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赤ちゃんの卵アレルギーとは?症状・原因・初めて食べさせるときの注意点【ベスタの小児科医が解説】

赤ちゃんの離乳食で、初めて卵を食べさせる瞬間。成長の喜びとともに、「もしアレルギーが出たら…」という不安を感じる保護者の方は少なくないでしょう。
この記事では、見逃してはいけないアレルギーの初期症状から、専門医が推奨する安全な卵の食べ方、そして緊急時の具体的な対応までを詳しく解説します。正しい知識を身につけ、安心して卵を使った離乳食を始められるようにしましょう。
もくじ
赤ちゃんに現れる卵アレルギーの主な症状と原因

ここでは、赤ちゃんに現れやすい主な症状を解説します。合わせて、最も注意すべき危険なサインであるアナフィラキシーや、アレルギーが起こる体の仕組みについても見ていきましょう。
皮膚に現れる症状(蕁麻疹、湿疹の悪化、かゆみ)
卵アレルギーの症状の中で、最も多く見られるのが皮膚の症状です。報告によると、全体の約9割を占めるといわれています。(※1)次のような変化がないか、赤ちゃんの肌を注意深く観察してください。
①蕁麻疹(じんましん)
②湿疹の悪化
③かゆみ・赤み
- 蕁麻疹(じんましん)皮膚の一部が赤く、少し盛り上がった発疹が現れます。一つひとつは小さくても、それらがくっついて地図のように広がることもあります。強いかゆみを伴うため、赤ちゃんがしきりに体をかきむしるしぐさを見せるかもしれません。食べてから数分〜2時間以内に現れることが多いのが特徴です。
- 湿疹の悪化もともとあった乳児湿疹やアトピー性皮膚炎が、急に赤みを増したり、じゅくじゅくしたりします。これはアレルギー反応によって、皮膚の炎症が悪化するためです。「卵を食べた後」というタイミングで急に悪化する点が、普段の湿疹との違いです。
- かゆみ・赤み特に口の周りや顔、首など、卵が直接触れた部分が赤くなったり、かゆがったりします。これらの症状は、体のどこにでも現れる可能性があります。気になる症状が見られた場合は、スマートフォンのカメラで撮影しておくと良いでしょう。後で医師に相談する際に、客観的な情報として役立ちます。
消化器・呼吸器に現れる症状
皮膚の症状だけでなく、お腹の調子や呼吸の様子にも注意が必要です。これらの症状は、アレルギー反応が体の内部で起きている重要なサインとなります。
特に呼吸器の症状は、重い状態につながる可能性もあるため見逃せません。
【消化器に現れる症状】
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
【呼吸器に現れる症状】
- しつこい咳
- 鼻水
- くしゃみ
- 声のかすれ
- 喘鳴(ぜんめい)
アナフィラキシーショックの症状
アナフィラキシーとは、アレルギー反応の中でも特に重く、命に関わる危険な状態を指します。複数の臓器に、全身性の激しい症状が短時間で現れるのが特徴です。すぐに適切な対応が必要になるため、保護者の方が兆候を知っておくことが重要です。
【アナフィラキシーを疑う危険なサイン】

これらのうち、一つでも当てはまる症状が見られた場合は、ためらわずにすぐに救急車を呼んでください。アナフィラキシーは時間との勝負であり、迅速な医療機関での対応が赤ちゃんの命を守ります。
判断に迷うときは、全国どこからでもかけられる小児救急電話相談「#8000」に電話して、専門家のアドバイスを求めるのも一つの方法です。
なぜ起こる?卵アレルギーのメカニズム
そもそも、なぜ栄養のある卵を食べることで、体に不調が起きてしまうのでしょうか。その仕組みは、細菌やウイルス、異物から私たちの体を守る免疫システムの働きと深く関係しています。
通常、食べ物は体に必要な栄養として認識され、攻撃対象にはなりません。
しかし、アレルギー体質の子どもの場合、この免疫システムが間違いを犯します。卵に含まれるたんぱく質(主に卵白のオボアルブミンなど)を、「体に害をなす敵だ」と誤って記憶してしまうのです。
一度「敵」と記憶されると、次に同じ卵が体内に入ってきたときに、免疫システムが過剰に反応します。この際、じんましん・咳・腹痛といったさまざまなアレルギー症状を引き起こすのです。
特に乳児期は、消化機能がまだ未熟で、腸の粘膜のバリア機能も発達途中です。そのため、アレルゲンとなるたんぱく質が十分に分解されずに体内に吸収されやすく、アレルギー反応が起こりやすいと考えられています。
初めて卵を与えるときに押さえるべき注意点と応急処置

