トピックス
『正しい赤ちゃんのスキンケア』について
この記事を監修した医師

小児科専門医/院長
濵野 翔
赤ちゃんの肌はつるつるでもちもちしている印象がある一方で、少しの刺激で赤くなったり、カサカサしたりと、お悩みの方も多いと思います。
毎日の診察でも、スキンケアをいつから始めればよいのか、洗い方や保湿の方法は今のままでよいのかといったご相談をよくいただきます。
赤ちゃんの健やかな肌を守るための、正しいスキンケアの基本をお伝えします。
もくじ
スキンケアを新生児期から始める理由

赤ちゃんの皮膚の厚さは大人の半分ほどしかなく、水分を保ち刺激から肌を守るバリア機能も未熟な状態です。生後2〜3ヶ月頃までは皮脂の分泌が盛んですが、それを過ぎると急激に乾燥しやすくなります。
肌が乾燥してバリア機能が低下すると、そこからダニや食べ物の成分といったアレルゲンが入り込みやすくなります。皮膚を通じたアレルゲンの侵入が、将来の食物アレルギーや気管支喘息などの発症につながる「アレルギーマーチ」に関係することが分かってきています。乾燥や肌荒れを防ぎ、皮膚を清潔に保つことは、赤ちゃんの肌トラブルを防ぐ基本です。生まれてすぐの時期から、日々のスキンケアを習慣にしていくことが推奨されます。
今日からできる、正しい「洗う」と「潤す」

赤ちゃんのスキンケアの基本は、①汚れを落とす「洗う」ことと、②水分と油分を補う「潤す」こと=保湿です。
洗い方のポイント
汗やよだれ、食べこぼしなどは肌への刺激になります。1日1回は石鹸やベビーソープを使って汚れを落としましょう。ガーゼなどでこすらず、たっぷりの泡を手に取り、手のひら全体を使って優しく洗います。首の周りや手足のくびれなどはシワを伸ばして、くるくる回しながら洗うのがコツです。すすぎ残しがないように、熱すぎない38度前後のシャワーなどで丁寧に洗い流します。
保湿のポイント
お風呂上がりは水分がどんどん蒸発していくため、体を優しく拭いた後、5分から10分以内を目安にすばやく保湿剤を塗ります。 保湿剤の量の目安としては、大人の人差し指の先端から第一関節まで押し出した量(約0.5グラム=1FTU)で、大人の手のひら2枚分の面積に塗ることができます。
顔など塗る場所には保湿薬を点在させ、やさしく円を描くように伸ばしていきましょう。小鼻のわき、耳のうしろなども忘れずに。
保湿薬を全身に塗る場合の量
では、これを「全身」にたっぷり塗った場合、どれくらいの量になるでしょうか? 実は、1〜2歳の赤ちゃんの全身に1日2回保湿剤を塗ると、1週間で「50g入りのチューブが約2本」も必要になります。生後3〜6ヶ月の赤ちゃんであっても、1週間で50gチューブ1本強が必要です。
「えっ、そんなに使うの!?」と驚かれるお父さん・お母さんも多いのですが、少量をゴシゴシとすり込むように塗ると、摩擦が起きてかえって肌を傷つけてしまいます。ティッシュが貼り付くくらい、または肌がテカテカと光るくらい、たっぷりと乗せるように全身へ塗るのが、バリア機能を守る最大のコツです。処方された保湿剤が想定より早くなくなっても、それは「正しくたっぷり塗れている証拠」ですので安心してくださいね。
乳児湿疹が出たときの対応と受診の目安

スキンケアをしていても、赤ちゃんの顔や体にポツポツとした湿疹が出ることがあります。お風呂上がりに少し赤くなる程度で、本人が痒がらず元気であれば、まずは清潔と保湿を徹底して様子を見てもよい状態です。
一方で、
- 湿疹から汁が出てジュクジュクしている
- 黄色い厚いかさぶたができている
- かゆみが強くて夜眠れていない
- 急激に赤みが全身に広がっている
- ザラザラとした肌が全身性にみられる
このようないった症状が見られる場合は、早めに小児科や皮膚科を受診する目安となります。医療機関で状態に応じたお薬による治療を行うことで、赤ちゃんが快適に過ごせるようになります。
当院のプロアクティブ治療について

