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エピペン注射の代わりに点鼻薬が使えるようになった?!『ネフィー®』について
この記事を読んでいる方の中には、”強いアナフィラキシー症状を起こしたことがあり、万が一の事態に備え、筋肉注射用の「エピペン」を処方されています。”、という方もいると思います。
しかし、エピペンを処方されていたとしても、針を刺すことに戸惑いを感じ、いざという時に使えなかったという方も少なくありません。エピペンを使用したことのある患者さんの割合は7%程度にとどまる、という調査データもあります。
近年、エピペンの代わりに、鼻にシュッとスプレーするタイプの「ネフィー®」というお薬が登場しました。
今回はこの新しい選択肢について、判断材料となる情報をお伝えします。
もくじ
ネフィーとはどのようなお薬でしょうか

ネフィーは、アナフィラキシーがあらわれたときに使用する点鼻薬(鼻の中に吹き付けるお薬)です。
エピペンと同じ成分で、体から分泌されるホルモンであるアドレナリンが含まれています。エピペンと同様に、アナフィラキシー症状を一時的に和らげる効果が期待できます。
針を使わないため、使用者の心理的な負担を減らすことができ、多くの方がとっさのアナフィラキシー症状に対して適切なタイミングでアドレナリンを投与できるようになることが期待されています。
どのような時に使用しますか?

以下のような、アナフィラキシーが疑われる症状がみられた際に使用します。
消化器症状
- 繰り返し吐き続ける
- 持続する強い腹痛
呼吸器症状
- のどや胸が締め付けられる
- 声がかすれる
- 犬が吠えるような咳
- 持続する強い咳き込み
- ゼーゼーする呼吸
- 息がしにくい
全身症状
- 爪や唇が青白い
- 脈が触れにくい・不規則
- 意識がもうろう
- ぐったりしている
- 尿や便を漏らす
使用するべき症状については、事前に主治医と相談しておきましょう。
お薬の量は体重で決まります(15㎏以上から処方可能)

お薬の量は、お子さんの体重によって2つの種類に分かれています。
体重が15kg以上30kg未満の場合は、1回1mgの製剤を使用するのが原則です。
体重が30kg以上の場合は、1回2mgの製剤を使用します。
体重15㎏未満の方は使用できません。
正しい使い方と鼻への入れ方

使い方の手順については、ネフィー®サイト ネフィーの使い方を参考にしてください。
パックから取り出し、噴霧器を持ち、ノズルの先端1㎝ぐらいを片方の鼻に差し込み、薬剤を噴霧します。(投与は片方のみ、1か所です。)
ノズルは鼻の内側や外側の壁に向けず、鼻の奥にまっすぐ向けてください。
人差し指と薬指でノズルを押さえ、親指で押し上げボタンを押します。
実際にやってみるとボタンが結構重く感じるため、しっかりと押し込む必要があります。
噴霧中や噴霧後に鼻をすすらないように気をつけましょう。(鼻以外で吸収されてしまうためです)。
目や口には使用してはいけません。
1回使い切りであり、試し打ちはできない構造になっています。
使用後は速やかに救急要請を

ネフィーを使用したら、すぐに救急車を要請し、医療機関を受診してください。
お薬の効果は一時的なものであり、時間が経つと再び症状が悪化する可能性があります。
医療機関を受診する際は、使用済みの機器(噴霧器)を捨てずに持参してください。
保管方法と携帯時の工夫

携帯ケースが患者さん用スタートセットに含まれています。
ネフィーを携帯用ケースに入れて、常に手の届く範囲内に置いておきましょう。
1度から30度の室温で、光を避けて(遮光して)保管し、凍結は避けてください。
緊急時の連絡先カードや使用説明書をケースに一緒に入れておくと安心です。
いざという時に備え、練習用見本を使って、ご家族みんなで練習をしておきましょう。
気になる質問

鼻にスプレーするだけで、エピペン注射と同じ効き目なんですか?
鼻の中にスプレーするだけで、筋肉注射であるエピペンと同じような効果が得られるのか、不安に感じるのは当然のことと思います。
これまでの臨床試験の結果から、ネフィー点鼻投与は、エピペン筋肉注射と同じようにアドレナリンが血液中に吸収されることが確認されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37604314/
薬剤の量がエピペンよりも多いようですが副作用は大丈夫なのでしょうか?
たしかに、エピペン(アドレナリン0.15mgまたは0.3mg)と比べ、ネフィーの用量(アドレナリン1.0mgまたは2.0mg)は多いです。
しかし、お薬の量が多くても、全身に行き渡るアドレナリン量はエピペンと変わらず、副作用のリスクはほぼ同等です。
ネフィーの副作用としては、以下のものがあります。
- 鼻粘膜の赤み、不快感、鼻の痛み
- 咳
- 指や手などのふるえ
- 寒気
- 頻脈
重大な副作用として、以下の症状が稀にあらわれることがありますが、これらはエピペン注でも気を付けなければいけない症状です。
- 呼吸しにくい
- 不整脈
鼻が詰まっていてもネフィーは効果がありますか?
アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まっている場合でも、お薬は吸収されるように設計されています。
エピペンからネフィーに変更したり、エピペンとネフィーを両方持つということはできますか?
医師が必要と判断した場合に、エピペンからネフィーに変更することは可能です。
両方を所持することも可能ですが、緊急時にどちらを使うか迷って対応が遅れることは避けなければなりません。
また、保険診療のルール上、両方を処方するには特定の条件が必要になる場合があります。
まずは診察室で具体的なご希望をお聞かせください。
エピペンとネフィーを両方持っている場合、どちらを先に使うべきですか?
どちらを優先するかは事前の指導に基づきます。一般的には、その場で最も手に取りやすく、確実に使用できる方を選択します。
迷わないよう、主治医と相談し、あらかじめ優先順位や手順を決めておくことが大切です。
一度に複数個を処方してもらえるのでしょうか?
当院では原則1個処方としていますが、自宅用や学校用などで複数個処方してほしいと考える方もいらっしゃると思います。
また、医療機関へのアクセスが悪く効果が不十分な場合など、状況によっては2回目の投与を検討することもあります。
重症度や生活環境などを踏まえて医師が判断いたしますので、まずは主治医とご相談ください。
医療上の免責事項
本記事は一般的な医学的情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を代行するものではありません。症状がある場合は、速やかに医療機関をご受診ください。
監修者表記
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 小児科専門医
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
