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赤ちゃんの便秘対策|原因から家庭でできるケア・受診目安を解説!【ベスタの小児科医が解説】

「うちの子、何日もうんちが出ない」「うんちのたびに苦しそうに泣くんです」赤ちゃんの便秘は、多くの保護者の方が抱える切実な悩みです。しかし、実は「〇日出ていないから便秘」と日数だけで判断するのは早いかもしれません。ヨーロッパの研究では、4歳未満の子どもの約8%が機能性の便秘を経験すると報告されており(※1)、決して珍しいことではないのです。
この記事では、本当の便秘を見分ける4つのサインから、月齢別の原因、マッサージなど今すぐ試せる具体的なケア方法までを詳しく解説します。
稀に隠れている危険な病気のサインも見逃さないために、言葉で伝えられない赤ちゃんの「苦しい」を正しく読み解き、不安を安心に変えましょう。
赤ちゃんの便秘のサインと見分け方4つ

「うちの子、何日もうんちが出なくて…」「うんちの時にすごく苦しそうに泣くんです」クリニックでは、赤ちゃんの便秘に関するご相談が多く寄せられます。しかし、実際は回数が少なくても、赤ちゃんがご機嫌で、スムーズに排便できていれば問題ないことも多いのです。
以下で解説する4つのポイントを総合的にチェックして、赤ちゃんの状態を冷静に見極めていきましょう。
①正常な排便回数の目安
②うんちの硬さ・色・量
③苦しそうに泣く・強くいきむか
④便秘以外の症状
①正常な排便回数の目安
赤ちゃんの排便回数は個人差が大きく、月齢とともにダイナミックに変化します。「〇日出ていないから便秘」と一概に決めつけることはできません。
2025年に発表された、約2万3千人の健康な子どもを対象とした複数の研究を統合した分析では、年齢が低いほど排便回数が多い傾向が示されています。(※2)月齢による1日平均の排便回数の目安について、以下の表にまとめています。

上記の表のデータはあくまで平均値です。特に母乳栄養の赤ちゃんの場合、母乳の消化吸収が良いため、うんちになる成分が少なくなり、5日~1週間に1回程度の排便になることもあります。
便秘のようなこの状態を「溜めうんち」と呼びます。お腹が張っておらず、排便時に苦痛がなく、機嫌が良いのであれば、生理的な現象として心配いらないケースがほとんどです。回数だけを見て一喜一憂せず、うんちの状態や赤ちゃんの様子も含めて確認しましょう。
②うんちの硬さ・色・量
排便回数以上に、便秘かどうかを判断するうえで重要なのが「うんちの状態」です。毎日排便があっても、出すのがつらそうな硬いうんちは便秘のサインといえます。
おむつ替えは、赤ちゃんの健康状態を知るための大切な診察時間です。以下のうんちの状態チェックリストを参考にしてみてください。

③苦しそうに泣く・強くいきむ
赤ちゃんの排便時の様子は、便秘を見分けるための重要な手がかりです。うんちが硬くなると、肛門を通る時に痛みを感じるため、赤ちゃんはつらいサインを出します。以下のような様子が見られたら、便秘の可能性を考えましょう。
- 顔を真っ赤にして、普段より長く強くいきんでいる
- 足をピンと突っ張ったり、お腹に力を入れて体を硬くしたりする
- いきんでもうんちが出ず、途中で諦めたように泣き出してしまう
- 排便のたびに、火が付いたように激しく泣き叫ぶ
- おしりを拭いた時、ティッシュに少量の血が付く
これは硬い便で肛門の皮膚が切れる「切れ痔(裂肛)」のサインです。痛みを繰り返すと、赤ちゃんが排便を怖がって我慢する「排便恐怖症」につながることもあります。
ただし、生後6〜9か月頃までの赤ちゃんは、うんちが柔らかくても顔を赤くしていきむことがよくあります。いきむためにお腹に力を入れることと、肛門の筋肉を緩めることの連携がうまくできない「乳児排便困難症」という状態です。
病気ではなく、成長とともに自然に解消されることがほとんどです。いきんでいるだけでなく、うんちの硬さや本人のつらそうな様子も含めて判断することが大切です。
④便秘以外の症状
便秘が続くと、お腹の中にうんちやガスが溜まり、排便以外の部分にもさまざまな症状が現れます。赤ちゃんが不快感を感じている症状のチェックリストは以下のとおりです。

特に、食欲不振が続いて体重が増えていない場合は注意が必要です。母子手帳の成長曲線のカーブに沿って体重が増えているかを確認し、カーブから外れてくるような場合は、早めに小児科医に相談しましょう。
赤ちゃんの便秘を引き起こす主な5つの原因