当院では、皮膚の炎症に伴うアレルギー疾患の合併リスク(アレルギーマーチ)を考慮し、湿疹を根本から抑え込み再発を防ぐ「プロアクティブ治療」を積極的に行っています。
湿疹が全身性で炎症が強い場合、当院では以下のように段階的にお薬を減らしていく(漸減する)ステップをとっています。
- 連日塗布: まずは全身に1日2回、ステロイドを連日塗布し、しっかり炎症を消します(1週間後に再診)。
- 隔日塗布: 症状が落ち着いてきたら、全身に1日2回、ステロイドを隔日(1日おき)塗布にします(2週間後に再診)。
- 週2日塗布: 見た目が綺麗になっても、隠れた炎症を抑えるため、全身に1日2回、週のうち2日(月・木など)だけステロイドを塗布します(4週間後に再診)。
ステロイドを塗らない日(休薬日)は、「ヒルドイド」などの保湿剤を1日2回全身にしっかりと塗ります。
もし「週2回のステロイド塗布」の段階でコントロールが不良な場合は、ステロイド特有の副作用がない新しい非ステロイド外用薬(モイゼルト軟膏やコレクチム軟膏)も併用し、安全で綺麗な肌を維持できるようサポートしています。
重ね塗りの順番(お薬と保湿剤、どちらが先?)

ステロイドやモイゼルトなどのお薬と保湿剤を一緒に使うときは、・・「①全身に保湿剤 → ②湿疹部分にお薬」・・の順番が基本です。
もし先にお薬を塗った上から保湿剤を全身へ広げてしまうと、お薬の成分が必要のない健康な肌にまで広がり、副作用の原因になることがあります。 まずはたっぷりの保湿剤で全身のバリア機能を整え、その後、赤みやブツブツがある部分にだけお薬を優しく重ね塗りしてあげましょう。
お出かけ前に日焼け止めや虫よけを使う場合は、保湿剤 → お薬 → 日焼け止め→虫よけの順に重ねます。
ただし、ジュクジュクした湿疹を亜鉛華軟膏やワセリンで「保護したい」場合は、お薬→保護剤の順番でフタをします。主治医の指示に従いましょう。
赤ちゃんのスキンケアに関するよくある質問

Q1. スキンケアはいつまで続ければいいですか?
A1. 特にいつまでという決まりはなく、大きくなってからも続けることが望ましいです。皮膚のバリア機能が育ってくる2-3歳頃までは、毎日の習慣として継続することをおすすめします。
Q2. 保湿剤は1日何回塗ればいいですか?
A2. 1日2回、朝とお風呂上がりに塗るのが基本です。乾燥が気になるときや、口の周りを拭いた後、おむつ替えのタイミングなどで、こまめに塗り直すことも効果的です。
Q3. お風呂で毎日石鹸を使ってもいいですか?
A3. 1日1回は石鹸やベビーソープを使って皮脂や汚れを落とすことが基本となります。ただし、極端に肌が乾燥している場合などは、洗い方についてかかりつけの医師にご相談いただくのが安心です。
Q4. 赤ちゃんの日焼け止めはいつから使えますか?
A4. 生後6ヶ月以降からの使用が一つの目安とされています。低刺激のベビー用日焼け止めを選び、お散歩など紫外線を浴びる環境では必要に応じて使用します。
Q5. 湿疹に市販の薬を塗ってもいいですか?
A5. 赤ちゃんの肌はデリケートで、湿疹の原因も様々です。症状が改善しない場合は早めに医師の診察を受けることが推奨されます。
おわりに

赤ちゃんの肌トラブルや日々のスキンケアは、ご家族にとって大きな不安や悩みの種になるかと思います。しかし、早い段階から正しいスキンケアを習慣づけ、必要に応じて適切な治療を組み合わせることで、お子様の健やかな肌を守ることができます。スキンケアの方法やお薬の塗り方、減らし方など、少しでも迷うことや心配なことがありましたら、いつでも当院へお気軽にご相談ください。
【免責事項】 本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。お子様の症状が強い、長引く、または急に広がるなどの場合は、自己判断せずに必ず医療機関をご受診ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
