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子供の唇が腫れるのはアレルギー?原因・見分け方・受診の目安を解説

お子さんの唇が急に腫れると、「食べ物のアレルギー?」「このまま様子を見て大丈夫?」と不安になりますよね。唇の腫れはアレルギーが原因のこともありますが、それだけではありません。血管性浮腫、かぶれ、リップなめ、虫刺され、ケガ、口唇ヘルペスや手足口病、とびひなどでも起こります。原因によって対処法や受診の急ぎ方が変わるため、まずは危険なサインがないかを確認することが大切です。
もくじ
まず救急受診を考えたい症状
唇の腫れに加えて次のような症状があるときは、アナフィラキシーやのどの腫れの可能性があります。早めに救急受診を考えましょう。
・息がしにくい、ゼーゼーする
・声がかすれる、飲み込みにくい
・全身にじんましんが広がる
・繰り返し吐く、強い腹痛がある
・ぐったりしている、反応が鈍い
・顔色が悪い、意識がはっきりしない
エピペン®を処方されている場合は、医師の指示どおり使用し、その後も必ず医療機関で診てもらいます。
子供の唇が腫れる主な原因

唇の腫れの原因としてアレルギーを思い浮かべる方は多いですが、実はそれ以外にも様々な原因が考えられます。原因によってご家庭での対処法や、病院を受診するタイミングも変わってきます。
まずは慌てずに、お子さんの唇の状態や全身の様子をよく観察することが大切です。ここでは、アレルギー以外で考えられる唇の腫れの主な原因を6つに分けて、それぞれの特徴や対処法を解説します。
①食物アレルギー
卵、牛乳、小麦、木の実などを食べて、2時間以内に唇の腫れ、じんましん、咳、嘔吐などが出る場合は、即時型食物アレルギーが疑われます。症状が唇だけに見えても、あとから全身に広がることがあるため注意が必要です。
②花粉-食物アレルギー症候群(PFAS/口腔アレルギー症候群)
花粉症のある学童期以降のお子さんで、生の果物や野菜、豆類を食べた直後から1時間以内に、唇・舌・のどにイガイガ、チクチクした刺激感や軽い腫れが出る場合は、PFASが疑われます。多くは口やのどの症状が中心ですが、豆乳やスパイスではアナフィラキシーになることもあります。
③血管性浮腫
唇やまぶたが、境界のはっきりしない形でぷっくり腫れ、数時間から2、3日続くことがあります。かゆみは目立たないこともあります。アレルギーに伴うこともありますが、薬、感染、原因不明のもの、まれに遺伝性血管性浮腫が背景にあることもあります。
④接触性口唇炎・リップなめ皮膚炎
リップクリーム、日焼け止め、歯みがき粉、食べ物、金属、マスク摩擦などが原因で唇がかぶれることがあります。この場合は、急にパンパンに腫れるというより、赤み、乾燥、皮むけ、ひび割れ、ヒリヒリ感が中心です。唇をなめるくせがある子では、舌が届く範囲に沿って口の周りまで赤くなる「リップなめ皮膚炎」もよくみられます。
⑤外傷・虫刺され
元気いっぱいに遊ぶお子さんには、ケガや虫刺されによる唇の腫れもよく見られます。
転んで顔を打ったり、自分で唇を噛んでしまったりといった外傷が原因の場合は、腫れと同時に出血や切り傷などを伴うことが多いです。
また、屋外で遊んだ後に腫れてきたのであれば、虫刺されの可能性も考えられるでしょう。
⑥感染症
感染症では、水ぶくれ、かさぶた、発熱、口の中の痛みがヒントになります。
・口唇ヘルペス:唇の周りに小さな痛い水ぶくれができ、数日でじゅくじゅくしてかさぶたになります。
・手足口病:発熱、口の中の痛い発疹、水ぶくれ、手足の発疹がそろうと疑いやすくなります。
・とびひ:小さな水ぶくれが破れて、黄色い“かさぶた”がつきやすいのが特徴です。
繰り返す腫れで考えたい病気

じんましんが出ないのに唇の腫れを何度もくり返す、原因不明の腹痛発作がある、家族にも同じような症状がある場合は、遺伝性血管性浮腫(HAE)のような病気も考えます。のどの腫れを伴うと命にかかわることがあるため、早めの評価が大切です。
どちらもアレルギー反応などで起こりますが、「腫れが起こる皮膚の深さ」が異なり、見た目や経過にも違いがあります。

