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キウイアレルギーの症状とは?子供に多い反応と受診の目安を解説

栄養満点で人気のキウイですが、子供が食べた後に口の周りが赤くなったり、全身にじんましんが現れたりしていませんか。キウイを食べた後に出る変化は、キウイアレルギーかもしれません。
キウイアレルギーは、口の中の軽い違和感から、命に関わる重篤なアナフィラキシーまで、症状の幅が広いことが特徴です。ゴム風船や他の果物アレルギーが隠れた原因となっていることもあります。
この記事では、子供を守るために知っておくべき症状の見分け方や受診の目安、緊急時の対応を詳しく解説します。

キウイアレルギーは、体を守るはずの免疫システムが、キウイに含まれる特定の成分を危険な異物と誤って認識してしまうことで起こります。本来は無害な成分に対して過剰な免疫反応が起こり、かゆみやじんましん、咳などの症状が現れます。
キウイアレルギーの原因になりやすい成分には、アクチニジンやTLP、キチナーゼがあります。これらが体に入ると、まず「感作(かんさ)」といって、免疫が初めて出会ったアレルゲンを「敵だ」と覚え、IgEという抗体を作って準備をします。
その後、もう一度キウイを食べると「発症」の段階に入り、IgE抗体がアレルゲンと結びつきます。すると体の細胞からヒスタミンなどの物質が放出され、口のかゆみや腫れ、息苦しさなどのアレルギー症状が起こるのです。
もくじ
子供に多いキウイアレルギーの主な症状5選

子供に多いキウイアレルギーの主な症状は、以下の5つです。
①口の周りが赤くなる
②全身にじんましんやかゆみが広がる
③鼻水や咳などが出る
④嘔吐や下痢が現れる
⑤アナフィラキシーになる
⑥種類で症状が異なる
①口の周りが赤くなる
キウイを食べた直後に、口や唇の周りが赤くなったり、かゆくなったりする症状は、キウイアレルギーの可能性があります。口腔アレルギー症候群とも呼ばれ、キウイに含まれるアレルギーの原因物質(アレルゲン)が、口の中の粘膜に直接触れることが原因です。
多くの場合、キウイを食べてから5〜15分以内に、以下のような症状が現れます。
- 口や唇の赤み・腫れ・かゆみ
- 舌や喉の奥などがヒリヒリ・イガイガする
口腔アレルギーの症状は、キウイが直接触れた場所に限定して出ることが多く、30分程度で自然に治まる傾向です。
②全身にじんましんやかゆみが広がる
キウイアレルギーは、口の周りだけでなく、全身の皮膚に症状が広がることもあります。代表的な症状がじんましんです。
じんましんは、皮膚の一部が赤く盛り上がる発疹です。アレルゲンが消化管から吸収されて血液中に入り、全身の皮膚でアレルギー反応を起こすことで生じます。強いかゆみを伴うことが多く、子供は我慢できずに掻きむしってしまう場合があります。
皮膚を掻き壊すと、細菌が入り込み、とびひなどの二次的な皮膚感染症を引き起こすこともあるため注意が必要です。
じんましんが出たら、濡れたタオルなどで患部を冷やしましょう。じんましんが広範囲に及んだり、かゆみが強かったりする場合は病院をを受診してください。
③鼻水や咳などが出る
キウイアレルギーは、皮膚だけではなく、鼻や喉、気管支などの呼吸器にも症状を引き起こすことがあります。風邪の症状とよく似ていますが、食べた後に突然現れるのが杭アレルギー反応の特徴です。
キウイアレルギーでは、以下のような症状が見られます。
- くしゃみが何度も出る
- 水のようにサラサラした鼻水が流れる
- 鼻づまり
- しつこい咳が出る
- 喉の違和感やイガイガ感が現れる
- 声がかすれる
特に注意が必要なのは、息をするときに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」などの音が聞こえる喘鳴(ぜんめい)という症状です。
喘鳴は、アレルギー反応によって気管支の粘膜が腫れて内側が狭くなり、空気の通り道が細くなっているサインです。喘鳴が見られる場合は呼吸が苦しくなっており、アナフィラキシーに移行する危険性があります。
ただの鼻水や軽い咳と自己判断せず、喘鳴が聞こえたり、子供が息苦しさを訴えたりするときは、医療機関を受診してください。
④嘔吐や下痢が現れる
キウイを食べた後に、お腹の調子が悪くなることもキウイアレルギーの症状の一つです。キウイアレルギーが発症すると胃や腸の粘膜が刺激され、炎症が起こることで、吐き気や腹痛、下痢などが引き起こされます。
嘔吐や下痢などの消化器系の症状は、ウイルス性胃腸炎や食中毒と間違えやすいので注意が必要です。アレルギー反応は、キウイを食べてから比較的短時間で症状が現れ、じんましんや咳など、お腹以外の症状も現れることもあります。
嘔吐や下痢が続くと、子供は脱水症状を起こしやすいため、経口補水液などで水分補給を心がけましょう。症状がひどく、他のアレルギー症状も出ている場合は、医療機関を受診してください。
⑤アナフィラキシーになる
アナフィラキシーは、キウイアレルギー反応のなかでも命に関わる可能性のある危険な状態です。アレルゲンが体内に入ってから短時間のうちに、複数の臓器(皮膚、呼吸器、消化器、循環器など)に全身性の激しい症状が同時に現れます。
アナフィラキシーを疑うべき危険なサインには、以下のようなものがあります。

