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子供のはしかに注意!症状の特徴と早期に見極めるポイント

はしか(麻疹)は、免疫のない人がウイルスに接触すればほぼ100%発症するといわれるほど怖い感染症です。(※1)
さらに、子供が感染した場合、約30%が肺炎や中耳炎などの合併症にかかり、時には脳炎などの命に関わる重い後遺症を残すこともあります。(※2)
この記事では、はしかの症状の特徴や、早期発見のポイントを解説します。大切な我が子の命を守るために、正しい知識を身につけましょう。
もくじ
はしか(麻疹)の症状経過と見分け方のポイント

はしか(麻疹)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる、ウイルス性疾患です。感染すると、特徴的な症状が下記のような3段階で順番に現れます。
①カタル期
②発疹期
③回復期
①カタル期
ウイルスに感染してから約10〜12日の潜伏期間を経て、最初に風邪とよく似た症状が現れるのが「カタル期」と呼ばれる時期です。この時期は、はしかに特徴的な発疹はまだ見られません。そのため、風邪との見分けが難しい時期になります。
カタル期には以下のような主な症状が現れます。
- 発熱:38℃前後の熱が2〜4日間続く
- 咳・鼻水:乾いたしつこい咳が続く
- 目の症状(結膜炎):目が充血したり目やにが出たり、光を異常にまぶしく感じて涙目になる
- 全身の症状:体のだるさ(倦怠感)
またカタル期には、はしかに特徴的な「コプリック斑」ができます。周りが赤く縁取られた、直径1mmほどの少し盛り上がった白い点で、頬の内側の粘膜、特に奥歯の近くに現れます。
コプリック斑は、全身に発疹が出る1〜2日前に現れ、発疹が広がり始めると数日で消えてしまいます。出現する期間が短いため見逃しやすいですが、子供の口の中に白い点を見つけたらかかりつけ医に相談しましょう。
②発疹期
コプリック斑が現れて1〜2日経つと、はしかの代表的な症状である赤い発疹が全身に広がり発疹期と呼ばれる時期になります。発疹期の特徴は下記のとおりです。
- 発疹:耳の後ろ、首、顔から出始め、体や腕、脚の先、全身へと広がる
- 二峰性発熱(にほうせいはつねつ):カタル期で一度38℃台に下がりかけた熱が、再び39〜40℃の厳しい高熱となってぶり返す
この発疹期は3〜4日続き、咳や鼻水、目の充血など、カタル期の症状がひどくなる傾向です。小さな赤いポツポツが、大きなまだら模様になり、1週間ほどで消えるのが特徴です。
また、肺炎や中耳炎などの合併症も発疹期に起こりやすいため、特に注意が必要です。
③回復期
回復期では、発疹が顔から徐々に薄くなり、最後は茶色っぽい色素沈着を残して消えていきます。高熱も下がり、体温は平熱に戻ります。咳や鼻水などの症状も軽快し、全身の倦怠感も次第に改善していきます。
はしかは一度かかると強い免疫がつき、再びかかることはほとんどありません。ただし、麻疹は免疫力を大きく低下させるため、回復期でも肺炎や中耳炎などの感染症を合併することがあり、しばらく注意が必要です。
はしかと他の病気との違い
はしかは、風疹や突発性発疹と症状が似ています。違いを見極めるポイントとして、「①風疹との違い」「②突発性発疹との違い」を解説します。
①風疹との違い
風疹は「三日はしか」とも呼ばれますが、はしかとは全く異なる病気です。全体的に風疹の方が症状は軽い傾向ですが、妊娠初期の女性が感染すると胎児に影響が出ることもあります。
以下のようなポイントで、はしかと風疹を見分けます。

②突発性発疹との違い
突発性発疹は、生後6か月〜2歳頃の乳児が初めて高熱を出す原因として最も多い病気の一つです。(※3)はしかとの大きな違いは、「熱と発疹が現れるタイミング」です。
はしかと突発性発疹の違いは、以下のようなポイントで判断されます。

はしかの治療

現在、はしかウイルスそのものを攻撃する薬(抗ウイルス薬)は、開発されていません。(※4)現在のはしかの治療法として、「対症療法」と「自宅でできるケア」を解説します。
対症療法
はしかの治療では、対症療法が中心です。症状をコントロールし、体力の消耗を防ぐことが大切です。医療機関では、以下のような治療が行われます。

自宅でできるケア
家庭で実践できるケアのポイントは、以下のとおりです。

はしかの合併症

体力や免疫力が未熟な乳幼児では、重い合併症につながる危険性が高く、合併症を正しく知ることが重要です。代表的な合併症は以下の4つです。
①肺炎
②中耳炎
③脳炎
④亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
①肺炎
はしかの合併症として、頻繁に見られるのが肺炎です。はしかウイルスによって体の抵抗力が落ちたところに、細菌などが二次的に感染することで起こります。
乳幼児が肺炎を合併すると、命に関わることもあるため、十分な注意が必要です。肺炎には、はしかウイルス自体が原因の「ウイルス性肺炎」と、細菌感染による「細菌性肺炎」があります。
以下の症状が見られた場合は肺炎を疑います。

