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子どものものもらいは治る?原因・治療・登校目安と受診基準を解説

「昨日は何ともなかったのに、朝起きたら子どもの目がパンパンに!」そんな突然の出来事にドキッとした経験はありませんか。子どもに多い「ものもらい」ですが、その原因のほとんどは私たちの皮膚にいる身近な常在菌です。
ものもらいは他人にうつる病気ではありません。しかし「そのうち治るだろう」という自己判断で放置するのは禁物です。正しい対処をしないと症状が悪化し、まれに切開が必要になるケースもあります。
この記事では、ものもらいの原因や症状の見分け方、病院を受診する明確な基準、再発させないための生活習慣まで保護者のあらゆる疑問に詳しくお答えします。
もくじ
ものもらいとは?

ものもらいはまぶたにある汗や皮脂を分泌する小さな腺に、細菌が感染することで炎症が起こる病気です。地域によっては「めばちこ」や「めいぼ」などさまざまな呼び名があります。
特に小さなお子さんは、免疫機能がまだ十分に発達していません。遊びに夢中になるあまり、汚れた手で無意識に目をこすってしまうことも多く、大人に比べてものもらいになりやすい傾向があります。
ものもらいは正しい知識を持って適切に対処すれば、きちんと治すことができます。まずは正しい知識を身につけましょう。
①ものもらいの原因
「黄色ブドウ球菌」と聞くと心配になりますが、これは誰の皮膚にもいる細菌です。
子どもは、遊んでいる途中に目を触ったり、汗をふいたタオルを共有してしまうなど、細菌がまぶたに入りやすい行動が多いのが特徴です。
特にアトピー性皮膚炎などで皮膚が荒れやすい子は、バリア機能が弱く感染しやすいため、早めのケアが重要です。
②ものもらいの種類
一般的に「ものもらい」と呼ばれる病気には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」の2つの原因が存在します。
ものもらいの種類と特徴を表にまとめています。

一般的に「ものもらい」というと、多くは「麦粒腫」を指します。麦粒腫はまぶたの縁にある汗を出す腺やまつげの毛根に細菌が感染して急性の炎症が起こった状態です。
霰粒腫は細菌感染が原因ではないため、基本的には痛みはなくまぶたの中にコロコロとした小さなしこりができるのが特徴です。この詰まったしこりに細菌が感染すると麦粒腫のように赤く腫れて痛む「急性霰粒腫」という状態になることもあります。
③ものもらいの症状
症状は時間とともに変化していくため初期の段階で対処することが大切です。お子さんのまぶたの状態を注意深く観察することで、ものもらいのサインに早く気づくことができます。
段階ごとに確認するべき症状をまとめています。

初期は赤み・軽い違和感のみですが、悪化すると膿点が見えたり、痛みで開けづらくなったりします。
「朝より夕方のほうが腫れている」「触られるのを嫌がる」場合は、炎症が進んでいるサインです。
④病院を受診する目安
子どものものもらいは、軽度であれば数日で自然に治ることもあります。しかし症状によっては早めに眼科を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
以下の症状が一つでも見られる場合は、速やかに眼科を受診してください。

これらのサインは炎症が強く起きている証拠です。
症状自体は軽くても数日経っても改善の兆しが見られない場合や、何度もものもらいを繰り返す場合も一度専門医に相談することをおすすめします。
ものもらいの治療
ものもらいの治療には眼科を受診し、主に点眼薬や眼軟膏を用いた治療から始めます。症状が強い場合には体の中から効く内服薬を使ったり、たまった膿を出すための簡単な処置(切開)を行ったりすることもあります。
①点眼薬
ものもらい治療の中心となるのが抗菌薬や抗炎症薬を含んだ点眼薬(目薬)です。抗菌薬は原因となっている細菌の活動を抑え、これ以上増えないようにする働きがあります。抗炎症薬はまぶたの赤みや腫れ、ズキズキとした痛みを和らげる効果が期待できます。
代表的な点眼薬にはクラビット点眼液があり、1日3〜4回ほど点眼します。
点眼薬を使う際は、は以下のポイントを意識しましょう。

