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新型コロナと診断された。ホームケアと受診目安・最新の重症化リスクを解説
お子さまが新型コロナウイルス感染症と診断され、とても驚かれたことかと思います。
クリニックでは、「他の風邪と同じように対応すれば大丈夫です。」と言われたものの、「以前は重症化についてさんざん報道されていた感染症だし、本当に大丈夫なのだろうか?」と考える人もいるのではないでしょうか。
今回は、
- 自宅でのケアの方法、気を付けるべきポイントは?
- 再受診の目安は?
- 現在の重症化リスクはどうなっているのか?
これらについて、最新のエビデンスをもとに解説します。
もくじ
新型コロナウイルス感染症と診断された時の基本のホームケア

お家でできるケアの基本は、いつもと同じです。
新型コロナだからといって、特別に注意すべき症状はなく、普段の風邪の時と同じようにケアをしていきましょう。
ゆっくりと休める環境を整え、こまめに様子を見てあげてください。
お薬が処方されている場合は、医師の指示通りに飲ませてあげましょう。
発熱時の対応と水分補給のポイント
熱が高くても、お子さまの機嫌がよく、スヤスヤ眠れていているようであれば、解熱薬を使用する必要はありません。
ただ、熱のせいで眠れない、つらそう、機嫌が悪いという場合は、解熱剤を上手に使ってください。医師から指示された使用間隔をしっかり守っていれば、繰り返し解熱薬を使っていただいても問題ありません。
水分は一度にたくさん飲ませるのではなく、こまめに与えるのがコツです。
どうしても飲んでくれないときは、口当たりが良くて飲み込みやすいゼリー飲料やアイスクリーム、冷ましたスープなど、お子さまが好むもので水分を補ってあげてください。
咳や鼻水が苦しい時のケア
咳がひどい時は、上半身を少し高くして寝かせると呼吸が楽になることがあります。
お部屋が乾燥していると咳が出やすくなるため、加湿器などで湿度を保ちましょう。
鼻水が詰まって息苦しそうな時は、市販の鼻水吸引器を優しく使ってあげてください。
受診の目安と危険なサイン

以下のような場合は診療時間内に早めの受診をご検討ください。
- 熱が3日以上続いていて下がる気配がない
- 水分が半日以上まったく摂れず、おしっこが少ない
- 咳がひどくて夜も十分に眠れていない
以下のサインがある場合は、急いで医療機関を受診しましょう。
- 肩で息をしていて、呼吸がゼーゼーと苦しそう
- 顔色や唇の色が青白く、声をかけても反応が鈍い
- けいれんが5分以上続く、または短いけいれんを繰り返す
家庭内感染を防ぐためにできること

看病する大人が、感染者の看病を行う際にはマスクを着用してこまめに手を洗うようにしてください。
感染者との食事の時間をずらしたり、定期的に窓を開けて換気するのも効果的です。
感染する危険があるのはいつからいつまで?
発症の2日前から発症後5日間程度が、最もウイルス排出量が多く、感染力が高い期間ですが、それ以降(5-10日以上)もウイルスは排泄されています。
症状がよくなったからといって油断しないことが大事です。
お風呂はどうすればいいですか?
湯船のお湯を介して感染するリスクは低いとされていますが、感染しているお子さまのお風呂を最後にし、入浴後は窓を開けて換気をしていただくとより安心です。
保育園や学校にはいつから行けるようになりますか?

「発症した日を0日として5日間が経過し、かつ症状が軽快してから24時間」
が原則です。
例)1月1日に発症(=0日)したら、1月6日(=5日)まで休んで、1月7日(=6日)から登園登校することが出来ます。
新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことに伴い、文部科学省が『学校保健安全法施行規則』を改正し、学校・幼稚園における出席停止の基準として明記しました。
保育園についても、厚生労働省が示す『保育所における感染症対策ガイドライン』において、この学校の基準に準じた取り扱いが推奨されています。
ただし、施設ごとにルールが異なる場合があるため、通われている園や学校にも一度確認してみてください。
小児の新型コロナウイルス感染症、最新の重症化リスクとは

