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赤ちゃんの食物アレルギーとは?代表的な症状・原因・家庭での対処法まとめ【ベスタの小児科医が解説】

赤ちゃんの突然の湿疹に、「もしかして食物アレルギー?」と、不安な気持ちになる保護者の方は少なくありません。鶏卵や牛乳などのアレルゲンを離乳食で与えることに慎重になっていませんか?
実は近年、アレルギーへの考え方は大きく変わっています。アレルゲンの開始を不必要に遅らせることは、逆効果になる可能性も指摘されているのです。(※1)また、予防の鍵は「食べさせ方」だけでなく、毎日の「スキンケア」にあることもわかってきました。
この記事では、食物アレルギーによる主な症状や原因、今日から家庭で実践できる対処法まで詳しく解説します。赤ちゃんとご家族の安心のために、正しい知識をつけましょう。
もくじ
赤ちゃんの食物アレルギーで見られる主な4つの症状

赤ちゃんの食物アレルギーは、特定の食べ物に含まれる成分(アレルゲン)に、体の免疫システムが過剰に反応して起こります。症状は、原因となる食べ物を口にしてから数分〜数時間以内に現れてきます。
赤ちゃんの食物アレルギーで見られる主な4つの症状は以下のとおりです。
①皮膚の症状
②消化器の症状
③呼吸器の症状
④アナフィラキシーの症状
①皮膚の症状
食物アレルギーの症状として、最初に現れやすいのが皮膚の症状です。原因となる食べ物を口にした後、数分〜2時間以内に現れる「即時型反応」がほとんどです。
皮膚に出る主な症状は以下の5つです。

じんましんが体の一部だけで、赤ちゃんの機嫌も良い場合は少し様子を見ても良いでしょう。じんましんが全身に広がる場合、かゆみが強くて眠れない場合、同じ症状を繰り返したりする場合は、小児科やアレルギー科の受診をおすすめします。
受診の際は、症状が出ているときの皮膚の状態をスマートフォンなどで写真に撮っておくと、医師が診断するうえで役立ちます。
②消化器の症状
皮膚症状の次に多くみられるのが、嘔吐や下痢などの消化器系の症状です。かぜやウイルス性の胃腸炎と症状が似ているため、見分けるためのポイントを知っておくことが大切です。
消化器系の症状の種類や特徴を以下の表にまとめています。

ウイルス性胃腸炎は発熱や咳・鼻水を伴い、食べ物に関係なく症状が続くのが特徴です。一方、食物アレルギーは特定の食べ物を摂取した後に症状が現れます。
また、赤ちゃんが粉ミルクを飲んだ数時間後に嘔吐や血便が続く場合は、「新生児・乳児消化管アレルギー」の可能性があります。これは即時型とは異なり、診断が難しいこともあります。
③呼吸器の症状
呼吸器の症状は重いアレルギー反応につながることがあるため注意が必要です。かぜと間違えやすい点にも気をつけましょう。
注意したい症状は以下の4つです。
- しつこい乾いた咳
- 呼吸時の「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音(ぜん鳴)
- 鼻水やくしゃみが急に出る
- 声がかすれる、泣き声に元気がない
これらが特定の食べ物の摂取後に現れる場合は、食物アレルギーの可能性があります。特に呼吸が苦しそうなときは、「アナフィラキシー」の前兆の場合もあるため、すぐに医療機関を受診してください。
④アナフィラキシーの症状
アナフィラキシーは、アレルギー反応の中で最も重く、命に関わることもある危険な状態です。原因となる食べ物を食べてから、数分〜30分以内に、複数の臓器に激しい症状が同時に現れます。
以下の基準のうち、いずれかを満たす場合にアナフィラキシーを疑います。(※2)
- 皮膚・粘膜症状に加えて、消化器・呼吸器・循環器の症状が現れた場合
- 典型的な皮膚症状がなくても、血圧低下や呼吸困難などの重篤な症状が現れた場合
赤ちゃんは、自ら「苦しい」「痛い」と訴えられません。「いつもと様子が違う」と感じたら、その直感が何よりも重要です。上記のサインが1つでも当てはまる場合や、判断に迷う場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
食物アレルギーの原因になりやすい3大アレルゲン

食物アレルギーの原因になりやすい三大アレルゲンは以下のとおりです。
①鶏卵
②牛乳
③小麦
①鶏卵
鶏卵は、乳幼児の食物アレルギーの原因として最も多いものです。特に卵白に含まれるたんぱく質(オボムコイドなど)が、アレルギー反応を起こしやすいとされています。しっかり加熱することでアレルギーを起こす力が弱まるため、初めは固ゆでした卵黄から少量試すのが一般的です。
②牛乳
牛乳は、鶏卵の次に多い原因です。牛乳に含まれるたんぱく質は、加熱してもアレルギーを起こす力はあまり変わりません。そのため、ヨーグルトやチーズなどの乳製品でも同様に注意が必要です。
③小麦
うどんやパン、そうめんなど、主食となる多くの食品に含まれています。醤油などの調味料に含まれている場合もあり、成分表示表を細かくチェックしましょう。
上記の3品目に加え、えび、かに、そば、落花生(ピーナッツ)、クルミを合わせた8品目は、症状が重くなるリスクがあります。体質によっては、ほんの少し口にするだけでも強い症状が出ることがあるため、特に注意が必要です。
食物アレルギーの診断までの流れ

赤ちゃんに食物アレルギーの疑いがある場合、自己判断せず、正確な診断を受けることが大切です。ここでは、食物アレルギーの原因を特定するための具体的な流れについてご紹介します。
病院で行う主な検査
食物アレルギーが疑われる場合、病院では原因を特定するためにいくつかの検査を組み合わせて診断を進めます。自己判断で食物除去を行うのではなく、必ず医師の診断に基づいた対応をしましょう。
食物アレルギー検査の種類を、以下の表にまとめています。

