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子どもの蜂刺されによるアナフィラキシーとは?対処法や予防策を解説【ベスタの小児科医が解説】

蜂刺されによるアナフィラキシーは、お子さまにとっても身近なリスクのひとつ。蜂に刺されたことが原因で死亡する人は、日本全国で毎年10〜20人程度と数自体は多くはないものの、万が一を考えると怖いものです。(※1)
この記事では、蜂刺されによる呼吸困難や意識障害などのアナフィラキシーの初期症状、救急車を呼ぶべき基準までを解説します。万が一の時にパニックにならず、冷静にお子さまの命を守るための正しい知識を得るためにも、ぜひ最後まで参考にしてください。
もくじ
蜂に刺された時に起こるアナフィラキシーとは?

蜂毒によるアナフィラキシーは、蜂に刺されたことをきっかけに、体の免疫システムが過剰に反応してしまう、急激かつ重篤なアレルギー反応です。特にスズメバチやアシナガバチに刺された場合に多く見られ、過去に刺された経験がある人ほど、2回目以降はより強い反応が出やすくなります。
アナフィラキシーの症状
アナフィラキシーの最大の特徴は、症状が現れるまでの時間の短さです。多くは蜂に刺されてから数分~30分以内に、刺された場所だけでなく全身にさまざまな症状が出始めます。
お子さまの状態を注意深く観察し、以下のサインが一つでも見られたらアナフィラキシーを疑ってください。
【アナフィラキシーを疑う症状】

また、一度症状が落ち着いたように見えても油断は禁物です。数時間後(多くは8~12時間後)に再び症状が悪化する二相性反応が起こることもあります。症状がなくても必ず病院を受診し、その後も注意深く様子を見守ることが大切です。
こうした症状が現れたら、病院・クリニックを受診しましょう。
蜂の種類(スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチ)による危険度の違い
日本で注意すべき蜂は、主にスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類です。種類によって毒の強さや攻撃性が異なり、危険度も変わります。
特に危険なのはスズメバチです。毒の量自体が多いため、たとえアレルギーがなくても、多数の蜂に刺されると毒そのものの作用で重い中毒症状を引き起こす可能性があります。
ただし、アナフィラキシーはどの蜂に刺されても起こり得ます。「ミツバチだから大丈夫」と油断はできません。どの蜂に刺されたか分からなくても、症状が現れないかチェックすることが重要です。
蜂に刺された直後に行うべき応急処置の正しい手順

お子さまが蜂に刺されてしまったら、まずは保護者の方が落ち着いて行動することが大切です。蜂は興奮すると仲間を呼ぶ性質があるため、すぐにその場から静かに離れて、安全を確保しましょう。
次に、刺された場所を確認し、もしミツバチの針が皮膚に残っていたら、指でつままずにカードのようなもので横からそっと払って取り除いてください。流水でよく洗い流した後、冷やしたタオルや保冷剤で患部を冷やすことで、痛みや腫れを抑えることができます。
応急処置を行いながら、お子さまの全身の様子をよく観察してください。息苦しさやじんましん、顔の腫れなど、いつもと違う反応があれば、アレルギー反応やアナフィラキシーの可能性もあるため、すぐに病院を受診してください。特に過去に蜂に刺されたことがある場合や、短時間で症状が出てきた場合は、ためらわず救急車を呼んでください。
なお、毒を口で吸い出したり、アンモニア水などをかけるのは逆効果です。応急手当はあくまで病院にかかるまでの一時的な処置として、冷静に対応しましょう。
緊急時に使用するエピペン®とその使い方

エピペン®は、蜂刺されなどによるアナフィラキシー症状が出たときに使う、緊急用の自己注射薬です。アドレナリンが含まれており、呼吸困難や血圧低下などの急激なアレルギー反応を一時的に抑える働きがあります。
使うタイミングは、蜂に刺された後、数分以内にじんましん、喉の腫れ、息苦しさ、意識のもうろうなど、全身症状が現れた場合です。エピペン®はあくまで「病院に着くまでの応急処置」であり、使用後は必ずすぐに救急車を呼んで医療機関を受診してください。
使い方はシンプルで、太ももの外側に強く押し当てて数秒間固定するだけです。衣服の上からでも注射できますが、指や手には使わないよう注意が必要です。
お子さまが過去に蜂刺されで強いアレルギー反応を起こしたことがある場合は、医師と相談のうえエピペン®を常備し、保護者や周囲の大人も使い方をあらかじめ確認しておくと安心です。万が一の時に迷わず対応できるよう、事前の備えが命を守ります。
蜂から子どもを守るための予防策
病院での治療も重要ですが、何よりも大切なのは「そもそも蜂に刺されない」ことです。蜂の習性を正しく理解し、日常生活の中で危険を遠ざける工夫をすることが、お子さまを守る最も効果的な方法となります。
ここでは、ご家庭や外出先ですぐに実践できる具体的な予防策を解説します。
①蜂を寄せ付けない服装の色や避けるべき匂い
②野外で気をつける場所と行動
①蜂を寄せ付けない服装の色や避けるべき匂い
蜂は色や匂いに敏感で、ちょっとした刺激でも攻撃的になることがあります。特に黒や紺などの暗い色の服は、天敵と誤認されやすく狙われやすいため、外で遊ぶときは白や淡い色の服を選び、肌の露出も控えましょう。
また、香水や柔軟剤、甘い飲み物やお菓子の匂いも蜂を引き寄せる原因になります。自然の中では香りの少ない製品を使い、飲み物には蓋をして、食べ物のゴミはすぐに片づけるようにしましょう。こうした心がけが、お子さまを蜂から守る大切な備えになります。
②野外で気をつける場所と行動
自然の中は子どもにとって魅力的な遊び場ですが、同時に蜂たちの生活の場でもあります。木の洞や茂み、軒下や物置、公園の遊具の裏など、人目につきにくく雨風をしのげる場所には、蜂の巣がある可能性があります。こうした場所にはむやみに近づかないよう、お子さまにあらかじめ伝えておきましょう。
また、蜂に出くわしたときは慌てないことが何より大切です。手で払ったり大声を出したりすると、蜂を刺激してしまいます。動きを止めて様子をうかがい、姿勢を低く保ったまま静かに後ずさるのが基本の対処法です。「蜂が来たら、静かに、ゆっくり、低くなって離れる」という行動を、親子で一度練習しておくと安心です。
まとめ
蜂に刺されることによるアナフィラキシーは「時間との勝負」であり、「息が苦しそう」「ぐったりしている」などの命に関わるサインを見逃さないことです。いざという時に慌ててしまうのは当然ですが、正しい知識と事前の備えが、お子さまを守る一番のお守りになります。
応急処置の手順や「迷ったら救急車を呼ぶ」という原則を、この機会にご家族で確認しておきましょう。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
参考文献
- 都市のスズメバチ.「ハチ刺されと死亡事故」.
https://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/vespa0562.htm
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
