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りんご病の症状と登園の目安|妊婦と胎児への影響、注意点をまとめて紹介

お子さんの頬が、突然りんごのように真っ赤になり驚いた経験はありませんか?
その症状は「りんご病」かもしれません。
りんご病は、多くの場合は軽い経過で、発疹が出た頃には他の人へうつす力はほとんどなくなっています。
一方で、大人がかかると関節の痛みが強く出たり、妊婦さんが感染した場合には、お腹の赤ちゃんへの影響に注意が必要になることもあります。
この記事では、子どものりんご病の症状や登園の目安に加えて、妊婦さんやご家族が知っておきたいポイントをわかりやすくお伝えします。
りんご病とは

りんご病の、正式名称は伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)です。主に4〜10歳くらいの子どもたちを中心に感染が広がります。感染のピークは春〜初夏にかけて見られます。
りんご病は、見た目の特徴からついた名称です。感染しても症状が出ないまま終わる不顕性感染(ふけいせいかんせん)が多いため、知らないうちに免疫を持っている大人もいます。
ここでは、りんご病の原因と感染経路について詳しく見ていきましょう。
原因はヒトパルボウイルスB19
りんご病の原因は、ヒトパルボウイルスB19への感染です。このウイルスは名前にヒトと付くとおり、人間にのみ感染します。犬や猫などのペットからうつる心配はありません。
ウイルスが体内に侵入してから症状が現れるまでの潜伏期間は、10〜20日ほどです。(※2)潜伏期間では、ウイルスは体内で増殖しても症状は現れません。
感染後の経過は、大きく3つの流れに分けられます。
- 発疹が出る前(前駆症状)の時期:風邪に似た症状がでる、感染力が強い
- 発疹の時期:頬に特徴的な赤い発疹が現れる、感染力はほぼなくなる
- 回復期:発疹は消えていき体調も回復に向かう
頬が赤くなる発疹の症状が出たときには、感染力がほぼなくなっているため、感染を過度に恐れる必要はありません。
感染経路は飛沫・接触感染
りんご病の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。感染力が最も強いのは、発疹が出る前の、風邪のような症状が出ている時期です。
飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみ、会話の際の飛沫を吸い込みうつる感染経路です。ウイルスを含んだ飛沫は2メートル程度飛ぶため、学校や保育園などの集団生活の場で感染が広がりやすくなります。
接触感染とは、ウイルスが付着した手で自分の目や鼻、口などの粘膜に触れることでうつる感染経路です。感染者が使ったタオルやおもちゃ、ドアノブなどを介して感染する可能性があります。
りんご病の主な症状