まず第一に、”重症化することは非常にまれ”です。
私たち小児科医の持っている臨床現場の感覚としては、数日以内に軽快する方がほとんどで、重症化して入院になってしまった患者さんはとても少ないという印象です。
日本公衆衛生雑誌の新型コロナウイルス感染症の疫学調査を紹介します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第6波:小児の疫学調査
第6波(オミクロン株流行下)の時に京都府で行われた疫学調査です。
2022年1月15日から2022年5月31日までの期間に、保健所管内で発生届が提出されたすべての小児陽性者(7,980人)を対象として入院率や重症度を算出しています。
”小児患者7,980人のうち、入院したのはわずか24人(0.3%)”であり、”入院した患者のうち重症例は0人”であったというデータが示されています。
以下は入院患者24人の内訳です。
年齢
- 生後21日から14歳まで
- 年齢の中央値は3歳
性別
- 男児11人
- 女児13人
重症度
- 軽症: 22例
- 中等症Ⅱ: 2例
- 重症: 0例
入院の理由
- COVID-19の症状が悪化したため(脱水・経口摂取不良、けいれんなど): 15例
- 低月齢だったから: 4例
- 他疾患(脳腫瘍、鼠径部膿瘍)が入院の理由で、COVID-19にも感染していた: 2例
- 社会的入院(家族の感染で療養できなくなった、など): 3例
基礎疾患
- あり: 7例
- なし:17例
このように、多くのお子さまはご自宅でのケアで順調に回復へと向かいます。
落ち着いて様子を見てあげてください。
基礎疾患があるお子さまのリスクについて

一方、もともと特定の病気があるお子さまは、少し注意が必要です。
小児科学の世界的権威である学術誌『Pediatrics』に2025年に掲載された、米国の大規模な最新データを紹介します。
Pediatrics: Hospitalization for COVID-19 and Risk Factors for Severe Disease Among Children
2022年10月〜2024年4月の間に、新型コロナで入院した小児患者2,490人の報告です。
927人(36.5%)が「重症」と判定され、特に慢性的な肺の病気、心臓の病気、糖尿病、神経の病気などがある場合は、重症化リスクが1.4倍から1.9倍高くなることがわかりました。
「重症」と判定された927人の内訳
- ICU(集中治療室)への入室: 638人
- 高流量鼻カニュラ(HFNC): 419人
- 非侵襲的陽圧換気(CPAP、BiPAPなど): 175人
- 人工呼吸器(気管挿管): 164人
- ECMO(体外式膜型人工肺): 10人
- 院内での死亡: 14人
このように命に係わる事態にまで発展する場合もごくまれにあり、注意しなければいけない感染症であることがわかります。
「重症」927人の基礎疾患について
- 慢性肺疾患(喘息を含む): 63人
- 心血管疾患: 63人
- 神経疾患: 43人
- 早産による慢性肺疾患: 33人
- 血液疾患: 13人
赤ちゃんの場合は、「早産」「心疾患」「肺疾患」に注意が必要であることがわかります。
- 神経疾患: 148人
- 慢性肺疾患(喘息を除く): 147人
- 喘息 / 反応性気道疾患: 147人
- 肥満: 104人
- 心血管疾患: 46人
- 免疫不全状態: 44人
- 糖尿病: 36人
- 慢性代謝疾患(糖尿病を除く): 35人
- 血液疾患: 22人
おわりに
お子さまが新型コロナと診断されると、不安でいっぱいになってしまいますよね。
お伝えしたように、現在では多くのお子さまが軽症ですみ、ご自宅でのケアで元気に回復していきます。基本は普段のお風邪と同じように、水分をとってゆっくり休ませてあげてください。
ただ、特定の持病があるお子さまや、息苦しそうなサインが見られる時は、早めに医療機関を頼ってください。ご家族の迷いや不安に寄り添い、一緒にサポートさせていただきますので、心配な時はいつでも当院にご相談ください。
#医療上の免責事項
本記事は一般的な医学的情報を提供するものであり、個別の診断や治療を代行するものではありません。
症状には個人差がありますので、お子さまの様子で気になることがある場合は、自己判断をせずに医療機関を受診してください。
特に夜間や休日で急を要する症状が見られる場合は、救急医療機関の受診や救急車の要請を速やかにご検討ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
