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こどもの病気コラム救急対応
子どもの誤飲・窒息|受診の目安と応急処置
この記事を監修した医師

アレルギー専門医 / 小児科専門医 / 院長
濵野 翔
子供は生後5か月から6か月を過ぎると、寝返り、ずりばいなどで探検できる範囲がどんどん広がっていきます。様々なものを手でつかみ、興味を持ったものを何でも口に入れるようになります。 ちょっと目を離したすきに、思わぬものを飲み込んでしまうことは珍しくありません。 そんなとき、保護者の方が慌てずに対応できるよう、具体的な対処法をお伝えします。
もくじ
子供の誤飲でとくに多い原因とは

医薬品・医薬部外品
平成27年の厚生労働省の発表では、医薬品・医薬部外品がタバコを抜いて報告件数の1位となりました。こどもの手の届くところに置きっぱなしにしてしまうケースが多く発生しています。
たばこ
長年、乳幼児の中毒事故や誤食事故で最も多い原因とされてきたのがたばこです。ジュースの空き缶を灰皿代わりにしていると、子供が誤って飲んでしまう危険性が高まります。
洗剤類や化粧品などの化学物質
たばこに次いで多い原因として、洗剤類が挙げられています。洗濯洗剤、トイレ用洗剤、漂白剤、シャンプー、化粧水など、家庭内にある様々な化学物質が誤飲の対象となります。
おもちゃや小さな日用品
シールやビー玉、水で膨らむ樹脂製のおもちゃ、強力なネオジム磁石、ボタン電池などの誤飲が多く報告されています。とくにボタン電池や複数の磁石は、お腹の中で重篤な損傷を引き起こすため大変危険です。
食べ物(誤嚥・窒息の原因として)
胃に入る「誤飲」とは少し異なりますが、気管に入ってしまう「誤嚥」や「窒息」の原因として、枝豆、ピーナッツ、ミニトマトやブドウなどの食品が多く報告されています。これらは5歳以下の子供にはとくに注意が必要です。
すぐに救急要請や受診が必要なもの

飲み込んだものによっては、命に関わるため一刻も早い処置が必要になります。 何をどれくらい飲み込んだのかを確認し、口の中に残っていれば指でかき出します。 受診の際は、飲み込んだものと同じものやパッケージを持参するとスムーズです。
ボタン電池や複数の磁石の誤飲
ボタン電池は、消化管の中で放電し、アルカリ性の液体を作って粘膜を溶かします。 また、強力なネオジム磁石などを複数飲み込むと、腸壁を挟んでくっつき、腸に穴が空くことがあります。
このような事例は、日本小児科学会のInjuryAlertでも報告されています。
洗剤や漂白剤などの化学物質
トイレ用洗剤などの強酸性や、漂白剤などの強アルカリ性の液体も危険です。 無理に吐かせると、逆流した液体で食道や気管の粘膜を再び傷つけてしまいます。 何も飲ませず、吐かせない状態で、速やかに救急外来に向かってください。
のどに詰まりやすい食べ物による窒息
硬い豆類(枝豆など)やナッツ類(ピーナッツなど)は、かみ砕く力が不十分な5歳以下の子供には与えないことが推奨されます。
ミニトマトやブドウも、4等分に切るなどして喉に詰まらない工夫が求められます。
気管に入り込むと肺炎や気管支炎になるリスクがあります。
異物や食べ物でむせ込んだ後も、咳が続いている場合は受診することが重要です。
たばこを2cm以上、もしくはたばこが浸かった水を飲み込んだ
たばこを2cm未満食べただけで、症状がなければ4時間は自宅で様子を見ても問題ありません。しかし、水に浸かったたばこや灰皿の水を飲んだ場合はニコチンが溶け出しています。 吐き気などの症状がなくても、すぐに医療機関を受診することが大切です。 水や牛乳を飲ませるとニコチンの吸収を早めるため、水分は与えないでください。
受診した際のレントゲン検査、CT検査について
誤飲で受診した場合、飲み込んだものの位置を確認するためにレントゲン検査が行われることがあります。 磁石や硬貨などの金属類は、レントゲンに白くはっきりと写りますが、プラスチックやビニール、紙などはレントゲンには写りにくいため、画像だけで全てを確認できるわけではありません。 気道にある異物はCT撮影で確認しやすいのですが、消化管内の異物を見つけるのは難しいこともあります。CT検査は被爆リスクもあるため、慎重に判断する必要があります。
休日や夜間に誤飲事故が起きた場合、どこに相談すればよいか?

緊急時に頼りになる窓口を4つご紹介します。
- 「#8000」:様子を見るか受診するか迷った時の、小児救急電話相談窓口です。
- 「#7119」:呼吸が苦しそうなど、今すぐ救急車を呼ぶべきか迷った時に専門家が緊急度を判定してくれます。救急安心センター事業(♯7119)
- 「03-5272-0303(ひまわり)」:東京都内で今すぐ受診できる医療機関を探す案内サービスです。医療機関案内サービス「ひまわり」
- 中毒110番・電話サービス:日本中毒センターが、化学物質(たばこ、家庭用品など)、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性中毒について、実際に事故が発生している場合に限定し情報提供しているサービスです。
子どもの窒息時の応急処置

