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小児喘息の入院レベルは?入院すべき症状の目安と入院中の治療内容

子どもの止まらない咳や、ゼーゼーと苦しそうな呼吸音を聞くたびに、胸が締め付けられるような思いをしていませんか。夜間や休日、救急車を呼ぶのか、朝まで様子を見るのかなど保護者にとって難しい判断です。
この記事では、小児喘息で見られる入院レベルの危険なサインを解説します。注意が必要な呼吸や症状、家庭でできる対応も紹介します。子どもの体を守るための正しい知識を身につけ、親子で安心して過ごせる日々を送りましょう。
もくじ
【要注意】小児喘息で入院を考える症状の目安

喘息発作は急に悪化することもあるため、入院が必要なサインを知っておくことが大切です。ここでは、自宅での対応が難しくなる子どもの状態を解説します。
呼吸が苦しく会話・食事・睡眠が難しい
日常生活に支障をきたすほどの呼吸困難があると、次のような動作が難しくなることがあります。

睡眠が取れないほど苦しいときは、夜間に症状進行のリスクがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
陥没呼吸・呼吸数の増加が見られる
陥没呼吸や呼吸数の増加など、呼吸症状が重い場合も入院の目安となります。
喘息発作が強くなると、普段は使わない筋肉まで使って酸素を取り込もうとします。喉の気道が狭くなった状態で空気を通そうと、全身を使って呼吸をしているように見えるのが努力呼吸の特徴です。
喘息が悪化する兆候として、息を吸うときに鎖骨の上や肋骨の間、胸の下がへこむ「陥没呼吸」や、鼻の穴がピクピクと広がる「鼻翼呼吸」が見られることがあります。呼吸数が普段より多く、肩を上下させながら息をしている場合も注意が必要です。
子どもの安静時に、以下の表を参考に呼吸を数えてみましょう。(※1)*改変

乳幼児は呼吸器が未発達なため、努力性呼吸の状態が続くと、呼吸不全に陥る可能性があります。
喘鳴が強く吸入しても改善しない
ゼーゼーと喘鳴が強く、自宅で吸入薬を使っても症状が改善しない場合は、入院による治療が必要になることがあります。
吸入薬が効きにくい背景には、気道の炎症が強く、一時的な対応だけでは呼吸の通り道が広がらない状況があります。ウイルス感染をきっかけに喘息が悪化し、自宅での対応が難しくなるケースもあります。(※2)
吸入後、数時間以内に再び症状が強まる、吸うときにも音が混じるなどの症状がある場合は、重症化の可能性があります。喘鳴の呼吸音が消えたのに、苦しそうな様子が続くときも慎重に観察しましょう。
吸入薬が効かない状態では、点滴によるステロイド治療や持続的な吸入など、専門的な医療が必要となることがあります。吸入薬の効果が薄いと感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
チアノーゼが出て意識がぼんやりする
チアノーゼや意識がはっきりしない様子が見られる場合は、命に関わる緊急状態の可能性があります。体に十分な酸素が行き渡っていないと、唇や爪の色が変わり、反応や元気が急に低下します。
このような変化は、重い呼吸のトラブルや全身状態の悪化を示すサインで、様子見は危険です。次のような状態が1つでも当てはまる場合は、すぐに医療機関へ連絡して指示を仰ぎましょう。
- 唇や爪の色が紫色になる
- 顔色全体が青白い、土気色になっている
- 遊んだり動いたりする元気がない
- 名前を呼んでも反応が鈍い、視線が合わない
- 受け答えがぼんやりしている
- 泣き叫んでいた状態から、ぐったりと静かになる
これらが見られたら、迷わず救急要請を検討することが大切です。
自宅で様子を見る場合の注意点

子どもが喘息発作を起こしたときは、まず上体を起こして座らせ、呼吸しやすい姿勢を保ちます。処方されている吸入薬があれば、医師の指示どおりに使用してください。常温の水やお茶を少量ずつ飲ませることで、痰が出やすくなります。
また、呼吸しやすくするために衣服の締め付けを緩めることも大事です。空気が乾燥すると喘息発作が起きやすくなるので室内は加湿しましょう。
不安が強まると呼吸が乱れて、喘息を悪化させる悪循環に陥ります。背中を優しくさすり、落ち着いた声掛けをすることもポイントです。
こうした対応でも改善が見られなければ、早めに医療機関へ相談してください。
小児喘息の入院中に行われる主な治療内容

ここでは、小児喘息で入院した場合に行われる主な治療内容を解説します。
酸素療法
酸素療法は、血液中の酸素濃度(SpO2;体に十分な酸素が行き渡っているかを示す数値)が低下している際、体内に十分な酸素を取り込めるよう補助する治療です。
小児喘息のSpO₂の値は、発作の重症度を判断する指標です。96%以上であれば軽い発作とされ、92〜95%では注意が必要な状態と判断されます。SpO₂が91%以下になると重症化が疑われ、90%を下回ると呼吸不全の可能性がある状態です。(※2)
子どもの年齢や状態に合わせて、鼻にチューブをつけたり、酸素マスクを使ったりしながら、必要な酸素を届けます。家庭では難しい24時間の酸素管理により、呼吸の苦しさが軽減され、全身状態の回復を促されます。。
気管支拡張薬
気管支拡張薬には、以下の表のように「発作時に使う即効性のあるもの」と「予防のために日常的に使うもの」の2つの役割があります。

