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『水ぼうそう(水痘)』の感染対策、ホームケアについて
こんにちは。「ベスタこどもとアレルギーのクリニック」です。
練馬区の中村橋駅からすぐの当院には、練馬区だけでなく、中野区や杉並区、西東京市など、西武池袋線沿線にお住まいの多くのご家族が来院されます。
お子様が水痘にかかった場合、
「兄弟にはうつる?」
「大人にうつったら、症状が強いの?」
「自宅ではどのようにみていけばいい?」
といった疑問や不安を抱えることもあるかと思います。
今回は、最新の「水ぼうそう」情報と、ご自宅での正しいケア、感染対策などについて、小児科専門医の視点から分かりやすく解説します。
もくじ
水ぼうそう(水痘)ってどんな病気?
水ぼうそうは、「水痘・帯状疱疹ウイルス」というウイルスに初めて感染することで起こる病気です。 非常に感染力が強く、空気感染、飛沫感染、接触感染のいずれでもうつります。その強さは、すれ違っただけでも感染すると言われるほどです。
一度かかれば終わり?「終生免疫」について
昔は「一度かかれば二度とかからない(終生免疫)」と言われていました。確かに、一度かかると強い免疫がつきますが、ウイルスは体の中から完全にいなくなるわけではありません。 神経の節に隠れてじっとしており、大人になって疲れやストレスで免疫が下がった時に「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」として再び暴れ出すことがあります。 つまり、水ぼうそうと帯状疱疹は、同じウイルスが原因で起こる病気です。
ワクチン時代の「新しい水ぼうそう」の症状
2014年から水痘ワクチンが定期接種(公費)になり、日本の水ぼうそうの流行は激減しました。
昔(ワクチン前)は、高熱が出て、全身にひどい発疹ができ、跡が残ることも少なくありませんでしたが、現在(ワクチン後)は、ほとんどの小児がワクチンを2回接種しています。そのため、たとえ感染したとしても、「発熱がない」、「発疹が数個程度」、「水疱にならず赤いポツポツだけで終わる」といった非常に軽い症状で済むお子様が多くなりました。
典型的な症状の経過
- 潜伏期間: 感染してから約2週間後に発症します。
- 発疹: 赤いポツポツ → 水ぶくれ → かさぶた、と変化します。頭皮や口の中にもできるのが特徴です。
- 発熱: 38度前後の熱が出ることがありますが、軽症なら出ないこともあります。
検査と診断:いつ受診すべきか?
基本的には、医師が皮膚の状態を見て診断します(視診)。 しかし、ワクチン接種後の軽症例では判断が難しいこともあるため、必要に応じて水疱の内容物を採取してウイルスがいるかを調べる「迅速検査」や、血液検査を行うこともあります。発疹の経過をみることで診断精度が高まるため、翌日にまた経過をみせて頂く場合もあります。
水ぼうそうの特効薬(抗ウイルス薬)は、「発疹が出てから3日以内に飲み始めることがすすめられています。当院は土日祝日も休まず診療していますので、早めにご相談ください。
跡を残さないためのポイント
- かきむしり防止(爪は短く!) 一番の敵は「かゆみ」です。かき壊すと跡が残りやすくなります。爪を短く切り、清潔に保ちましょう。処方されたカチリ(白い塗り薬)や抗ヒスタミン薬(かゆみ止めの飲み薬)を上手に使いましょう。
- お風呂はシャワーでさっと 熱がある時や水疱がジュクジュクしている時は、湯船には浸からず、シャワーで汗を流す程度にしましょう。タオルで拭くときは、ゴシゴシこすらず、優しく押さえるように拭きます。
兄弟への感染を防ぐには?(空気感染対策)
水ぼうそうは、インフルエンザなどよりもさらに感染力が強い**「空気感染」**をする病気です。 ウイルスが空気中を漂うため、同じ部屋にいなくても、すれ違ったり同じ空間の空気を吸ったりするだけで感染するリスクがあります。
正直にお伝えすると、一つ屋根の下で完全に感染を防ぐことは非常に難しいのが現実です。しかし、少しでもリスクを下げるために、ご自宅では以下の点に注意してみてください。
可能な限りの隔離
感染したお子さんと、まだかかっていない(ワクチン未接種の)兄弟は、別の部屋で過ごすのが理想です。
お風呂の順番
感染したお子さんは一番最後に入り、入浴後はすぐに換気をしましょう。
換気の徹底
ウイルスを外に逃がすため、お部屋の窓を開けてこまめに換気を行ってください。
看病する人
可能であれば、過去にかかったことがある(免疫がある)大人が看病を担当しましょう。
登園・登校の目安
水ぼうそうは、学校保健安全法で「出席停止」になる病気です。 基準は**「すべての発疹がかさぶた(痂皮)になるまで」**です。新しい水疱が出なくなり、全て乾燥して黒っぽいかさぶたになれば登園許可が出ます。
知っておくべき合併症とリスク
「軽い病気」と思われがちですが、注意が必要なケースもあります。
細菌の二次感染
かゆくて搔きむしってしまうと、傷口から「とびひ(伝染性膿痂疹)」などの細菌感染を起こし、皮膚トラブルが長引くことがあります。
重症化のリスク
免疫不全のあるお子さんや、ステロイド薬を長期内服しているお子さん、また**ワクチン未接種の成人(パパ・ママも注意!)**が感染すると、肺炎や脳炎などを合併し重症化することがあります。
アスピリンの使用禁止
水ぼうそうの時に解熱剤としてアスピリンを使用すると、「ライ症候群」という重篤な脳症を起こすリスクがあります。自己判断で大人用の薬を使わず、必ず小児科で処方された解熱剤(アセトアミノフェンなど)を使用してください。
免疫が弱い方・特別な事情がある方へ(重症化リスクと予防)
🚨 特に注意が必要な方(免疫抑制状態)
- 白血病や悪性腫瘍の治療中の方
- ステロイド薬や免疫抑制剤を長く飲んでいる方
- 生まれつき免疫の病気がある方
- 妊婦さん
これらの方が水ぼうそうにかかると、肺炎や脳炎などを起こし、命に関わることがあります。水痘にかかったことがない場合やワクチン接種をしていない場合には、以下のような対策方法があります。
ウイルスに接触してしまった場合の対策方法
すぐにワクチン接種(緊急接種):
免疫機能が正常で、これまでにかかったことがない方は、接触してから**「72時間(3日)以内」**に水痘ワクチンを接種することで、発症を防いだり、症状を軽くしたりできる確率が高まります。
抗ウイルス薬の予防投与:
免疫が弱く「生ワクチン」が打てない方の場合、医師の判断により、予防的に**抗ウイルス薬(アシクロビルなど)**を服用していただくことがあります。成人や妊婦の方は、かかりつけの内科や産婦人科にご相談ください。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