②中耳炎
はしかウイルスが、耳と鼻をつなぐ管(耳管)に侵入した場合、中耳炎を合併します。次のようなサインが見られた場合、中耳炎を疑います。
- 理由もなく、機嫌が悪い状態が続く
- 頻繁に耳を触ったり、気にしたりする
- 夜中に突然、泣き出す
- 耳から膿のような液体(耳だれ)が出てくる
発疹がピークを過ぎた後も、咳が続いたり、機嫌が悪かったりする場合は合併症を疑い、かかりつけ医に相談することが大切です。
③脳炎
はしかは命に関わる、あるいは重い後遺症を残す可能性のある脳の合併症を引き起こすことがあります。脳炎は、約1,000人に1人の割合で発生する、重篤な合併症です。(※1)
発疹が出てから数日後に発症することが多いです。命を落とす危険があるだけでなく、回復しても約20〜40%の方に知的障害や運動障害、けいれんなどの後遺症が残ることがあります。
脳炎を疑う症状は以下のとおりです。
- 40℃以上の高熱が続く
- 意識がもうろうとして、呼びかけに反応しない
- 意味不明な言動がある
- 何度も嘔吐する
- けいれんを起こす
これらの症状が1つでも見られたら、救急車を呼ぶなど、直ちに高度な医療が受けられる病院を受診する必要があります。
④亜急性硬化性全脳炎(SSPE)
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は、はしかの合併症の中で深刻な合併症の一つです。はしかにかかってから平均7〜10年という長い時間が経過した後に、脳の機能が徐々に失われていく進行性の病気です。
まれな病気ですが、一度発症すると有効な治療法はまだ確立されていません。SSPEは以下のような順序で進行していきます。
- 初期:学力の低下、物忘れ、性格の変化、不器用になる
- 進行期:周期的なけいれん発作がおこり、体を動かせなくなる
- 末期:意識がなくなり、寝たきりの状態になる
脳炎やSSPEを防ぐ方法は、ワクチンの定期接種を行い、はしかにかからないことです。
子供のはしか予防と感染拡大を防ぐための知識

はしかには、特効薬がないため、感染予防と感染拡大を防ぐための知識が重要です。子供を感染から守るために以下の3点を確認しておきましょう。
①はしかは空気感染する
②MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)が有効
③出席停止期間と登園・登校の目安
①はしかは空気感染する
はしかは、感染症の中でも伝播力が強いウイルスです。その理由は、空気感染を含む、以下のようにさまざまな経路で広がるためです。
- 空気感染:感染者の咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込んで感染
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみで飛び散った、ウイルスを含むしぶき(飛沫)を直接吸い込んで感染
- 接触感染:ウイルスが付着した物に触れた手で、自分の口や鼻、目に触れて感染
複数の経路で広がるため、マスクや手洗いだけでは感染を完全に防ぐことは困難です。特に空気感染は強力で、免疫のない人がウイルスに接触した場合、ほぼ100%発症するといわれています。(※1)そのため、ワクチンによる予防が、有効な予防策の一つになります。
②MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)が有効
はしかを予防するための方法は、MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)の接種です。(※5)日本では、このMRワクチンを2回定期接種します。接種時期と対象年齢は下記のとおりです。

ワクチン接種を2回行う理由は、免疫力を向上させることと、集団免疫の維持のためです。1回の接種だけでは、体質などにより十分な免疫がつかないこともあります。
接種が難しい乳児や病気の方を間接的に守るためにも、2回のワクチン接種が有効です。(※5)
出席停止期間と登園・登校の目安
子供がはしかと診断された場合、感染拡大を防ぐため、学校保健安全法にもとづき、学校や保育園などを休む必要があります。これは病気の治療とまん延防止を目的とした「出席停止」という措置で、欠席扱いにはなりません。
出席停止の期間は、「解熱した後、3日を経過するまで」と明確に定められています。
この期間が定められているのは、熱が下がっても、しばらくは体内にウイルスが残っており、他の人にうつす可能性があるからです。例えば、月曜日に解熱した場合は、以下のようになります。
- 火曜日(解熱後1日目):休み
- 水曜日(解熱後2日目):休み
- 木曜日(解熱後3日目):休み
- 金曜日:登園・登校が可能
発疹が消えても、熱が下がってすぐに登園・登校できるわけではありません。登園・登校を再開する際には、医師が診察し、「治癒証明書」や「登園許可証」の提出を求められることがほとんどです。
自己判断で登園させず、かかりつけ医の指示に従ってください。
まとめ
はしかは、肺炎や脳炎などの命に関わる合併症を引き起こすこともある、感染力の強い病気です。口の中にできる「コプリック斑」や、熱が一度下がってから再び上がる「二峰性発熱」など、特徴的な症状の経過を知っておくことが早期発見につながります。
また、はしかには特効薬がないため、MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を適切な時期に2回接種することが大切になります。疑わしい症状がある際は、自己判断せず医療機関へ事前に電話で相談をしましょう。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、麻疹・風疹ワクチンの予防接種も受け付けています。予防接種について不安を感じている方も、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「麻しん」
- 国立感染症研究所 感染症情報センター「麻疹の現状と今後の麻疹対策について」
- Leung AKC, Lam JMC, Barankin B, Leong KF, Hon KL. Roseola Infantum: An Updated Review. Current Pediatric Reviews,2024,20,2,119-128.
- Chen L, Kita S, Fukuhara H, Maenaka K. “Understanding the structure of measles virus and its implications for novel drug discovery.” Expert opinion on drug discovery, no. (2025): 1-10.
- Otto-Ryan A, Kwong J. “Measles Matters: A Clinical Overview and Update.” The Nursing clinics of North America 60, no. 3 (2025): 421-429.
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こどもの病気コラムの一覧です。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
