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小児喘息を和らげるには?家庭でできる対策と予防法をわかりやすく解説【ベスタの小児科医が解説】

お子さまの「ゼーゼー、ヒューヒュー」という苦しそうな呼吸音。
特に夜間や明け方に突然起こる喘息の発作に、胸が締め付けられる思いをされている保護者の方も多いのではないでしょうか。
「今すぐどうすれば?」「発作を防ぐには?」そんな尽きない不安を、具体的な知識で安心に変えませんか。
この記事では、急な発作時に家庭でできる応急処置の3ステップから、アレルゲン除去や湿度管理といった7つの予防策など、小児喘息(小児気管支喘息)と向き合うための情報を網羅的に解説します。お子さまの健やかな呼吸とご家族の安心のために、ぜひご一読ください。
もくじ
小児喘息の発作時に家庭でできる対処法3ステップ

お子さまが「ゼーゼー、ヒューヒュー」と苦しそうに咳き込んだり、息苦しさを訴えたりする喘息の発作。特に夜間や明け方に起こりやすく、保護者の方にとっては心配な瞬間です。
これからご紹介する3つのステップは、ご家庭でできる応急処置の基本です。
①慌てず楽な姿勢をとらせる
②発作治療薬(リリーバー)を正しく吸入させる
③お腹を使って呼吸させる
いざという時に慌てず行動できるよう、事前に流れをしっかりと確認しておきましょう。
①慌てず楽な姿勢をとらせる
喘息発作が起きたら、まずはお子さまを安心させ、呼吸がしやすい姿勢をとらせることが最優先です。横になると、重力で気道が圧迫され、かえって息苦しさが増すことがあります。
体を起こした姿勢は、横隔膜が下がりやすくなり、肺が広がるスペースを確保できます。これにより、一度に吸える空気の量が増え、呼吸が楽になるのです。
具体的には、以下のような姿勢を試してみてください。
- 椅子に座らせる
- 前かがみの姿勢をとらせる
- 保護者の方が支える
「大丈夫だよ」「ゆっくり息をしようね」と優しく声をかけながら背中をさすってあげることも、お子さまの不安を和らげ、呼吸のリズムを整える上で大切です。
②発作治療薬(リリーバー)を正しく吸入させる
楽な姿勢で少し落ち着いたら、医師から処方されている発作時治療薬(リリーバー)を使用します。この薬は、発作によって収縮して狭くなった気道を素早く広げ、空気の通り道を確保する大切な薬で、気管支拡張薬とも呼ばれます。
必ず事前に処方された薬を、医師の指示通りに使用してください。特に小さなお子さまの場合、吸入補助具(スペーサー)を使うと、薬を肺の奥まで確実に届けることができます。
③お腹を使って呼吸させる
喘息発作が起こると、呼吸が浅くなります。すると効率的に酸素を取り込めないため、さらに呼吸が早くなるという悪循環に陥ります。
そこでお腹を使ってゆっくりと呼吸(腹式呼吸)させるようにしましょう。一般的な胸式呼吸と比べて、より効率的に酸素を取り込めるため喘息発作を和らげる効果に期待できます。以下のポイントを意識するといいでしょう。
- 大きく鼻から吸って口から吐く
- お腹をふくらませる
- 息を吸う時間よりも吐く時間を長くする
ただし、ここで紹介した対処法でも症状が改善しない場合や、呼吸が苦しそうな場合は早めに医療機関を受診してください。
小児喘息の発作を予防する・和らげるための日常生活の対策7選