りんご病の症状は、わかりやすい見た目の発疹が特徴的ですが、その前に風邪のような症状が出ることがあります。症状の現れ方はお子さんと大人で少し異なることも知られています。
ここでは、りんご病の代表的な症状を解説します。
①頬が赤くなる
りんご病でもっともよく見られるのが、両ほほがりんごのように真っ赤になる発疹です。
片側だけではなく 左右も同じように赤くなり、少し盛り上がってあたたかく感じることが多いですが、強い痛みやかゆみはあまりありません。
ほほの発疹は、ウイルスに感染してから 10〜20日ほどたってから出てきます。(※2)その 1週間くらい前に、軽い発熱や鼻水など“かぜのような症状”だけで終わることもありますし、前ぶれなく急にほほが赤くなるお子さんもいます。
②腕や脚にレース状の発疹が広がる
頬の赤い発疹が出てから数日経つと、腕や太もも、おしりなどに新しい発疹が広がっていきます。頬のべったりとした赤みとは違い、網目やまだら模様に見える点が特徴です。レース状紅斑や網状紅斑(もうじょうこうはん)と呼ばれます。
体や手足の発疹はかゆみを伴うことが多く、お子さんがかきむしることもあります。かゆみは、冷たいタオルで冷やすと少し和らぐことがあります。
この発疹は通常1週間程度で消えていきますが、一旦消えても、以下のような刺激で再び赤みが目立つことがあり、再燃(さいねん)と呼びます。
- 日光(紫外線)を浴びる
- 熱いお風呂や運動で体温が上昇する
- 皮膚をこするなどの物理的な刺激
発疹が出ている間は、激しい運動は避け、熱すぎるお風呂に入ることは控えるようにしましょう。
③発疹が出るころには感染力がほぼなくなる
りんご病で誤解されやすいのが、いつ他の人にうつるのかという点です。発疹が出ると、この時期が感染のピークと考えてしまうかもしれませんが、実際は違います。
りんご病の原因になるヒトパルボウイルスB19は、発疹が出る約1週間前の、風邪のような症状が出ている時期に最も感染力が高まります。
発疹が現れたときには、体内でウイルスに対する抗体(免疫)が作られ、ウイルスの排出はほぼ止まります。そのため、感染力は、ほぼなくなっていると考えて良いでしょう。
④貧血や発熱が見られる場合は要注意
りんご病は、まれに注意が必要な合併症を引き起こすことがあります。
発熱については、熱が出ないか、37.5度前後の微熱で済むことが大半ですが、まれに39度以上の高熱が出るお子さんもいます。
次に注意したいのが貧血です。ヒトパルボウイルスB19は、赤血球をつくる骨髄の細胞(赤芽球)に感染しやすいため、赤血球が作れなくなり、貧血症状を起こすことがあります。多くの場合は、軽度で一時的な貧血であるため、問題になることはほぼありません。
ただ、もともと貧血を起こしやすい病気(溶血性貧血など)を持つ方がりんご病に感染すると、急に重い貧血状態になることがあります。無形成発作(むけいせいほっさ)と呼び、緊急治療が必要になるケースがあります。
以下のような症状が見られた場合は、重度の貧血のサインかもしれないため、早めに医療機関を受診してください。
- 顔色が悪く唇や爪が白い
- ぐったりして元気がない
- 少し動いただけで息が切れ動悸がする
- めまいや立ちくらみがする
大人がりんご病に感染した場合は、子どもとは症状が異なる点があり、発疹よりも関節痛が出ることがあります。関節リウマチと間違うほどの強い痛みが、手や膝の関節に現れることもあります。
⑤りんご病の治療は自然治癒が中心
りんご病の原因になるヒトパルボウイルスB19に直接効く薬やワクチンは、現在ありません。不安を感じるかもしれませんが、多くの場合、りんご病はお子さん自身の免疫力で治ります。
治療の基本は、症状を和らげながら回復を待つ対症療法が中心です。発疹が出ているときには、ウイルスに対する抗体ができています。そのため、対症療法や安静に過ごすことで1〜2週間ほどで回復していきます。
症状がつらい場合は、症状に合わせた薬を使います。発疹によりかゆみを伴う場合は抗ヒスタミン薬(アレルギー症状を抑える薬)を飲み薬や塗り薬として使用します。
関節痛や熱でつらい場合は、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤で対応します。
登園・出勤の目安と家庭での過ごし方

りんご病の感染後に、どう対応するかを考えるうえで大事なのは、ここまで述べたように、発疹が出たころには、感染力がほぼない点です。
ここでは、登園や出勤を再開する目安と、家で安心して過ごすためのポイントを3つ解説します。
①登園・登校は発疹のみであれば可能
りんご病は、発疹が出ている時期には感染力がほとんどありません。そのため、熱がなく元気に過ごせていれば、必ずしも保育園や学校を休む必要はありません。
ただし園や学校ごとに対応が違うこともあるため、下のチェックリストを参考にしつつ、通われている園・学校にも一度相談してみてください。
- 熱がないか:37.5度以上の熱がなく平熱で安定している
- 食欲はあるか:普段通りご飯を食べられている
- 元気や活気があるか:ぐったりせず元気に遊んだり会話できている
- 他につらい症状はないか:関節痛や強い倦怠感を訴えていない
リストの項目を満たしていれば、発疹が少し残っていても集団生活に戻って問題ないでしょう。大人も同様に、関節痛などの症状がなく、体調が回復していれば出勤できます。
②登園許可証の要否は園や学校の規定で異なる
りんご病は、学校保健安全法という法律で「その他の感染症」に分類されています。その他の感染症は、「全身状態が安定していれば登校可能で、一律に出席停止とする必要はない」とされています。
そのため、法律上は医師が発行する登園許可証や治癒証明書は、必須ではないことが多いです。
しかし、保育園や学校、地域によっては、集団生活における感染症対策として独自のルールを定めているところがあります。地域の流行状況や、施設内に妊婦さんや免疫力が低下している方がいるケースがあるからです。
りんご病と診断されたら、自己判断で登園させる前に、お子さんの通う保育園や学校に連絡し、必要な手続きを確認しましょう。
③家庭での注意点
発疹が出ていても、お子さんが元気なら普段通りの生活を送ることができます。ただし、以下の表のような注意点があります。

