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子どもでも尿路結石ができるの!?突然の腹痛や血尿、疑うべき原因は?【ベスタの小児科医が解説】
お子さんが突然、激しい痛みを訴えたり、血尿が出たりすると、心配になりますよね。
もしかしたら、その症状、大人だけの病気と思われがちな**「尿路結石」**が原因かもしれません。
子どもの尿路結石はわりと珍しく、小児科医でもしょっちゅう遭遇するわけではありません。結石の原因はさまざまで、複合的な要因が絡んでいることが多いのですが、なんらかの腎尿路疾患や代謝疾患が背景に潜んでいる可能性も考えないといけません。
この記事では、練馬区中村橋の365日診療のベスタこどもとアレルギーのクリニックの小児科専門医が、お子さんの尿路結石について、分かりやすく解説します。
はじめに:尿路結石とは?

尿路結石とは、その名前のとおり、腎臓から尿道までの尿の通り道に、シュウ酸カルシウムなどの成分が固まって結石ができることを言います。この石が尿の流れを妨げたり、尿路を傷つけたりすることで、痛みや血尿を引き起こします。
子どもの尿路結石、考えられる原因は?
お子さんに尿路結石ができる原因は一つではなく、いくつかの要因が組み合わさっていることが多いです。
脱水、水分不足
夏場、スポーツ、発熱嘔吐下痢(胃腸炎)などで、尿量が減ったり、尿が濃くなると、尿に溶けている結石の成分(シュウ酸、カルシウム、尿酸など)の濃度も高まり、成分同士がくっついて結晶化しやすくなります。
シュウ酸の摂りすぎ
「シュウ酸」は、体内でカルシウムと結合して「シュウ酸カルシウム結石」という最も一般的な結石を作ります。ほうれん草、たけのこ、チョコレート、ナッツ類、紅茶などに多く含まれます。 ビタミンCも過剰に摂取すると、シュウ酸が体内でたくさん作られ、結石のリスクになります。
ただし、大事なのは食べ合わせです。組み合わせによっては、結石予防にもなりえます。カルシウム含有量の多い乳製品や小魚などを、シュウ酸含有量の多い食品と一緒に食べれば、腸の中でカルシウムとシュウ酸が結合して便として排出されるので、結石予防になるのです。
動物性たんぱく質の摂りすぎ
お肉や魚、卵などの動物性たんぱく質を摂りすぎると体内で分解される過程で尿酸が作られます。この尿酸は、尿を酸性に傾け、「尿酸結石」の原因になるほか、シュウ酸カルシウム結石ができるのも助けてしまいます。
薬剤性
ビタミンD製剤、ビタミンC製剤、利尿薬(フロセミド、トリアムテレン)、アセタゾラミド(ダイアモックス)、抗HIV薬(インジナビル)、抗てんかん薬(トピラマート)、カルシウム製剤などが結石の原因になります。
上記までは、生活習慣や急性疾患、薬剤など環境因子によるものです。
しかし、以下のように基礎疾患や体質が隠れている場合もあります。
先天的な腎尿路の異常(水腎症、水尿管症、膀胱尿管逆流症など)
生まれつき尿の通り道に狭い部分があって、尿が停滞しているのが“水腎症”や“水尿管症”です。膀胱から尿管に逆流があるのが“膀胱尿管逆流症”です。これらは川の流れが滞った場所に砂や泥が溜まるのと同じ原理で、尿路に結石を生じる可能性があります。
尿路感染、感染結石
尿路にいる細菌(プロテウス菌、肺炎桿菌など)により作り出された「ウレアーゼ」という酵素は、尿素をアンモニアに分解し、尿は強いアルカリ性となります。この特殊なアルカリ性の環境下で、尿中のマグネシウム、アンモニウム、リン酸といった成分が結合し、急速に結晶化して結石を形成します。
先天的な腎尿路異常があると、尿路感染を起こすリスクが高くなります。
高カルシウム尿症
(1)腸からのカルシウム吸収が多すぎるタイプ、(2)腎臓から尿中へカルシウムが漏れ出てしまうタイプ、(3)骨から溶けるカルシウムが過剰なタイプ(多くは原発性副甲状腺機能亢進症による)、などが知られています。
腎性の高カルシウム尿症(2)は、尿路結石全体の2%を占めると言われていて、腎臓の尿細管に障害をきたす特定の病気(尿細管性アシドーシス、バーター症候群、デント病、カルシウム感知受容体(CASR)遺伝子異常症など)が原因となる場合もあります。一方で、遺伝子多型(カルシウムの尿排泄に関わる遺伝子の個人差;異常ではない)による場合もあります。
体質ではないですが、ビタミンD製剤は、腸からのカルシウム吸収を増やしてしまい(1)、結石のリスクになります。サルコイドーシスという病気では、活性型ビタミンDが過剰に増えています。
尿酸結石
老廃物の一種である「尿酸」が、尿の中で結晶化してできる結石です。下痢、脱水、動物性タンパクの摂取などが原因になります。レッシュ・ナイハン症候群など、プリン体の代謝に関わる酵素が欠損するような病気、腎性低尿酸血症(URAT-1)なども尿酸結石を生じます。
低クエン酸尿症
クエン酸は、尿の中でカルシウムとシュウ酸が結合するのを防ぐ「ブレーキ役」の物質なので、このクエン酸が尿中に少ないと、結石ができやすくなります。
体が酸性にかたむくような病態(慢性下痢、尿細管性アシドーシス、高たんぱく食)、遺伝的素因(SLC13A2遺伝子)があると、尿中のクエン酸が低くなります。
シスチン尿症
「シスチン」というアミノ酸を腎臓でうまくリサイクル(再吸収)できなくなる、まれな遺伝性の病気(先天性代謝異常症)です。 大量のシスチンが尿へ漏れ、結晶化して結石(シスチン結石)を作ります。幼少期から結石を繰り返しやすく、生涯にわたる管理が必要となります。
小児慢性特定疾病 https://www.shouman.jp/disease/details/08_01_021/
原発性高シュウ酸尿症
重篤な遺伝性の病気です。肝臓におけるシュウ酸を代謝するのに必要な酵素が欠けているため、体内で「シュウ酸」が過剰に作られ続けます。尿路に大量のシュウ酸カルシウム結石を形成し、腎不全に至ります。それだけではなく、過剰なシュウ酸が骨や心臓など全身に沈着する「全身性オキサローシス」を引き起こすと、多臓器不全となり、命の危険が生じます。早期診断と適切な時期の肝移植が不可欠です。
成育医療研究センターhttps://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/017.html
小児慢性特定疾病 https://www.shouman.jp/disease/details/08_02_035/
症状と経過:こんなサインに注意
乳幼児期
理由なくぐずる、機嫌が悪い、嘔吐を繰り返す、おむつに血(ピンクや茶色のおしっこ)が付く
学童期以降
突然の激しい腹痛や背中の痛み、吐き気や嘔吐、肉眼的血尿、頻尿・排尿時痛
検査と診断