アナフィラキシーは、対応が少しでも遅れると命に関わるため、迅速で適切な対応が求められます。一つでも症状が当てはまる場合は、ためらわずにすぐに救急車を呼んでください。
⑥種類で症状が異なる
キウイには果肉が緑色のグリーンキウイと黄色いゴールドキウイがあり、それぞれの種類でアレルギー反応が異なる場合があります。種類によってキウイに含まれる成分や量が違うためです。
グリーンキウイとゴールドキウイによる主なアレルギー反応の傾向を、以下の表にまとめました。

ただし、「グリーンキウイで症状が出たから、ゴールドキウイは大丈夫」と考えることは危険です。グリーンキウイアレルギーのある患者さんの5人のうち4人が、ゴールドキウイでも症状が出たという研究報告もあります。(※1)
自己判断で子供に違う種類のキウイを食べさせることは避けてください。
キウイアレルギーになりやすい子供の特徴

キウイアレルギーの発症リスクが高い子供の特徴は、以下の3つです。
①ラテックスアレルギーを持つ
②キウイ以外の果物アレルギーを持つ
③花粉症である
①ラテックスアレルギーを持つ
ラテックスアレルギーを持つ子供は、キウイアレルギーを発症するリスクが比較的高いことが知られています。(※2)ラテックスとは天然ゴムのことで、ゴム風船やゴム手袋、炊事用手袋、一部のばんそうこうの粘着部分などに含まれる物質です。
ラテックスに含まれるアレルゲンは、キウイに含まれるキチナーゼと分子構造が似ています。似た構造のキウイが体内に入ると、体がラテックスが入ったと誤認識し、アレルギー反応を引き起こすという仕組みです。
子供がラテックスアレルギーを持つ場合は、キウイを初めて食べさせる前には、かかりつけの医師に相談しましょう。
②キウイ以外の果物アレルギーを持つ
キウイ以外の果物でアレルギー症状が出たことがある子供も注意が必要です。キウイの成分と類似した構造の成分を持つ果物の場合、体が誤って認識し、アレルギーを引き起こす可能性があります。体が誤認識してアレルギー反応を起こすことを交差反応と呼びます。
キウイアレルギーとの交差反応に注意するべき果物は、以下のとおりです。
- バナナ
- マンゴー
- リンゴ
- アボカド
- メロン
すでに他の果物でアレルギーと診断されている場合、キウイを初めて試す際は少量から慎重に始めることが大切です。気になる症状があれば自己判断はせず、アレルギーに詳しい医師に相談することをおすすめします。
③花粉症である
花粉症を持つ子供も、キウイアレルギーのリスクが高いため注意してください。キウイアレルギーとの交差反応が報告されている花粉の種類は、以下のとおりです。
- シラカンバ・ハンノキ
- イネ科
- ブタクサ
子供が花粉症持ちかわからない場合は、特定の季節に目のかゆみ、くしゃみ、鼻水などの症状が見られるか確認することが大切です。花粉症が疑われる症状が見られる子供には、慎重にキウイを食べさせましょう。
キウイを食べた後に気になる症状が現れたときは、すみやかにアレルギー専門医に相談することが重要です。
キウイをあげるときのポイント

キウイを子どもに与えるときは、以下のように月齢に応じて注意点が少しずつ変わります。

加熱すると症状が出にくくなる場合もありますが、すべてのアレルゲンが消えるわけではありません。初めてあげるときは少量から試し、体調の変化をよく観察しましょう。
キウイアレルギーの検査方法