万が一、のどに異物が詰まって呼吸ができなくなった(=窒息してしまった場合)、急に顔色が悪くなり、よだれを垂らして、苦しそうな顔をして声が出せなくなります。
無意識に両手や片手で自分の首(のどのあたり)を掴むしぐさのことをチョークサインといい、これは窒息して息ができないことを周囲に知らせる世界共通のサインとして知られています。
処置の方法など、以下の動画で詳細に紹介しています。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
日本小児科学会;食品による窒息 子どもを守るためにできること
まず最初にやること
- 大声で助けを呼び、すぐに「119番」に通報してください。
- 口の中に異物が見える場合のみ指でかき出します。見えない場合は奥に押し込む危険があるため絶対に指を入れないでください。
1歳未満(乳児)の処置
以下の2つを、異物が取れるまで数回ずつ交互に繰り返します。
- 背部叩打法(はいぶこうだほう) うつぶせにして片腕に乗せ、下あごを支えて頭を低くします。もう片方の手のひらの付け根で、背中の真ん中を数回強く叩きます。
- 胸部突き上げ法 あお向けにして後頭部を支え、左右の乳首を結んだ線の少し下を、指2本で力強く連続して押します。
1歳以上(幼児)の処置
まず「背部叩打法」を行い、取れなければ「腹部突き上げ法」を行います。
- 背部叩打法 後ろから片手を脇の下に入れ、胸と下あごを支えます。もう片方の手のひらの付け根で、背中の真ん中を強く叩きます。
- 腹部突き上げ法(ハイムリック法) 後ろから両腕を回し、みぞおちの下で片手を握り拳にします。もう片方の手でその拳を握り、お腹を上に向かって強く突き上げます。
■注意点
- 異物が取れるか、救急隊が到着して交代するまで処置を続けてください。
- もし意識がなくなった場合は、すぐに心肺蘇生法(胸骨圧迫・人工呼吸)を開始してください。
経過観察で問題ないケースと注意すべき症状

紙やビニールの切れ端、クレヨン、少量の石鹸などを口にした場合、大きな問題にはならず自宅で様子を見ることがほとんどです。
経過観察をする際は、何をどれくらいの量飲み込んだのかを必ず確認してください。受診の必要が出たときに備え、同じものや成分の書かれたパッケージを手元に残しておくことが重要です。
経過観察中に注意すべき症状とやるべきこと
様子を見ている間に、急に激しくせき込み始めたり、息苦しそうにしたりする場合は注意が必要です。また、激しい嘔吐や腹痛がある、顔色が悪い、ぐったりしているといった症状が見られたら、すぐに受診してください。
硬貨などの小さな異物は数日でうんちと一緒に排泄されます。飲み込んでも症状がない場合は、うんちのたびに、排泄内容をチェックしていきましょう。
誤飲を防ぐためのお部屋づくりの工夫

子供の成長は早く、昨日まで手が届かなかった場所に今日は手が届くこともあります。
子供の目線までしゃがんでみて、危険なものが置かれていないか確認することが重要です。
トイレットペーパーの芯を基準にする
乳幼児の口の大きさは最大で約39mmあり、トイレットペーパーの芯とほぼ同じサイズです。
この芯を通る大きさのものは飲み込めるため、床から1m以上の高さに保管してください。 医薬品や洗剤などは、鍵のかかる引き出しにしまうなどの対策が効果的です。
詳細情報が載っているお役立ちサイト
ご家庭での事故防止についてさらに詳しく知りたい方は、公的機関の情報サイトも役立ちます。
こども家庭庁:こどもを事故から守る!事故防止ポータル では様々な予防策が学べます。
東京都こどもセーフティプロジェクト:子供の事故情報データベースなどでも、具体的なヒヤリハット事例を確認できます。
よくある質問 (FAQ)

Q. 子供がボタン電池を飲み込んだかもしれないとき、どうすればよいですか?
A. ボタン電池の誤飲は、短時間で胃や腸の粘膜に重篤な損傷を引き起こす恐れがあります。無理に吐かせたり水を与えたりせず、速やかに救急外来を受診してください。
Q. プラスチックのおもちゃの破片を飲み込んでしまったようです。
A. 少量であれば、自宅で様子を見ても問題ないケースがほとんどです。ただし、急にせき込んだり、嘔吐を繰り返すなど、様子がおかしい場合は受診してください。
Q. どのような食べ物が子供の窒息の原因になりやすいですか?
A. ピーナッツなどの硬い豆類やナッツ類は、5歳以下の子供には与えないことが推奨されます。また、ミニトマトやブドウなどの丸くてつるっとした食品も、4等分に切る工夫が必要です。
Q. 誤飲を防ぐために家庭でできる一番の対策は何ですか?
A. トイレットペーパーの芯を通る大きさのものは、子供の口に入ってしまうサイズです。口に入りそうな小さなものや危険な薬品は、子供の手が届かない高さや鍵のかかる場所に収納しましょう。
練馬区にある当院でのご相談について

子供が何を飲み込んだかわからない場合や、受診の目安に迷うことは多くあります。 練馬区中村橋のベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、保護者の皆様の不安に寄り添い、365日年末年始も対応します。 子供の誤飲やケガにお困りの際は、当院までお気軽にご相談ください。
医療上の免責事項
本記事は一般的な医学的情報を提供するものであり、個別の症状に対する診断や治療を代替するものではありません。実際の症状や治療については、かかりつけの医師にご相談ください。
この記事を監修した医師
アレルギー専門医 / 小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
