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クループ症候群とは?原因や咳の特徴、受診する目安を解説
夜中に突然、お子さんが「ケンケン」と今まで聞いたことのない苦しそうな咳をし始めたら、とても心配になりますよね。
その咳は、「クループ症候群」かもしれません。ほとんどの場合は自然に回復しますが、重症化すると呼吸困難に陥ることもあります。
この記事では、クループ症候群の危険なサインや受診の目安、家庭でできる応急処置について詳しく解説します。いざという時に慌てず、お子さんを守るための知識を身につけましょう。
クループ症候群とは?

クループ症候群は、主にウイルス感染が原因で起こる病気です。空気の通り道である喉頭(のど仏のあたり)やその周辺が炎症を起こし、特徴的な咳や呼吸の苦しさといった症状が現れます。
症状
クループ症候群の症状は、夜間に突然始まったり、悪化したりすることが多いです。
日中は少し咳が出る程度だったのに、夜寝てから急に症状が強くなることも少なくありません。
以下がクループで特徴的な症状です。
- 犬が吠えるような咳:「ケンケン」、「オウオウ」といった乾いた咳
- 嗄声:かすれ声、声を出しにくそうにしている
- 喘鳴:息を吸う時の異常な音「ヒューヒュー」、「ゼーゼー」
原因となるウイルス感染に伴い、38度前後の熱が出ることがありますが、全く出ない場合もあります。
原因
クループ症候群のほとんどは、ウイルス感染が原因です。
空気の通り道である喉頭や気管にウイルスが感染し、粘膜が炎症を起こして腫れることで、特徴的な症状が引き起こされます。
原因ウイルスはパラインフルエンザウイルスが代表的ですが、RSウイルス、インフルエンザ、ライノウイルス、一般的な風邪のウイルスでも起こります。
気道が細い乳幼児ほど症状が出やすいですが、年長児でもクループになりやすい方は多く、風邪をひくたびにクループに症状がでる方もいます。
年長児でクループ症状を反復している場合は、気道の過敏性(気管支喘息やアトピー素因の関与)、胃食道逆流症などが背景にある可能性もあります。
似た症状を来す他の病気との違いと救急受診の目安

クループ症候群の症状は、他の病気と似ていることがあります。
- 急性喉頭蓋炎:突然の高熱、物を飲み込めない、よだれ、前かがみで苦しそう
- 気管支喘息:息を吐くときにゼーゼーとした音がする
- 異物誤飲:食事中や遊んでいる最中に突然、症状がでた場合は要注意です
- アナフィラキシー:顔や身体にも腫れや蕁麻疹がある場合は要注意です
- 遺伝性血管性浮腫(HAE)などによる喉頭浮腫
これらの病気は、いずれにしても緊急性が高い病気である可能性があります。救急受診を優先してください。
また、以下の症状は、クループ症候群の喉頭の腫れが悪化した危険なサインです。
- 唇や顔色、爪の色が青紫色になる
- ぐったりして、呼びかけへの反応が鈍くなる
- 咳が落ち着いた後も、肩を上下させて、ゼーゼーとした息をしている
速やかに救急受診をしましょう。
クループ症候群の診断と検査

クループ症候群は特有の咳や声のかすれなどの特徴的な症状があるため、特別な検査をしなくても診断は可能ですが、目的によって以下の検査が行われることもあります。
- 酸素飽和度(SpO2):血液中の酸素がちゃんと足りているかどうか
- レントゲン検査肺炎や他の病気の除外
- 迅速検査:原因ウイルスの参考
- 喉頭ファイバー:のどの奥の腫れの様子を観察するため。別の病気(喉頭軟化症、先天性声門下狭窄)を疑うとき
クループ症候群の治療法