お子さんが嫌がる場合は、眠っている間にそっと点眼するのも一つの方法です。
点眼薬は医師の指示に従って使用しましょう。症状が少し良くなったからといって自己判断で中断すると、症状がぶり返す可能性があります。
②眼軟膏
眼軟膏も点眼薬と並んで頻繁に用いられる治療薬です。抗炎症成分であるステロイドが含まれているネオメドロール眼軟膏や、抗菌作用のあるタリビッド眼軟膏などがあります。
軟膏のメリットは点眼薬よりも長く患部にとどまる点です。そのため薬の効果が持続しやすく、特に就寝中に使用すると睡眠中にしっかりと治療効果を発揮できます。
眼軟膏を塗る際は、以下のコツを押さえておきましょう。
- 清潔な綿棒などにチューブから米粒程度の量の軟膏を出す
- お子さんの下まぶたを軽く引き、まぶたの裏側の赤い部分にそっと塗る
- 塗った後は体温で軟膏が溶けるため目を閉じさせる
医師から処方された場合は、指示された回数や塗り方を守って正しく使用してください。
③内服薬
ものもらいの症状が特に強い場合には点眼薬や眼軟膏の外用薬だけでは不十分なことがあります。そのため体の中から炎症や感染を抑えるために、以下のようなケースでは内服薬(飲み薬)が処方される場合もあります。
- まぶたがパンパンに腫れあがり、目が開けにくくなっている場合
- ズキズキとした痛みが強く、お子さんが眠れないほどの場合
- 炎症がまぶた全体や、目の周りの皮膚にまで広がっている場合
- 発熱や倦怠感など、全身に症状が及んでいる場合
処方されるのは主に抗菌薬(抗生物質)や抗炎症薬で、フロモックスやクラリスなどがあります。数日間、内服薬で強い炎症を抑え、症状が落ち着いてから点眼薬や眼軟膏のみの治療に切り替えるのが一般的です。処方された日数分は必ず最後まで飲み切るようにしてください。
④切開が必要になるケース
ほとんどのものもらいは薬による治療(保存的治療)で改善しますが、ごくまれに外科的な処置として切開が必要になることがあります。「切開」と聞くと少し怖いイメージがあるかもしれませんが、膿を排出させて早期回復を促すための有効な選択肢の一つです。
治療方針に切開が検討されるケースは以下の3つです。
- 薬物治療を続けても、なかなか症状が改善しない場合
- 膿が固いしこりのようになり、自然に排出される見込みが低い場合
- 腫れや痛みが長期間にわたって続いている場合
切開では、まず点眼麻酔で痛みをなくしてからまぶたの皮膚側、または裏側を数ミリだけ小さく切開し、内部に溜まった膿を慎重に排出します。膿を出すことで圧力が下がり、腫れや痛みが速やかに楽になります。傷跡もほとんど残らずきれいに治ることが大半です。
ただし、小さなお子さんの場合は処置中に動いてしまうと危険を伴います。そのため多くの場合は切開を急がず、薬による治療で時間をかけてじっくりと様子を見ることがほとんどです。
切開が必要かどうかは医師がお子さんの状態を丁寧に診察し、ご家族と相談しながら慎重に判断しますのでご安心ください。
ものもらいの再発を防ぐための習慣

ものもらいは日常生活のなかで少し意識して習慣を見直すだけで、再発のリスクを大きく減らすことができます。ここではお子さんの大切な目を守るための予防法として「①手や顔を清潔にする」「②免疫力を高める」について詳しく見ていきましょう。
①手や顔を清潔にする
ものもらいの再発予防で最も重要なのは、原因となる細菌を目に近づけないことです。私たちの手には、目に見えないたくさんの細菌が付着しています。お子さんは無意識に目をこすったり顔を触ったりするため、手や顔を常に清潔に保つ習慣が非常に重要になります。
具体的なポイントは以下の通りです。
- こまめに手洗いをする
- 目をこすらない
- 一人ずつ専用のタオルを使用する
正しい手洗いを習慣づけ、指の間や爪、手首までしっかりと洗うよう教えてあげてください。タオルは細菌の温床になりやすいため、必ずこまめに取り替えましょう。
②免疫力を高める
ものもらいは体が疲れていたり、免疫力が低下しているときに発症しやすくなるため、免疫力を高めることも大切です。普段は害のない常在菌も、体の抵抗力が落ちると活動が活発になり炎症を引き起こします。日頃から細菌に負けない強い体をつくるために、生活習慣全体を見直してみましょう。
免疫力を高めるためのポイントは以下の3つです。
- バランスの良い食事:ビタミンA、ビタミンC、タンパク質をバランスよく摂取
- 十分な睡眠:早寝早起きの習慣化
- 適度な運動:血流をよくし、免疫細胞が全身にいきわたる
規則正しい生活は、お子さんの体を丈夫にし、感染症から守る大切な土台になります。ご家族で協力し健康的な生活習慣を心がけていきましょう。
子どものものもらいでよくある質問

