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小学生から思春期のニキビ|原因と正しいケア・治療法を詳しく紹介

お子さんの顔にポツポツと現れるニキビ。「まだ小学生なのに」と心配になっていませんか?
ニキビは思春期のイメージが強いですが、ホルモン分泌が始まる10歳前後から増え始めます。生活習慣や汗・皮脂の刺激も影響し、大人と同じケアをしてしまうと逆効果になることもあります。
この記事では、小学生のニキビの原因から家庭でできる正しいケア方法、市販薬の注意点、皮膚科での治療や受診の目安を解説します。お子さんの肌を健やかに保ち、将来にニキビ跡を残さないサポートにつなげましょう。
小学生のニキビの原因

小学生のニキビができる背景には、成長の途中で起こる体内の変化や、生活環境による外的刺激など、いくつかの要因が関係しています。
お子さんの肌の変化に驚くお母さんも多いと思いますが、これは決して珍しいことではありません。
ニキビができる主な原因は、次の4つに分けられます。
①食事・睡眠不足・ストレスなど生活の乱れ
②前髪・汗・洗い残しなどの外的刺激
③ホルモンバランス変化による皮脂分泌
④花粉シーズンによる肌荒れ
①食事・睡眠不足・ストレスなど生活習慣の乱れ
健やかな肌を保つには、毎日の生活リズムがとても大切です。
食事や睡眠、ストレスの影響でホルモンバランスや皮脂分泌が乱れると、ニキビができやすい状態になります。
生活習慣の乱れとニキビの関係を以下の表にまとめています。

②前髪・汗・洗い残しなどの外的刺激
子どもの肌は大人よりもずっとデリケートで、ちょっとした刺激がニキビの原因になることがあります。
例えば、前髪が当たることでおでこに刺激が加わったり、汗の汚れが毛穴をふさいでしまったりなどがあります。
また、シャンプーや洗顔料のすすぎ残しが生え際に残ると、肌のバリア機能が弱まりニキビができやすくなります。
毎日の中で何気なく触れている刺激でも、積み重なると肌に負担をかけることがあるため、
やさしく洗って清潔に保つことが大切です。
③ホルモンバランス変化による皮脂分泌
10歳前後になると、体が大人へと近づく「成長期(第二次性徴)」に入り、ホルモンのバランスが大きく変わります。
このホルモンの変化も、子どものニキビができやすくなる原因の一つです。
成長期には、アンドロゲンというホルモンが増えます。これは男の子だけでなく女の子の体でも作られるもので、皮脂の分泌を活発にする働きがあります。
皮脂は本来、肌を守るために必要なものですが、増えすぎると毛穴が詰まりやすくなり、そこにアクネ菌が増えてニキビができてしまいます。
こうした変化は成長の一部であり、誰にでも起こる自然なことです。
焦らず見守りながら、日々のスキンケアや生活習慣を少しずつ整えていくことが大切です。
④花粉シーズンによる肌荒れ
春先になると、スギやヒノキなどの花粉が飛散し、肌に刺激を与えることで肌荒れを起こすことがあります。「花粉皮膚炎」と呼ばれ、目や鼻の症状がない場合でも、顔や首まわりに赤みやかゆみ、肌の乾燥がみられることがあります。
大人だけでなく、小学生でも見られることがあり、皮膚が敏感な子どもほど影響を受けやすい傾向です。花粉が肌に付着することでバリア機能が低下し、炎症やニキビが悪化する原因になることもあります。
花粉が多い時期は、外出後にやさしく洗顔する、肌を保湿して守るなどの対策が大切です。
ニキビの種類

ニキビと一口に言っても、毛穴の中で起きている状態や炎症の程度によって、見た目も対処法も少しずつ異なります。
白や黒っぽく見えるもの、赤く腫れて痛みを伴うものなど、実はそれぞれ段階があるのです。
ニキビがどのタイプなのかを知ることが、正しいケアを選ぶ第一歩になります。
大きく分けると「炎症がないタイプ」と「炎症をともなうタイプ」の2つに分類できます。
それぞれの特徴を、次にまとめました。

