の画像を使っています。
- 膀胱におしっこがたまっていることを、画面で一緒に確認する
- そのあと、おしっこに行ってもらう
- 戻ってきたら、もう一度エコーを当てて残尿をチェックする
画像を見せながら、「ほら、ちゃんと出し切れているよ」「お腹の中は空っぽだから大丈夫。安心してね」と本人に伝えてあげます。
自分の目で「空っぽになった膀胱」という客観的な事実を見ることが安心につながり、落ち着いてくるお子さんもいます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 心因性頻尿のとき、お薬は効きますか?
A1. 一般的な頻尿薬(抗コリン薬など)は効果が薄く、口の渇きや便秘などの副作用が出やすいため推奨されません。薬よりも、安心感を与える心理・行動アプローチが第一選択となります。
Q2. 夜寝ている間もトイレに何度も起きますか?
A2. 心因性頻尿の大きな特徴は「夜寝ている間はピタッと症状が消える」ことです。もし夜間も何度も起きてトイレに行く場合は、他の病気を疑う必要があります。
Q3. トイレに行きたがった時、一番やってはいけない対応は?
A3. 「さっき行ったでしょ」「何回行くの?」と回数を数えたり、無理に我慢させたりすることです。プレッシャーで交感神経が緊張し、かえって症状が長引いてしまいます。
Q4. トイレのことでパニックになった時、すぐ試せる工夫は?
A4. 「100から7を引くといくつ?」などの簡単な計算で脳の意識を逸らす方法(認知分散)や、「波が引くのを待とうね」と深呼吸させる方法(アージ・サーフィン)が役立ちます。
Q5. 受診するか迷ったとき、目安になるサインは?
A5. 排尿時の痛みや発熱、水分の異常な多飲、急なお漏らしなどがある場合は、感染症や代謝疾患の可能性があるため早めの受診をおすすめします。
当院でできること・ご予約
東京都練馬区貫井(西武池袋線 中村橋駅 徒歩1分)のベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、一般小児科外来(および腎夜尿症専門外来)で、お子さんの頻尿に関する診察・ご相談を受け付けております。
次のような検査で、過活動膀胱や感染症、便秘、多尿の原因となる病気が隠れていないかをしっかり確認することが可能です。
- 尿検査
- 痛みのない超音波(エコー)検査
「様子を見ていていいのかな」と迷われた際は、一人で抱え込まずにぜひお気軽にご相談ください。WEB予約は24時間受け付けています。
参考文献
医療上の免責事項
本記事は一般的な医学的情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。お子さんの症状でご不安な点がある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けてください。
この記事を監修した医師
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属

