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子どものマイコプラズマ感染症|症状・検査・治療・登校の目安を解説
「風邪だと思っていたのに、子どもの咳がなかなか治まらない」、そんな不安を抱えていませんか?
熱が下がっても、数週間にわたりしつこい咳が続く場合は「マイコプラズマ感染症」の可能性があります。
初期症状が風邪と似ているため見過ごされやすく、合併症を起こすこともあるため注意が必要です。
この記事では、マイコプラズマ感染症の症状や検査方法、治療の流れをわかりやすく解説します。
正しい知識を持つことで、お子さんの回復を安心してサポートできるようになります。
もくじ
子どものマイコプラズマ感染症の主な症状

1.発熱・だるさ・頭痛・喉の痛みなどの初期症状
マイコプラズマ感染症の初期の症状は風邪とよく似ており、早期に見分けるのはとても難しいです。
- 高熱
- 全身のだるさ
- 頭痛
- 喉の痛み:イガイガ感や嚥下時の痛み
2.咳が長引く
マイコプラズマ感染症で特徴的なのは、しつこい咳です。発熱や倦怠感が治まっても、咳が3〜4週間以上続くことがあります。
夜布団に入った時や朝起きた時、体を動かしたあと、冷たい空気を吸い込んだ時などに悪化しやすい傾向があります。
- 初期:痰がらみのない、乾いた咳
- 後期:痰がからむ、湿った咳
- 遷延期:解熱後も2-4週間以上、咳が続く
しつこい咳は、マイコプラズマが気道の粘膜に付着し、有害物質を放出して細胞を傷つけることが原因とされています。
胸膜炎・心筋炎・髄膜炎などの「肺外合併症」と注意すべきサイン

マイコプラズマ肺炎は多くの場合は自然に回復しますが、まれに肺以外の臓器へ影響が及ぶ「肺外合併症」を起こすことがあります。
- 皮膚症状(じんましん様)
- 肝炎
- 胸膜炎
- 心筋炎
- 髄膜炎
- 脳炎
こうした合併症は、マイコプラズマが血流に乗って全身に広がることや、免疫反応の過剰によって起こると考えられています。
次のような症状が出た場合は、重い合併症の可能性があるため、夜間や休日でも速やかに医療機関を受診してください。
- 息が苦しそうで肩で息をしている、呼吸のたびに胸が大きくへこむ
- 胸の痛みを強く訴える
- 顔色や唇が青白い、紫色になっている
- ぐったりして意識がもうろうとしている、呼びかけに反応しない
- けいれんが起こる
- 強い頭痛や繰り返す嘔吐がある
- 水分や食事がとれずぐったりしている
- おしっこの量が極端に少ない
マイコプラズマ感染症の検査方法

迅速検査
迅速検査は、インフルエンザ検査と同じように喉や鼻の奥を綿棒でこすり、採取した検体をその場で調べる方法です。マイコプラズマ菌が持つ特有のタンパク質(抗原)の有無を確認でき、結果は15分ほどでわかります。
検査方法が簡便で、すぐに結果がわかるというメリットがありますが、精度はいまひとつで、陰性となった場合もマイコプラズマ感染症の可能性は少なからず残ってしまうのがデメリットです。
血液検査
診断を確定するものではありませんが、マイコプラズマの場合、白血球数が”正常~軽度上昇”で、CRPが”中等度の上昇”となることが多く、血液検査は診断の参考になります。
また、血液中のマイコプラズマ抗体の上昇が確認できれば、診断することもできます。
*白血球数:体を守る免疫細胞の数です。
*CRP(炎症反応):免疫物質の動きを反映して、肝臓で産生される治療方針を判断するうえで欠かせない情報を与えてくれます。
PCR検査・LAMP検査
PCR検査は、マイコプラズマ菌が持つ特有の遺伝子を増幅して検出する方法です。
PCR検査は、ごく少量の菌でも検出できるほど感度が高く、マイコプラズマ感染症の確定診断において信頼性の高い検査とされています。
結果が出るまでに数日を要することや、対応できる医療機関が限られる点はデメリットです。
近年では、PCRと同じように遺伝子を増幅して調べる方法としてLAMP検査も使われています。LAMP検査は等温でDNAを増幅できるため、PCRよりも短時間で結果が得られるのが特長です。
画像検査(胸部レントゲン)
胸部レントゲン検査は、肺で炎症が起きているかどうかを確認できます。炎症の広がりを直接把握でき、診断や治療方針を決めるうえで大きな役割を果たします。
放射線の影響を心配される方もいますが、胸部レントゲン1回あたりの被ばく量はわずかで、安全性は十分に配慮されています。
マイコプラズマ感染症の治療法