入院治療では、ネブライザー(液体を霧状にして吸入する医療機器)を使った吸入や、重い症状には点滴での投与など、状態に合わせた対応が行われます。吸入療法は、自然な呼吸に合わせて薬を肺の奥まで届けられるため、深く息を吸うのが難しい赤ちゃんや小さな子どもにも推奨されます。
ステロイド薬
喘息の発作は、気道が炎症を起こして腫れ、空気の通り道が狭くなることで起こります。こうした症状を緩和するために、ステロイドを用いるケースもあります。
気管支拡張薬が一時的に息をしやすくする薬であるのに対し、ステロイド薬は炎症そのものを抑え、発作を繰り返しにくくするための治療です。中等度〜重い発作では、まず点滴で体に直接薬を入れ、早めに炎症を落ち着かせます。
症状が改善してきたら、投与を終わりにするか、量を減らしていくのが一般的です。病院では子どもの年齢や体重、症状に合わせて必要最小限の量を使います。過度に心配する必要はありませんが、不安があれば医師に相談してみましょう。
輸液療法(点滴)
喘息発作で激しい呼吸が起こると、体内の水分が失われやすくなります。呼吸が苦しくて飲食が難しくなるため、子どもは脱水状態に陥りやすいです。
体が脱水傾向になると、気道の中の痰が粘つくため、空気の通り道をふさいで症状を悪化させる可能性があります。輸液療法は、体内の水分を補うことで痰をやわらかくし、気道の詰まりを改善するのに役立ちます。
点滴では、血管から直接水分や電解質、糖を補うのが基本です。点滴のルートを確保しておくことで、気管支拡張薬やステロイド薬をすばやく投与できるようになり、急な体調の変化にも対応できます。
小児喘息の入院期間・退院の目安

小児喘息の入院期間は、入院時の重症度や子どもの治療への反応などによって異なります。ここでは、入院期間や退院の目安を解説します。
軽症〜中等症の場合:2〜4日程度が目安
軽症〜中等症の場合、入院期間は2〜4日程度が目安です。入院後の治療は、以下のような流れが一般的です。
退院前には、自宅で継続する薬の使い方や日常生活での注意点を確認し、安心して退院できるよう準備を整えましょう。
重症発作の場合:数日〜1週間以上かかることもある
陥没呼吸が見られたり、酸素投与が長引いたりする重症発作の場合は、入院期間が数日〜1週間以上に及ぶこともあります。
重い喘息発作では、気道の炎症が強く全身の酸素が不足しているため、集中的な治療を行わなければなりません。気道の腫れが引くまでには一定の期間が必要です。だるさで食事がとれなかったり、肺炎を併発したりする場合には、それぞれに応じた治療も並行して行います。
容体が変化しやすい乳幼児は、酸素投与や点滴治療が必要になる可能性が高いため注意が必要です。症状のピークを乗り越えたあとも、薬を減らして再発がないかを確認するため、数日間の経過観察が行われます。
退院の判断基準
喘息発作が落ち着き、自宅で安全に過ごせる状態になれば退院が検討されます。退院の可否は医師が総合的に判断しますが、以下のチェックリストも参考にしてみてください。(※3)
- 苦しそうな呼吸や喘鳴がない
- 夜に眠れている
- 酸素なしでSpO₂が97%以上ある
- 食事や水分を普段の8割程度はとれている
- 元気が出て、遊んだり話したりできる
- 処方された吸入薬や飲み薬を、家族が正しく扱える
- 退院後の注意点や、もしもの対応方法を理解している
退院後も発作を繰り返さないように、かかりつけ医のもとでの治療を継続していくことが重要です。
入院中にあると便利なもの
入院中は着替えや食事など日常生活を病院の中で過ごすので、最低限の生活用品を準備しておきましょう。保険証や入院に関する書類以外では、入院する日数分の着替えが必要です。
衣服は動きやすく、診察しやすいものを用意しましょう。前開きのパジャマは、診察や点滴のときに腕や胸元を出しやすく、着替えのストレスも減ります。
症状が重い場合、しばらくは寝たきりになる可能性があります。その場合は、ストロー付きのコップを持参すれば、寝たまま水分を取りやすくなります。
費用の目安
入院費は地域や家庭の状況によって変わりますが、子どもの場合は「乳幼児医療費助成制度」により、多くの地域で自己負担が軽くなることがあります。
また医療費が一定金額を超えた場合は、高額療養費制度により支払いが一定額に抑えられるケースもあります。費用が心配なときは、お住まいの自治体の助成内容や、医療証が使えるかを事前に確認しておくと安心です。
一方で、医療費とは別に差額ベッド代(個室料金)や食事代などがかかる場合があります。
まとめ
子どもに喘息発作が起きたとき、入院が必要な状態かどうかを判断することは、子どもの安全を守るうえで大切です。呼吸の状態は変化しやすく、自宅でのケアだけでは対応が難しくなることもあります。
陥没呼吸や顔色の悪さが見られるときは、酸素吸入や点滴など病院での専門的な治療が必要です。入院期間は、軽ければ1日程度で済むこともありますが、重い場合は1週間以上かかる可能性があります。気道の炎症を抑えることで、退院後も落ち着いた生活を送りやすくなります。
ベスタこどものアレルギーでは、喘息の重症度に応じた治療ができる体制を整えています。子どもの呼吸がいつもより苦しそうと感じたら、早めにご相談ください。
参考文献
- 総務省消防庁:「緊急度判定プロトコルVer.3」
- 日本小児アレルギー学会:「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023」
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
