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「アデノウイルス」と診断された。熱はいつまで続く?注意点と対応方法
「クリニックで、アデノウイルスと診断された。」
「アデノウイルスって、どんな病気?」
「熱は一体いつまで続くの?」
「お家ではどんなケアをすればいい?」
「どんな場合はまた病院に連れて行ったほうがいい?」
この記事では、子どもたちの間でよく見られる「アデノウイルス感染症」について、皆さんの疑問や不安に寄り添いながら、分かりやすく解説していきます。
もくじ
まず知っておきたい「アデノウイルス」の正体
アデノウイルスは、「風邪」を引き起こすことで有名なウイルスですが、単一のウイルスではありません。
50種類以上の「型」が存在し、その型によって引き起こされる症状が異なる、非常に多彩な顔を持つウイルスです。
「型」によって様々な症状を引き起こします。代表的な症状の組み合わせをいくつか見ていきましょう。
咽頭炎
いわゆる「のど風邪」タイプのアデノウイルスです。
38〜40℃程度の高熱と、強いのどの痛みが中心です。扁桃腺が真っ赤に腫れ、白い膿(白苔)が付着することもよくあります。咳や鼻水を伴うこともあります。
「咽頭結膜熱(プール熱)」とは異なり、結膜炎症状(目の充血、めやに)は見られません。高熱が4〜5日続くことがあり、一般的な風邪よりも熱が長引きやすいです。
のどの痛みのため、食事や水分を摂るのを嫌がることがあります。脱水を起こさないよう、こまめな水分補給が大事です。
法律で定められた出席停止期間はなく、熱が下がって普段の元気を取り戻せば、登園登校が可能です。
咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)
「プール熱」として最もよく知られているタイプです。以下の3つの症状(三主徴)が揃うのが特徴です。
【1】発熱: 39〜40℃の高熱が数日間続きます。
【2】咽頭炎: のどが真っ赤に腫れます。
【3】結膜炎: 目が真っ赤に充血し、涙やめやにが多く出ます。
症状は発熱からのど、目へと順番に出てくることもあれば、同時に現れることもあります。夏にプールの水を介して流行することが多いためこの名前がありますが、季節を問わず、プールに入らなくても感染します。
学校保健安全法で第二種感染症に定められており、「主な症状が消えてから2日間」は出席停止となります。登園・登校を再開する際は、園や学校の指示に従い、「登園許可証」などが必要になる場合があります。
流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)
「はやり目」とも呼ばれ、目の症状が非常に強く出るタイプです。
発熱はほとんどなく、目の充血、まぶたの腫れ、涙、大量のめやにが主な症状です。「目に砂が入ったようにゴロゴロする」といった強い異物感や痛みを訴えます。
非常に感染力が強く、タオルやドアノブなどを介してあっという間に家族内に広がります。片目から始まり、数日うちにもう片方の目にも症状が出ることが多いです。症状は長く、1-2週間続く場合もあります。
眼科での専門的な治療が必要になることが多いです。このタイプも学校保健安全法で定められた感染症で、「医師が感染の恐れがないと認めるまで」出席停止となります。自己判断で登園・登校させず、必ず医師の許可を得てください。
胃腸炎
お腹の症状がメインとなるタイプで、乳幼児に多く見られます。
嘔吐、下痢(水っぽい便)、腹痛が主な症状です。発熱を伴うこともあります。
症状がロタウイルスやノロウイルスによる感染性胃腸炎とよく似ています。下痢は1週間以上続くこともあります。
繰り返し吐いたり、下痢が続いたりすると脱水症状を起こしやすくなります。おしっこの量が減る、口の中が乾く、ぐったりして元気がないといったサインは脱水の危険信号です。水分が摂れない場合は、早めに医療機関を受診してください。
法律で定められた出席停止期間はなく、下痢が軽度となり、食欲と機嫌が普段どおりに戻れば登園可です。
出血性膀胱炎(しゅっけつせいぼうこうえん)
突然、血尿が出るので、驚かれる方も多いです。
主な症状としては、肉眼でもわかるほどの血尿(おしっこが赤や茶色になる)、排尿時の痛み、頻尿(おしっこの回数が増える)、残尿感などがみられます。
発熱は伴わないか、あっても微熱程度です。通常は数日〜1週間程度で自然に回復に向かいます。
「肉眼的血尿」は、他の病気との区別が必要です。必ず一度は小児科を受診しましょう。治療は、十分な水分を摂って尿でウイルスを洗い流すことが基本となります。
肺炎
アデノウイルスは、時に重い呼吸器感染症を引き起こすことがあります。
長引く高熱に加え、激しい咳、ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音(喘鳴)、呼吸が速くなる、息苦しそうにする、などの症状が見られます。入院が必要になることもあります。
熱が下がらず、咳がひどくて眠れない、肩で息をしている、顔色が悪い、といった様子が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
診断と検査について
お子さんの症状や周りの流行状況からアデノウイルス感染を疑った場合、迅速診断キットを用いて検査を行うことが一般的です。
綿棒で、のどの奥をこすって検体を採取し、10〜15分程度で結果が分かります。結膜炎を起こしている場合は、まぶたの裏をこすることもあります。
アデノウイルス感染症の治療について
残念ながら、インフルエンザのようにウイルスそのものをやっつける特効薬は現在のところありません。抗菌薬(抗生物質)も、アデノウイルスには効果がありません。
そのため、治療はつらい症状を和らげる**「対症療法」**が中心となります。
高熱に対しては、解熱剤(アセトアミノフェンなど)を使用し、一時的に熱を下げて体を楽にします。
のどの痛みや咳に対しては、症状を和らげるお薬(去痰薬、鎮咳薬)を使用します。
目の症状に対しては、 細菌の二次感染を防ぐために、抗生物質の点眼薬などを処方することがあります。
お家でできる!アデノウイルス感染時のホームケア
水分補給を最優先にしましょう。
高熱やのどの痛みで、食欲が落ちてしまうのは仕方がありません。無理に食べさせる必要はありませんが、脱水を防ぐための水分補給が大切です。麦茶、湯冷まし、子ども用のイオン飲料などを、少量ずつ、こまめに与えましょう。食事も「食べられるもの」から少しずつ摂っていきましょう。
家族への感染を防ぐために
アデノウイルスは非常に感染力が強いウイルスです。タオルの共有は絶対に避け、看病する方もこまめな手洗い・消毒を徹底してください。
医療上の免責事項 本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や状況に応じた医学的な診断・治療を代替するものではありません。お子さまの症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指示に従ってください。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医

初めまして。
当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。
私は小児科の中でも特にアレルギーと呼吸器を専門にしていますが、赤ちゃんの体重が増えない、おねしょが無くならない、ニキビが気になる、便秘気味など少しでも心配なことや不安に感じることがあれば、何でもご相談していただければと思います。
こどもたちがなるべく制限を受けることなく笑顔で日々を過ごし、自分らしく元気に成長できるよう、ご家族の不安を取り除けるよう、「優しさ」を持ったクリニックを目指して、地域の子育てに貢献できるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
