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咳が苦しいときに家では何をしてあげられる? 赤ちゃんのゼーゼーで考えられる病気
お子さんの咳が止まらず、ゼーゼーと苦しそうにしている姿を見るのは、本当に心配です。
受診して様子を見るように言われても、夜中に何度も咳き込んで眠れないと、“何かしてあげられることはないだろうか?”と考えるのでないでしょうか。
この記事では、ご家庭でできるケアの工夫(鼻水の吸引や室温調整など)についてお話ししていきます。
また、主に赤ちゃん(乳幼児)を対象にして、”咳がひどい時”、”ゼーゼーしている時”、”咳がずっと長引いている時”に考えられる病気について解説していきます。
もくじ
お子さんが咳で苦しそうなとき、ご家庭でできること

呼吸を楽にするための姿勢の工夫と水分補給
- 横にペタンと寝かせてしまうと、気道が狭くなり咳が出やすくなることがあります。クッションや丸めたバスタオルを背中に当てて、少しだけ上体を起こしてあげると、呼吸が楽になることが多いです。
- 喉が乾燥すると咳がひどくなりやすいため、スプーン1杯や一口分の水分を、なるべくこまめに飲ませてあげてください。少し温めたスープなどもいいと思います。
室温・湿度の調整と、寝具のダニ対策
- 冷たい空気や乾燥は、気管支を刺激して咳を悪化させます。室温は夏なら26〜28度、冬なら20〜22度くらいを目安にし、エアコンの風が直接当たらないようにしてください。
- 湿度は50〜60%程度に保つのがおすすめです。
- ホコリやダニが刺激になることもあるため、咳がひどい時はシーツや枕カバーをこまめに洗濯し、布団の周りに掃除機をかけるといったダニ対策も効果的です。
鼻水の吸引、処方されている吸入薬の使い方
- 乳幼児は自分で上手に鼻をかめないため、鼻水が喉の奥に流れ込んで咳き込む原因になることがよくあります。ご家庭に鼻水吸引器があれば、寝る前などにこまめに吸ってあげるだけでも、咳が落ち着きやすくなります。
- また、以前かかりつけ医から気管支拡張薬の吸入薬などを処方されていて、「またゼーゼーしたら使っていいよ」と指示されている場合は、その通りに使ってみてください。
ゼーゼーや、長引く咳の原因となる病気

1歳未満に多い「細気管支炎」
ウイルスなどの感染によって、気管支の奥の細い部分に炎症が起こるのが細気管支炎です。ゼーゼーしやすいウイルスの代表格がRSウイルスとヒトメタニューモウイルスです。
気管支に炎症が起こるので、分泌物が増えて、咳や鼻汁がたくさん出てきます。
気道の奥の細い部分の通り道が狭くなると、ゼーゼーとした苦しそうな呼吸になります。
気管支喘息 ;気道の慢性的な炎症=ボヤ騒ぎ
「うちの子って気管支喘息なんですか?」しょっちゅうゼーゼーする理由とこれからのこと
気管支喘息とは、空気の通り道である「気管支」が慢性的に炎症=ボヤ騒ぎを起こし、敏感になっている状態を指します。
ダニやホコリ、ウイルスなどの刺激に対して、免疫が過剰に反応してしまうことも炎症の原因の一つです。
症状がなくても炎症は続いていて、壁が分厚くなっていることもあります。さまざまな刺激にともない、気道が狭くなると、ゼーゼーとした音が聞こえ、苦しくなります。
お医者さんたちは、この気道が狭くなっている音を、聴診器で聞いていて、「喘鳴」、「wheezes」と言っています。
ただし、細気管支炎と気管支喘息の区別は音を聞いただけではわかりません。それ以外の症状の出方や検査などで判別する必要があります。
特に気管支喘息は、ボヤ騒ぎがずっと続いている状態なので、「長期管理薬」で鎮火しながら、気道をより良い状態に維持してあげることが、症状の安定につながっていきます。
この「長期管理薬」をどう使うべきか判断するには、”気管支喘息と考えられる症状が、どのくらいの強さで、どのくらいの頻度で起こっているのか?”という情報が大変重要です。
ですので、”怪しい咳をしていたら、いつもと同じかかりつけ医をこまめに受診することが大事”なのです。
「クループ症候群」
また、ケンケンという犬が吠えるような咳が出る場合は、クループ症候群の可能性があります。これもウイルス感染がきっかけとなることが多いです。
ただしクループ症候群と気管支喘息では、炎症や狭くなっている場所が全く違います。
- クループ症候群:のどの奥の声門(声をだすところ)の近くに炎症が起こっている。
- 気管支喘息または細気管支炎:気管支の奥の方がせまくなっている
この違いは呼吸をよくみれば、きちんと区別することができます。
- クループ症候群:息を吸う時にゼーゼーしていて、甲高い咳(オットセイのような咳)が出る
- 気管支喘息または細気管支炎:息を吐くとき(出すとき)にゼーゼーしていて吐きづらい
クループ症候群は、のどの奥が腫れやすくなっているため、繰り返すことはよくありますが、気管支喘息のように長期管理薬が必要というわけではありません。まず大事なのは気管支喘息と区別することです。
長引く咳のときは何を考える? 「気管支喘息」と「感染後咳嗽」
風邪をひくたびにゼーゼーを繰り返す場合や、ご家族にアレルギーの体質がある場合は、「気管支喘息」の可能性があります。
また、ウイルスの感染がおさまった後も気道の過敏性が高まってしまい、咳だけが長く続く「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」という状態になることもあります。
さきほど紹介したRSウイルス、hMPVウイルスに次いで、マイコプラズマ、百日咳などは咳が長引く「感染後咳嗽」の代表格です。保育園に入園したばかりの時など、何度も風邪をもらってしまい、ふつうの風邪のウイルスで咳が長引くこともあります。
また、膿性鼻汁や鼻閉症状が長引くときは「副鼻腔炎」にも要注意です。
マイコプラズマ、百日咳などの「感染後咳嗽」や、「副鼻腔炎」は対しては、抗生剤が効くことがあります。
感染後咳嗽と気管支喘息の区別は難しいこともあります。そのような場合は、抗生剤を試したり、気管支喘息の治療をしてみて、効果をみることもあります。
治りにくい場合は「気道異物」や他の病気の可能性も
多くは喘息や感染に伴う咳ですが、吸入薬など気管支喘息に準じた治療をしっかり行っても、症状がなかなか改善しないケースもあります。そのような場合は、
- ピーナッツやおもちゃの欠片などを誤って吸い込んでしまった「気道異物」
- 生まれつきの気管の形の問題
など、少し珍しい病気が隠れている可能性も考えていく必要があります。治療への反応を見ながら、必要に応じてレントゲンや血液検査などの詳しい検査をすすめて、原因をしっかり探っていきます。
症状を見分けるための観察ポイント

