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子どものダニアレルギーの症状と原因|治療法と予防策【ベスタの小児科医が解説】

お子さんのかゆそうな湿疹や、朝方のくしゃみ・鼻水、「もしかして、ダニアレルギー?」と心配になる保護者の方は少なくありません。症状は風邪やあせもと似ているため見分けがつきにくく、気づかないうちに悪化させてしまうケースもあります。
実は、ダニアレルギーの放置は、将来の気管支喘息の発症リスクを高める「アレルギーマーチ」につながる可能性が指摘されています。(※1)しかし、正しい知識を持ち、適切な対策を行うことで、お子さんのつらい症状は和らげることができるでしょう。
この記事では、医師の視点から症状を見分けるポイントや専門的な治療法、家庭で今日からできるダニ対策まで詳しく解説します。
もくじ
ダニアレルギーとは?原因や症状を解説

ダニアレルギーとは、ダニの死骸やフンに含まれるたんぱく質が原因で起こるアレルギー反応です。主にハウスダストに含まれ、鼻水・くしゃみ・咳・喘息・目のかゆみなどの症状が現れます。
主な症状
ダニアレルギーでは、主に以下のような症状が現れます。
- くしゃみ・鼻水・鼻づまり
- 目のかゆみ・充血・涙目
- 咳・息苦しさ
- 皮膚のかゆみや湿疹
これらの症状は、特に朝方に出る傾向にあります。夜間に布団や床に落ちたダニの死骸やフンを、起床後に吸い込んでしまうことが原因の一つと考えられています。
原因となるダニ
ダニアレルギーの原因となるのは、主に「ヒョウヒダニ」と呼ばれる種類のダニです。特によく知られているのが「コナヒョウヒダニ」と「ヤケヒョウヒダニ」で、どちらも人のフケや垢などをエサにして繁殖します。
これらのダニ自体が直接害を及ぼすわけではありませんが、その死骸やフンに含まれるたんぱく質が、アレルギーの原因(アレルゲン)です。室内の高温多湿な環境を好み、布団・カーペット・ぬいぐるみなどに多く生息しています。
食べ物が原因となることも
ダニアレルギーは基本的に吸い込みによって起こりますが、ごくまれに粉類に混入したダニを食べてアレルギー反応を起こすことがあります。パンケーキ症候群またはお好み焼き症候群とも呼ばれています。
保存状態が悪いと発症するリスクがあるので、「密閉保存する」「冷暗所で保存する」などを意識しましょう。
子どもはダニアレルギーが多い?
ダニアレルギーは、特に小さなお子さんによく見られるアレルギー疾患の一つです。
乳児期のダニアレルゲン(アレルギーの原因物質)への曝露が、アレルギー感作や喘息の発症リスクを高めることがわかっており、早い段階での対策が必要となります。(※2)
ダニアレルギーの検査と診断方法

ダニアレルギーの検査と診断は、主に血液検査と皮膚テスト(プリックテスト)により行われます。それぞれの検査方法の違いは、以下の表の通りです。

ダニアレルギーの治療方法
ダニアレルギーの治療法は、「①薬物療法」と「②アレルゲン免疫療法」の2軸です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①薬物療法
ダニアレルギーの治療では、まず「かゆみの悪循環」を断ち切ることが重要です。「かゆい→掻く→皮膚が傷つく→アレルゲンが侵入→炎症が悪化」という流れを薬で抑えることで、症状の悪化を防ぎます。
使用される薬について、以下の表にまとめています。

薬は対症療法ではありますが、正しく使えばお子さんの生活の質を大きく改善できます。不安な点があれば、医師や薬剤師に相談しましょう。
②アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法とは少量ずつアレルゲンを投与することで、過剰な反応が起こらないようにする治療法です。大きく分けて、アレルゲンを含んだエキスを注射による「皮下免疫療法」と、アレルゲンを含んだ薬剤を舌下に投与する「舌下免疫療法」があります。
治療は3〜5年と長期にわたりますが、80〜90%の治療効果があり、終了後も鼻炎症状の軽減や薬の減量が期待できます。(※3)早期に治療を始めることで、アトピーから喘息・鼻炎へと進行する「アレルギーマーチ」を防ぐ効果も期待できます。
家庭でできるダニアレルギー対策5つのポイント