赤ちゃんの離乳食で、初めて卵を食べさせる時は誰でも緊張するものです。「もしアレルギーが出たらどうしよう」と不安に思う保護者の方も少なくありません。
大切なのは、赤ちゃんの体調が良い時に、焦らず、ごく少量から試すことです。ここでは、初めて卵を与える際の具体的な進め方と、万が一症状が出た場合の対応について詳しく解説します。
卵黄開始の時期はいつから?
赤ちゃんの離乳食で卵を始める目安は、おかゆや野菜などに慣れてきた生後6ヶ月以降です。かつては開始時期を遅らせる方が良いと考えられていましたが、最近の研究では、適切な時期の開始がむしろ食物アレルギーの発症予防につながる可能性も示唆されています。(※2)
【初めての卵・基本の4つのポイント】
①調理法は必ず「20分固ゆで」にする:卵アレルギーの原因物質(アレルゲン)は、加熱によって働きが弱くなる性質があるため
②卵黄を与える:アレルゲンは、主に卵白に多く含まれているため
③ごく少量(耳かき1杯程度)から与える:症状が出現した場合に軽度となりやすいため
④平日の午前中に試す: 万が一アレルギー症状が出た場合に、すぐに小児科を受診できるようにするため
また、上記に加えて赤ちゃんの機嫌が良く、体調が良いことを必ず確認してから与えてください。食後2時間ほどは、変わった様子がないか注意深く観察します。問題がなければ、翌日以降、ゆっくり量を増やしていきましょう。
卵白開始の時期は?
固ゆでした卵黄を1個分、問題なく食べられるようになったら、次のステップとして卵白に進みます。時期の目安としては、離乳食中期にあたる生後7〜8ヶ月頃です。
卵白は、卵アレルギーの主な原因となる「オボアルブミン」というたんぱく質を多く含んでいます。そのため、卵黄よりもアレルギー反応が起こりやすく、より一層慎重に進める必要があります。
「卵黄で大丈夫だったから」と油断せず、新しい食材を試す気持ちで臨みましょう。
卵のアレルギー表示確認ポイント
離乳食が進むと、パンやウインナー、お菓子などの加工品を利用する機会も増えてきます。卵は多くの食品に使われているため、アレルギー表示の確認が欠かせません。
食品表示法では、卵はアレルギー症状を引き起こす可能性が特に高く、重篤になりやすいため「特定原材料」に指定され、表示が義務付けられています。
加工品を購入する際は、パッケージ裏面などの原材料名に「卵」という文字がないか確認しましょう。卵と直接書かれていなくても、以下のような表記は卵が使われていることを示します。
- 卵黄、卵白、全卵、液卵
- 乾燥卵黄、乾燥卵白、卵黄粉
- 卵加工品、鶏卵
- マヨネーズ、タルタルソース
- 一部に卵を含む
原材料名の最後に、まとめてアレルギー物質が記載されている場合もあるのでチェックしておいてください。
卵が含まれていることが多い食品の例
以下の加工品には、卵が含まれていることがあります。
- パン類:食パン、菓子パン、ホットケーキミックス
- お菓子類:クッキー、ケーキ、プリン、アイスクリーム
- 加工肉:ハム、ソーセージ、ハンバーグ(つなぎとして使用)
- 練り物:かまぼこ、ちくわ、はんぺん
表示をよく見て、思いがけない食品で卵を摂取してしまうことを防ぎましょう。
また、「本品製造工場では卵を含む製品を生産しています」等の注意喚起表示は、調理器具や製造ラインの共有による微量混入(コンタミネーション)の可能性を示します。少しでもアレルギー症状に陥るのが不安な場合は、これらの食品も避けるのが安全です。
突然アレルギー症状が出たときの対応方法
注意していても、突然アレルギー症状が出てしまうことはあります。万が一の時に慌てず対応できるよう、応急処置と受診の目安を知っておくことが、赤ちゃんの安全を守る上で重要です。
①応急処置を行う
まずはすぐに卵を食べるのをすぐにやめさせます。口の周りに卵が付いていたら、濡らしたガーゼなどで優しく拭き取ってください。
可能であれば、水で口をゆすぎます。気道に嘔吐物が詰まる可能性があるので、無理に吐かせる必要はありません。
②症状を観察し、記録する
いつ、何を、どれくらい食べて、何分後に、どのような症状が出たかを時系列でメモしておきましょう。
スマートフォンのカメラで皮膚の症状などを撮影しておくと、後で医師に正確な状況を伝えるのに役立ちます。
卵アレルギーの代表的な検査・治療法と生活の工夫

