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元気そうでも下痢が長引く子どもに注意|家庭での対応と受診のポイント

食欲旺盛で元気に遊んでいるにも関わらず、なぜか子供の下痢が何日も続いていると悩んでいませんか。長引く下痢は、見過ごしてはいけない重要なサインが隠されている可能性があります。
この記事では、子どもの長引く下痢に潜む6つの主な原因や適切な家庭での対処法を詳しく解説します。医療機関を受診する目安も解説するので、クリニックに行くべきか悩んでいる方は参考にしてください。
もくじ
元気なのに下痢が続く子どもに多い原因5選

一見すると健康そうに見えても、子どもの長引く下痢には、さまざまな原因が隠れていることがあります。元気な子どもに比較的多く見られる下痢が続く原因として、以下の5つを解説します。
①ウイルス・細菌による感染性胃腸炎
②食べ過ぎや消化不良
③牛乳・乳製品で起こる乳糖不耐症
④特定の食品による食物アレルギー
⑤過敏性腸症候群
①ウイルス・細菌による感染性胃腸炎
子どもの長引く下痢の原因の一つがウイルスや細菌による感染性胃腸炎です。感染性胃腸炎は、以下のウイルスや細菌が腸に感染することで下痢を引き起こします。
- ロタウイルス
- ノロウイルス
- アデノウイルス
- サルモネラ菌
- カンピロバクター
多くの感染性胃腸炎では、最初は突然の嘔吐や発熱から始まります。激しい症状は1〜2日で治まりますが、安心してはいけません。症状が治った後も、腸の粘膜はダメージを受けた状態が続いています。
傷ついた腸壁では水分を十分に吸収できず、下痢の症状だけが1〜2週間以上も長引くことがあります。子ども本人は元気を取り戻したように見えても、お腹の中ではまだ病気の回復途中です。
保育園や幼稚園などの集団生活は、おもちゃの共有などを通じて感染が広がりやすい環境です。家庭で便の色や回数、においなどに異常がないかを注意深く観察してください。
②脂肪分・糖分の多い食事
子どもの消化器官はまだ成長の途中で、大人のように十分な消化・吸収機能が備わっていません。糖分や脂肪分の多い食品を摂りすぎると腸に負担がかかり、下痢の原因になることがあります。
注意が必要なのは、次のような食品です。
- ジュースやお菓子など甘いもの
- 揚げ物やスナック菓子など油っこいもの
- 冷たい飲み物やアイスクリーム
こうした食品はできるだけ与えすぎないように気をつけることが大切です。食事内容を少し見直すだけで落ち着くことが多いですが、それでも下痢が何度も続くと、お母さんとしてはとても心配になりますよね。
そんなときは一人で抱え込まず、早めに医師に相談してみると安心です。
③牛乳・乳製品で起こる乳糖不耐症
牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品を摂った後に、お腹がゴロゴロしたり、下痢をしたりする場合、乳糖不耐症の可能性があります。
乳糖不耐症は、乳製品に含まれる乳糖を分解する消化酵素が少ないか、働きが弱くて起こる症状です。分解されずに台帳に届いた乳糖が、腸内細菌により発酵されてガスや酸が発生し、腸を刺激して下痢を引き起こします。
特に注意したいのが、感染性胃腸炎後に一時的に起こる二次性乳糖不耐症です。二次性乳糖不耐症は、胃腸炎が治りかけの頃に牛乳や乳製品を摂取すると起こります。胃腸炎でダメージを受けた腸の粘膜では、消化酵素の働きが一時的に低下していることが発症の原因です。
二次性乳糖不耐症になると、下痢が長引くため、しばらく乳製品を控えることをおすすめします。
④特定の食品による食物アレルギー
特定の食べ物を食べた後に、いつも下痢を繰り返す場合は、食物アレルギーが隠れている可能性も考えなくてはなりません。食物アレルギーとは、体を守るはずの免疫システムが、特定の食品を異物と認識して過剰に攻撃してしまう反応です。
アレルギーの原因となりやすい代表的な食品には、以下のようなものがあります。
- 鶏卵
- 牛乳
- 小麦
- そば
- 落花生(ピーナッツ)
- 甲殻類(エビ・カニ)
食物アレルギーの症状は下痢だけにとどまりません。じんましんやかゆみといった皮膚症状や、咳やゼーゼーするなどの呼吸器症状を伴うことが多くあります。毎回同じ食品を食べた後、気になる症状が繰り返し現れる場合は、アレルギーを疑いましょう。
下痢だけだと、アレルギーとは気づかれにくいこともあります。気になる症状があれば、小児科やアレルギー科の医師に相談してください。
⑤過敏性腸症候群
さまざまな検査をしても腸に炎症などの異常が見つからないのに、腹痛や下痢を繰り返す場合、過敏性腸症候群が考えられます。過敏性腸症候群は、小学生くらいの子どもから見られる症状です。
私たちの脳と腸は、自律神経によって密接に連携しています。学校で緊張や友人関係の悩みなどの精神的なストレスを受けると、脳から腸に伝わり、腸の動きに影響を与えて下痢を引き起こします。
以下のように、特定の状況で症状が現れることが過敏性腸症候群の特徴です。
- 学校に行こうとするとお腹が痛くなって下痢をする
- テストや発表会など緊張するイベントの前になると症状が出る
- 休日やリラックスしているときには症状がない
まずは感染症などの他の身体的な病気がないことを確認することが重要です。子どもが何にストレスを感じているのか、生活環境に目を向け、気持ちに寄り添ってあげてください。
子どもの下痢が続くときの家庭での対処法

