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子どもの急な嘔吐・下痢!ウイルス性胃腸炎の正しいホームケアと受診の目安
「夕食後、急に子どもが吐いてしまった……」
「お腹が痛いと言って泣き止まない」
夜間や休日、こうしたお子さんの急な体調変化に直面し、不安な夜を過ごされた経験はありませんか? 特に練馬区や中野区、西東京市など、共働きのご家庭が多い地域では、「明日の保育園はどうしよう」「仕事に行けるかな」という現実的な悩みも重なります。
今回は、子どもによくある**「ウイルス性胃腸炎(お腹の風邪)」**について、ご自宅での正しいケア方法と受診すべきタイミングについて解説します。

もくじ
「ウイルス性胃腸炎」ってなに?
子どもの嘔吐や下痢の原因として最も多いのが、ウイルス感染による胃腸炎です。
ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが有名ですが、これら以外にも胃腸炎を起こす様々なウイルスがいます。
これらのウイルスが口から体内に入り、腸で炎症を起こすことで下痢や嘔吐などの症状が出ます。高熱が何日も続くことはまれですが、 熱も出ます。風邪の一種ですが、お腹に症状が集中するため「お腹の風邪」とも呼ばれます。
「ウイルス性」胃腸炎と「細菌性」腸炎との違いとは?
ウイルス性は基本的に特効薬がなく、自分の免疫力で治す病気です。
一方で、サルモネラ菌やカンピロバクターなどによる「細菌性」の場合は、血便が出たり、高熱が長く続いたりすることがあり、抗生物質が必要になることもあります。便培養検査を行えば、原因菌を突き止めることもできます。
よくみられる病原菌 感染経路 特徴
カンピロバクター 鶏肉 血便と腹痛が強い
サルモネラ 生焼けの肉、亀などの爬虫類 高熱、腹痛、下痢、血便
病原性大腸菌(O-157など) 生焼けの牛肉、汚染された水、野菜 腎障害、脳症など重症化リスク
*生肉を切ったまな板や包丁で、そのままサラダや果物を切ることで感染します。
*焼肉やバーベキューでの「生肉を掴むトング」も危険です。
『ただの胃腸炎(=ウイルス性)』と病初期に言われたとしても、高熱、血便、強い腹痛が続くなどは、ウイルス性ではなく、細菌性腸炎を疑う症状です。
便培養検査や抗菌薬投与を行う場合があるので、再診するようにしましょう。
脱水を防ぐ「水分補給」の方法
ウイルス性胃腸炎、特にノロウイルスやロタウイルスの感染であれば、嘔吐と下痢が主な症状であり、一番怖いのは**「脱水症状」**です。半日程度過ぎれば嘔吐症状は治まっていくことが多いですが、それまでの間、脱水や低血糖にならないように上手に水分を摂取していくことが重要です。吐き気がある時に、無理に食事をさせる必要はなく、まずは最低限の水分を確実に摂っていくが大事です。

経口補水液(OS-1など)の上手な飲ませ方
「脱水にならないように!」と、ゴクゴク飲ませるのはNGです。胃が刺激されて、また吐いてしまいます。
*スプーン1杯程度(5~15ml)からスタートしましょう: ペットボトルのキャップ1杯程度です。
*5‐15分おきにこまめにのんでいきましょう: 吐かずに飲めたら、少しずつ量を増やします。
飲ませるものは 経口補水液(OS-1など)がベストですが、嫌がる場合はリンゴジュースを水で薄めたものや、お味噌汁の上澄みでも構いません。 柑橘系ジュース(胃を刺激する)、牛乳、炭酸飲料などはできる限り避けてください。。
食事の再開タイミング
経口補水液などの摂取が進み、嘔吐が半日〜1日治まっていれば、消化の良いものから少しずつ再開します。
- ○ おすすめ: お粥、うどん(クタクタに煮たもの)、白身魚、豆腐、バナナ
- × 避けるもの: 揚げ物、ラーメン、繊維質の多い野菜、乳製品

こんな症状は要注意!救急受診や再受診の目安
「様子を見ていいのか。」「すぐに病院に行くべきなのか。」 この判断が一番難しいと思います。不安な点があれば、受診するのが望ましいと思いますが、以下の症状は危険なサインなので、すぐに受診してください。
⚠️ すぐに受診してほしいサイン(Red Flags)
・血便が出る(イチゴジャム様の粘血便=腸重積の疑い)
・緑色の嘔吐物が出る(胆汁性嘔吐=腸閉塞の疑い)
・お腹の痛みが激しく、顔色が悪い。
・右下腹部痛が続く。(=虫垂炎の疑い)
・半日以上おしっこが出ない(重度の脱水)
・意識がぼんやりしている、ぐったりしている

特に**「腸重積(ちょうじゅうせき)」**は、腸が腸に入り込んでしまう病気で、緊急の処置が必要です。「激しく泣いたと思ったらケロッとする」を繰り返すのが特徴です。当院では腹部エコー検査(超音波)を用いて、腸の状態を詳しく観察することが可能です。
活気や吐き気は数日で改善していきますが、下痢だけは長引くことが多いです。下痢が長引いたとしても、①嘔吐なく、食欲がある ②腹痛なく、機嫌がよい ③発熱なし ④血便がない といった条件が揃っている場合は慌てずにゆっくりみていってかまいません。1週間経っても下痢が改善しない場合は再診するようにしましょう。
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吐物の処理(パパ・ママ・兄弟への感染を防ぐ!)
ノロウイルスなどはアルコール消毒が効きにくいことがあります。「次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を薄めたもの)」が有効です。使い捨ての手袋とマスクを着用し、処理した後はしっかり手洗いをしましょう。
次亜塩素酸ナトリウムの薄め方 例:ハイター液(濃度5-6%)の場合
0.02%=水 2L に対して、液体のハイター 10ml(ペットボトルキャップ2杯分)・・・ドアノブや手すりなど、多くの人が触れる場所の消毒に使用
0.1%=水 500ml に対して、液体のハイター 10ml(ペットボトルキャップ2杯分)・・・おう吐物・ふん便が付着した場合の処理に使用
(注)次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させます。金属部分に使用した場合は10分程度たったら水拭きをしてください。塩素ガスが発生するので、使用時は十分に換気をしてください。
園や学校はいつからいける?

登園・登校するためには、「症状が治まり、普段通りの食事が摂れるようになっていること」が大切です。機嫌が良好で、軟便程度にまで便性が改善していることを確認し、園や学校に行くようにしましょう。
園が独自のルールを設けている場合もありますので、気になる場合は園に確認してみてください。
ウイルス性胃腸炎は、医師による「意見書(登園許可証)」が必要な場合と、病院を受診せずに保護者が記入するだけでよい「登園届」で済む場合があります。自治体や学校、園によって異なるため注意が必要です。
また症状が治まって登園基準をクリアしたとしても、ウイルスは排出され続けます。感染リスクは減りますが、一般に1〜2週間以上は便中にウイルスが排出され続けると言われています。おむつ替え後の手洗いや消毒は引き続き徹底するようにしましょう。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