息苦しさ、声のかすれ、ぐったりして意識がはっきりしないなどの症状がある場合は、喉の腫れやアナフィラキシーの可能性があり、命に関わることがあります。
血管性浮腫の原因と治療
血管性浮腫は、皮膚の奥深くにある血管から水分が漏れ出して起こる局所的な「むくみ」です。皮膚が柔らかい唇やまぶたに現れやすい特徴があります。
原因は様々で、食べ物や薬に対するアレルギー性のもの、痛み止めなどの薬剤性のもの、風邪などの感染症によるものなどがあります。
治療は原因によって異なり、抗ヒスタミン薬やステロイド薬が有効な場合もあります。
のどの腫れ、声がれ、息苦しさがある場合は緊急です。ご家庭で病名を見分けようとせず、救急受診を急ぎましょう。
また、唇の腫れを何度もくり返し、じんましんが出ない、腹痛発作もある、家族にも同じような症状がある場合は、遺伝性血管性浮腫(HAE)のような病気も考えます。こうした場合は、血液検査でC4やC1-INHという免疫系項目の検査を検討します。
蕁麻疹の原因と治療
蕁麻疹は、皮膚の比較的浅い部分で起こる反応です。強いかゆみを伴い、数十分から24時間以内に消え、また別の場所に出てくるという特徴を持っています。
特定の食べ物や薬、ウイルス感染、温熱や寒冷などの物理的刺激、疲労やストレスなど様々な引き金がありますが、原因がはっきりしないことも少なくありません。
治療の基本は、かゆみや腫れの原因となるヒスタミンの働きを抑える「抗ヒスタミン薬」の内服となります。
見分けるときのポイント
まず、直前に食べたもの、唇に触れたもの、ケガや虫刺されの心当たりがないかを確認します。
食後すぐなら食物アレルギーやPFAS、乾燥や皮むけが目立つなら接触性口唇炎やリップなめ、痛い水ぶくれならヘルペス、発熱と口内病変なら手足口病、黄色いかさぶたならとびひを考えやすくなります。唇やまぶたがぷっくり腫れて長めに続くときは、血管性浮腫も候補に入ります。
子供の唇が腫れたときの受診の目安と検査

どのような症状があれば受診を急ぐべきか、病院ではどのような検査や治療を行うのかについて解説します。いざというときに落ち着いて行動できるよう、確認しておきましょう。
すぐに受診が必要な危険な症状
唇の腫れだけでなく、以下のような症状が見られる場合は「アナフィラキシー」という重篤なアレルギー反応の可能性があります。速やかに救急車を要請するか、医療機関を受診してください。

原因に応じて行う検査
すべての唇の腫れに、同じ検査をするわけではありません。
食物アレルギーやPFASが疑わしい場合は、まず何を食べたか、どのくらいで症状が出たか、他の症状があったかを詳しく確認します。そのうえで、特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテストを行います。ただし、IgEが陽性だけではアレルギー確定とは言えません。必要に応じて、緊急対応ができる体制で食物経口負荷試験を行います。果物や野菜では、原因食物そのものを使う prick-to-prick test が役立つこともあります。
接触性口唇炎が疑わしい場合は、使っているリップ、日焼け止め、歯みがき粉、食べ物、金属製品などを確認し、必要ならパッチテストを行います。
じんましんを伴わない腫れを繰り返す場合は、C4やC1-INHなどを調べて、遺伝性血管性浮腫を確認することがあります。
症状を抑える治療
唇の腫れの治療は原因で変わります
・アナフィラキシーが疑わしい:アドレナリン(エピペン®)が最優先。抗ヒスタミン薬やステロイド薬は補助的です。
・蕁麻疹や軽いアレルギー症状:抗ヒスタミン薬が中心になります。
・接触性口唇炎・リップなめ皮膚炎:原因を避け、保湿や必要に応じて外用治療を行います。
・外傷・虫刺され:冷やす、傷を清潔にする、必要なら受診します。
・感染症:病気に応じて抗ウイルス薬や抗菌薬、対症療法を選びます。
まとめ
お子さんの唇が腫れる原因はアレルギーだけでなく、かぶれやケガ、感染症など様々です。まずは慌てずに様子を観察し、息苦しさや全身のじんましんなどの危険なサインが見られたら、すぐに医療機関を受診してください。
練馬区中村橋にあるベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、お子さんの症状に合わせた適切な検査と治療を行っています。判断に迷う時や症状が長引く時は、ぜひお気軽にご相談ください。練馬区周辺でかかりつけの小児科を探されている方も是非一度お気軽にお問い合わせください。。
参考文献
- 日本アレルギー学会「アレルギーの手引き2026」
- アレルギーポータル「食物アレルギー」「アナフィラキシー」「アレルギー検査について」
- 日本アレルギー学会「特殊な食物アレルギー/Q&A」
- Scott H Sicherer, Christopher M Warren, Christopher Dant, Ruchi S Gupta, Kari C Nadeau.Food Allergy from Infancy Through Adulthood.J Allergy Clin Immunol Pract,2020,8,6,p.1854-1864.
- Benjamin Greiner, Savannah Nicks, Michael Adame, Jennifer McCracken.Pathophysiology, Diagnosis, and Management of Chronic Spontaneous Urticaria: A Literature Review.Clinical Reviews in Allergy & Immunology,2022,63,3,p.381-389.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