赤ちゃんの卵アレルギーが疑われるとき、保護者の方は不安でいっぱいになるかと思います。「これからどんな検査をするの?」「治療は長引くの?」といった心配は当然のことです。
しかし、最も大切なのは、自己判断で食事制限をせず、まずは専門の医師に相談することです。正しい診断に基づけば、漠然とした不安は「具体的な対策」へと変わります。赤ちゃんの健やかな成長を支えるために、どのような検査や治療があるのかを詳しく見ていきましょう。
診断のための検査(血液検査・皮膚テスト・食物経口負荷試験)
卵アレルギーの診断は、問診で詳しくお話を聞いた上で、以下のようないくつかの検査を組み合わせて総合的に判断します。
①血液検査(特異的IgE抗体検査)
少量の血液を採取し、卵に反応する特別な抗体(IgE抗体)の量を調べる検査です。
このIgE抗体は、アレルギー反応の引き金になる物質です。数値が高いとアレルギーの可能性が高いと考えられますが、注意点があります。
この数値は、「体が卵を異物と認識しているか(感作)」を示すものであり、「食べたら必ず症状が出る」ことを意味するわけではありません。数値が高くても問題なく食べられる子もいれば、低くても症状が出る子もいます。
②皮膚プリックテスト
卵のエキスを腕などの皮膚に一滴垂らし、専用の細い針でごく浅く軽く刺激します。
もしアレルギーがあれば、15分ほどでその部分が蚊に刺されたように赤く腫れます。痛みはほとんどなく、その場でアレルギー反応の有無を直接確認できるのが特徴です。
赤ちゃんへの負担が少なく、アレルギーの可能性を探るための有力な手がかりになります。
③食物経口負荷試験
アレルギー診断において、最も信頼性が高い検査です。医師や看護師がすぐに対応できる環境で、原因と考えられる卵を少量から段階的に食べます。そして、アレルギー症状が出ないかを慎重に観察します。
万が一に備え、救急対応の準備を万全にした上で、日帰り入院や入院で行うのが一般的です。この検査により、「本当に症状が出るのか」「どのくらいの量なら安全か」が明確になります。その後の治療方針を決める上で、重要な情報が得られる検査です。
治療の基本となる除去食と経口免疫療法
卵アレルギーの治療目標は、赤ちゃんの安全を守りながら、成長に伴って食べられるようになること(耐性獲得)です。
治療の基本は、医師の指導のもとで「必要最小限の除去」を行うことです。自己判断で過剰に除去すると、栄養の偏りや、かえって耐性獲得を遅らせる可能性があります。
①安全な量での摂取
食物負荷試験の結果に基づき、症状を引き起こさない範囲で卵の摂取を続ける方法です。摂取する量は、お子さん一人ひとりの状態や合併疾患のコントロール状況によっても大きく異なります。