血液検査や皮膚プリックテストは、アレルギーを起こす可能性を探るための検査です。数値が高い、反応が出たというだけで、食べ物を完全に除去する必要はありません。
なかでも「食物経口負荷試験」は、実際に食べられる安全な量を確認するためにも行われる、最も信頼性の高い検査です。しかし、アレルギー症状が出るリスクもあるため、医師の指導のもと行うことが大事です。
家庭で記録しておくべき症状のポイント
病院での検査だけでは、すべての原因を特定できるとは限りません。普段の食事や症状の変化を、家庭で記録しておくことで、診断の精度が高まり、適切な治療方針を立てる手助けになります。
以下の記録すべきポイントを押さえて、医師に伝えられる情報を準備しておきましょう。
- 食べたもの:その日に食べたすべての食品(市販品の場合は原材料名も記録)
- 食べた時間:何時ごろに食べたかを記録
- 食べた量:「うどんを3本」「卵ボーロ1個」など具体的に記載
- 症状の種類:じんましん・咳・嘔吐・目の赤みなど
- 症状が出た時間:食後何分後、または何時間後か
- 症状の経過:良くなった・悪化したなど、変化の様子
- 過去の経験:その食品を以前に食べたことがあるか、あった場合の反応。
症状が出た部分をスマートフォンで撮影しておくと、言葉で説明するよりも多くの情報が伝わります。離乳食日記としてノートやアプリにまとめておくと、受診時にも慌てません。
今日からできる食物アレルギーの対処

赤ちゃんの様子に異変を感じたら、まずは落ち着いて症状を観察しましょう。
症状が軽ければ、抗ヒスタミン薬や気管支拡張薬を内服させて様子を見ます。定期的に状況を確認し、症状が落ち着くかをチェックしましょう。
重篤な全身症状や呼吸器症状が現れた場合、アナフィラキシーの可能性があります。一刻を争う状況なので、ためらわずに救急車を呼んでください。
またエピペン®が手元にあれば、速やかに使用しましょう。エピペン®はアナフィラキシー症状が出たときに使う、緊急用の自己注射薬です。
食物アレルギーの緊急時対応マニュアルに関しては、こちらのページも参考にしてみてください。
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/jigyosha/006/p028387_d/fil/allery_manual.pdf
赤ちゃんの食物アレルギーの予防法

ここでは、赤ちゃんの食物アレルギーの予防法として、「①適切な時期に離乳食を始める」「②毎日保湿してバリアを守る」について詳しく見ていきましょう。
①適切な時期に離乳食を始める
かつては、アレルギーが心配な食品は開始を遅らせる方が良いと考えられていました。しかし、近年の研究では、むしろ適切な時期に少量から試すことが、アレルギーの予防に効果が期待できるとわかってきました。(※1)
国際的なガイドラインでは、生後5〜6か月頃から離乳食を始め、鶏卵・乳製品・小麦なども安全に取り入れることが推奨されています。アレルゲンの導入には以下の5つのポイントを守りましょう。
- 機嫌が良く、体調の良い日に試す
- 医療機関が開いている平日の午前中に行う
- 初回は耳かき1杯程度のごく少量から
- しっかり加熱した状態で与える
- 新しい食材は1日1種類、少しずつ量を増やす
赤ちゃんは、少しずつ食材に慣れることで「これは敵ではない」と体が学習し、免疫が過剰に反応しにくくなります。ただし、重度の皮膚炎がある場合などは、必ず医師と相談のうえ慎重に進めましょう。
②毎日保湿してバリアを守る
食物アレルギーの予防には、毎日の保湿ケアがとても重要です。乾燥してバリア機能が低下した肌からは、食べ物のかすやホコリに含まれるアレルゲンが侵入しやすくなります。これを「経皮感作」といい、食物アレルギーの発症につながる原因の一つと考えられています。
バリア機能を守るための保湿ケアのポイントは以下の3つです。
- 入浴後5分以内に塗る
- 1日2回以上、やさしくたっぷり塗る
- 肌がテカっと光るくらいの適量
また毎日の保湿ケアは、アトピー性皮膚炎の予防に効果があると報告されています。(※3)皮膚のバリア機能を整えることで、アレルゲンの侵入を防ぐ効果も期待されており、日常的な保湿が重要です。
まとめ
赤ちゃんの食物アレルギーについて、何よりも大切なのは、自己判断でやみくもに食物除去をするのではなく、正しい知識を持って対応することです。まずは、予防の基本となる毎日の保湿ケアを徹底し、皮膚のバリア機能を守ってあげましょう。
離乳食は怖がりすぎず、医師と相談しながら適切な時期に試しましょう。さまざまな食材を試すことで、赤ちゃんの健やかな成長とアレルギー予防につながります。
気になる症状が出たときは、慌てずに食べたものや時間を記録しましょう。ベスタ子どもとアレルギーのクリニックでは、食物アレルギーに関する相談も受け付けています。赤ちゃんの成長に不安を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024」https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/ADGL2024.pdf
- 一般社団法人 日本アレルギー学会.「アナフィラキシーガイドライン2022」.
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2023_0301.pdf - Simpson EL, Chalmers JR, Hanifin JM, Thomas KS, Cork MJ, McLean WHI, Brown SJ, Chen Z, Chen Y, Williams HC.Emollient enhancement of the skin barrier from birth offers effective atopic dermatitis prevention.J Allergy Clin Immunol,2014,134(4),818-823.
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
