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子どもの虫刺されで水ぶくれ?原因と対処法を解説【ベスタの小児科医が解説】

虫に刺されたあと、皮膚にぷくっとした水ぶくれができることがあります。「たかが虫刺され」と軽く考えてしまいがちですが、安易な自己判断は、思わぬ悪化や跡の原因になってしまうかもしれません。
この記事では、お子さんの虫刺されで水ぶくれができた場合に考えられる原因や、家庭でできる応急処置の方法、そして医療機関を受診すべき危険な症状の見分け方を解説します。正しい知識をもとに、万が一のときにも冷静に対応できるよう備えておきましょう。
もくじ
虫刺されで水ぶくれができることはある?

虫刺されで水ぶくれ(医学的には水疱)ができることは、特に珍しいことではありません。
お子さんの皮膚は大人に比べて薄くデリケートです。そのため、虫の唾液や毒の成分に対して体の免疫機能が強く反応しやすく、かゆみや赤みだけでなく、水ぶくれにまで発展することがあります。
これは、体が異物と一生懸命戦っている証拠です。しかし、水ぶくれを掻き壊してしまうと細菌感染を起こすこともあるため、正しい知識を持って適切に対処することがとても大切です。
かゆみ・赤みだけでなく水ぶくれができる理由
虫に刺されたとき、私たちの体の中では「アレルギー反応」という防御システムが働きます。これが水ぶくれができる主な原因です。
虫が皮膚を刺した際、体内に入る唾液や毒の成分を「異物」とみなし、体を守るために攻撃を始めます。この反応が起こると、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、血管が拡張して皮膚が赤くなったり、かゆみ神経が刺激されてかゆみを感じたりします。
反応が強く出ると、血管の壁から血液の液体成分(血漿:けっしょう)が、じわじわと周りの組織に漏れ出してしまいます。この漏れ出た液体が皮膚の表面近くにたまってできたものが、水ぶくれの正体です。
特にお子さんは、皮膚のバリア機能が未熟な他、免疫システムが発達段階などの理由から大人よりも水ぶくれができやすい傾向にあります。
また、蚊のような身近な虫でも体質によっては水ぶくれができます。それに加え、ブヨ(ブユ)やムカデなど、毒性の強い成分を持つ虫に刺された場合は、アレルギー反応だけでなく毒成分による直接的な皮膚へのダメージも加わり、より水ぶくれができやすくなります。
危険な虫刺されとそうでないものの見分け方
ほとんどの虫刺されはご家庭でのケアで自然に良くなります。しかし、なかにはすぐに病院での治療が必要な危険な虫刺されも存在します。
重症化するケースは決して珍しくなく、体調の変化に早く気づくことが重要です。特に水ぶくれが急激に悪化したり、発熱やぐったりした様子が見られた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
見分けるポイントは、刺された場所の症状だけでなく、体全体の様子をあわせて確認することです。
病院を受診すべきサインについては、後ほど詳しく解説します。
水ぶくれを引き起こす虫の種類とは?

お子さんの虫刺されが水ぶくれになると、何に刺されたのか心配になりますよね。医師も「何の虫に刺されたのでしょうか?」と聞くことがあります。
ここでは、水ぶくれを引き起こす虫の種類をご紹介します。
①蚊
②ブヨ(ブユ)
③ノミ・ダニ
④毛虫やムカデ
①蚊
蚊に刺されても、通常は大きな水ぶくれにはなりません。しかし、お子さんの場合は蚊の唾液に対する免疫反応が強く出て、硬く腫れたり水ぶくれができたりすることがあります。
また、強いかゆみから患部を掻き壊してしまうことも原因の一つです。掻く刺激そのものが皮膚の炎症を悪化させ、水ぶくれを作ってしまうのです。
ごく稀ですが、蚊に刺されるたびに水ぶくれや潰瘍、高熱などを伴う「蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)」という病気もあります。これは特定のウイルス感染が関連していると考えられています。蚊に刺されるたびに異常に強い症状を繰り返す場合は、一度小児科や皮膚科に相談しましょう。
②ブヨ(ブユ)
高原や渓流沿いなど、きれいな水辺に生息する小さなハエのような虫です。キャンプや川遊びの際に被害にあうことが多く、注意が必要です。ブヨは蚊と違い、皮膚を噛み切って吸血するため、症状が強く出やすい特徴があります。
【ブヨに刺された後の症状の経過】