体にあまり負担をかけず、リラックスして過ごせる環境が大切です。お子さんの様子をよく見守り、サポートしてあげてください。
妊婦の方や基礎疾患のある方への影響と感染予防

りんご病は、妊婦さんが感染したときには注意が必要な病気の一つです。
特に、妊娠初期〜中期(妊娠20週ごろまで)で、これまでりんご病にかかったことがなく免疫がない場合、お腹の赤ちゃんに影響が出る可能性があります。
とはいえ、感染した妊婦さんのすべてに重い影響が出るわけではなく、多くは問題なく経過します。
大切なのは、心配なときに自己判断で悩み続けず、産婦人科で検査やエコーを通してしっかり確認してもらうことです。
医療機関では、血液検査で りんご病のウイルスに対する抗体があるかどうかを調べ、
・過去にかかったことがあり、すでに免疫があるのか
・最近感染したばかりなのか?
など状態を確認します。
最近の感染が疑われる場合には、定期的に超音波(エコー)検査を行い、お腹の赤ちゃんに強い貧血や、全身がむくんでしまう「胎児水腫(たいじすいしゅ)」が起きていないかをチェック していきます。
妊婦がりんご病にかかった場合、先ほど述べたようなリスクがありますが、抗体があることが分かれば安心できるでしょう。抗体検査は、自費診療となります。
りんご病かどうか見極めるポイント

りんご病で見られる発疹は、その他の病気でも多く見られる症状です。ここでは、りんご病かどうか見極めるポイントを3つ解説します。
①類似する発疹との違い
発疹が出る病気は数多く存在します。りんご病と間違えやすい代表的な病気の特徴を、以下の表にまとめました。

麻疹は感染力がとても強く、肺炎や脳炎などの合併症のリスクがあります。
また風疹は、妊娠初期の女性が感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があります。
上記の表はあくまでも目安で、詳しい検査をすることで診断がつきます。不安な場合は、医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。
②頬や体の発疹の特徴で判断する
りんご病の発疹は、時間とともに以下のように変化していきます。
- 頬の発疹
- 腕や脚の発疹
- 発疹の回復と再燃
頬の発疹が現れているときは、両頬に、境界がはっきりした赤い発疹が現れます。少し盛り上がり、熱を持つことが多いです。
蝶が羽を広げた形に見えるため、蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)とも呼ばれます。多くの場合、頬の赤みが最初に見られる症状です。お子さん自身は元気なことがほとんどです。
腕や脚の発疹が現れているときは、頬の発疹から少し遅れて、腕や太もも、おしりなどに発疹が広がります。発疹の中心部の赤みが薄くなり、レースや網目模様に見える点が特徴です。頬の発疹と違い、この時の発疹はかゆみを伴うことが多いです。
これまでの発疹は通常、1週間ほどで自然に消えていきますが、一度消えたように見えても、さまざまな刺激により再び赤みが目立つことがあります。
再燃のきっかけは日光(紫外線)を浴びる、熱いお風呂に入る、運動する、皮膚をこするなどが該当します。
③不安なときは早めに小児科へ相談を
発疹の見た目や経過からある程度の推測はできますが、自己判断は避けましょう。似た症状でも違う病気の可能性があります。
なかでも以下のような症状が見られる場合は、他の病気などの可能性も考えられるため、早めに小児科を受診してください。
- 38.5℃以上の高熱がある
- 高熱が長引いている
- 元気がなくぐったりしている
- 呼びかけへの反応が鈍い
- 水分をあまり取れずおしっこの量が減っている
- 呼吸が速く息苦しそうにしている
- 関節痛が強く歩きたがらない
- 発疹が紫色で水ぶくれを伴っている
- ご家族に妊婦の方や免疫が低下する病気を持つ方がいる
まとめ
りんご病において、大切なポイントは、頬の赤い発疹が出た頃には、すでに感染力がほぼないことです。熱がなく元気であれば、発疹が残っていても登園・登校は可能です。
ただし注意が必要なのは、免疫のない妊婦の方への感染です。胎児への影響も考えられるため、自身やご家族の感染が疑われる場合は、早めに医療機関へご相談ください。
お子さんの発疹には似た病気もあります。気になる症状や不安なことがあれば、自己判断はせず、早めに小児科を受診することが安心につながるでしょう。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、りんご病をはじめとした発疹や発熱のご相談に毎日対応しております。気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。
参考文献
- 横浜市「伝染性紅斑(りんご病)」
- 厚生労働省「伝染性紅斑」
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
