にきび
にきびについて
にきびは正式名称を「尋常性ざ瘡」と言います。10代から大人の顔や胸、背中を中心に出現し、90%の人が経験するとされています。にきびは跡になって残ってしまうこともあり、しっかりと早めに対応する必要があります。
にきびのできる機序
にきびができる機序は「角質の肥厚」、「皮脂の過剰分泌」、「毛包内でのアクネ菌(にきび菌)の増殖」です。以下に詳しく説明します。
- 1正常な肌では皮膚が新陳代謝を繰り返し、古い角質が剥がれ落ちて行きます。何らかの原因で新陳代謝がゆっくりになると、古い角質が残って厚くなり、角質が厚くなることで毛穴の出口が狭くなり、塞がってしまいます。
- 2思春期以降はホルモンバランスが変わり、皮脂の産生量が増える傾向にあります。出口が塞がった毛穴の中で皮脂腺から産生された皮脂は出口を失い、毛穴に蓄積され、表皮から盛り上がっていきます。これが俗に言う「白にきび」、「白色コメド」の状態です。同じような状態に「黒にきび」、「黒色コメド」があります。黒色コメドは毛穴が閉塞せずに皮脂だけが増えて蓄積した状態です。毛穴が開いているので蓄積した皮脂が酸化し、黒く見えるのです。
- 3毛穴には元々アクネ菌が常在菌として存在します。アクネ菌は酸素が苦手なため、普段は悪さをすることなく毛穴にひそんでいます。しかし、「白にきび」の状態が続くと、皮脂というエサが豊富にあり、毛穴が詰まることで苦手な酸素にさらされることもないため、アクネ菌がどんどん増殖します。増殖したアクネ菌は炎症を引き起こし、にきびが赤みや痛みを伴うようになります。これが俗に言う「赤にきび」の状態です。
- 4さらに炎症が悪化するとアクネ菌と白血球の戦いが起こり、その残骸が膿となり「膿疱にきび」と言う状態になります。この状態になると周囲の皮膚にも炎症が波及し、にきび跡として残ることが多くなります。
にきびのできる原因
遺伝的要因、生活習慣、紫外線、食事、ホルモンバランス、間違ったスキンケアなど様々な要因が複合的に関与して、「皮膚の新陳代謝がゆっくりになる」、「皮脂が増える」ことに影響することでにきびを引き起こします。
遺伝的要因(毛穴が詰まりやすい体質)
多くの研究でにきびは遺伝的要因で起こることが報告されています。遺伝的要因が80%、環境要因が20%と報告している研究もあり、体質が大きな原因となります。
食事(バランスの良い食事・脂質は少なめに)
脂質の多いジャンクフードは皮脂が増えることにつながります。私もジャンクフードが好きな方なので、なかなか難しいですが、なるべくジャンクフードはやめて、バランスの良い食事を心がけると良いです。また魚などに含まれるオメガ3脂肪酸は角層が厚くなることを抑制し、同じ脂肪分ですが逆ににきびを改善させる可能性が報告されています。またにきびに悪そうなイメージのあるチョコレートですが、エビデンスレベルの高い研究でチョコがにきびの悪化因子になることは否定されています。
生活習慣(良質な睡眠と適度な運動)
良質な睡眠と適度な運動習慣がホルモンバランスを改善させます。ホルモンバランスが崩れると、肌の新陳代謝がゆっくりになったり、皮脂が増えてしまい、にきびにつながります。あまり夜更かしをせずに、日中は可能な範囲で体を動かすと良いです。私も中学生、高校生時代によく夜更かしをしていましたが、そのせいで身長が伸びなかったのではないかと少し後悔しています。中学生、高校生の皆さん、夜更かしは大人になっていくらでもできるので、寝といた方が良いです。大人になると寝たくても夜更かししないといけない時がきます。
間違ったスキンケア(洗顔は優しく、丁寧に)
洗顔の際にしっかり脂や汚れを落とそうとして、ゴシゴシ洗ってしまうことがありますが基本的に摩擦は肌に悪いです。アトピー性皮膚炎の子どもでもにきびの大人でも一緒です。身体の中で肌は一次防衛ラインになります。この防衛ラインを突破されると色々な免疫細胞が働き出します。身体としては一次防衛ラインを突破されたくないので、物理的な刺激に対して、肌の角質を厚くし、守りを固めます。また洗顔により過剰に油分を取ってしまうと、肌が乾燥してしまいます。肌は潤いを保とうと、さらに皮脂を出すようになります。ですので、ゴシゴシしっかり洗顔すると「角質が厚く」なり、「皮脂が増える」というにきびの出現条件を満たしてしまいます。
肌を洗うときはしっかりと泡を作り、肌に置いてくると良いです。界面活性剤なので置くだけで汚れとくっつきます。大事なのは髪の生え際など洗い残しがないようにすること、洗ったあと丁寧にすすぐことです。すすぎが足りずに泡が肌に残ってしまうと、汚れもそこに残ってしまいます。タオルで拭くときはおしぶきにするのが良いです。
日本皮膚科学会の尋常性ざ瘡ガイドラインでは1日2回の洗顔を推奨しています。
紫外線(紫外線はにきびというか肌に悪いです)
紫外線も物理刺激と同様に肌の角質を厚くしてしまいます。またメラニン色素が増える(肌が焼けると黒くなる原因です)ので、にきび跡が茶色いシミのようになり、目立ちやすくなります。
赤ちゃんのにきび
赤ちゃんの20%にもにきびができることがあります。女の子よりも男の子に多く、生まれて2週間くらいで目立ち始めますが、数か月すると自然に治ります。生まれたばかりの赤ちゃんはお母さんからもらったホルモンの影響で皮脂の分泌が盛んです。赤ちゃんの毛穴はとても細く、すぐに皮脂でいっぱいになってしまうため、赤にきびや白にきびのようなものがオデコや頬に出てくるのです。
対応としてはフォーム石鹸で油脂を優しく落とし、清潔にすることで、自然に治ることが多いです。まれに重症化する場合があり、外用薬を使用することもあるので、ご心配な際はご相談ください。
子どもの病気
ILLNESS
-
食物アレルギー
More
-
アトピー性皮膚炎
More
-
気管支ぜんそく
More
-
花粉症
アレルギー性鼻炎More
-
便秘症
More
-
じんましん
More
-
夜尿症
(おねしょ)More
-
にきび
More
その他、子どものよくある症状や病気については子どもの病気・疾患をご覧ください。