①抗菌薬治療
マイコプラズマ感染症の治療の中心は抗菌薬(抗生物質)の内服です。
原因となるマイコプラズマ菌は「細胞壁」を持たない特殊な構造をしており、一般的な肺炎に使われる抗菌薬は効きません。
以下のような細胞壁以外の仕組みに作用する薬が使用されます。
- マクロライド系(例:クラリスロマイシン、アジスロマイシン);耐性菌が問題。効かない場合もある。
- ニューキノロン系(例:トスフロキサシン);腎障害に注意が必要。
- テトラサイクリン系(例:ミノマイシン);8歳以上に使用。歯の着色などの副作用があり、幼児には使用しない。
②対症療法
マイコプラズマ感染症では、抗菌薬が効果を発揮するまでに時間がかかるため、その間は「対症療法」で症状を和らげます。咳が強い時は、鎮咳薬や去痰薬で夜間の眠りを妨げないようにすることもあります。
③ステロイド薬
炎症が強い場合は、免疫反応を抑える目的でステロイド薬を投与することがあります。
他の感染症と比べ、マイコプラズマ感染症では自分の免疫反応が過剰になってしまい、熱が続くことがあるとされ、ステロイドが有効と考えられています。
④入院治療
マイコプラズマ感染症の多くは通院で回復しますが、症状が悪化すると入院が必要になることがあります。
入院すれば、点滴で抗菌薬や水分を補給したり、酸素投与を行うことができます。ステロイドを点滴することもあります。
ホームケアのポイント

こまめな水分補給と適切な加湿で痰を出しやすくする
マイコプラズマ特有の激しくしつこい咳を和らげるには、気道の乾燥を防ぐことが不可欠です。こまめな水分補給によって痰の粘り気を減らし、外へ排出しやすくします。また、加湿器等を使用して室内の湿度を50〜60%程度に保つことで、咳による喉への刺激を和らげることができます。
つらい時の解熱剤の適切な使用
ただし、熱のせいで眠れない、ぐったりしている、水分が摂れないといったつらそうな場合には、処方された解熱剤(アセトアミノフェン等)を使用して苦痛を和らげてあげてください。本人の機嫌が良く水分が摂れていれば、無理に熱を下げる必要はありません。
感染対策(家族にうつさないためには)

マイコプラズマは、主に咳やくしゃみなどの飛沫、または濃厚な接触によって感染します。
- 看病をするご家族も含め、石鹸を使った流水での手洗いを徹底しましょう。
- 症状があるお子様や看病する大人は可能な範囲でマスクを着用してください。
- タオルの共有は避けましょう。
- 定期的に部屋の換気を行うことで家庭内感染のリスクを減らします。
感染対策はいつまで続けるべきか
マイコプラズマの最大の特徴は、解熱して全身状態が良くなり、抗菌薬を飲み終えた後でも、「数週間〜1ヶ月以上」は菌が排出され続けます。
主に「飛沫感染」と「接触感染」であるため、「咳がしっかり出ている間」は対策を継続するのが実践的です。
登校・登園再開の目安

マイコプラズマ感染症は、他の感染症と比べて登校・登園の判断が難しいのが特徴です。
症状が激しい急性期は出席停止となりますが、法律で定められた明確な出席停止期間はありません。
安全に集団生活へ復帰するための目安として、以下を参考にしてください。
- 熱がなく全身状態良好
- 食欲が戻り、元気な状態である
- 咳が軽減し、日常生活に支障ない
ベスタこどもとアレルギーのクリニック

練馬区中村橋にあるベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、マイコプラズマ感染症の検査治療を実施しています。お子さんの症状に不安を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
