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子どもの尿に血!?考えられる原因と至急受診すべきケース【小児科医が解説】
はじめに
お子さんの尿に血が混じっているのを見つけたら、驚きと不安でいっぱいになることでしょう。
「子ども 血尿 急に出た」「血尿 子ども 放っておくとどうなる」など、検索して情報を集める保護者も多いのではないでしょうか。
本記事では、子どもの血尿について、原因や受診の目安、検査・治療法を小児科専門医がわかりやすく解説します。
🔍血尿とは?
血尿とは、尿に血液(赤血球)が混じる状態を指します。
肉眼で確認できる「肉眼的血尿」と、顕微鏡でしか確認できない「顕微鏡的血尿」があります。
どちらの場合も、何らかの原因があるため、放置せずに医療機関を受診することが大切です。
👉子どもの血尿の主な原因
- 尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)
排尿時の痛みや頻尿、発熱を伴うことがあります。特に女児に多く見られます。尿検査で感染の有無を調べることで診断できます。
- 尿路結石
腎臓や尿管に結石ができることで、血尿や腰痛、腹痛を引き起こすことがあります。
小児で尿路結石が起こることはまれなので、原因を詳しく調べることが重要です。
- 外傷・激しい運動
激しい運動で赤血球が壊れたり、外傷により尿路に損傷が生じたりすることで、血尿が出ることがあります。通常は一時的な血尿で、持続することは少ないです。
- 糸球体腎炎
腎臓の糸球体に炎症が起こる病気で、血尿やタンパク尿、むくみ、高血圧などの症状が現れます。
- 家族性血尿
遺伝的な要因で、血尿が続くことがあります。症状の程度には個人差があります。軽症であっても定期的なフォローが必要です。
- 腫瘍(腎腫瘍・膀胱腫瘍)
小児ではまれですが、腫瘍が原因で血尿が出ることがあります。特に肉眼的血尿の場合は注意が必要です。
- ナットクラッカー症候群(左腎静脈圧迫症候群)
大動脈と上腸間膜動脈に左腎静脈が挟まれて圧迫されることで、左腎静脈の血流がうっ滞し、血尿の原因になることがあります。発作的な肉眼的血尿が見られる場合は鑑別に挙げられます。エコーやCT検査で診断します。基本的には経過観察となることが多いです。
🏥受診の目安
以下のような場合は、早急に医療機関を受診してください。
- 肉眼的に血尿が確認できる
- 発熱や腹痛、腰痛を伴う
- 血尿が繰り返し見られる
- むくみが強い、尿が少ない
💡当院で可能な検査
当院では、以下の検査を行うことができます。
- 尿検査:血尿の有無や感染の有無を調べます。
- 血液検査:腎機能や炎症の有無を確認します。
- 超音波検査(エコー):腎臓や膀胱の状態を確認します。
💊治療法
血尿の原因に応じて、以下のような治療を行います。
- 尿路感染症:抗生物質の投与
- 尿路結石:経過観察し自然排石を待つ、必要に応じて外科的治療
- 糸球体腎炎:ステロイドや免疫抑制剤による治療を行いますが、経過観察する場合もあります。診断確定や重症度判定のため、必要に応じて腎生検が可能な施設へ紹介します。
- 腫瘍:専門医への紹介と治療
❓よくある質問(FAQ)
Q1. 血尿が少しだけ出ているけど、蛋白尿もないし、他の検査異常もないので経過を見ていきましょうと病院で言われました。大丈夫なのでしょうか?
A1. いわゆる無症候性血尿と言われる状態だと思われます。
千葉市で行われた14年間の学校検尿の経過観察では、無症候性血尿の約85%の症例で尿所見が正常化し、12%の症例で血尿が持続、3%の症例で腎炎(主にIgA腎症)に移行したという報告があります。*1
過剰に心配する必要はありませんが、一度だけの尿検査では判断できないため、定期的なフォローが重要です。
Q2. 肉眼的血尿ってどんな色ですか?
A2. 肉眼で見て血尿が出ているとわかる場合を「肉眼的血尿」と呼びます。
尿の色は、
- 赤や黒っぽい茶褐色(ワイン色、コーラ色、濃いウーロン茶色、腎臓からの出血を疑う)
- にごった緑茶色(高度の血尿を示すことあり)
- 鮮やかな赤色(膀胱など下部尿路からの出血を疑う)
などがみられます。
オレンジ色の場合は血尿ではないことが多いですが、気になる場合は尿検査を受けることが大切です。
赤ちゃんのおむつ替え時に赤っぽい染みが見られることもありますが、これは尿酸が混じったれんげ砂様沈着で、病的な血尿ではありません。
一方、オムツ全体がピンク~赤色に染まる場合は注意が必要です。
Q3. 子どもの血尿はストレスが原因で起こりますか?
A3. ストレスそのものが直接血尿の原因になることはありません。
血尿の原因の大部分は感染症や腎臓の病気など身体的な異常によるものです。
一方で、ストレスや疲労が続くことで免疫力が低下し、間接的に膀胱炎などの感染症を起こしやすくなることで血尿につながる可能性はあります。
また、ストレスによる体調悪化や筋肉への負担、脱水などが影響して潜血反応が陽性に出ることはあります。この点については、Q4もあわせてご参照ください。
Q4. 尿検査で潜血陽性と言われましたが、必ず血尿なのでしょうか?
A4. 尿検査で調べる潜血反応(ヘモグロビン試験紙法)は、赤血球だけでなく、ミオグロビンやヘモグロビンにも反応するため、実際に赤血球が混じっていない場合でも陽性になることがあります。例えば、血液中で赤血球が壊れて、血球の中身のヘモグロビンだけが尿に漏れ出る場合などです。
そのため、潜血陽性の際には尿沈渣検査を行い、実際に赤血球が尿中に存在しているかどうかを確認することが重要です。
おわりに
お子さんに血尿が見られたとき、驚いてしまうかもしれませんが、慌てず冷静に対応することが大切です。
多くの場合、適切な検査とフォローでしっかり管理できる病態です。
わからないことや不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
私たち小児科医療チームが、お子さんと保護者の皆さまを全力でサポートいたします。
参考文献
小児腎臓病学第3版
*1 宇田川淳子, 倉山英昭, 松村千恵子, 秋草文四郎: 臨床所見から見た小児腎生検の適応について. 千葉医学雑誌, 72: 113-119, 1996.
監修者
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
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