小学校低学年では額のニキビが中心ですが、成長とともに皮脂腺の働きが活発になり、頬やあごにも広がるようになります。
小学生に適したニキビケア

小学生の肌は大人よりも敏感で、大人用のスキンケアでは刺激になることがあります。大切なのは、肌質やニキビの状態に合ったやさしい対応を心がけることです。
ご家庭でもできるニキビケアのポイントは以下の4つです。
①洗顔・保湿
②低刺激・ノンコメドジェニックのスキンケア商品
③手で触らない・つぶさない習慣
④市販薬の使用は慎重に
①洗顔・保湿
ニキビケアの基本は、洗顔と保湿です。余分な皮脂や汗、角質を洗い流し、毛穴詰まりを防ぐことが重要です。
洗いすぎや強いこすり洗いは、肌に負担をかけてしまいます。
必要なうるおいまで落ちると乾燥を招き、かえって皮脂が過剰に分泌されることもあります。結果として、ニキビが悪化する原因になることもあるので注意が必要です。
以下のような手順でスキンケアを行いましょう。
- 手を清潔にする
- ぬるま湯で予洗いする
- 洗顔料を泡立てる
- 泡で優しく洗う
- 十分にすすぐ
- タオルで優しく水分を拭き取る当てる
- すぐに保湿する
朝と夜のスキンケアは、健やかな肌づくりの基本です。やさしく洗って汚れを落とし、しっかり保湿することで、肌のバリア機能が整っていきます。
②低刺激・ノンコメドジェニックのスキンケア用品
お子さんの肌に合うスキンケア用品を選ぶポイントは、刺激が少なくニキビを誘発しにくい製品を選ぶことです。
スキンケア用品選びのポイントを以下の表にまとめています。

新しいスキンケア製品を使うときは、いきなり顔に塗らず、まずはお子さんの腕の内側などで試してみましょう。
赤みやかゆみが出ないことを確認してから使うと、肌への負担を防げて安心です。
③手で触らない・つぶさない習慣
子どもは気になるニキビをつい触ったり、潰したりしてしまうことがあります。
しかし手には目に見えない雑菌がついているため、触ることで炎症が悪化したり、跡が残る原因になることもあります。
気になるときは清潔な状態を保ち、できるだけ触らないように声をかけてあげましょう。無理に押し出すと毛穴の壁が壊れ跡が残る恐れがあります。一度できたニキビ跡をきれいにするのは難しいため、お子さんになぜ触ってはいけないのかを伝えることが大切です。
ニキビに触らないために以下のような工夫を推奨しています。
- おでこに髪が触れないよう前髪を留める
- 頬杖をつく癖がないか一緒に確認する
- 爪を短く切り肌を傷つけないようにする
お子さんが顔を触らないよう気にかけて、習慣づけをサポートしてあげましょう。
④市販薬の使用は慎重に
市販のニキビ治療薬は手軽に買えますが、お子さんの肌に使うときは少し注意が必要です。
子どもの肌は大人よりも敏感で、成分によっては赤みやかゆみが出てしまうことがあります。購入前に対象年齢の記載を確認し、「小児には使用しない」と書かれているものは避けましょう。迷ったときは薬剤師に相談し、年齢や肌の状態を伝えて選ぶと安心です。
市販薬で対応できることもありますが、症状が続く場合や悪化する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
小学生のニキビ治療

ご自宅のスキンケアでニキビが改善しない場合や、赤み・腫れ・膿を伴う場合は、医療機関での専門的な治療が必要です。医師は肌質や症状を見極め、適切な薬を選択してくれます。
小学生のニキビ治療について、以下の4つのポイントを解説します。
- 塗り薬
- 飲み薬
- 処方薬の治療期間
- 処方薬の副作用
塗り薬
処方される塗り薬は、ニキビ治療の基本となるものです。小学生の肌は薄く刺激に敏感なため、症状に応じて薬の種類や使用方法を医師が慎重に判断します。
大きくは毛穴の詰まりを改善するタイプと、ニキビ菌の増殖を抑えるタイプに分けられます。単独で使用する場合もあれば、異なる作用を組み合わせた配合剤を用いることもあります。
ニキビ治療の代表的な薬は、以下の表を参考にしてください。

どの薬を使うかは、ニキビの種類や数、炎症の程度を診て医師が総合的に判断します。指示通りに、正しい量と回数を守って塗り続けることがポイントです。
飲み薬
塗り薬だけで改善が難しい場合や、炎症が強くて痛みを伴う場合は、体の内側から作用する飲み薬を併用します。
治療は塗り薬との組み合わせが基本で、主に抗菌薬やビタミン剤、漢方薬などが用いられます。抗菌薬はアクネ菌を抑えて炎症を鎮める働きがあり、皮膚の深い部分にも作用する点が塗り薬との違いです。
ビタミン剤や漢方薬は、補助的に処方される場合があります。ビタミンB群は皮脂分泌コントロール作用、ビタミンCは肌の回復を助ける作用、漢方薬は体質改善が期待できます。
市販のビタミン剤もニキビに一定の効果があるので、食事だけで足りていない場合は検討してみましょう。
処方薬の治療期間
治療期間は、3か月を一つの目安にしましょう。ニキビ治療は薬を塗ってすぐに治るものではありません。きれいな肌を取り戻すには、根気強く治療を続けることが大切です。
効果が出るまでに時間がかかるのは、ターンオーバー(肌の生まれ変わりのサイクル)が関係しています。治療期間の経過を以下の表にまとめています。