子どものまぶたが赤く腫れていると、「このまま様子を見ていいの?」「周りの子にうつらない?」など、たくさんの疑問や心配が浮かんでくることでしょう。ものもらいは子どもによく見られる目のトラブルですが、正しい知識があれば落ち着いて対処できます。
ここでは、保護者の方から特によく寄せられる質問について、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
Q.自然に治りますか?
A.症状がごく軽いものであれば、自然に治ることがあります。しかし「自然に治る」といっても、ものもらいの種類によってその過程は少し異なります。
麦粒腫の場合、細菌感染が原因のため体の免疫細胞が細菌と戦い活動を抑え込みます。その後、膿が自然に皮膚の外に排出されるか、体内に吸収されることで治癒に向かいます。
霰粒腫の場合、脂を出す腺の詰まりが原因です。この詰まった脂の塊が時間をかけてゆっくりと体内に吸収されていくことで、しこりが小さくなっていきます。
症状が強く日常生活にも支障をきたす場合は、一度医師に相談してみてください。
Q.人にうつりますか?
A.ものもらいはプール熱やはやり目(流行性角結膜炎)のように人から人へとうつる病気ではありません。そのためお子さんがものもらいになったからといってご兄弟や保育園、学校のお友達に感染させてしまう心配はほとんどありません。
その理由は原因となる病原体の違いにあります。
ものもらいとはやり目の原因や感染方法は以下のとおりです。

このようにものもらいは他人から菌をもらって発症するのではなく自分自身の体が弱った隙に、元々いた菌が原因で発症するタイプの感染症です。
基本的に学校や園を欠席させる必要はありません。しかし、腫れや痛みがひどくお子さん自身がつらそうにしている場合は、症状が落ち着くまで安静にしましょう。
Q.治るまでにどのくらいかかりますか?
A.ものもらいが治るまでの期間はその種類や症状の重さ、治療を始めたタイミングによって大きく異なります。
治療期間の目安は以下のとおりです。

麦粒腫は細菌感染による急性の炎症なので、症状が軽ければ数日でよくなることもあります。眼科で抗菌薬の点眼や軟膏による治療を始めれば、症状も早く落ち着きます。
霰粒腫は脂の腺が詰まることが原因のため、自然に吸収されるまで長い時間が必要になることもあります。
Q.プールや水遊びは入っても大丈夫ですか?
A.軽症で痛みがなければ問題ありません。ただし、患部に膿点がある場合や腫れが強い場合は控えてください。
A.ものもらいの治療で眼帯の使用は現在では積極的には推奨されていません。自己判断で使用することは避けて、必ず医師の指示に従うようにしましょう。
眼帯は目を保護する目的で使われていましたが、現在は以下のような「細菌の温床になる」「視野が狭まり危険」などのデメリットが指摘されています。
Q.眼帯はどのくらいの期間すればいいですか?
A.ものもらいの治療で眼帯の使用は現在では積極的には推奨されていません。自己判断で使用することは避けて、必ず医師の指示に従うようにしましょう。
眼帯は目を保護する目的で使われていましたが、現在は以下のような「細菌の温床になる」「視野が狭まり危険」などのデメリットが指摘されています。
- 細菌の温床になる
- 視野が狭まり危険
お子さんがどうしても目をこすってしまうなど、特別な理由で医師から眼帯の使用を指示された場合は、使用する時間(例:就寝中だけ)や交換頻度を必ず守り、常に清潔な状態を保つようにしてください。
まとめ
ものもらいは汚れた手で目をこすったり、体の抵抗力が落ちたりしたときに起こりやすい身近な目のトラブルです。うつる病気ではないのでまずは慌てずにお子さんの症状をよく観察し、清潔を保つことを心がけてください。
ベスタこどものアレルギーでは、症状に応じて抗菌薬の点眼・軟膏、必要時の内服治療を行います。
切開が必要なケースは形成外科とも連携して対応していますので、まぶたの腫れが心配なときはお気軽にご相談ください。
参考文献
- MSDマニュアル 霰粒腫および麦粒腫(ものもらい)
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
