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「うちの子って気管支喘息なんですか?」しょっちゅうゼーゼーする理由とこれからのこと
お子様が、「気管支が弱いかもしれないですね」、「喘息かもしれないから、気を付けてみていきましょう」と言われたことはないですか?
小さなお子さんは、風邪をひくたびに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸になりやすく、このようなことを言われることがあります。
また、あからさまなゼーゼーがなくても、”咳だけがいつまでも治らない”、”寝る前や明け方の咳がひどい”、”運動すると咳が止まらない”といった症状から気管支喘息(咳喘息)が疑われることもあります。
喘息と聞くと、一生付き合っていかないといけない病気(体質)というようなイメージもあると思いますが、乳幼児期の喘鳴は必ずしもそうとは限りません。
今回は、
- 気管支喘息とはどんな状態なのか
- どうやって診断するのか
- 咳喘息について
- 治療はどうするのか
- なぜ長期的な治療が必要なのか
について詳しくお話しします。
もくじ
気管支喘息ってそもそもどんな病気?

喘息とは、、気管支の中で「慢性的なボヤ騒ぎ」が起きている状態
気管支喘息とは、空気の通り道である「気管支」が慢性的に炎症=ボヤ騒ぎを起こし、敏感になっている状態を指します。
ダニやホコリ、ウイルスなどの刺激に対して、免疫が過剰に反応してしまうことも炎症の原因の一つです。
ゼーゼーしていない時でも、気管支の壁の中で戦いが続いていて、少しずつ壁が分厚くなることもあります。
刺激にともない、気道が狭くなると、ゼーゼーとした音が聞こえ、苦しくなります。
お医者さんたちはこのゼーゼーとした音を、聴診器で聞いていて、「喘鳴」、「 wheezes」と言い、気管支喘息発作の時の音と考えています。
乳幼児の「ゼーゼー」は風邪との区別が難しい
乳幼児期は、気管支そのものが細く柔らかいため、少しの鼻水や痰でも空気の通り道が狭くなり、ゼーゼーという音(喘鳴、 wheezes)が聞こえやすい特徴があります。
そのため、1回や2回ゼーゼーしただけで「気管支喘息」と診断することは、小児科医でも非常に難しいのです。
しかし、風邪をひいていないのにゼーゼーが長引いたり、月に何度も繰り返したりする場合は、気管支喘息を疑って経過をみていく必要があります。
喘息は、どうやって診断する?

乳幼児期は診断が難しい
小学生や大人であれば、機械に息を吹き込んで肺の働きや気管支の炎症具合を調べる検査が行われます。しかし、0〜4歳の小さなお子さんの場合、指示通りに息を吐き出すことが難しいため、こうした機器を使った検査ができません。
血液検査でダニなどのアレルギー体質を調べることはできますが、それだけで「喘息」と断定することはできません。
胸のレントゲン検査は他の病気を除外診断するのに有用ですが、喘息を診断できるわけではありません。
「症状の出方」や「お薬の効き目」を見ながら診断を確定していく
ではどうやって診断するかというと、お子さんの症状のパターンや、お薬の効き目を丁寧に観察していきます。
- 急に呼吸が悪くなってゼーゼーするような発作を繰り返している
- 気管支を広げる吸入薬を使うと呼吸がスッと楽になる
- ゼーゼーしやすくなる感染症(RSウイルスやhMPVウイルス)が検査で陰性
といった点が重要な判断材料になります。
また、喘息の予防薬をしばらく試してみて、ゼーゼーが起きなくなるかを確認する「診断的治療」という方法をとることもあります。
「ゼーゼー」しない喘息もあるって本当?

咳だけが長引く「咳喘息」を疑うサイン
気管支喘息の中には、ゼーゼーやヒューヒューといった音がはっきり聞こえず、しつこい咳だけが続く「咳喘息」というタイプもあります。
ご家庭で様子を見る際、以下のような条件に当てはまる場合は咳喘息の可能性があります。
- 風邪薬を飲んでも2〜3週間以上、咳だけが治らない
- 夜寝る前や、明け方に咳き込んで起きてしまう
- 走った後や、大笑いした時、冷たい空気を吸った時に咳が止まらなくなる
咳喘息にも「お薬を試す」診断的治療を行うときがあります
咳喘息が疑われる場合も、気管支を広げるお薬(テープ薬や吸入薬)やステロイド吸入薬などを実際に数日間から数週間使ってみて、咳が治まるかどうかを確認する「診断的治療」をよく行います。
お薬を使ってスッと咳が引くようであれば、気管支が狭くなっていた証拠となり、咳喘息と診断してその後の治療方針を立てていきます。
将来どうなるの?ずっと治らないの?という不安について