赤ちゃんの便秘の原因は、体の発達段階や食事内容、生活リズムなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こります。赤ちゃんの便秘を引き起こす原因として考えられるのは、以下の5つです。
①未熟な消化機能と授乳の関係
②食事の変化と食物繊維・水分の不足
③生活リズムの乱れや環境の変化によるストレス
④うんちを我慢する「排便恐怖症」
⑤病気の可能性
①未熟な消化機能と授乳の関係
排便には「お腹に力を入れる」「肛門の筋肉をゆるめる」という動きの連携が必要です。しかし生まれたばかりの赤ちゃんはこの調整がまだ未発達で、これが便秘の原因となるケースがあります。
また、母乳やミルクの栄養の違いも便の状態に影響します。母乳は吸収が良いため排便量が少なくなりやすく、ミルクは成分の影響で便がやや硬めになることがあります。赤ちゃんの便秘は成長の過程でよく見られるもので、機嫌が良く体重が順調に増えていれば、過度に心配する必要はないでしょう。
②食事の変化と食物繊維・水分の不足
離乳食開始後に起こりやすい便秘の主な原因は以下の2つです。
- 食物繊維の不足
- 水分の不足
離乳初期は、おかゆや豆腐など消化の良い食材が中心のため、排便を助ける食物繊維が不足しがちです。不溶性食物繊維は便のかさを増やし、水溶性食物繊維は便を柔らかくする役割があるため、両方をバランス良く摂ることが大切です。
離乳が進むと母乳やミルクの量が減り、食事から水分を摂る習慣がまだない赤ちゃんは、水分不足に陥りやすくなります。その結果、うんちが硬くなり、排便が難しくなります。
便秘が気になる場合でも、離乳食をやめる必要はありません。さつまいも、かぼちゃ、プルーンなど繊維が豊富な食材や、湯冷まし・麦茶での水分補給を意識してみましょう。
③生活リズムの乱れや環境の変化によるストレス
赤ちゃんは環境の変化にとても敏感です。大人と同じように、環境の変化や生活リズムの乱れがストレスとなり、便秘を引き起こすことがあります。
腸の動きは自律神経で調整されており、ストレスで交感神経が優位になると、腸のぜん動運動が低下し便秘を招きやすくなります。赤ちゃんがストレスを感じやすい状況には、以下のようなものが挙げられます。
- 旅行や帰省でいつもと違う場所で過ごす
- 引っ越しをする
- 保育園や託児所に通い始める
- 弟や妹が生まれる
- 保護者の方が仕事に復帰し、生活リズムが変わる
- お昼寝の時間や日中の活動量がいつもと違う
このような変化があった時期に便秘が始まったら、ストレスが原因かもしれません。抱っこの時間を増やしたり、静かな環境で休ませたりするなど、赤ちゃんが安心して過ごせるように配慮しましょう。
④うんちを我慢する「排便恐怖症」
一度でも硬いうんちで痛い思いをすると、赤ちゃんは「うんちは痛いものだ」と学習してしまうことがあります。恐怖心から、便意を感じても無意識に排便を我慢してしまう悪循環を「排便恐怖症」と呼ぶことがあります。
うんちを我慢すると、腸の中に便がとどまる時間が長くなります。その結果、さらに水分が吸収されて便はより硬くなり、次の排便でまた強い痛みを感じてしまいます。
赤ちゃんが排便を我慢しているサインについて、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
- そわそわと落ち着きがなくなり、急に遊びをやめて物陰に隠れる
- 体をくねらせたり、お尻をキュッと浮かせたりする
- 足を固く交差させる、またはつま先立ちで歩く
- 椅子や床に、お尻をぐりぐりと強く押しつける
上記のサインが見られた際、叱ったり無理にトイレに座らせたりすることは逆効果です。まずは便秘そのものを解消し、「うんちは怖くない」という経験をさせてあげることが何よりも大切です。
⑤病気の可能性
赤ちゃんの便秘の多くは一時的で心配のない「機能性便秘」ですが、まれに病気が原因となっていることもあるため注意が必要です。特に以下のような症状が見られる場合は、医療機関の受診をおすすめします。
- 生まれてから48時間以上、最初のうんち(胎便)が出なかった
- お腹がいつも風船のようにパンパンに張っている
- 噴水のように勢いよく、繰り返し嘔吐する
- 体重がなかなか増えない、または母子手帳の成長曲線から外れてしまう
- 便に血液や粘液が混じる(硬い便で肛門が切れた少量の出血とは明らかに違う場合)
これらの症状が見られる場合、生まれつき腸の神経に問題がある「ヒルシュスプルング病」や、肛門の形に異常がある「鎖肛」、ホルモンに問題がある「甲状腺機能低下症」などが考えられます。少しでも気になることがあれば、自己判断せず、かかりつけの小児科医に相談してください。
自宅で試せる赤ちゃんの便秘解消セルフケア

