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台風の時に小児の喘息がひどくなる?低気圧と発作の関係をわかりやすく解説

「台風が近づくと子どもが咳き込みやすい」「雨の日になると息苦しそうにしている」、そんな様子に気づいたことはありませんか? 実はそれは気のせいではなく、台風に伴う急な気圧の変化が喘息発作のきっかけになることがあります。
同じように症状が強まる子どもは少なくなく、多くの親御さんが悩んでいるのです。
原因は単なる気圧の変化だけではなく、湿度の急上昇によるカビやダニの増殖、さらには花粉が破裂して起こる「雷雨喘息」なども原因となり得ます。
この記事では、台風の時に喘息が悪化すると考えられている複数の要因やその予防・対策方法を解説します。
もくじ
台風が喘息に悪化すると考えられる要因

台風の接近は、単に天気が悪くなるだけではありません。
気圧、湿度、空気中の浮遊物質など、複数の環境要因が大きく変化します。これらの変化が重なることにより、喘息を持つ子どもたちの敏感な気道に影響を与え、症状の悪化に関与している可能性があると考えられています。
気圧の低下による気道への影響
台風の接近に伴い、まず気圧が低下します。私たちの体は常に大気からの圧力にさらされており、体内と体外の圧力バランスを保っています。しかし、台風によってこの圧力が急激に下がると、体にさまざまな変化が生じます。
台風などで気圧が下がると、体を調整する自律神経が乱れやすくなります。その結果、気管支が収縮して空気の通り道が狭くなり、咳や息苦しさが出やすくなります。
さらに、気圧の低下で血管が広がると、もともと炎症で敏感な子どもの気道がむくみ、わずかな変化でも呼吸がしにくくなることがあると指摘されています。こうした要因が、台風時に小児の喘息が悪化する一因と考えられています。
湿度上昇とカビ・ダニの増加
台風は強い雨を伴い、周辺の湿度を急激に上昇させます。ジメジメした高湿度の環境は、喘息の主なアレルゲン(アレルギーの原因物質)であるカビやダニにとって、繁殖しやすい条件です。
西欧12か国の研究では、室内の湿度が10%上がると小児の喘息症状が2.7%増えると報告されています。湿度の上昇は、気道への影響に加え、アレルゲンの増加を通じて喘息を悪化させる可能性があります。
カビは高湿度の室内で繁殖し、目に見えない胞子を放出します。ダニも布団やカーペットなどで増え、その死骸やフンが強いアレルゲンとなって空気中を漂います。
これらを吸い込むことで、気道の炎症や発作が起こりやすくなる可能性があります。
台風の時期は、こうした環境変化が重なりやすいため、室内環境を整えることが症状の悪化を防ぐ鍵となります。
台風前後に舞う花粉や粉じん
台風の強風により、地表にさまざまなアレルゲンが舞い上がります。普段は気にならない物質も、風によって強制的に拡散され、私たちの気道を刺激します。
台風の強風は花粉やカビの胞子、ハウスダストを巻き上げ、空気中のアレルゲン濃度を一気に高めます。その空気を吸い込むことで、気道のアレルギー反応が強まり、発作を起こしやすくなります。
さらに「雷雨喘息」と呼ばれる現象にも注意が必要です。激しい雷雨では花粉が壊れて微細な粒子となり、気管支まで入り込みやすくなるとされています。そのため、普段は症状が軽い人でも重い発作を起こす危険性もあります。
台風の際は窓を閉めていても、こうした微細な粒子は隙間から室内に侵入することがあります。風が強い日は、不要な外出を避けるとともに、室内でも換気や空気清浄機の活用が大切です。
台風前に備える喘息と体調不良の対策

