トピックス
赤ちゃんの下痢は病気のサイン?よくある原因と受診の目安を解説
この記事を監修した医師

小児科専門医/院長
濵野 翔
治らない赤ちゃんの下痢、気がかりかと思います
水っぽいウンチが続くと、重い病気が隠れているのではないかと心配になるかもしれません。
外来でも、お腹の不調がいつ治るのかというご相談をよくお受けします。
実は、赤ちゃんの下痢は3〜4週間ほど続くことも珍しくありません。
症状が長引いていても、お子さんの全身状態に問題がなければ、お家で回復を待つことができます。
もくじ
様子を見ても大丈夫な「5つの条件」

以下の5つの条件をすべて満たしている場合は、あわてて受診する必要はありません。ご家庭で普段通りの生活を送りながら、便の状態が戻るのをお待ちいただけます。
- いつも通りに母乳やミルクを飲み、離乳食を食べられている
- おもちゃで遊ぶなど、機嫌がよく活気がある
- ウンチに赤い血が混ざっていない
- おむつが重くなるくらい、おしっこがしっかり出ている
- 体重が減っておらず、成長曲線の通りに大きくなっている
なぜ赤ちゃんの下痢は数週間も続くのでしょうか

赤ちゃんの胃腸はまだ未発達なため、さまざまな理由で下痢や軟便が起こります。代表的な原因や背景について解説します。
胃腸炎の後の「一時的な乳糖不耐症」
ウイルスなどの胃腸炎にかかると、腸の粘膜がダメージを受け、母乳やミルクに含まれる「乳糖」を分解する酵素の働きが一時的に落ちてしまうことがあります 。
お腹の中に消化しきれない糖が残り、ガスやゆるいウンチが続く原因になります 。
「無乳糖ミルク(ノンラクトミルク等)」へ変更することで、お腹の負担を和らげることができます。
*乳糖不耐症は一時的な酵素不足であり、アレルギーとは違います。
飲み物や食事の影響(幼児期の下痢)
1歳から5歳くらいのお子さんで、元気なのに下痢が続く場合は、飲み物や食事のバランスが関係しているかもしれません 。
特にフルーツジュースの飲み過ぎには注意が必要です。ジュースに含まれる糖分(ソルビトールやフルクトース)は、お腹をゆるくする原因になります 。
極端に脂肪分が少なく食物繊維が多すぎる食事も、食べたものが胃腸を早く通過してしまい、水っぽいウンチにつながることがあります 。
腸の免疫システムや細菌バランスの未熟さ
赤ちゃんの腸内細菌のバランスや、ウイルスから体を守る免疫の仕組みはまだ発達の途中です。
初めて出会うウイルスや新しい食べ物に対して過敏に反応し、下痢という形で外に出そうとする働きが強く出ることがあります。
トドラーの下痢
””下痢が長引くけど、何も問題ない1-3歳の子は沢山いる。””、ということは良く知られているので、このような良性下痢を通称して「トドラー下痢」と呼ばれることがあります。 → Toddler’s diarrhea
ご家庭で気をつけていただきたいケアのポイント

下痢が強いときはこまめな水分補給を。
下痢が頻回で量が多い時は、便と一緒に体の水分が失われやすく、ミルクなどをこまめに与えることが大切です。
食事はいつものバランスの良いものを
以前は、下痢の時にバナナ、ご飯、すりおろしりんご、トーストなどの消化の良いものだけを与える食事法(BRATダイエット)が推奨されていました が、これらの食事は栄養素やカロリーが不足しており、腸の回復を助けるには不十分だと考えられています。
嘔吐や腹痛などの症状が落ち着いてくれば、お子さんの年齢に合った普段通りの食事(フルーツ、野菜、肉、ヨーグルトなどを含むバランスの良い食事)を再開することが推奨されています。
痛がるおむつかぶれを防ぐケア
水っぽいウンチは肌への刺激が強いため、おむつかぶれを起こしやすくなります。
おむつ替えのたびに紙ふきでこすると痛むため、ぬるま湯で優しく洗い流すのがおすすめです。
そのあとは、こすらずにタオルでそっと押さえるように水分を吸い取ってあげてください。
おむつかぶれについて詳しく書いてある記事はこちらです。
おむつかぶれに亜鉛華軟膏はどう使う?効果と正しい塗り方を解説
下痢に対する治療方法