体質によっては、治るまでに1か月以上かかることもあります。朝方や夕方の涼しい時間帯に活動が活発になるため、アウトドアでは肌の露出を避ける服装を心がけてください。
③ノミ・ダニ
室内やペットの周りに潜んでいて、気づかないうちに刺されていることが多い虫です。強いかゆみで眠れなくなることもあり、不快な症状が持続します。
ノミは、主にイヌやネコに寄生し、ペットを介して室内に持ち込まれることが原因です。刺されやすい場所は、ひざから下のすねや足首などで、同じような場所を集中的に刺される傾向があります。刺された跡が一直線に並んだり、数か所にかたまって出ることが多く、強いかゆみを伴う赤い発疹や水ぶくれができる場合もあります。
一方、ダニ(特にイエダニなど)は、畳やカーペット、寝具などに生息しています。刺されやすい部位は、お腹やわき腹、太ももの内側など、衣服で覆われた柔らかい部分です。刺されてすぐに症状が出るとは限らず、1〜2日経ってから強いかゆみや赤いブツブツが現れるのが特徴です。
こまめな掃除や寝具の管理、ペットのノミ駆除などが効果的な予防策です。
④毛虫やムカデ
毛虫やムカデは毒を持っているため、接触すると激しい皮膚症状を引き起こします。
毛虫(チャドクガなど)の場合、原因は毛虫の体にある「毒針毛(どくしんもう)」という、目に見えない無数の毒針に触れることで皮膚炎が起こります。毒針毛は風に乗って飛ぶため、木の下を通っただけで被害にあうこともあります。
症状としては、触れた部分にじんましんのような赤いブツブツが広範囲に出現し、耐えがたいほどの激しいかゆみを伴います。掻いてしまうと、皮膚に残った毒針毛を周囲に塗り広げることになり、症状が悪化して水ぶくれが多発します。
ムカデの場合は、ムカデの持つ一対の毒牙で噛まれることで、ハチの毒にも似た成分が注入されます。症状は、噛まれた瞬間に焼けつくような激しい痛みを感じるのが特徴です。噛まれた跡が2つの点として残り、その周りが赤く大きく腫れあがって、水ぶくれを形成することが多くあります。
虫刺されの応急処置と自宅でのケア方法

お子さんの虫刺されがぷっくりと水ぶくれになると、痛々しい見た目に「早くなんとかしてあげたい」と焦る気持ちになるかと思います。掻き壊してとびひになったり、跡に残ったりしないかと、心配は尽きません。
まずはご自宅でできる正しい応急処置を行うことが、症状の悪化を防ぎ、きれいに治すための最も重要なステップです。ここでは、病院へ行く前にできる基本的なケアの方法を具体的に解説します。
水ぶくれを潰してはいけない理由
ぷくっと膨らんだ水ぶくれは、つい針で刺して潰したくなるかもしれませんが、やっていはいけません。水ぶくれの薄い皮は、傷口を外部の刺激や細菌から守る「天然の保護フィルム」であり、大切な役割を担っています。
水ぶくれを無理に破ると、以下のような状態になる可能性があります。
- 細菌感染のリスクが急増する
- 治りが遅くなる
- 痕が残りやすくなる
自然に破れてしまった場合は仕方ありませんが、意図的に潰すことはやめましょう。
清潔に保つ・冷やす・かゆみ対策
患部はまず清潔に保つことが大切です。石けんをよく泡立て、泡でやさしく包み込むように洗いましょう。水ぶくれを破らないように、ゴシゴシこすらず丁寧に洗い、洗い終えたら流水でしっかりと泡を流します。水分は清潔なタオルでそっと押さえるようにして拭き取ってください。
かゆみや腫れが気になるときは、冷やすことで症状を和らげることができます。保冷剤や氷をタオルなどで包み、直接肌に触れないようにして10〜15分ほど患部に当ててみましょう。ただし、冷やしすぎには注意が必要です。
また、お子さんなど無意識に掻いてしまう可能性がある場合は、爪を短くしておくことも有効です。患部は軽くガーゼや絆創膏で覆って保護し、水ぶくれを刺激しないようにしておくと安心です。
市販薬は使って良い?
薬局やドラッグストアでは、虫刺されの薬として、かゆみを抑える「抗ヒスタミン成分」や、炎症を抑える「ステロイド成分」を含む塗り薬が販売されています。特に腫れや赤み、かゆみが強い場合は、ステロイド成分を含む薬が効果的です。
市販薬を2〜3日ほど使用しても症状が良くならない、またはかえって悪化するような場合は、薬が合っていないか、別の問題が起きているサインです。その際は薬の使用を中止し、速やかに小児科や皮膚科を受診しましょう。
子どもの虫刺されでこんなときは病院へ行こう

