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子どもがおしっこで痛がるときは?尿路感染症の症状と治療法を解説
「おしっこすると痛い…」と子どもが訴えると、保護者の方はとても心配になりますよね。
熱がない場合でも、実は「子ども 尿路感染 熱なし」といったケースもあり注意が必要です。
今回は、子どもの尿路感染症について、熱の有無や年齢による違い、診断・治療の流れまで、小児科専門医の視点からわかりやすく解説します。
尿路感染症とは? 〜はじめに〜
尿路感染症は、膀胱・尿道・腎臓などに細菌が感染する病気です。
- 膀胱や尿道にとどまる場合:膀胱炎、尿道炎、亀頭包皮炎 → 通常は発熱なし
- 腎臓まで感染が及ぶ場合:腎盂腎炎 → 発熱あり
乳幼児では明確な区別が難しく、熱を伴う場合は「有熱性尿路感染症」や「上部尿路感染症」と呼ばれることもあります。
症状と経過 〜熱の有無・年齢による違い〜
🔵 熱がある場合
高熱が出ているときは、腎盂腎炎や菌血症、敗血症のリスクがあり、特に乳児では重症化に注意が必要です。
🔵 熱がない場合
膀胱炎が中心で、発熱を伴わず、排尿時の痛みや頻尿が主体になります。
診断別の主な症状
【ポイント】
乳児では、「咳や鼻水がないのに高熱が続く」場合、尿路感染症を疑って早めの受診が必要です。
診断の流れ 〜症状に応じた検査〜
- 尿検査(試験紙検査・尿培養):感染の有無を確認
- 血液検査(炎症反応・菌血症評価):高熱時に実施
- 腹部エコー(腎盂腎炎や尿路奇形の有無確認)
特に乳幼児では、早期診断と迅速な対応が大切です。
治療法 〜熱の有無・症状別に〜
🔴 熱がある場合(腎盂腎炎など)
- 入院して点滴治療 (状況に応じて、自宅で治療する場合もあります。)
- 抗菌薬の点滴
- 全身管理(ぐったり、哺乳不良、重症化リスク時)
- 血液検査で炎症が強い場合やエコーやCTで腎の炎症があれば入院が基本
🔵 熱がない場合(膀胱炎、尿道炎、亀頭包皮炎など)
- 自宅で抗菌薬の内服治療
- 水分を多めに摂取して排尿を促進
- 清潔な排尿習慣を指導し、再発を予防
- 亀頭包皮炎の場合は、外用の抗菌薬も使用します
熱のある尿路感染症を繰り返す場合
- 再発する尿路感染では、**膀胱尿管逆流症(VUR)**が隠れていることがあります。
- 精密検査(膀胱尿道造影検査など)が必要となり、専門医のフォローが求められます。
亀頭包皮炎をくりかえす場合や、包茎が強い場合
ステロイドの軟膏を使用することにより、包茎を改善します。
排尿トラブルの鑑別 〜感染症以外にも注意〜
排尿痛・頻尿の原因は感染症だけではありません。以下も考慮が必要です。
おわりに 〜保護者へのメッセージ〜
「おしっこが痛い」と訴える子どもには、さまざまな背景が隠れています。
症状が軽くても腎盂腎炎のリスクがあり、特に乳児で高熱を伴う場合はすみやかな受診が必要です。
また、頻繁に繰り返す場合には、隠れた病気がないかチェックを受けましょう。
早めの受診と適切なケアで、子どもの健康を守りましょう!
監修者
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
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参考文献
- 小児腎臓病学 改訂第3版