トピックス
急に血便がでた!もしかして腸重積?緊急時の見分け方について【ベスタの小児科医が解説】
「あれ、うんちに血が混じってる…?」
お子さんの血便に気づいた時、保護者の方は大きな不安に襲われることでしょう。様々な原因が考えられますが、中には「腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)」という、緊急の対応が必要な病気が隠れていることもあります。
この記事では、お子さんの血便の中でも特に注意が必要な腸重積症について、そのサインの見分け方と、病院での検査や治療の流れを詳しく解説します。保護者の皆様が、いざという時に慌てず、適切な行動がとれるよう、分かりやすくお伝えします。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、科学的根拠と専門医(小児科・アレルギー科)監修による信頼性の高い情報提供を心がけています。当クリニックは、365日診療とアレルギー専門外来という強みで、練馬区や中野区、杉並区など西武線沿線にお住まいの保護者の方々の子育てを力強くサポートします。私たちの理念は「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」です。どうぞお気軽にご相談ください。
「腸重積症」とは?
腸重積症とは、腸の一部が隣接する腸管の中に入り込んでしまう病気です。
腸管は口側から肛門側へ向かって蠕動運動をします。口側の腸管が肛門側にはまりこんでしまい、元に戻らなくなってしまうのが「腸重積症」という状態です。
この状態になると、腸が塞がってしまう「腸閉塞」を引き起こし、さらにはまり込んだ部分の血流が悪くなってしまいます。

好発年齢
生後3ヶ月から2歳くらいまでの乳幼児に多くみられます。男の子にやや多く見られます。
原因
ウイルス感染などで腫れた腸のリンパ組織が先進部となって、大腸にはまっていくのが原因の一つと考えられています。その他、メッケル憩室やポリープも同様に先進部となり、腸重積症の原因となります。3-5歳以上で発症した場合は、器質的な異常を疑うことが大事です。
見逃したくない特徴的な症状
間欠的な激しい腹痛(不機嫌)
突然火がついたように激しく泣き出し、しばらくするとケロッと泣き止んで普段通りに戻る、ということを繰り返します。周期的な腹痛発作(間欠的啼泣)は、腸重積症の最も特徴的な症状の一つで、数十分おきにみられます。
嘔吐
腹痛と同様に頻度の高い症状です。最初は飲んだミルクや食べたものを吐きますが、進行すると黄色い胆汁を吐くこともあります。
イチゴジャム様の粘血便
重積症の血便は、粘液と血液が混じった「イチゴジャム」のような見た目をしています。必ずしも初期から血便が見られるわけではなく、発症から半日以上経ち、症状が進行して初めて血便が現れることが多いです。血便がないからといって腸重積症を否定することはできません。
その他の症状
顔面蒼白、ぐったりして元気がなくなる、お腹が張る、触ると硬いしこり(ソーセージ状腫瘤)を触れることがある、なども見られます。
発症初期は嘔吐だけの症状のことが多く、胃腸炎と誤診される場合も多いです。一旦は胃腸炎と言われたとしても、帰宅後も嘔吐や不機嫌が治まらない場合は早めにもう一度受診するようにしましょう。
腸重積症は発症から時間が経つほど、腸の血流が悪化し、腸が壊死(えし)してしまったり、穴が開いてしまったりする危険性が高くなり、手術が必要になったり、腸の一部を切除しなければならなくなったりする場合もあります。
診断のための検査と治療
腹部超音波(エコー)検査
腸重積症の診断で最も重要で確実な検査は、腹部超音波(エコー)検査です。
腸重積に特徴的な「ターゲットサイン(的のような模様)」や「シュードキドニーサイン(偽腎臓サイン)」と呼ばれる腸が重なり合っている画像が確認できます。
当院では、腹部超音波(エコー)検査を行うことができます。
X線透視下整復術(高圧浣腸)
超音波検査で診断が確定した場合、または疑いが非常に強い場合には、治療を兼ねてX線透視下で造影剤(バリウムや水溶性のガストログラフィンなど)や空気を肛門から注入する検査(高圧浣腸)が行われることがあります。これにより、重なっている腸が元に戻る(整復される)ことがあります。
腸に穴が開いていたり(穿孔)、腹膜炎を起こしたりしていなければ、多くの場合、まずこの高圧浣腸による整復(非観血的整復)が試みられます。発症から24時間以内であれば、成功率は80~90%と良好です。
手術
高圧浣腸で整復できない、発症から時間が経ちすぎている、腹膜炎を起こしていたり、腸が腸が壊死している疑いがある場合は、手術が必要になります。
治療後の経過と予後
整復が成功した後は入院し、再発がないか観察していきます。食事を問題なく摂れることが確認できれば退院となります。
腸重積以外の血便の原因
血便を見ると、すぐに腸重積症のような怖い病気を心配されるかもしれませんが、機嫌がよく、嘔吐もない場合は、あまり心配のいらないような原因である可能性が高いです。
切れ痔(肛門裂傷)
硬い便や、いきんだ時などに肛門の皮膚が少し切れてしまうものです。お子さん自身は元気なことが多いです。
リンパ濾胞過形成(リンパろほうかけいせい)
大腸の粘膜にあるリンパ組織(リンパ濾胞)が、何らかの原因で過剰に増えたり大きくなったりして凹凸を作り、その表面から出血することで、便に点状や線状の血液が混じることがあります。特に母乳栄養の赤ちゃんに見られることが多く、「母乳血便」と呼ばれることもあります。
赤ちゃんは比較的元気で、哺乳力も普段と変わらないのが特徴です。
生後2~3ヶ月以降で見られ、数ヶ月で自然に治ることがほとんどです。
感染性胃腸炎
細菌(カンピロバクター、サルモネラ、O-157など)やウイルスによる「感染性胃腸炎」でも血便が見られることがあります。特に細菌性の場合は、下痢や腹痛、発熱を伴うことが多いです。
食物アレルギー
乳児期には「乳児消化管アレルギー」によって、便に血が混じることがあります。嘔吐や体重増加不良などの他の症状を伴うこともあります。
若年性ポリープ
1歳前後以降に見られる大腸の良性のポリープが原因で、痛みを伴わない赤い血便が出ることがあります。
メッケル憩室
小腸の生まれつきの異常である「メッケル憩室」がある場合、そこから出血して血便が見られることがあります。腹痛を伴わないことが多いですが、出血量が多いこともあります。
赤い食べ物による誤認
トマトやイチゴ、スイカ、ビーツなどの赤い食べ物をたくさん食べた後に、便が赤っぽく見えることがあります。
お子さんの血便や、その他気になる症状がございましたら、ベスタこどもとアレルギーのクリニックにご相談ください。ウェブサイトからご予約いただけます。
Q&A
Q.血便が出ていますが、すぐに受診したほうがいいでしょうか?
不機嫌、腹痛、発熱、下痢、嘔吐など、血便以外の症状があれば早めに受診をしましょう。血便の程度にもよりますが、機嫌が良くて、食欲もあるような場合は日中の受診でかまわないと思います。
Q.赤ちゃんが不機嫌で腸重積が心配です。すぐに受診したほうがよいでしょうか?
赤ちゃんが急に機嫌が悪くなることはよくあります。顔色不良や嘔吐などがなければ、数時間様子をみてもいいと思います。私自身の経験上、多少機嫌が悪くても、夜間きちんと眠れているような場合に腸重積だったことはありません。数十分おきにくりかえす不機嫌は要注意ですので、早めに受診しましょう。
リンク
医療上の免責事項
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や状況に応じた医学的な診断・治療を代替するものではありません。お子さまの症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指示に従ってください。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
