トピックス
子どもの耳の下が腫れている!おたふく?リンパ節?原因と緊急性の目安
「あれ、なんだか顔の輪郭がいつもと違う…?」
「片方の耳の下だけぷっくり腫れている…」
「熱もあって痛がるけど、すぐに受診したほうがいい?」
お子さんの耳の下や首の周りが急に腫れている場合、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)やリンパ節炎などが有名ですが、それ以外にも様々な原因があります。慌てずに様子を見てよいものから、早めの対応が必要なものまで多岐にわたります。
もくじ
まずはチェック!腫れているのはどこか?
耳の下が腫れていたら、まずは耳下腺かリンパ節を考えます。
耳下腺の腫れ
耳たぶの前から下、顎のライン(エラの部分)にかけて腫れて、輪郭がふっくらと膨らむイメージ。
リンパ節の腫れ
首の側面や顎の下などに、コリコリとしたしこりのように触れる。腫れが大きい場合は耳下腺炎との区別が難しい。
「耳下腺」が腫れている場合
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
(緊急度★★☆☆☆)
最もよく知られている耳下腺の腫れの原因です。ムンプスウイルスの感染が原因です。通常は両側腫れますが、片側だけのこともあります。痛みを伴うことが多いです。熱はでないこともあります。ムンプスウイルスに対する治療薬はありません。発熱や痛みに対しては、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使用します。まれですが、髄膜炎や難聴、思春期以降では精巣炎・卵巣炎といった合併症のリスクがあります。頭痛、後頚部痛(→髄膜炎を疑います。)、耳が聞こえづらい、腹痛(→卵巣炎疑い)、陰嚢痛(精巣炎疑い)などの症状が現れた際は再度受診をしましょう。
耳下腺が腫れてから5日間は園や学校を休む必要があります。通園通学を再開する際に、治癒証明書が必要なことがあります。
飛沫感染または接触感染によって感染します。 飛沫感染とは、ウイルスを含んだ咳やくしゃみなどを吸い込んで感染することを指します。 接触感染は、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることでウイルスが体内に侵入し、感染することです。
手洗い・うがいを徹底し、咳が出るときはマスクを着用しましょう。感染者と同じタオルを使用しないなどの配慮をし、症状のある人とはなるべく距離を置きましょう。一度かかると終生免疫がつくので、かかったことがある人が看護にあたるのが良いと思います。
反復性耳下腺炎
(緊急度★★☆☆☆)
おたふくかぜではないのに、何度も耳下腺の腫れを繰り返す病気です。片側だけが腫れることが多く、数日で自然に治まります。
“唾液が通る管(唾液管)が詰まりやすい。”、“細菌が唾液管に入り込んで、感染を起こすやすい。”といった原因が考えられています。また、ストレス、つかれ、虫歯などが引き金になるとも言われています。
化膿性耳下腺炎
(緊急度★★★★☆)
細菌が耳下腺に感染して起こります。おたふくかぜや反復性耳下腺炎と比べて、腫れている部分の赤みや熱感、痛みが非常に強いです。抗菌薬による治療を行います。
その他
唾液の管に石が詰まる「唾石症」(食事のたびに腫れるのが特徴)や、自己免疫の異常(シェーグレン症候群)などが原因で耳下腺が腫れることもあります。
「リンパ節」が腫れている場合
リンパ節は、体内に侵入したウイルスや細菌と戦う「関所」のような役割をしています。
そのため、感染症にかかると反応してリンパ節が腫れることがよくあります。
ウイルス性リンパ節炎(反応性リンパ節腫脹)
(緊急度★☆☆☆☆)
いわゆる「風邪」をはじめとするウイルス感染に伴って起こる、最も一般的なリンパ節の腫れです。首の周りに複数のしこりを触れますが、痛みはそれほど強くなく、原因の風邪などが治るとともに自然に小さくなっていきます。緊急性はなく、経過観察で問題ありません。
化膿性リンパ節炎
(緊急度★★★★☆)
細菌がリンパ節に感染し、膿がたまってしまう状態です。通常は高熱を認めます。赤く熱をもってパンパンに腫れあがり、強く痛がる場合は、早めの受診と抗菌薬による治療が必要です。
頸部の細菌感染症
(緊急度★★★★☆)
感染部位はさまざまですが、いずれにせよ早期治療が重要です。
扁桃周囲膿瘍はのどの奥にある扁桃やその周りに、咽後膿瘍は首の深い部分に細菌が感染し、膿のたまり(膿瘍)を作ってしまう病気です。
それら以外にも、歯性感染症(根尖性歯周炎・歯槽膿瘍)で生じた膿の溜まりが顎の骨を突き破って深頚部へ波及したり、生まれつきあった嚢胞(正中頸嚢胞=甲状舌管嚢胞、側頸嚢胞=第2鰓弓異常)が感染を起こすことがあります。梨状窩瘻という、食道の入口にあるくぼみ(梨状窩)から甲状腺に向かって通る細い管が感染し、急性化膿性甲状腺炎を生じることもあります。外傷(例:箸や歯ブラシを口にくわえたままの転倒)により、のどの奥に細菌が侵入することがあります。
頚部の細菌感染症で入院治療が行われる頻度は比較的高いです。