お子さまのつらい喘息発作は、見ているご家族にとっても本当に心苦しいものです。
実は、日々の生活環境を少し見直すだけで、喘息発作の予防ができます。小児喘息の治療は「発作のない状態を長く保つ」ことが目標です。
ここでは、ご家庭ですぐに実践できる予防策を具体的に解説します。一つひとつの工夫を重ねることで、お子さまが安心して過ごせる時間を増やしていきましょう。
①アレルゲンを除去する
小児喘息の引き金として最も多い原因が、目に見えないアレルゲンです。特に、ハウスダストの中に含まれるダニの死骸やフンは、強力なアレルゲンとして知られています。
ダニは室温20℃以上、湿度60%以上の暖かく湿った環境を好んで繁殖します。これらを取り除く掃除と、ダニが好む環境を作らない換気が、発作予防の基本です。
【今日からできるお掃除のポイント】
- フローリングとカーペットも掃除機をかける
- 布団を乾燥機にかける
- 空気清浄機を活用する
こまめな掃除と換気でアレルゲンが少ない環境を保つことが、気道の炎症を抑え、発作を予防する第一歩です。他にもカビ、動物のフケ、カビなど引き金となりうる抗原はたくさんあります。お子さまが何に苦手かを知り、効率よく環境整備を行うためにアレルギー検査を検討してもよいでしょう。
②湿度を管理する
空気が乾燥すると、気道の粘膜も乾いてしまいます。気道の粘膜には、ウイルスや細菌などの異物の侵入を防ぐバリア機能がありますが、乾燥するとこの機能が低下するのです。
その結果、粘膜が刺激に過敏になり、わずかな刺激でも咳き込んだり、発作を起こしたりする原因となります。特に、冬場やエアコンの使用中は空気が乾燥しやすいため加湿器を活用しましょう。
加湿器がない場合でも、洗濯物の室内干しや、濡れたタオルを室内に干すだけで湿度を上げることができます。お子さまの気道を刺激から守るために、ぜひ「うるおい」を意識した環境づくりを心がけてください。
ただし、加湿しすぎるとダニにとって過ごしやすい環境になるので注意しましょう。
③喫煙を避ける
ご家族の中に喫煙される方がいる場合、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。それはタバコの煙は、喘息のお子さまにとって最も避けるべき有害な刺激物の一つだという点です。
タバコの煙に含まれる数百種類もの有害化学物質は、気道の粘膜を直接傷つけ、慢性的な炎症を悪化させます。その結果、発作を誘発するだけでなく、普段使っている喘息治療薬の効果を弱めてしまうことさえあります。
お子さまの健やかな呼吸を守ることは、ご家族全員の協力があってこそ実現できます。禁煙は簡単ではありませんが、禁煙外来など専門家のサポートも利用しながら、お子さんを受動喫煙から守りましょう。
④季節の変化に注意して体調を整える
「季節の変わり目に体調を崩しやすい」「台風が近づくと咳が増える」といった経験はありませんか。気温や湿度、気圧の急激な変化は自律神経のバランスを乱し、気道を過敏にさせることがあります。
そのため、天候の変化が喘息発作の引き金になることは少なくありません。お子様によっては毎年この時期になると咳がひどくなるといった苦手な季節が定まっている場合も多いです。苦手な季節がわかると、その季節だけ治療強度を強くするといった、その子にあった治療を行うことも可能なので、かかりつけ医の先生としっかり相談しましょう。
⑤冷たい空気を避ける
冷たい空気は気道を刺激して、喘息発作を誘発するおそれがあるため注意が必要です。実際、スーパーの冷凍コーナーを通った後に発作が起こることもあります。同様に、暑い外から冷房の効いた室内に入ったときも、急激な温度変化が気道を刺激する可能性があります
発作を防ぐためには、冷気を急に吸い込まないようにしたり、涼しい室内に入るときはマスクを着用したりするのが有効です。
⑥身体を動かす前後に呼吸を整える
「体育の授業の後や、友達と走り回って遊んだ後に咳がひどくなる」というお子さまは、「運動誘発喘息」かもしれません。
これは、運動時に呼吸が速く浅くなることで、冷たく乾いた空気が大量に気道に入り、気道が刺激されて狭くなるために起こります。
しかし、喘息だからといって運動を諦める必要は全くありません。むしろ、体力や心肺機能の向上は、長期的な喘息管理に良い影響をもたらします。適切な対策をとれば、多くの場合、安全に運動を楽しめます。
運動誘発喘息を防ぐためには、ウォーミングアップとクールダウンが重要です。
運動を始める10〜15分前から、軽いストレッチやジョギングで体を徐々に温めましょう。急に激しい運動を始めると気道に大きな負担がかかるため、体を慣らしておくことが大切です。
また運動が終わった後は5〜10分かけてウォーキングや深呼吸、ストレッチなどを行い、徐々に心拍数と呼吸を落ち着かせましょう。
⑦発作が起きていないときも薬を服用する
小児喘息の治療で使うお薬には、目的が全く異なる2つの種類があります。1つは先ほどもご紹介した発作治療薬(リリーバー)です。主に発作をしずめるために用いられます。今でている咳を改善させたるために使用します。
もう一つは、長期管理薬(コントローラー)と呼ばれるタイプです。気道の「見えない炎症」を継続的に抑え、発作そのものを起こしにくくする予防するための薬だとイメージしておくといいでしょう。
長期管理薬は、喘息の根本原因である気道の炎症を良い状態で管理し、発作のない状態を維持します。咳やゼーゼーといった症状がないときも、毎日決まった時間に定期的に服用しましょう。喘息の管理は咳がでていない時が一番大事です。
まとめ
今回は、小児喘息の発作が起きたときの対処法から、発作を未然に防ぐための日常生活での工夫についてご紹介しました。
お子さまのつらい咳や息苦しさを目の当たりにすると、保護者の方はとても不安になりますよね。しかし、喘息は正しい知識を持って対応すれば、症状を上手にコントロールできる病気です。発作時の冷静な対処はもちろん、アレルゲン対策や湿度管理といった日々の予防が、穏やかな毎日につながります。
お子様の喘息発作の対応でお悩みや不安があればぜひ当院にご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