「たかが虫刺され」と軽く考えてしまいがちですが、なかには専門的な治療がすぐに必要なケースも隠れています。特に、お子さんの体は大人と比べてデリケートです。
症状が軽いうちに小児科や皮膚科を受診することで、悪化を防ぐことができます。特に以下のような状態になる前に、早めの対応をおすすめします。
①発熱や全身症状を伴うとき
②水ぶくれが悪化・化膿してきた場合
③アナフィラキシーの可能性があるとき
①発熱や全身症状を伴うとき
虫に刺された場所の症状だけでなく、体全体に変化が現れた場合は、特に注意が必要です。これは虫の毒成分や唾液成分が血流に乗り、全身に影響を及ぼしているサインかもしれません。また、刺された傷口から細菌が体内に侵入し、感染症を起こしている可能性も考えられます。
以下のような症状が見られたら、速やかに医療機関を受診してください。
【受診を強く推奨する全身症状】
- 38度以上の発熱:体が病原体と戦っているサインですが、虫刺されが原因の場合は注意が必要です。
- 吐き気・嘔吐:毒素による反応や、強いストレスが原因となっている可能性があります。
- 頭痛やめまい:全身の炎症反応や、血圧の変動などが関係していることも考えられます。
- ぐったりして元気がない:お子さんの「いつもと違う様子」は、重要な体調変化のサインです。
特に、山や草むら、河川敷などで刺された後に高熱が出た場合は注意が必要です。マダニなどが媒介する感染症(日本紅斑熱や、重症熱性血小板減少症候群など)の可能性も否定できません。これらの病気は、潜伏期間を経て発症することもあり、専門的な治療を要します。
診察の際には、「いつ、どこで、何をしているときに刺されたか」を伝えていただけると、診断の大きな助けになります。刺された場所以外の症状に気づいたら、迷わずご相談ください。
②水ぶくれが悪化・化膿してきた場合
刺された直後よりも、水ぶくれの状態が明らかに悪化していく場合は、細菌による二次感染の可能性が考えられます。お子さんがかゆみに耐えられずに掻き壊すと、その傷口から皮膚の常在菌(黄色ブドウ球菌など)が侵入し、症状を悪化させます。
ご家庭で以下のチェックリストを確認し、一つでも当てはまる場合は医療機関の受診を検討してください。
【細菌感染を疑う悪化のチェックリスト】
- 水ぶくれが時間とともに大きくなっている
- 水ぶくれの数が増え、体の他の場所に広がっている
- 水ぶくれが破れ、黄色くネバネバした膿(うみ)が出ている
- 刺された周りがパンパンに赤く腫れ、触ると熱を持っている
- ズキズキとした痛みが強くなっている
特に、掻いた手を介して症状が体のあちこちに広がる「とびひ(伝染性膿痂疹)」は、ご兄弟などにうつる可能性もあります。また、皮膚の深い部分で炎症が広がる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」は、抗生剤の内服や点滴が必要になることもあり危険な状態です。
アナフィラキシーの可能性があるとき
虫刺されにおいて、最も注意すべきなのが「アナフィラキシー」です。これは、虫の毒などに対して体の免疫システムが暴走し、全身に激しい症状を引き起こす、命に関わるアレルギー反応です。症状の進行が速く、まさに一刻を争う緊急事態です。
東京消防庁のデータでも、虫刺されが原因で救急搬送される方は毎年一定数おり、その1割以上が入院を必要とする状態と診断されています。(※1)以下のようなサインが一つでも見られたら、ためらわずに救急車を呼んでください。
【アナフィラキシーを疑う超緊急サイン】
- 呼吸の異常:息が苦しそう、ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音、声がかすれる
- 意識の異常:ぐったりして呼びかけへの反応が鈍い、意識がもうろうとしている
- 急激な皮膚の変化:全身に一気に広がるじんましん、顔や唇がパンパンに腫れる
- 消化器の症状:繰り返し吐いてしまう、我慢できないほどの強い腹痛を訴える
これらの症状は、ハチに刺された後に多いですが、他の虫でも起こり得ます。特に、虫に刺されてから数分〜30分以内に症状が現れた場合は、とても危険な兆候です。
過去に強いアレルギー反応を起こしたことがあり、アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を処方されている場合は、使い方を確認し、ためらわずに使用してください。使用後も必ず、救急外来を受診しましょう。
まとめ
お子さんの肌に虫刺されによる水ぶくれができると驚いてしまいますが、慌てずに対応することが大切です。まずは患部を優しく洗って清潔にし、冷やしてかゆみを和らげてあげましょう。水ぶくれの皮は傷口を守る大切な役割があるので、掻き壊したり潰したりしないように注意してくださいね。
市販薬を数日使っても良くならない、水ぶくれが悪化する、発熱やぐったりするなど全身に症状が出ている場合は、すぐに小児科や皮膚科を受診しましょう。判断に迷ったときも、専門家に相談するのが安心です。
子どもの虫刺されでお悩みごとがあれば、ぜひベスタ子どもとアレルギーのクリニックにご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
参考文献
- 東京都こどもセーフティプロジェクト「Vol.10 のための虫刺され予防をわかりやすく解説!注意すべき虫・症状・対処法とは」.https://kodomosafetypj.metro.tokyo.lg.jp/business/column/vol-010/
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