乳幼児の時期だけゼーゼーしていて、成長とともに良くなるケースも多いです
「このまま一生治らないのでは」と不安になるかもしれませんが、成長とともに気管支が太く丈夫になると、自然と症状が出なくなるお子さんもたくさんいます。
特に乳幼児期から適切な治療を続けることで、小学校にあがる頃にはすっかり落ち着いているケースも少なくありません。
お子さんのその時の気管支の状態に合わせてサポートしていくことが何より大切です。
なぜ「長期管理」が必要と言われるのか
発作が起きたときだけ薬を使えばいいのでは?、と思うかもしれません。
しかし、炎症をそのまま放置して発作を繰り返すと、気管支の壁が元の状態に戻らなくなってしまう「気道リモデリング」という現象が起きてしまいます。
これを防ぎ、将来にわたって健康な気管支を保つために、症状がない時でもお薬を続けて炎症を鎮める「長期管理」が必要になります。
具体的にどんな治療をするの?

「発作を止めるお薬」と、「予防するお薬」の違い
喘息のお薬には、大きく分けて2つの役割があります。
1つ目は、今起きているゼーゼーや苦しさを一時的に和らげる「発作治療薬」です。
例)
- ステロイドの全身投与(内服、入院であれば静脈投与)
- 気管支拡張薬(メプチンなど)の吸入、内服、テープ
2つ目は、気管支の炎症を根本から抑え、発作が起きにくい状態を作る「長期管理薬(コントローラー)」です。炎症を抑え、健常に近い気道に戻すためには、これらの薬をしっかりと長めに使っていく必要があります。
例)
- ロイコトリエン受容体拮抗薬の内服(プランルカスト、モンテルカストなど)
- ステロイド吸入(パルミコート、フルタイド、アドエア、フルティフォーム、オルベスコなど)
毎日お薬を続ける理由
長期管理薬は、使い始めてすぐにゼーゼーが消えるわけではありません。
しかし、毎日コツコツ続けることで、少しずつ気管支の炎症が落ち着き、風邪をひいてもゼーゼーしにくい強い気管支へと育っていきます。
症状がないからといって自己判断でお薬をやめてしまうと、再び炎症がぶり返すことがあります。
医師から「もうお休みして大丈夫」と言われるまでは、根気よく続けるようにしてください。
家庭でできるサポート

日常生活で気をつけてあげたいこと
お薬の治療に加えて、生活環境を整えることも立派な喘息のケアです。
こまめな換気や掃除機がけでダニやホコリを減らすことや、タバコの煙を避けることは気管支への刺激を減らすためにとても有効です。
また、急激な気温の変化もゼーゼーのきっかけになりやすいため、衣服の調整で体を冷やさないよう工夫してみてください。
以下のリンクもご覧ください。
小児喘息を和らげるには?家庭でできる対策と予防法をわかりやすく解説【ベスタの小児科医が解説】
子どものダニアレルギーの症状と原因|治療法と予防策【ベスタの小児科医が解説】
気になる質問

喘息の長期管理薬にはステロイドが入っていると聞き、副作用が心配です。
A. 小児の喘息治療で使われる吸入ステロイド薬は、ごく微量の薬が直接気管支にだけ届くように作られています。飲み薬のステロイドとは異なり、全身への影響は非常に少ない安全なお薬ですので、過度に心配せず医師の指示通りに続けてあげてください。
ゼーゼーしている時は、お風呂に入れないほうがいいですか?
A. お子さんの機嫌がよく、息苦しさがなければ、さっとシャワーを浴びる程度は問題ありません。ただし、湯船に長く浸かると血行が良くなりすぎてゼーゼーが強くなることがあるため、長湯は避けましょう。苦しそうな時は無理に入浴させず、体を拭く程度にとどめてください。
アレルギー検査を受ければ、喘息かどうか確実にわかりますか?
A. アレルギー検査(血液検査など)は、喘息を悪化させる原因(ダニや花粉など)を調べるために役立ちますが、それだけで「気管支喘息」という病気そのものを確定診断できるわけではありません。お薬の効き目や症状を繰り返すパターンなどを総合して判断します。
「うちの子のゼーゼーはどうなんだろう」と迷ったら、いつでもベスタこどもとアレルギーのクリニックへご相談ください。
■ 医療上の免責事項 本記事は一般的な医学的情報を提供するものであり、個別の診断や治療を代用するものではありません。お子さんの症状で気になることがある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けてください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
