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パラインフルエンザウイルス感染症とは?主な症状と発症したときの対策

お子さんの咳が「ケンケン」と犬のように聞こえたり、声がかすれて苦しそうにしていませんか?それは単なる風邪ではなく、「パラインフルエンザ感染症」の可能性があります。インフルエンザや普通の風邪との違いが分かりにくく、不安になる方も多いでしょう。特に乳幼児では重症化し、「クループ症候群」へ進行することもあります。
この記事では、パラインフルエンザ感染症の主な症状の特徴や見分け方、受診の目安、家庭でできる対処法までをわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、大切なお子さんを守るための判断材料にしてください。
もくじ
パラインフルエンザとは?特徴的な症状と受診の目安

パラインフルエンザ感染症は主に乳幼児や小さなお子さんがかかりやすく、特に秋から冬にかけて流行のピークを迎える傾向があります。
ここではパラインフルエンザ感染症の主な症状と医療機関を受診する目安をご説明します。
パラインフルエンザの主な症状
パラインフルエンザウイルスに感染すると、2〜6日ほどの潜伏期間を経て、主に次のような症状が現れます。
- 発熱(38℃前後が多い)
- 鼻水、鼻づまり
- のどの痛み
- 咳
多くは風邪とよく似た経過をたどりますが、喉頭(声帯周辺)に炎症が起こりやすいのがパラインフルエンザ感染症の特徴です。犬が吠えるような「ケンケン」とした咳や声がれの症状が出ることがあります。
ほとんどは数日で回復しますが、乳幼児では喉頭の腫れが強まると「クループ症候群」に進行する場合があります。
インフルエンザ・風邪との違い
パラインフルエンザ感染症とインフルエンザや他の風邪には、以下のように、症状の現れ方に傾向の違いが見られます。

パラインフルエンザ感染症は、見た目だけでは普通の風邪と区別がつきにくいことがあります。
最初は鼻水や軽い咳だけでも、数日たってから「ケンケン」とした咳や声がれが目立つようになるケースも少なくありません。
症状の強さだけでなく「いつもと様子が違うかどうか」に目を向け、呼吸の様子や元気の程度もあわせて見守ることが重要です。
パラインフルエンザはクループ症候群に注意

パラインフルエンザ感染症で特に注意したいのが「クループ症候群」です。
喉の奥の喉頭(声帯周辺)が炎症で腫れ、空気の通り道が狭くなることで起こります。特に気道が細い乳幼児では、わずかな腫れでも呼吸に影響が出やすいのが特徴です。
犬が吠えるような「ケンケン」とした咳や声がれ、息を吸うときの「ヒューヒュー」という音がみられ、夜間や明け方に悪化しやすい傾向があります。
多くは自然に回復しますが、呼吸が苦しそう、呼吸で胸がへこむ、顔色が悪い、ぐったりしている場合は夜間でも速やかに受診しましょう。
新型コロナウイルスの流行後、夏に流行したという報告もあり、注意が必要です。(※1)
パラインフルエンザの診断方法

パラインフルエンザ感染症の診断は、多くの場合、特別な検査をせずに、ウイルス性の気道感染症として判断されます。
気道感染症は、次の点に注意することが重要です。
- 喉が赤く腫れていないか
- 呼吸の音に異常がないか
- 犬が吠えるような咳が出ていないか
- 呼吸が苦しそうでないか(肩や胸を大きく動かしていないか)
- 息を吸うときに「ヒューヒュー」と音がしないか
乳幼児では気道が細いため症状が急に悪化することもあり、全身状態や水分摂取の様子も含め慎重に確認します。
重症例やインフルエンザなど他疾患との鑑別が必要な場合には、迅速検査やPCR検査を行うこともあります。
当クリニックでは、症状や重症度、流行状況に応じて必要な場合に、BioFire® SpotFire®(スポットファイア)を用いた多項目PCR検査で原因病原体を確認できます。鼻咽頭ぬぐい液1回で、パラインフルエンザウイルスを含む呼吸器病原体を約15分で同時に判定できるため、インフルエンザやRSウイルスなど他の感染症との鑑別が必要なときに役立ちます。
パラインフルエンザの治療法と家庭でのケア

ここでは、パラインフルエンザ感染症の治療法と家庭でのケアの方法をご説明します。
病院で行う治療
パラインフルエンザ感染症には、現在のところ直接作用する特効薬や予防ワクチンはありません。治療の基本は、発熱や咳などのつらい症状を和らげる「対症療法」です。特に、クループ症候群を起こしている場合は、喉の炎症や腫れを抑える治療を行います。
多くは外来で経過観察となりますが、呼吸が苦しい、水分が取れないなど症状が重い場合には入院が必要になることもあります。医師は症状の程度に応じて薬や吸入療法を選択し、自然な回復を支えることが一般的です。
薬による治療(薬物療法)は以下の通りです。

家庭でのケアのポイント
ご家庭での丁寧なケアは、体力を保ち、パラインフルエンザ感染症からの回復を後押しする土台となります。
十分な休息を確保し、症状が軽くなっても無理をさせず、静かに過ごせる環境を整えましょう。
発熱や呼吸によって水分は失われやすいため、水やお茶、経口補水液、スープなどを少量ずつこまめに与えることが重要です。食欲が落ちている場合は無理に食べさせる必要はありませんが、おかゆやゼリー、ポタージュなど、喉ごしが良く消化しやすいものを選ぶと負担が少なくなります。
室内の湿度を50〜60%程度に保つと喉の乾燥を防ぎ、咳の悪化を抑える助けになります。加湿器の使用や濡れタオルを干す工夫も有効です。
パラインフルエンザ感染症からの回復期もしばらくは体力が落ちやすいため、登園や外出は焦らず、体調を見ながら慎重に判断しましょう。日頃から呼吸の様子や元気の程度を観察し、変化があれば早めに医療機関への相談をおすすめします。
パラインフルエンザの感染対策と予防について

現在のところ、パラインフルエンザウイルスには、インフルエンザワクチンのような一般的な予防接種が存在しません。感染を防ぐには、日常生活の中での基本的な感染対策が重要です。
パラインフルエンザウイルスの主な感染経路は2つあります。咳やくしゃみのしぶきを吸い込む「飛沫感染」と、ウイルスが付着した物を触った手で口や鼻に触れることで感染する「接触感染」です。
家庭では、石けんと流水によるこまめな手洗いを徹底し、すぐに洗えない場合はアルコール消毒を活用しましょう。
咳やくしゃみの際はマスクを着用し、マスクがない場合はティッシュや腕の内側で口と鼻を覆う咳エチケットを心がけてください。タオルやコップ、おもちゃなどの共用も避けましょう。
まとめ
パラインフルエンザ感染症には特効薬やワクチンがありません。そのため、発熱や咳などの症状を和らげながら、お子さんの回復力を後押しするご家庭でのケアが何よりも大切になります。
十分な休息と水分補給、適切な加湿を心がけ、お子さんの様子を注意深く見守ってあげてください。
呼吸が苦しそう、顔色が悪いなど、「いつもと違う」と感じるサインがあれば自己判断せず、早めに医療機関へ相談しましょう。
西武池袋線の中村橋駅から徒歩圏内にあるベスタこどもとアレルギークリニックでは、症状やご家庭での対応についてのご相談も受け付けています。中村橋や富士見台周辺でかかりつけの小児科をお探しの親御さんは、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
- Bedir Demirdag T, Ozcicek M, Polat M, et al. “Effects of COVID-19 pandemic on epidemiological features of viral respiratory tract infections in children: a single-centre study.” Epidemiology and infection 152 (2024): e128.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