結石の状況を評価するためだけではなく、その背景となる基礎疾患があるかどうかを見極めるために検査を行うことが大事です。
尿検査
血尿や膿尿の有無、高カルシウム尿症の有無を調べます。尿が酸性かアルカリ性か、尿に結石の成分となる結晶が出ていないか、尿酸値や、尿細管障害の有無(β2MGなどの検査項目)などを調べます。状況に応じて、尿中シュウ酸値や、アミノ酸分析(シスチン)を行います。
腹部超音波(エコー)検査:
まずは結石の有無を調べます。結石の場所や、エコー機器の映りやすさにより、うまく描出できない時もあります。膀胱に水腎症や水尿管症がないか、腎臓のサイズは年齢相当か、形態異常はないか、確認します。
レントゲン検査
カルシウム結石はうつりますが、尿酸結石やシスチン結石はうつりにくいです。
CT検査
レントゲンやエコー検査で評価が不十分な時などは、CT検査を行います。
血液検査
尿細管障害があると、腎機能やミネラル異常や酸アルカリ異常が生じている場合があります。尿酸値やカルシウム値も、基礎疾患を評価するために重要な検査です。必要な時は、血中シュウ酸値や、アミノ酸分析(シスチン)を行います。
治療法

基礎疾患がない場合、定期的な経過観察が基本となります。
結石が大きくて自然に出ない場合や、痛みが続く場合、腎臓の機能に影響が出そうな場合は、専門の高次医療機関と連携し、体外から衝撃波で石を砕く治療(ESWL)や内視鏡手術を検討します
基本は「水分補給」と「排石」
小さな結石は、水分をたくさん摂って尿量を増やすことで、おしっこと一緒に自然に排出されるのを待ちます。
痛みのコントロール
発作時、痛みのレベルに応じて鎮痛薬を使用します。
食事療法
結石の種類や原因に応じて、シュウ酸や塩分を控えるなど、管理栄養士とも連携しながら食事のアドバイスを行います。ファストフードやスナック菓子などの塩辛いもの、お肉の食べ過ぎには注意しましょう。

関連リンク
腎臓専門外来の案内:https://www.besta-kids.jp/special-outpatient/#link03
検尿異常 https://www.besta-kids.jp/2025/05/09/1745/
血尿 https://www.besta-kids.jp/2025/05/02/1687/
ネフローゼ症候群 https://www.besta-kids.jp/2025/05/24/1852/
慢性糸球体腎炎 https://www.besta-kids.jp/2025/09/01/2649/
溶連菌感染後急性糸球体腎炎 https://www.besta-kids.jp/2025/08/28/2574/
尿路感染症 https://www.besta-kids.jp/2025/05/02/1666/
包茎 https://www.besta-kids.jp/2025/05/16/1823/
夜尿 https://www.besta-kids.jp/2025/05/16/1773/
水腎症 https://www.besta-kids.jp/2025/09/06/2689/
医療上の免責事項 本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や状況に応じた医学的な診断・治療を代替するものではありません。お子さまの症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指示に従ってください。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