クループ症候群の治療は、炎症で狭くなったのどの腫れを和らげ、呼吸を楽にすることが重要です。ご家庭でのケアも回復を早めるポイントになります。
ステロイド薬の内服
ステロイド薬は腫れてしまった喉の粘膜に作用し、その炎症を強力に抑え込みます。
喉の腫れが引き、空気の通り道が広がるため、咳や息苦しさを速やかに改善する効果が期待できます。
デキサメタゾンやリンデロンシロップ等がよく処方されます。
単回または数回の投与で十分なことも多く、症状と年齢に合わせて薬が選ばれます。
吸入治療
「ネブライザー」という専用の機械を使い、薬を細かい霧状にして、直接気道に届ける治療法です。
クループ症候群で主に使用されるのはアドレナリン(ボスミン®)です。
気道の血管を収縮させて喉の腫れを素早く抑えます。
アドレナリンの治療後は30分〜2時間ほどは効果が持続します。
自宅でできるケア
部屋の湿度を50~60%程度に保ちましょう。
加湿器を使ったり、濡れたタオルを部屋に干してください。
上半身を少し高くしてあげる
バスタオルなどを背中の下に敷いて、角度をつけてあげると気道が広がりやすくなり、呼吸が楽になることがあります。
なるべく泣かせず、リラックスさせる
クループ症候群では、泣いたり興奮したりすると呼吸の苦しさが悪化してしまいます。抱っこをして安心させたり、お気に入りのおもちゃや絵本、動画などを活用したり、できるだけ穏やかな状態で過ごせるように頑張りましょう。
咳がひどい時は、一時的に「冷たい空気」を吸わせる
夜中などに息苦しさが急に強くなった場合、冷たい空気を吸うことで喉の粘膜の腫れが少し引き、呼吸が楽になることがあります。お子さんの体を冷やさないようにした上で、窓を開けて外の冷たい空気を数分間吸わせてみてください。
気道の刺激になるものを避ける
タバコの煙やホコリ、強い芳香剤の匂いなどは、気道の炎症を刺激して咳を誘発・悪化させる原因になります。
クループ症候群でよくある質問

Q.人にうつりますか?
A.クループ症候群のほとんどは、パラインフルエンザウイルスをはじめとするウイルス感染が原因のため、人にうつります。
感染している人の咳やくしゃみに含まれるしぶきを吸い込む「飛沫感染」や、ウイルスがついた手で口や鼻を触る「接触感染」に感染します。
ただし、感染した人が必ずクループ症候群を発症するわけではありません。大人が同じウイルスに感染しても、多くは軽い喉の痛みや鼻水といった、いわゆる風邪の症状で済みます。
Q.治るまでどれくらいかかりますか?
A.症状の強さにもよりますが、ほとんどの場合、治療を開始してから4〜7日程度で回復に向かいます。
お子さんの年齢や体力、原因となったウイルスの種類によって、回復までにかかる期間には個人差があります。
Q.夜だけ悪化するのはなぜですか?
A.夜は体内リズムの影響で気道の腫れが目立ちやすく、さらに乾燥・疲れ・横になる姿勢が重なって、咳や息苦しさが強く出ることがあります。
Q.登園・登校の基準はありますか?
A.クループ症候群には、法律で定められた明確な基準はありません。
登園や登校を再開するかどうかは、お子さんの全身の状態を見て総合的に判断することが大切です。
以下の内容をお子さんの状態と照らし合わせてみてください。
- 解熱して24時間以上経過している
- 普段通りに食事や水分が摂れている
- 室内で普段通りに遊べるくらい体力が回復している
- 「ケンケン」という特徴的な咳がほとんど出なくなった
- 安静時に、息を吸う音がゼーゼー・ヒューヒューいっていない
- ひどい咳で夜中に何度も起きることがない
Q.再発しますか?
A.一度クループ症候群を経験したお子さんは、小学校低学年頃までは風邪をひくたびにクループ症候群の症状を繰り返しやすい傾向があります。
何度も繰り返すとご家族は大変心配になるかと思いますが、成長とともに体も変化するためかかりにくくなります。
Q.再発を防ぐ方法はありますか?
クループ症候群そのものを直接予防するワクチンや特効薬はありません。しかし、原因となるウイルス感染の機会を減らし、体の抵抗力を高めることが、最も効果的な再発予防につながります。
規則正しい生活習慣を送り、ウイルスに負けない体づくりを目指しましょう。
感染症にかからないように、日々の生活習慣を見直すことが再発防止につながります。
まとめ

クループ症候群の特徴的な咳に気づいたら、重症化する前に早めに医療機関を受診しましょう。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、お子さんの咳症状の相談を受け付けています。気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属