咳がひどくなるタイミングの記録
ウイルス感染による気管支炎などの場合は、発熱を伴うことが多いですし、大体は1-2週間程度で軽快します。
一方で、熱はないのに夜中から明け方にかけて咳がひどくなる、冷たい空気を吸い込んだときや運動した後にゼーゼーする、といった場合や、そういった症状が長引くのは喘息かもしれません。
いつ、どんなときに症状が強くなるかをメモに残しておくと、次回の受診時にとても役立ちます。
ペコペコ呼吸など、迷わず受診してほしい危険なサイン
お子さんの様子を見ていて、以下の状態が一つでも見られたら、夜間や休日であってもためらわずに医療機関を受診してください。
- 息を吸うときに肋骨の間や首の付け根がペコペコとへこむ
- 肩を上下させて苦しそうに息をしている
- 唇の色が悪い
これらは「呼吸困難症状」といい、酸素の吸い込みがきちんと出来ていないときの危険なサインです。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックからのお願い

咳で眠れない夜は、ご家族も不安で休まらないと思います。ここでお伝えした目安を参考にしながら、少しでも迷うことや心配なことがあれば、いつでもご相談ください
よくある質問(FAQ)

鼻水吸引器は1日に何回くらい使っていいですか?
特に回数の制限はありません。お風呂上がりや寝る前、ミルクや食事の前など、鼻水がたまって苦しそうなタイミングで優しく吸ってあげてください。あまり奥まで入れすぎないように注意しましょう。
咳がひどくて吐いてしまったのですが、どうすればいいですか?
咳き込んだ勢いで吐いてしまうことは、小さなお子さんにはよくあります。吐いた後は口の周りをきれいにし、30分ほど休ませてから、スプーン1杯程度の水分を少しずつあげてみてください。
寝室の加湿器は一晩中つけておいたほうがいいですか?
湿度が低すぎると喉への刺激になりますが、高すぎるとダニやカビが繁殖しやすくなり、新たな咳の原因になることもあります。湿度が50〜60%程度になるよう、タイマー機能などを活用して調整してみてくださいね。
夜間に急に呼吸が苦しそうになったらどうすればいいですか?
息をするたびに胸がペコペコへこむ、肩で息をしている、唇の色が悪いといったサインが見られる場合は、夜間であっても迷わず地域の救急外来を受診してください。判断に迷う場合は、こども医療電話相談(#8000)の活用もおすすめします。
医療上の免責事項:本記事は一般的な医学的情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状には個人差があるため、ご心配な場合は自己判断せず、医療機関を受診するようお願いいたします。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
