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赤ちゃんの発熱、髄膜炎の可能性は?見逃せない受診のサインと判断基準
「体が熱い」「いつもより元気がない」 言葉を話せない赤ちゃんの体調変化は、ご家族にとって本当に心配なものです。
髄膜炎は、脳や脊髄を包む膜に炎症が起きる病気です。確かに怖い病気ではありますが、ワクチン(予防接種)の普及によって、重症化するタイプは激減しています *1)。 大切なのは、「急いで受診すべきサイン」を知っておくことです。
この記事では、西武池袋線「中村橋駅」から徒歩1分のベスタこどもとアレルギーのクリニックが、パパ・ママの不安を少しでも和らげ、適切な行動がとれるよう、ポイントを絞って解説します。

もくじ
まず確認!急いで受診すべき「危険なサイン」
「様子を見ていいのか、すぐに病院へ行くべきか」。迷ったときは、以下のチェックリストを確認してください。
特に生後3ヶ月未満の赤ちゃんで38℃以上の熱がある場合は、髄膜炎に限らず重い感染症の可能性があるため、昼夜を問わず直ちに受診が必要です *2)。
緊急性が高い症状(すぐに受診を)
もし一つでも当てはまる場合は、迷わず医療機関にご相談ください。
- 視線が合わない:あやしても笑わない、目がうつろで反応が鈍い。
- 激しく泣き続ける、泣き声が弱い:抱っこしても泣き止まない、または逆に泣く力もなくぐったりしている
- 大泉門(だいせんもん)の膨らみ:頭のてっぺんにある、骨の継ぎ目の柔らかい部分がパンパンに張っている。
- 嘔吐を繰り返す:飲んでもすぐに噴水のように吐いてしまう(1〜2回ではなく繰り返す)。
- 首が硬い(項部硬直):オムツ替えなどで足を持ち上げた時や、抱っこの時に首を嫌がって突っ張る。
小児科医からのアドバイス 「なんとなくいつもと違う」という保護者の方の直感は、医学的にも非常に重要です。数値や症状名に当てはまらなくても、親御さんが「おかしい」と感じたら、それは受診する十分な理由になります。
髄膜炎には「ウイルス性」と「細菌性」があります
髄膜炎は原因によって大きく2種類に分けられます。それぞれ緊急度や治療法が異なります。
ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)
- 原因: おたふくかぜ、エンテロウイルス(夏風邪の一種)など。
- 症状: 発熱、頭痛、嘔吐など。
- 特徴: 細菌性に比べると症状は比較的軽く、後遺症を残さずに自然に回復することが多いです。
- 治療: 特効薬はないため、おうちで安静にして水分を摂るなどの対症療法が中心になります。
細菌性髄膜炎
- 原因: ヒブ(インフルエンザ菌b型)、肺炎球菌などの細菌。
- 症状: 高熱、激しい頭痛、けいれん、意識障害など。
- 特徴: 非常に緊急度が高い病気です。治療が遅れると命に関わったり、難聴や発達への影響が残るリスクがあります。
- 治療: 必ず入院が必要です。診断がついた時点、あるいは疑わしい時点ですぐに抗菌薬(抗生物質)の点滴を開始します。
現在はワクチンの効果で、より重症な「細菌性髄膜炎」は非常に稀になっていますが、ワクチン未接種の生後2か月までは要注意です。 *3)。多くの場合はウイルス性ですが、これを見分けるためには専門的な検査が必要です。

小児科での検査:どうやって見分けるの?
クリニックや病院では、まず全身の状態を診察します。 「細菌性髄膜炎」の疑いが強いと判断された場合、連携している大きな病院へ紹介し、確定診断のための検査を行います。
髄液検査(腰椎穿刺:ようついせんし)
背中の腰の部分から細い針を刺し、脳と脊髄を覆っている液体(髄液)を少しだけ採取します。 「背中に針を刺すなんて痛そう、怖い」と思われるかもしれませんが、これは髄膜炎かどうかを白黒はっきりさせる唯一の確実な方法です。 局所麻酔などを使用し、医師が安全に配慮して行います。この検査を避けて診断が遅れるリスクの方が、赤ちゃんにとっては大きな負担となります。
治療と入院について
入院後の難しい治療の話よりも、「これからどうなるか」の大まかな流れを知っておくと安心です。
ウイルス性の場合:おうちでケアできることも
特効薬はないため、自分の免疫力で治すのを助ける治療(対症療法)になります。 水分が摂れていて比較的元気なら、自宅で安静にして様子を見ることが可能です。頭痛や嘔吐がひどい場合は、脱水を防ぐために入院して点滴を行うこともあります。
細菌性の場合:必ず入院が必要です
こちらは時間との勝負です。 治療期間は原因菌によりますが、約1〜3週間程度の入院が必要です *1)。医師や看護師が24時間体制で、お子さんの全身状態を管理し、点滴治療を行います。
ママ・パパができる一番の予防法