赤ちゃんの下痢が続くと、見ているお母さんも不安になりますよね。そんなときにご家庭で試せる工夫を4つご紹介します。
①消化に良い食事を摂る
②しっかりと水分補給を摂る
③感染対策をする
④ストレスを避ける
①消化に良い食事を摂る
消化に良い食事を摂ることは、子どもの下痢が続くときにできる対処法です。
下痢のときは、腸の消化吸収機能が低下しています。普段と同じ食事では、弱った腸にさらに負担をかけてしまい、かえって下痢を長引かせる原因になりかねません。
下痢のときの摂るべき食事と避けたほうが良い食品を、以下の表にまとめました。

特に、胃腸炎の回復期に与えがちな牛乳やヨーグルトは、二次性乳糖不耐症を引き起こし、下痢を悪化させることがあります。
②しっかりと水分を摂る
子どもの下痢が続く場合は、しっかりと水分補給を摂らせてください。
子どもの下痢で注意すべき合併症は脱水症です。
子どもの体は、成人と比べて体重に占める水分の割合が高いのが特徴です。下痢によって水分や塩分、ミネラルが失われやすいため、短時間で脱水状態に陥ることがあります。
失われた塩分やミネラルを補える飲み物としては、経口補水液(ORS)や野菜スープ、味噌汁の上澄みなどが適しています。もしORSを嫌がる場合は、湯冷ましや麦茶を飲ませても水分補給は可能です。
一方で、スポーツドリンクは糖分が多く塩分が少ないため、下痢のときの水分補給にはあまり向いていません。どうしても与える場合は、水で二倍程度に薄めてからにしましょう。
③感染対策をする
下痢の原因がウイルスや細菌による感染性胃腸炎の場合、便の中には病原体が含まれているため、感染対策が重要です。
家庭でできる感染対策のポイントは、以下のとおりです。
- おむつ交換後の徹底した手洗い
- 使用済みおむつのビニール袋での密閉
- アルコールや家庭用塩素系漂白剤での消毒
- タオルや食器の共用を避ける
- 塩素系漂白剤を使った衣類の洗濯
症状が治まった後も1〜2週間は便中にウイルスが排出され続けることもあり、対策をして家庭内での二次感染を防ぎましょう。
④ストレスを避ける
子どもの過敏性腸症候群では、心身のストレスが症状を悪化させることが少なくありません。そのため、まずは生活の中で過度なプレッシャーを減らし、安心できる環境を整えることが大切です。
学校生活や家庭での小さな不安が積み重なることで、おなかの不調につながることもあるため、周囲の大人が子どもの気持ちに耳を傾け、ストレスを和らげてあげることが症状の改善につながります。
こうした生活面での工夫に加えて、症状が強い場合には薬を使った治療が行われることもあります。
具体的には、腸の動きを調整する薬、便の硬さを整える薬、腸内環境を改善する薬など、症状に合わせて適切なものが処方されます。
生活の見直しと薬物療法を組み合わせることで、より安定した症状コントロールを目指すことができるでしょう。
子どもの下痢が続くときの受診の目安

子ども元気そうに遊んでいるのに下痢だけが続いていると、医療機関へ行くべきか判断に迷うのは当然です。消化不良が原因の場合と消化不良以外が原因の場合の受診の目安を解説します。
消化不良が原因の場合
下痢の原因が消化不良の場合、3日以上症状が続いたり、便の回数が減る気配がなかったりするときに医療機関へ受診してください。
食べ過ぎや消化不良による下痢では、子どもは普段と変わらず元気で、食欲も旺盛なことがほとんどです。下痢以外の症状がなければ、まずは家庭で丁寧なケアをしながら様子を見ることが基本です。
消化の良い食事と水分補給を心がけ、1〜2日ほど様子を見てみましょう。
ただし、長引く下痢は、脱水のリスクや感染性胃腸炎の長期化の可能性も考えられます。一度、かかりつけの小児科医に相談することがおすすめです。
受診する際は、下痢が始まった時期や1日の回数、便の状態、食事の内容などをメモしておくと診察がスムーズです。
消化不良以外が原因の場合
下痢だけでなく、もし次のような症状が一つでも見られたら、単なる消化不良ではない可能性があります。その場合は、早めに医療機関を受診してください。

上記のサインは、お子さんの体が発している重要なSOSです。判断に迷ったときは、お母さん一人で抱え込まずに、かかりつけ医や小児救急電話相談(#8000)に連絡して、専門家に相談してみましょう。
まとめ
元気なのに子どもの下痢が続く場合は、消化不良だけでなく、感染性胃腸炎や乳糖不耐症などが原因として考えられます。症状が現れたときは、慌てずにまずは子どもの様子をよく観察することが大切です。
下痢があっても、食欲があり機嫌も良ければ、消化の良い食事とこまめな水分補給を心がけ、回復をサポートしてあげましょう。
一方で、ぐったりしていたり、血便が出たりした場合は、様子を見ずにすみやかに医療機関を受診してください。判断に迷うときは、一人で抱え込まず、かかりつけの小児科医に気軽に相談することが重要です。
ベスタ子どもとアレルギーのクリニックでは、子どもの下痢の診療を受けつけています。子どもの下痢がなかなか治らない場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。

初めまして。
当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。
私は小児科の中でも特にアレルギーと呼吸器を専門にしていますが、赤ちゃんの体重が増えない、おねしょが無くならない、ニキビが気になる、便秘気味など少しでも心配なことや不安に感じることがあれば、何でもご相談していただければと思います。
こどもたちがなるべく制限を受けることなく笑顔で日々を過ごし、自分らしく元気に成長できるよう、ご家族の不安を取り除けるよう、「優しさ」を持ったクリニックを目指して、地域の子育てに貢献できるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