整腸剤(プロバイオティクス)はお腹の回復を助けます
急性下痢症の治療において、整腸剤(プロバイオティクス)を服用することで、下痢の期間が平均して1日強(約1.21日)短くなるというデータが示されています(Frontiers in Pediatrics:Probiotics for treating acute diarrhea in children )。
劇的な効果があるわけではありませんが、お腹の環境を整える手助けとして有効です 。
「無乳糖ミルク(ノンラクトミルク等)」
粉ミルクを飲んでいるお子さんで下痢が長引く場合は、一時的に乳糖を含まない「無乳糖ミルク(ノンラクトミルク等)」へ変更することで、お腹の負担を和らげることができます
下痢止めはお勧めできません
”下痢を早く止めてあげたい!”と思われるかもしれませんが、お腹の風邪による下痢は、入り込んだウイルスや細菌などの病原体を体の外へ洗い流そうとする、大切な防御反応です。
下痢止めのお薬を使って無理に腸の動きを止めてしまうと、かえって症状が悪化したりする可能性があります。
早めの受診を検討したい「気を付けるべき病気」

ウンチの状態や全身の症状によっては、単なるお腹の風邪ではなく別の病気が隠れていることがあります。 以下のような病気のサインがないか、お子さんの様子を確認してみてください。
細菌による胃腸炎
カンピロバクターやサルモネラなどの細菌に感染した場合、ウイルス性の胃腸炎よりも症状が重くなりやすいです。
以下の症状には注意が必要です。
- ウンチに血が混じる
- 高い熱が数日続く
- お腹を強く痛がる
食物アレルギーや消化管アレルギー
特定のミルクや離乳食の食材を口にした後、繰り返し嘔吐や下痢を起こす場合はアレルギーの可能性があります。
食べてから数時間以内にアレルギー症状がでるのが一般的です。
再現性がある(=同じ食材で同じ症状を繰り返す)場合は要注意です。
炎症性腸疾患やセリアック病
非常にまれですが、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患、あるいは小麦などのグルテンに対するアレルギー(セリアック病)が下痢の原因になることがあります。また、生まれつき乳糖を分解できない先天性の乳糖不耐症が隠れているケースもあります。
- 血便が続く
- 体重がまったく増えない
- 成長が遅れている
といった場合は、詳しい検査が必要です。
危険な「脱水サイン」が見られたら急いで受診を

先ほどの「5つの条件」から外れる症状や、以下の危険なサインが見られた場合は、早めの受診をご検討ください。
- 6時間以上おしっこが出ない、またはおむつが濡れない
- 泣いても涙が出ない、目がくぼんでいる
- 口の中や唇がカサカサに乾いている
- 頭のてっぺんの柔らかい部分(大泉門)がへこんでいる
- ぐったりして視線が合わない、ひどく不機嫌
- ウンチに血が混じっている
これらのサインは、脱水が進行しているか、細菌感染など別の原因が隠れている可能性があります 。
中村橋駅周辺で小児科をお探しの方へ

当クリニックは、中村橋駅から通いやすい場所にあります。
お子さんの長引く下痢が様子を見て良いものか迷われた際は、遠慮なくご相談にお越しください。
便の状態をスマートフォンなどで撮影してお持ちいただくと、診察がよりスムーズに行えます。
医療上の免責事項
本記事は一般的な医学的情報を提供するものであり、個別の患者様の診断・治療に代わるものではありません。お子様の症状にご不安がある場合や、普段と違う様子が見られる場合は、速やかに医療機関を受診してください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