髄膜炎、特に怖い「細菌性髄膜炎」から赤ちゃんを守る最強の手段は、**ワクチン(予防接種)**です。
確実に受けてほしい定期接種
以下のワクチンは、細菌性髄膜炎の主な原因菌をブロックします。デビュー時期(生後2ヶ月)が来たら、すぐに接種を開始しましょう。
- ヒブ(Hib)ワクチン
- 小児用肺炎球菌ワクチン
これらのワクチンが登場する前は、年間多くの赤ちゃんが髄膜炎にかかっていましたが、現在は劇的に減少しています *4)。 また、任意接種の「おたふくかぜワクチン」も、ウイルス性髄膜炎の予防に有効です。
まとめ:迷ったら相談を
赤ちゃんの髄膜炎は早期発見が何より大切です。 しかし、ご家庭で医学的な判断をする必要はありません。「熱が高いな」「ミルクを飲まないな」と不安に感じたら、まずはかかりつけ医に見せてください。
専門医が診察し、「今のところ大丈夫、風邪の可能性が高い」と言われるだけでも、大きな安心につながるはずです。 ベスタこどもとアレルギーのクリニックは、練馬区の皆様の子育てを医療の面から全力でサポートします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 赤ちゃんの「大泉門が膨らむ」とは、どのような状態ですか?
- 大泉門は、赤ちゃんのおでこの上部にある、骨と骨の隙間の柔らかい部分です。普段は平らか、少しへこんでいますが、髄膜炎などで脳の圧力が高まると、ここがパンパンに張り、外側に膨らんでくることがあります。触れると普段より明らかに硬く感じます。この症状がある場合は、早急に受診してください。
Q2. 髄膜炎は人から人にうつりますか?
- 原因となるウイルスや細菌は、咳やくしゃみ(飛沫感染)、便(接触感染)などを通じてうつることがあります。ただし、菌をもらったからといって必ず髄膜炎になるわけではありません。多くは風邪症状で終わりますが、手洗いなどの基本的な感染対策は大切です。
Q3. 熱が下がれば、髄膜炎の心配はありませんか?
- 一時的に熱が下がっても、不機嫌が続く、ぐったりしている、嘔吐するといった症状が残る場合は注意が必要です。熱の高さだけでなく、「全身の状態(元気さ、顔色、水分摂取)」を総合的に見ることが大切です。
Q4. 夜間に高熱が出ました。朝まで待ってもいいですか?
- 生後3ヶ月未満の赤ちゃんの場合は、免疫が弱いため、夜間であっても救急外来の受診を推奨します。3ヶ月以上で、水分が摂れていて眠れている(視線が合う、あやすと反応する)ようであれば、翌朝の受診でも可能な場合が多いですが、迷う場合は「#8000(小児救急電話相談)」なども活用してください。
Q5. ベスタこどもとアレルギーのクリニックへは車で行けますか?
- はい、お車でもご来院いただけます。当院は提携駐車場(40台)をご用意しております。西武池袋線「中村橋駅」からも徒歩1分と近く、練馬区外からもアクセスしやすい立地ですので、天候の悪い日やお子様の具合が悪い時でも安心してご来院ください。
医療上の免責事項
本記事の情報は、2026年2月時点の医学的知見に基づいています。病気の診断や治療は、個々のお子さんの状態によって異なります。必ず医師の診察を受けて、直接の指導に従ってください。
引用文献 (References)
- 1) 日本小児科学会, 日本小児神経学会, 日本小児感染症学会 (2014) 『小児細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014』, 南山堂.
- 2) American Academy of Pediatrics (2021) ‘Fever in Infants and Children’, HealthyChildren.org.
- 3) Okubo, Y. et al. (2018) ‘Impact of the national immunization program on the incidence of bacterial meningitis in children in Japan’, Vaccine, 36(30), pp. 4480-4486.
- 4) 厚生労働省 (2013) 『ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化について』.
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