キウイアレルギーが疑われる場合、医療機関では問診に加えて、いくつかの検査を組み合わせて総合的に診断します。どの検査を行うかは、子供の年齢や症状、アレルギー歴などを考慮して医師が判断します。
キウイアレルギーの主な検査方法は、以下のとおりです。

アレルギー検査に厳密な年齢制限はありません。医師が必要と判断すれば、生後数か月の赤ちゃんでも血液検査などを行うことは可能です。
ただし、1歳未満の子供は免疫システムが発達段階にあるため、アレルギー体質であっても陰性となる場合があります。
キウイアレルギーを持つ子供がいる場合の注意点

子供がキウイアレルギーを持つ場合、以下の3つの点を徹底するよう注意してください。
①給食やおやつなどに含まれる成分を確認する
②処方薬を正しく使う
③アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を携帯する
①給食やおやつなどに含まれる成分を確認する
アレルギーのリスク回避には原因物質の除去が重要であるため、子供が口にする食べ物の成分表示を確認する習慣が不可欠です。
食物アレルギー表示ハンドブックによると、キウイは原材料名への表示が推奨されています。しかし、表示義務はないため、商品によっては記載がない可能性もゼロではありません。
特に注意したいのが、一見キウイが入っているとは分かりにくい加工食品です。以下の食品を摂取する際は注意してください。
- ミックスジュースやスムージー
- ゼリー、ジャム、フルーツソース
- ドレッシング、焼き肉のタレ
- ケーキや洋菓子
保育園や学校では、入園・入学時にアレルギー情報を伝え、給食や調理方法を確認しておくことが大切です。
また、友達からのおやつ交換による誤食を防ぐために、「知らないおやつは食べない」というルールを子供にも理由とあわせて教えてあげましょう。
②処方薬を正しく使う
万が一の事態に備え、医師からの処方薬をすぐに使えるように準備しておくことが、キウイアレルギーの悪化を防ぐために重要です。どれだけ注意深く生活していても、誤ってキウイを口にしてしまう可能性を完全になくすことは困難であるためです。
処方される主な薬を、以下の表にまとめました。

これらは専用のポーチなどに入れて常に持ち歩き、外出時や旅行時はもちろん、園や学校にも預けておきましょう。いざという時に周りの大人がすぐ使えるようにしておくことが大切です。
③アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を携帯する
キウイアレルギーと診断された場合には、医師の指示に従ってアドレナリン自己注射薬(エピペン®)を準備しておくことが重要です。
エピペン®は、アナフィラキシーの症状が出たときに進行を一時的に和らげ、病院に到着するまでのつなぎとして使われます。
症状が急に出た場合はためらわずに使用し、その後すぐに救急車を呼んで医療機関を受診してください。見た目には落ち着いたように見えても、数時間後に再び症状がぶり返すことがあるためです。
また、緊急時に慌てず対応できるよう、園や学校を含めて子どもに関わる大人全員が正しい使い方を知っておく体制を整えておくことが大切です。
まとめ
キウイアレルギーは、口周りの赤みだけでなく、じんましんや鼻水・嘔吐、アナフィラキシーまで多種多様な症状を起こします。ラテックスアレルギーや果物アレルギー、花粉症などをお持ちの子供は、キウイアレルギーにもなりやすい点には注意が必要です。
軽い症状でも、繰り返す場合は自己判断せず、一度アレルギー専門の医師に相談してみましょう。
ベスタ子どもとアレルギーのクリニックでは、キウイアレルギーの検査を実施しています。子供がキウイアレルギーではないかと不安を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
- Lucas JS, Lewis SA, Trewin JB, Grimshaw KEC, Warner JO, Hourihane JO’B.Comparison of the allergenicity of Actinidia deliciosa (kiwi fruit) and Actinidia chinensis (gold kiwi).Pediatric Allergy and Immunology,2005,16,8,p.647-654.
- Gromek W, Kołdej N, Świtała S, Majsiak E, Kurowski M.Revisiting Latex-Fruit Syndrome after 30 Years of Research: A Comprehensive Literature Review and Description of Two Cases.J Clin Med,2024,13(14),p.4222.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。

初めまして。
当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。
私は小児科の中でも特にアレルギーと呼吸器を専門にしていますが、赤ちゃんの体重が増えない、おねしょが無くならない、ニキビが気になる、便秘気味など少しでも心配なことや不安に感じることがあれば、何でもご相談していただければと思います。
こどもたちがなるべく制限を受けることなく笑顔で日々を過ごし、自分らしく元気に成長できるよう、ご家族の不安を取り除けるよう、「優しさ」を持ったクリニックを目指して、地域の子育てに貢献できるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
