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子どものけいれんが起きたら?<保護者向け対応マニュアル>
目の前でお子さまが突然けいれんを起こしたら、誰でも頭が真っ白になってしまうものです。
「このままどうにかなってしまうのでは」と不安になるのは、親として当然の感情です。
しかし、子どものけいれんの多くは、数分でおさまる良性のものです。
いざという時に少しでも落ち着いて対応できるよう、この記事をブックマークしておくことをお勧めします。
もくじ
まず結論から:けいれんが起きた時の3つの基本

けいれんが起きたら、まずはご自身の深呼吸から始めましょう。
お子さまを守るために、以下の3つを順番に行ってください。
* **1. 時計を見る**
けいれんが「何分続いたか」は、受診時にとても重要な判断材料になります。
まずは開始時間を声に出して確認しましょう。
* **2. 安全な場所に寝かせる**
周囲の危険なものを遠ざけ、平らな場所に寝かせます。
嘔吐(おうと:胃の中のものを吐いてしまうこと)した場合に備え、顔と体を横に向けましょう。
* **3. 衣服をゆるめる**
首周りのボタンやファスナーを外し、呼吸をしやすい状態にしてあげてください。
そのまま、けいれんが自然に止まるのを待ちます。
やってはいけないNGな対応

良かれと思ってやってしまう行動が、かえって危険を招くことがあります。
以下の行動は避けるよう心掛けてください。
* **口の中に物を入れる**
「舌を噛むから」とタオルや指を入れるのは、窒息の原因になり大変危険です。
子どものけいれんで舌を強く噛み切ることはまれですので、安心してください。
* **体を激しく揺さぶる**
意識を戻そうと大声で呼んだり、体を揺さぶったりしないでください。
脳に負担をかける可能性があるため、静かに見守ることが大切です。
* **強く押さえつける**
けいれんの動きを無理に止めようと、体を強く押さえつけるのも避けましょう。
関節や筋肉を傷めてしまう恐れがあります。
救急車を呼ぶべき「危険サイン」(目安)

多くは数分でおさまりますが、以下のような条件にあてはまる場合は注意が必要です。
ためらわずに119番通報で救急車を呼んでください。
- けいれんが「5分以上」続いているとき
- 顔色や唇が紫色になり、呼吸が弱いとき
- 体の「片側だけ」がピクピクしているとき
- けいれんがおさまっても、意識が戻らないまま2回目が起きたとき
条件に当てはまらなくても、心配な点があれば救急車を呼んでも大丈夫です。
救急車を呼ぶべきか迷ったときは、救急相談窓口(#7119など)へ相談しましょう。
落ち着いてから確認したいこと

けいれんが無事におさまり、お子さまの呼吸が落ち着いたら、受診の準備をします。
医師に以下の様子を伝えていただけると、スムーズな判断の助けになります。
- * **どんな動きだったか**(両手足か、体の一部か、突っ張る感じか)
- * **何分間続いたか**
- * **熱はあったか**(けいれん前後の体温)
- * **視線は合っていたか**(白目をむいていたか、など)
もし余裕があれば、スマートフォンで数秒でも動画を撮っておくと非常に役立ちます。
顔や一部の手足でなく、身体全体を撮影してください。
小児期に多い「熱性けいれん」とは

1歳から5歳くらいのお子さまで、発熱に伴って起きるけいれんを「熱性けいれん」と呼びます。欧米と比べて、日本人は熱性けいれんが起こりやすく、約7〜10%が経験すると言われています。
急激に熱が上がるときに、未熟な脳が刺激を受けて起きてしまう症状です。
多くは成長とともに脳が発達し、小学校に上がる頃には自然に起きなくなっていきます。
過度に心配しすぎず、かかりつけ医と相談しながら成長を見守りましょう。
FAQ
けいれん中にスマートフォンのカメラで動画を撮ってもいいですか?
はい、可能であればぜひ撮影をお勧めします。口元の動きや目線、手足の様子などの動画は、医師が正確な診断を行うための非常に重要な判断材料になります。
熱性けいれんは、再発しますか?
お子さまの体質などにより、また次に熱が出たときに再発しやすい方もいらっしゃいます。痙攣時間が長い場合や頻繁に熱性けいれんを繰り返す場合は、予防薬を使用することもあります。かかりつけの小児科医に相談して方針を決めていきましょう。
けいれんがおさまった後、すぐにいびきをかいて寝てしまいましたが大丈夫ですか?
けいれんの後は、脳がエネルギーを使って疲れてしまい、深く眠り込んでしまうことがよくあります。顔色がよく、胸やお腹が一定のリズムで動いて呼吸が安定していれば、しばらく様子を見て構いません。
けいれん中に舌を噛まないか心配で、つい手を入れてしまいそうになります。
子どものけいれんで舌を強く噛み切るような大ケガにつながることは非常にまれです。むしろ、口にタオルや指を入れる方が、嘔吐したものを詰まらせたり窒息したりするリスクが高まり大変危険ですので、口には何も入れないでください。
短いけいれんの後、夜間でもすぐに救急外来へ行くべきですか?
けいれんが5分以内におさまり、その後意識がしっかり戻って顔色も良ければ、翌日の診療時間内に通常の小児科を受診する形で良いケースが多いです。ただし、不安が強い場合や判断に迷う場合は、夜間救急相談などをためらわずにご活用ください。
**【医療上の免責事項】**
本記事は一般的な医学的情報の提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。お子さまの症状にご不安がある場合は、自己判断せず、必ず医療機関を受診するか、医師にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
