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こどもが繰り返しおなかを痛がる時は?…過敏性腸症候群(IBS)の受診目安・診断・対処法
この記事を監修した医師

小児科専門医/院長
濵野 翔
「登校前になるとおなかが痛いと言う」
「下痢や便秘をくり返している」
「検査では大きな異常がないと言われたけれど、本人はつらそう」
このような腹痛が続くと、ご心配になりますよね。
くり返す腹痛の原因のひとつに、過敏性腸症候群があります。
ただし、腹痛だけで過敏性腸症候群と決めるものではありません。
まず大切なのは、急いで相談した方がよいサインがないかを確認することです。
そのうえで、便通、食事、睡眠、学校生活、緊張する場面との関係を整理していきます。
もくじ
すぐ相談したいサイン

次のような場合は、当日中の受診や救急相談を検討してください。
- 強い腹痛が続き、歩く・立つ・眠ることが難しい
- ぐったりしている、顔色が悪い、水分が取れない
- 水分が摂れない、尿が少ない、口が乾いている
- 吐き続けている
- 血便、黒っぽい便、便に血が混じる
- 発熱をくり返す
- 体重が減る
- 夜間に下痢で起きることが続く
- 右下腹部や右上腹部の痛みが続く
- 関節の腫れ、肛門まわりのただれや痛みがある
このようなサインがある場合は、過敏性腸症候群だけで説明せず、ほかの病気が隠れていないか確認することが大切です。
受診時に医師へ伝えると良いポイント
- いつから痛むか
- どれくらいの頻度で痛むか
- 痛む場所
- 痛みが出やすい時間帯
- 便の回数
- 便の形
- 下痢・便秘・血便の有無
- 食事、乳製品、脂っこいもの、冷たい飲み物との関係
- 学校、習い事、テスト、睡眠不足との関係
- 体重の変化
- 発熱、嘔吐、月経との関係
- 市販薬やサプリメントを使っているか
便の形は、「コロコロ」「普通」「泥状」「水のよう」など、大まかな記録で十分です。
数日分だけでもメモがあると、診察で整理しやすくなります。
過敏性腸症候群ってどんな状態?
過敏性腸症候群は、腹痛をくり返し、排便や便の回数・形の変化と関係している状態です。
小児では、一定期間くり返す腹痛に、便秘・下痢など便の形の変化が重なるかを確認し、ほかの病気で説明しにくい場合に考えます。
主な原因・きっかけ
過敏性腸症候群の原因は現在も分かっておらず、一つの理由では説明できないことが多いです。
腸の動き、便の状態、食事、睡眠、精神面の負担、生活リズムなどが重なって症状が出ることがあります。
細菌性・ウイルスによる感染性腸炎の回復後に発症しやすいと言われています。
便秘があるお子さんでは、まず便秘による腹痛かどうかを確認します。便秘が改善すると腹痛も軽くなる場合は、過敏性腸症候群ではなく、便秘による腹痛として考えることがあります。
アレルギーについても、保護者の方からよく相談されます。
食物アレルギーでは、特定の食べ物を食べた後に、じんましん、まぶたや唇の腫れ、咳、ゼーゼー、嘔吐、下痢などが時間的に近く出ることがあります。腹痛だけが長く続く場合は、すぐにアレルギーと決めつけず、症状の出方を整理して相談することが大切です。
診断基準
過敏性腸症候群は症状と経過により診断をします。
RomeⅣ分類という国際的な診断基準があります。
- 腹痛が最近の3か月で1週間のうちに1日以上を占める
- 腹痛が「①排便に関連する」「②排便頻度の変化に関連する」「③便形状(外観)の変化に関連する」の内2つ以上を満たす
上記を確認することで過敏性腸症候群と診断します。
もちろん、他の消化器疾患の可能性についても精査し確認する必要があります。
過敏性腸症候群は腹痛に伴う便性により「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」の4つの型に分けられます。
治療
食事や生活習慣の改善を行いながら、症状や経過に合わせて薬物治療を行います。
また心理療法やカウンセリングを行うこともあります。
食事・生活習慣の改善
3食を規則的に摂る、暴飲暴食や夜間の大食を避ける、バランスよく食べるなど食事に気を付けましょう。またストレスをなるべく溜めず、睡眠や休養をしっかり取るのも大切です。
後述する「今日からできること」を、無理のない範囲で始めてみましょう。
薬物療法
内服薬による治療です。前述の型や患者さんの状態に合わせ、消化管運動機能調節薬やプロバイオティクス、漢方薬、止痢薬、下剤などから選択します。
心理療法・カウンセリング
症状に精神的な要因が大きく関わっていたり、薬物治療で改善が得られない場合に検討します。ストレスマネジメントやリラクゼーション、認知行動療法、マインドフルネス療法などがあります。
今日からできること
-
便や腹痛の記録をつける
便の回数、硬さ、下痢・便秘、腹痛の時間帯を簡単にメモします。
-
朝のトイレ時間を作る
便秘を伴う患者さんに特におすすめです。朝食後に5分ほど座るだけでも、排便リズムを整えやすくなります。
-
朝食を抜かない
少量でもよいので摂取しましょう。腸が動き出すきっかけを作り、リズムを整えてくれます。
-
症状の出やすい食べ物を記録する
特に脂質、カフェイン、香辛料を多く含む食べ物は要注意と言われています。何を食べると症状が出やすいか把握できると、症状緩和につながることがあります。
-
運動習慣をつくる
適度な運動は症状改善に有効であるとエビデンスが報告されています。
-
睡眠時間を整える
夜更かしが続くと、朝の腹痛やだるさにつながることがあります。平日休日関わらず同じ時間に寝起きしましょう。
-
痛みが出たときの対応を決めておく
深呼吸、温める、少し休む、トイレに行くなど、本人ができる対処を一緒に決めます。
-
登校のハードルを下げる
無理して登校する必要はありません。また「午前だけ行く」「保健室に相談する」「遅れて行く」など、ゼロか百かにしない方法もあります。
やりがちなNG
- 症状が出た食べ物を、自己判断で次々に除去する
- 「気にしすぎ」「学校に行きたくないだけ」と本人に言ってしまう
- 痛みのたびに強く問い詰めてしまう
- 自己判断で市販薬を長期間続ける