赤ちゃんの便秘は決して珍しいことではないため、まずはおうちでできるケアから始めましょう。具体的なケアの方法として、以下の5つを解説します。
①「の」の字マッサージと足の運動を試す
②綿棒浣腸を行う
③便秘解消を助ける食べ物を与える
④水分をしっかり補う
⑤市販薬を使う前に知っておきたいこと
①「の」の字マッサージと足の運動を試す
赤ちゃんのお腹をマッサージするときは、不安を和らげ気持ちよく受けられるようにしてあげましょう。部屋をあたたかくして、自分の手をこすり合わせてしっかり温めます。ベビーオイルや保湿クリームを手に取り、赤ちゃんを仰向けに寝かせましょう。やさしく声をかけて、安心できる雰囲気をつくってあげるのも大切です。
準備ができたら、おへそを中心に、ひらがなの「の」を描くようにやさしくマッサージします。時計回りにゆっくり手を動かすのがポイントです。
お腹が軽くへこむくらいの、やさしい力加減で行いましょう。強く押さないように注意してください。1回につき数回を目安に、1日数回までがちょうど良いでしょう。また、食後すぐや授乳の直後は避けるようにしてください。
②綿棒浣腸を行う
マッサージなどで排便がうまくいかず、赤ちゃんが苦しそうな時は、「綿棒浣腸」という処置があります。これは綿棒で肛門を刺激し、便意を促す処置です。
まず、大人用の綿棒とベビーオイルまたはワセリンを用意します。赤ちゃんを仰向けに寝かせ、両足をそっと持ち上げておむつ替えのときと同じ姿勢にしましょう。綿棒の先端には、オイルがこぼれるくらいたっぷりと塗ります。
準備ができたら、綿棒を1〜2cmほどの深さまで、ゆっくりと肛門に挿入します。そのまま10秒ほどかけて、肛門の内側をやさしく刺激します。終わったら、綿棒をゆっくりと引き抜き、おむつを当ててしばらく様子を見ます。
綿棒は2cm以上入れないよう注意してください。赤ちゃんの直腸の粘膜はとてもデリケートで、深く挿入すると傷つけてしまうおそれがあります。刺激後、すぐに排便があることもあれば、数時間経ってから出ることもあります。
③便秘解消を助ける食べ物・飲み物を与える
離乳食が始まっている赤ちゃんであれば、食事内容の工夫が便秘解消の鍵となります。特に「食物繊維」と「水分」をバランスよく摂ることが大切です。
以下の表に便秘解消を助ける食べ物・飲み物をまとめています。

市販薬(マルツエキスなど)を使う前に知っておきたいこと
市販の赤ちゃん用便秘薬として「マルツエキス」などが販売されていますが、自己判断で使用する前に、必ず小児科医に相談しましょう。赤ちゃんの便秘は食事や水分の問題だけでなく、まれに病気が関係していることもあります。
医師の診察は、そうしたリスクを見逃さず、体質に合った安全な対応を判断するためにも重要です。マルツエキスは比較的穏やかな薬ですが、すべての赤ちゃんに合うとは限りません。まずは医師と相談し、必要に応じて使用を検討するのが安心です。
こんな症状はすぐ病院へ!小児科受診を判断するサイン

ほとんどの赤ちゃんの便秘は、自宅でのセルフケアで改善が見込めます。しかし、なかにはすぐに医療機関を受診すべき危険なサインもあります。以下のチェックリストに当てはまる症状が見られたら、様子を見ずに小児科を受診してください。
- 嘔吐を繰り返す
- お腹がパンパンに張っている
- 機嫌が極端に悪い、ぐったりしている
- 食欲がまったくない
- 体重が増えない、または減っている
- 血便
- 発熱を伴っている
上記の症状は、腸閉塞や重度の感染症など、緊急の対応が必要な病気のサインの可能性があります。速やかに専門医の診察を受けましょう。
まとめ
赤ちゃんの便秘は、多くの保護者の方が経験する悩みです。まずは焦らず、マッサージや食事の見直しなど、ご紹介したケアを試してみてください。
ホームケアで改善することもありますが、「いつもと違うな」と感じる危険なサインが見られたり、ケアを続けても改善しなかったりする場合もあります。医師に相談しましょう。
そういう場合は、ぜひベスタ子どもとアレルギーのクリニックにご相談ください。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
参考文献
- Munasinghe S, Manathunga S, Hathagoda W, Kuruppu C, Ranasinghe P, Devanarayana NM, Baaleman DF, Benninga MA, Rajindrajith S.How do we define normal bowel frequency from newborn to teens?: A Bayesian meta-analysis.J Pediatr Gastroenterol Nutr,2025,80,4,569-579.
- Munasinghe S, Manathunga S, Hathagoda W, Kuruppu C, Ranasinghe P, Devanarayana NM, Baaleman DF, Benninga MA, Rajindrajith S.How do we define normal bowel frequency from newborn to teens?: A Bayesian meta-analysis.J Pediatr Gastroenterol Nutr,2025,80,4,569-579.
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