お子さんのアレルギー体質を根本的に改善していくうえでは、生活環境からアレルゲンを減らすことが大切です。家庭でできるダニ対策として、以下の5つに取り組んでみましょう。
①布団・カーペットの掃除機がけをする
②防ダニシーツや乾燥機を活用する
③布団乾燥機を使用する
④湿度を下げるために換気と除湿を行う
⑤ペットと生活する場合の対策をする
①布団・カーペットの掃除機がけをする
ダニアレルギー対策で最も重要な場所は、毎日長時間過ごす「寝具」と「床」です。人のフケやアカ、食べこぼしはダニの格好のエサとなり、布団やカーペットの繊維の奥で大量に繁殖します。
特に生きているダニは、繊維にしがみつく力が強いため、単純な掃除機がけだけでは不十分です。
以下のポイントを参考にしてみてください。(※4)
- 乾燥機やスチームアイロンの熱処理後に掃除機をかける
- 週に1〜2回、1㎡あたり20秒以上かけてゆっくり往復がけする
- 布団専用ノズルやきれいなヘッドを使い、枕・敷布団・掛け布団すべてに対応する
②防ダニシーツを活用する
掃除だけでは取りきれないダニやアレルゲンを減らすには、防ダニ寝具カバーや布団乾燥機を併用しましょう。どちらも日常の負担を減らしつつ、アレルゲンに触れる機会を減らす対策になります。
防ダニシーツ・カバーの種類は以下を参考にしてみてください。

③布団乾燥機を使用する
布団乾燥機を選ぶ際は、「ダニ対策コース」や60℃以上の温風が出る機種かどうかを確認しましょう。なかでも、マット付きタイプは熱が布団全体に均一に届きやすいです。
使用後は、乾燥機の熱で死滅したダニの死骸やフンを掃除機でしっかり吸い取ることが必須です。これを忘れると、アレルギーの原因物質が寝具に残ったままとなり、十分な対策とはいえません。
④湿度を下げるために換気・除湿を行う
ダニは、温度25℃前後、湿度60%以上のジメジメした環境を好んで繁殖します。そのため、室内の湿度を年間を通して50%以下に保つことが、ダニ対策として効果が期待できます。
湿度を下げるためには、定期的に換気する他、除湿機をかけたりエアコンのドライ機能を活用したりするのが効果的です。日常的に取り入れることで、ダニが好む環境を減らし、根本的なアレルゲン対策につながります。
⑤ペットと生活する場合の対策をする
ペットがいる家庭でも、正しい対策を行えばダニアレルギーのリスクを抑えながら、快適な暮らしを維持できます。ペットと暮らす際のダニ対策は以下の4つです。
- ペットを清潔に保つ
- 掃除と布製品の管理を徹底する
- 生活空間を分ける
- 空気清浄機を活用する
ペットの毛やフケは、ダニのエサにもなるため、定期的なシャンプーやブラッシングが欠かせません。ソファやカーペット、ペット用ベッドなどは特に念入りに掃除をし、洗えるものはこまめに洗濯・乾燥を行いましょう。
まとめ
ダニアレルギーのケアは、症状を抑える「お薬での治療」と、原因を減らす「家庭の環境整備」が大切です。適切な治療は、アレルギーマーチの進行を防ぎ、将来的な喘息やアトピー性皮膚炎のリスクを減らすことにもつながります。
掃除や換気、寝具の工夫など、できることから少しずつ試してみてください。そして何より、保護者の方が一人で抱え込まず、「もしかして?」と感じたら、まずは小児科へ相談しましょう。不安を感じた場合は、ぜひベスタ子どもとアレルギーのクリニックにご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
参考文献
- J Christian Virchow, Vibeke Backer, Piotr Kuna, Luis Prieto, Hendrik Nolte, Hanne Hedegaard Villesen, Christian Ljørring, Bente Riis, Frederic de Blay. Efficacy of a House Dust Mite Sublingual Allergen Immunotherapy Tablet in Adults With Allergic Asthma: A Randomized Clinical Trial. JAMA, 2016, 315(16), p.1715-1725.
- A Mahmic, E R Tovey, C A Molloy, L Young. House dust mite allergen exposure in infancy. Clinical and Experimental Allergy, 1998, 28(12), p.1487-1492.
- 日本アレルギー学会.「アレルゲン免疫療法の手引き」. PDF 17p
- 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024」https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/ADGL2024.pdf,PDF 73p
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