ニキビが落ち着いても、自己判断で治療をやめず、医師の指示にそって続けることが大切です。しっかり治すことで、再発を防ぎ、きれいな肌を保つことにつながります。
処方薬の副作用
処方薬による副作用の可能性を事前に知っておくことで、安心して治療を続けることができます。塗り薬では、アダパレンや過酸化ベンゾイルの使用開始から約2週間の間に以下の副作用が出る場合があります。
- 肌の乾燥やカサつき
- ヒリヒリとした刺激感
- 皮膚の赤み
- 薄い皮むけ
これらの症状は、アレルギーではなく一時的な刺激反応で、多くは数週間で自然に和らぎます。保湿剤を併用することで症状を軽減しやすくなります。
飲み薬では、抗菌薬により下痢や胃のムカつきなどの胃腸症状が現れることがあります。そのため、抗菌薬は短期間で限定的に使用されることが一般的です。
お子さんに副作用が出てつらそうなときは、我慢させずに医師や薬剤師に相談しましょう。塗る回数やお薬の種類を調整することで、負担を減らして治療を続けられることがあります。
小学生ニキビの受診目安

受診を検討すべきタイミングは以下の3つです。
①自宅ケアで改善しない場合
②炎症や膿を伴う場合
③ニキビ跡が残りそうな場合
①自宅ケアで改善しない場合
ご自宅でのケアを続けても改善が見られない場合は、皮膚科の受診を検討しましょう。
毛穴の奥で詰まりが起きていたり、炎症が始まっていたりすると、市販のスキンケアでは改善が難しいことがあります。
「スキンケアを2週間以上続けても変化がない」「ニキビが増えてきた」「同じ場所に繰り返しできる」など、そんなときは早めに専門医に相談するのがおすすめです。
②炎症や膿を伴う場合
ニキビが赤く腫れたり黄色い膿が見えたりする状態は、炎症性ニキビの可能性があります
アクネ菌が異常に増殖し、それを退治しようと免疫機能が活発になっている状態です。ひどくなると毛穴の壁が壊れ、炎症が周囲の皮膚組織へと広がります。
お子さんが痛みやかゆみを訴える場合も症状が進んでいる証拠です。炎症により皮膚の深い部分がダメージを受け、ニキビ跡を避けるために早めに相談することが大切です。
③ニキビ跡が残りそうな場合
一度できたニキビ跡をきれいな肌に戻すのは難しく、時間も費用もかかるため、跡になる前の早期治療が重要です。
皮膚の深い部分(真皮層)にまでダメージが及んでいる可能性が高く、跡に残りやすい以下のニキビは注意が必要です。
- 赤みや腫れがひどく痛みを伴うニキビ
- 大きく腫れた黄ニキビ
- 触ると硬いしこりがあるニキビ
- 同じ場所に繰り返しできるニキビ
ニキビ跡には、肌がクレーター状にへこんでしまうものや、茶色いシミ(炎症後色素沈着)、赤みが消えずに残るものなどさまざまです。医療機関では、ニキビ跡が残るリスクを最小限に抑えることを重視して、治療計画を立てています。
まとめ
ニキビは成長過程で多くのお子さんが経験しますが、放置するとニキビ跡として長く残る可能性があります。そのため、早めに適切なケアを行うことが大切です。
ご家庭では、正しい洗顔と保湿を基本に、ニキビを触らない・つぶさない習慣をサポートしてあげましょう。
ベスタこどもとアレルギークリニックではお子さんのニキビに関する相談も受け付けています。セルフケアを続けても改善しない場合や、赤く腫れて痛みを伴うニキビが見られる場合は、ぜひご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。

初めまして。
当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。
私は小児科の中でも特にアレルギーと呼吸器を専門にしていますが、赤ちゃんの体重が増えない、おねしょが無くならない、ニキビが気になる、便秘気味など少しでも心配なことや不安に感じることがあれば、何でもご相談していただければと思います。
こどもたちがなるべく制限を受けることなく笑顔で日々を過ごし、自分らしく元気に成長できるよう、ご家族の不安を取り除けるよう、「優しさ」を持ったクリニックを目指して、地域の子育てに貢献できるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