台風の時期に喘息の発作が起きたり、体調を崩したりする前に、あらかじめ予防して備えることが大切です。これからご紹介する3つの対策を参考に、台風シーズンを乗り切りましょう。
事前に吸入薬・内服薬を確認しておく
喘息を患っているお子さんやそのご家庭にとって、薬の管理は日常的に重要です。特に台風のような自然災害時には、大雨や強風で外出が困難な場合や、医療機関が休診になる可能性もあります。いざという時に「薬が足りない」という事態は絶対に避けなければなりません。
普段から服用する長期管理薬(コントローラー)と、喘息発作が起きたときに使用する発作治療薬(リリーバー)を確認しておきましょう。
窓の開閉と室内環境の整え方
強風によって、普段は気にならないカビの胞子や花粉、粉じんなどが飛散します。
台風時は、気圧の変化に加え、こうしたアレルゲンも発作の引き金になることがあります。
外からの刺激を減らし、室内の空気をきれいに保つ工夫が症状の悪化を防ぎます。
台風が近づいている時は、窓は基本的に閉めて過ごし、アレルゲンを室内に取り込まないことが重要です。室内の環境を快適に保つため、以下の3つのポイントを意識してみてください。
- こまめな掃除
- 空気清浄機の活用
- 適切な湿度管理
気圧の変化で敏感になっている気道を、アレルゲンでさらに刺激しないようにしましょう。室内環境を整えておくことが、発作の予防に直接つながります。
気象情報をチェックして早めに対応
天気や気圧の変化を把握しておくことで、喘息の症状が出やすいタイミングに備えることができます。
台風の進路や接近時間は、テレビやインターネットの天気予報で確認しておきましょう。スマートフォンのアプリには、数日先の気圧変化をグラフで示してくれるものもあり便利です。
喘息の症状は、気圧が急に下がり始める「台風の接近前」に出やすいとされています。グラフで大きく下降するタイミングは特に注意が必要です。
この他に、うがい・手洗いの徹底や花粉の付着を防ぐため、外出後はすぐに着替えることなども、症状を悪化させないために重要です。
台風の時期に子どもの体調管理で親が気をつけるべきこと

台風が近づくと、体調を崩しやすくなるお子さんが多く、喘息を持っている場合は症状の悪化につながることもあります。台風の時期は気圧や湿度の変化が激しく、子どもの体は環境の影響を受けやすい傾向があります。
子どもの気道は大人より細く、少しの炎症や収縮でも呼吸に影響が出やすいため、体調の変化が喘息の悪化につながることがあります。
また、体温や呼吸を調整する自律神経もまだ発達段階にあります。そのため、急な気圧の変化にうまく対応できず、体調を崩しやすいとされています。
ここでは、親が気をつけておきたいポイントを詳しく解説します。
学校・外出時の注意点
台風の接近が予測される日は、学校生活や外出時は普段以上に気を遣いましょう。気圧が大きく下がる時間帯や風雨が強い日は、発作のリスクが高まります。お子さんが安心して過ごせるよう、事前に以下の対策を講じておきましょう。

夜間の発作に備えた準備
喘息の発作は、夜間から明け方にかけての時間帯に起こりやすい傾向があります。
これは、体をリラックスさせる副交感神経が優位になり、気管支が収縮しやすくなるためです。夜間は医療機関の受診も難しくなるため、万が一に備えて準備を万全にしておきましょう。
まず、安心して眠れる寝室の環境づくりが基本です。寝具はこまめに洗い、清潔に保ちましょう。エアコンの除湿機能や除湿機を活用し、湿度を50%〜60%に保つことも大切です。
次に、発作が起きた時に慌てず対応できるよう、必要なものを一か所にまとめておきましょう。
【夜間発作への備えチェックリスト】
- すぐに使える場所に置くもの
- 発作治療薬(リリーバー)と吸入補助具(スペーサー)
- 吸入器(ネブライザー)※医師から処方されている場合
- お薬手帳、喘息日記(ピークフロー値の記録など)
- 水分補給用の水や経口補水液
- ティッシュ、タオル、洗面器
- 緊急時に持ち出すもの
- 健康保険証、子ども医療費受給者証
- 診察券
- 携帯電話・スマートフォン(充電を確認)
夜間や休日に相談できる窓口や、受診可能な医療機関の連絡先もリストアップしておきましょう。
「こども医療でんわ相談(#8000)」や救急車を呼ぶか迷った時の「救急安心センター事業(#7119)」の番号も控えておくと、いざという時に冷静に行動できます。
まとめ
台風による喘息の悪化に明確な科学的根拠やエビデンスはありませんが、気温・湿度・気圧の急変や、花粉・カビ・粉じんの飛散などが、症状の悪化に関与する可能性があります。
こうした変化は天気予報である程度予測できるため、発作が起きる前に備えておくことが大切です。薬の残量確認や室内の掃除・湿度管理など、日常の工夫でリスクは減らせます。
お子さんの喘息の症状が強い場合や、台風などの気象の変化で体調を崩しやすい場合は、ぜひベスタこどもとアレルギーのクリニックにご相談ください。
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こどもの病気コラムの一覧です。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