- 症状を本人だけの問題にしてしまう
食事制限は一見取り組みやすく見えますが、子どもでは栄養不足や食事への不安につながることがあります。医師や管理栄養士に相談しながら進めると安心です。
受診までの間に気をつけること
腹痛の様子を記録しつつ、増悪がないかを確認します。
痛みが強くなる、血便が出る、体重が減る、夜間の下痢が続く、ぐったりする場合は、予定を待たずに相談してください。
園・学校で気になる場合の声かけ例
ご本人には「いつ腹痛が起こるか」という不安があり、安心のための言葉かけも大切です。
「おなかが痛いのはつらいね。まずトイレに行って、少し休んでみよう」
「痛みが強いときは先生に伝えて大丈夫だよ」
「行けるところまで行ってみて、つらくなったら相談しよう」
学校へ伝える場合は、次のように短く共有するとよいでしょう。
「腹痛をくり返すことがあり、トイレや保健室で少し休むと落ち着くことがあります。強い痛みや顔色不良がある場合は連絡をお願いします」
当院で相談できること
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、くり返す腹痛について、便秘・下痢・食事・生活リズム・学校生活への影響を一緒に整理しながら診療します。一般小児のご相談は一般小児で対応し、食物アレルギーや腎・夜尿症などが関係しそうな場合は、該当する方に専門外来をご案内することがあります。練馬区や中村橋駅周辺から受診を検討される場合は、診療時間・アクセスもご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 子どもが腹痛をくり返すとき、どのタイミングで受診した方がよいですか?
A1. 血便、体重減少、発熱が続く、夜間の下痢、強い痛み、水分が取れない、ぐったりしている場合は早めに相談してください。軽い腹痛でも、2週間以上くり返す、学校生活に影響する、保護者の方が判断に迷う場合は受診の目安になります。
Q2. 家では何をしてあげるとよいですか?
A2. 便の回数や形、腹痛の時間帯、食事との関係を簡単に記録しましょう。朝食後にトイレへ行く時間を作る、睡眠を整える、水分を取る、痛いときの休み方を決めておくことも役立ちます。食事制限を続ける場合は、自己判断で広げすぎず医師に相談してください。
Q3. 腹痛がある日は学校を休ませた方がよいですか?
A3. 強い痛み、発熱、嘔吐、血便、ぐったりしている様子がある場合は無理をしないでください。軽い腹痛で水分が取れ、歩ける場合は、遅刻、午前だけ登校、保健室で休むなど、本人が安心できる方法を学校と相談することがあります。
Q4. 腹痛は食物アレルギーが原因のこともありますか?
A4. 特定の食べ物の後に、じんましん、唇やまぶたの腫れ、咳、ゼーゼー、嘔吐、下痢などが近い時間に出る場合は、食物アレルギーも考えて相談します。腹痛だけが長く続く場合は、便秘、下痢、食事内容、生活リズムなども含めて整理します。
Q5. 休日やアクセス面で迷うときはどうしたらよいですか?
A5. 強い痛み、水分が取れない、ぐったりしている、血便がある場合は、休日でも救急相談や救急受診を検討してください。症状が落ち着いている場合は、診療時間を確認のうえ、中村橋駅周辺からの来院方法もあわせてご確認ください。
まとめ
くり返す腹痛では、まず「急いで相談した方がよいサイン」がないかを見ることが大切です。
そのうえで、便秘・下痢・食事・睡眠・学校生活との関係を整理すると、対処の糸口が見つかることがあります。
過敏性腸症候群は、「気のせい」ではなく、腸の動きや痛みの感じ方が敏感になっている状態として考えられることがあります。治療では、説明、生活調整、便通の改善、必要に応じた薬や心理的サポートを組み合わせます。
保護者の方だけで抱え込まなくて大丈夫です。
症状が続くとき、登校や睡眠に影響するとき、判断に迷うときは、小児科で一緒に整理していきましょう。
【医療上の免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個々の症状に対する診断・治療の代替ではありません。症状が心配な場合は医療機関を受診し、医師の診断と指示に従ってください。
【監修者】
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野翔
本記事は小児科専門医・アレルギー専門医が監修しています。
【参考文献】
- 日本消化器病学会 機能性消化管疾患診療ガイドライン2020 過敏性腸症候群 改訂第2版
- 日本消化器病学会 患者さんとご家族のための過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023
- Alberta Health Services (2024) Pediatric Abdominal Pain Primary Care Pathway. [PDF] Available at: https://www.albertahealthservices.ca/assets/info/aph/if-aph-prov-pediatric-abdo-pain-primary-care-pathway.pdf (Accessed: 2026-05-06)
- Groen, J., Gordon, M., Chogle, A., Benninga, M., Borlack, R., Borrelli, O. et al. (2025) ‘ESPGHAN/NASPGHAN guidelines for treatment of irritable bowel syndrome and functional abdominal pain-not otherwise specified in children aged 4–18 years’, Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition, 81, pp. 442–471. doi: 10.1002/jpn3.70070
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