首のリンパ節の腫れに加え、高熱、強いのどの痛みがある時は気をつけましょう。
また、膿瘍が気道(空気の通り道)を圧迫して、呼吸困難を引き起こすことがあります。
◎ 口が開きにくい、よだれが増える
◎ 首が痛くて回せない、傾いたままになる
◎ 声がこもる、息が苦しそう
このような症状がみられる場合は、緊急度MAX★★★★★です。
川崎病
(緊急度★★★☆☆)
全身の血管に炎症が起きる病気です。
心臓の血管に後遺症(冠動脈瘤)を残すことがあるため、以下の症状のうちのいくつかを認める場合は要注意です。早期に診断し治療を開始することが極めて重要です。
◎ 熱が続く
◎ 首のリンパ節の腫れ(特に片側で、硬く腫れることが多い)
◎ 両目の充血
◎ 唇が赤く腫れる、イチゴ舌
◎ 体に赤い発疹が出る
◎ 手足がパンパンに腫れる、手のひらと足裏が真っ赤になる
「発熱が続いているけど、このまま様子を見ても大丈夫?」【ベスタの小児科医が川崎病を解説】
伝染性単核球症
(緊急度★★☆☆☆)
主にEBウイルスというウイルスによって起こります。発熱、のどの強い痛み、首のリンパ節の腫れが特徴です。熱などの症状が2-3週間以上長引くことがあります。まれに重症化することもあります。EBウイルスに対する薬はなく、対症療法で経過観察となります。
亜急性壊死性リンパ節炎(菊池病)
(緊急度★★☆☆☆)
長引く発熱と、痛みを伴う首のリンパ節の腫れが特徴です。症状は長く、数週間以上続くことが多いですが、自然に治ることがほとんどです。他の病気ではないことを診断することが大切です。ステロイド治療を行うこともあります。
猫ひっかき病
(緊急度★★☆☆☆)
その名の通り、猫にひっかかれたり、咬まれたりすることで、バルトネラという細菌に感染して起こります。傷口に近い部分のリンパ節が腫れて、時に膿を持つことがあります。抗菌薬治療が有効です。
血液・腫瘍性疾患
(緊急度★★★☆☆)
血液の病気(白血病、悪性リンパ腫など)などが原因で、リンパ節が腫れることもあります。通常は、発熱、体重減少、倦怠感などを伴い、症状は進行的に悪化していきます。
「耳下腺」と「リンパ節」以外が腫れている場合
粉瘤(ふんりゅう)、脂肪腫(しぼうしゅ)など
(緊急度★☆☆☆☆)
さまざまなしこりができることがあります。
筋性斜頸(きんせいしゃけい)
(緊急度★☆☆☆☆)
赤ちゃんの場合、首の筋肉(胸鎖乳突筋)の中に生まれつきのしこりができることがあり、向き癖の原因になります。多くは自然に軽快しますが、手術を行う場合もあります。
乳様突起炎(にゅうようとっきえん)
(緊急度★★★★☆)
耳の後ろにある骨(乳様突起)が赤く腫れあがり、発熱し痛がっていたら、乳様突起炎(にゅうようとっきえん)という細菌感染症の可能性があります。中耳炎から引き起こされる重篤な合併症です。速やかな抗菌薬治療が必要です。
首が腫れているときは、「エコー検査」が力を発揮します
当院では超音波(エコー)検査を積極的に活用しています。
エコー検査は、放射線被ばくの心配がなく、痛みも伴わないため、お子さんに安心して受けていただける検査です。ゼリーを塗って機械を当てるだけで、腫れている場所の内部をリアルタイムで詳しく観察できます。
【エコー検査で分かること】
何が腫れているのか?
耳下腺なのか、リンパ節なのか、それ以外かを正確に判断できます。
腫れの原因
リンパ節の形や血流の状態から、ウイルス性か細菌性(化膿しているか)かをある程度推測できます。これにより、不要な抗菌薬の使用を避けることにも繋がります。耳下腺炎についても、おたふく風邪なのか、反復性耳下腺炎なのか、判別できるときがあります。
膿の有無の確認
膿の塊(膿瘍)になっていないかを確認できます。もし膿瘍があれば、皮膚を切って膿を出したり、穿刺して中の膿みを吸い出す処置が必要になることもあります。
他の病気の鑑別
川崎病、伝染性単核球症、血液腫瘍性疾患などを診断するうえで、エコー所見が助けになることがあります。
「エコー検査」で、なにがわかる?どんな時にするべき?【ベスタの小児科医が解説】
ベスタこどもとアレルギーのクリニックは、練馬区の中村橋駅からすぐの場所にあり、365日診療を行っています。平日はお仕事で忙しい保護者の方も、週末に急に症状が出て心配になった時も、いつでも頼っていただけるクリニックでありたいと思っています。
「これって病院に行くべきかな?」と迷った時、不安な気持ちを抱えた時は、どうぞお気軽にご相談ください。私たち専門医が、お子さん一人ひとりの症状を丁寧に診察し、保護者の方の不安にしっかりと寄り添います。
このブログをご覧になり、当院でのエコー検査を希望される場合は、腎夜尿症外来から予約をお取りください。
医療上の免責事項 本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や状況に応じた医学的な診断・治療を代替するものではありません。お子さまの症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指示に従ってください。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