②経口免疫療法
専門医の厳密な管理のもとで、原因となる卵を毎日ごく少量ずつ食べ続けます。そして、少しずつ量を増やしていくことで、体を卵に慣れさせていく治療法です。
アナフィラキシーなどの重い副反応が起こるリスクを伴うため、専門の医療機関でのみ行われます。すべての患者さんが対象となるわけではなく、適応は専門医が慎重に判断します。
非常に高度で専門的な治療ですので、ご家庭で真似をすることは絶対にやめてください。
除去中の栄養を補う代替食品とおすすめレシピ
「卵を食べないと、栄養が足りなくなるのでは?」と心配になる保護者の方は少なくありません。しかし、卵に含まれる良質なたんぱく質やビタミン、鉄分などは、他の食品で十分に補えます。
【卵の代わりになる食品リスト】

最近は、市販のベビーフードやお菓子にもアレルギー対応のものが増えています。卵不使用のマヨネーズ風調味料などもあるので、上手に活用しましょう。
栄養面で不安なときは、医師や管理栄養士に気軽に相談してください。
保育園・幼稚園との情報共有と緊急時対応のポイント
保育園や幼稚園などの集団生活では、誤食を防ぎ、万が一の事態に備えることが不可欠です。保護者と園がチームとなって、お子さんを見守る体制を築きましょう。入園が決まったら、早めに園と話し合いの場を持つことが大切です。
まずは、医師にアレルギー疾患生活管理指導表を記入してもらいましょう。診断名、除去すべき食品、具体的な症状、緊急時の対応などを、園に正確に伝えるための重要な書類です。
これに従って、給食やおやつに関して、除去食や代替食を提供してもらえるか、お弁当を持参する必要があるかなどを確認します。調理器具や食器の使い分けなど、細かい点も聞いておくと安心です。
卵アレルギーと消化管アレルギーの違い
ここまでにご紹介した卵アレルギーは、いわゆる一般的な「食物アレルギー」です。しかし卵、とりわけ卵黄は「消化管アレルギー」と呼ばれる異なるタイプのアレルギーを引き起こす可能性もあります。
消化管アレルギーは主に乳児に見られ、消化管だけに症状が出ます。

比較的新しいアレルギーの分類で、明確な原因や治療法も見つかっていません。しかし多くの場合、原因となる食べ物を控えて様子を見ていれば、多くは数年ほどで自然に改善していきます。
まとめ
今回は、赤ちゃんの卵アレルギーの症状から、初めての食べさせ方の注意点、治療法まで詳しくご紹介しました。
初めての食材、特に卵は保護者の方にとって心配なことが多いですよね。しかし、正しい知識を持って、少量から慎重に進めれば、過度に恐れる必要はありません。
最も大切なのは、アレルギーを疑う症状が出ても自己判断で食事制限をせず、まずはかかりつけの小児科やアレルギー科の医師に相談することです。適切な診断に基づけば、赤ちゃんの状態に合わせた安全な進め方や、万が一の時の対応もわかります。
卵アレルギーに関してや不安があれば、アレルギー専門医のいる当院にぜひご相談ください。
参考文献
※1
公立学校共済組合(学童の食物アレルギーの変遷と対応).
https://www.kouritu.or.jp/kokoro/column/allergy/index.html
※2
やまなしアレルギーNavi(山梨大学医学部附属病院).
https://yallergy.yamanashi.ac.jp/ynavi/a_id-380
私たちベスタこどもとアレルギーのクリニックは、練馬区中村橋という地域に根ざし、中野区、杉並区、西東京市など、近隣にお住まいの皆さまの子育てを医療面からサポートしたいと考えています。
- 小児科専門医・アレルギー専門医 による、専門的で丁寧な診療
- 365日診療 で、急な体調不良や週末の心配にも対応
- 中村橋駅徒歩1分 の便利なアクセス
- アレルギー専門外来 や夜尿症(おねしょ)外来 も設置
といった特徴を活かし、「病気ではなく、病人をみる」 という理念のもと、一人ひとりの赤ちゃんとご家族に寄り添った医療を提供します。
離乳食の進め方、アレルギーの心配、その他どんな些細なことでも構いません。「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思わず、どうぞお気軽に当クリニックにご相談ください。私たちは、地域の子育てを応援するパートナーです。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
