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赤ちゃんの泣き入りひきつけが起こったら?症状の特徴と具体的な対応方法

自分のお子さんが、泣き叫んだあと突然息を止め、みるみる顔色を変えてぐったりしていく姿を目の当たりにしたことはありませんか。このまま息が戻らないかもと想像したり、てんかんなどの病気を疑ったりと不安に駆られるかもしれません。この発作は「泣きいりひきつけ」と呼ばれ、生後6か月〜3歳頃の子どもの4〜5%が経験する現象です。(※1)
発作は1分以内のことが多く、多くは自然に呼吸が再開して後遺症は残しません。(※1)(※2)
※ただし、生後6か月未満で同様の症状がある場合や、きっかけがはっきりしない場合は、別の病気の可能性もあるため早めに小児科へ相談しましょう。
この記事では、泣き入りひきつけの症状の特徴や、親御さんが冷静にお子さんを守るための対処法を解説します。正しい知識を身につければ不安が和らぎ、落ち着いて大切なお子さんを見守れるようになるでしょう。
もくじ
泣き入りひきつけとは|強く泣いたあとに起こる発作

泣き入りひきつけは、強く泣いたあとに起こる発作のことです。主な症状や発症時期と経過、起こりやすい体質、ほかの発作との違いなどを具体的に解説します。
症状別のタイプ|チアノーゼ型と蒼白型
泣き入りひきつけは、大きくチアノーゼ型と蒼白型の2つのタイプに大別されます。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

両タイプともに、発作は一過性で意識は短時間で回復します。知識をつけ、いざというときに落ち着いて行動できるようになりましょう。
発症時期と経過
泣き入りひきつけが発症する時期の多くは、生後6か月〜3歳頃です。(※1)発作が頻繁な子もいれば、数か月に一度の子もいるなど、頻度には個人差があります。
しかし、泣き入りひきつけがみられたとしても、過度に心配する必要はありません。成長に伴い発作は自然に減っていき、多くの場合、5歳頃までには落ち着きます。(※2)
泣き入りひきつけの発作が、脳へのダメージや後遺症を残す心配も通常はありません。お子さんの成長過程で起こる一時的な反応と理解し、長期的に見守る姿勢が大切です。
起こりやすい体質
泣き入りひきつけは、お子さんの性格や家庭でのしつけが原因で起こるわけではありません。脳が未発達なため、強い刺激に体が過剰に反応する現象です。感情の起伏が激しい、興奮しやすい、感受性が豊かなどの気質がみられるお子さんに起こりやすい傾向です。鉄欠乏性貧血(鉄分の不足による貧血)のお子さんも、発作を起こしやすいとされています。(※3)
鉄分は、脳の神経伝達物質が働くために必須の栄養素です。不足すると脳が興奮しやすくなり、発作の引き金になります。発作を繰り返すなら、一度小児科で貧血検査を受けてみると良いでしょう。
熱性けいれん・てんかん発作との違い
泣き入りひきつけは、てんかんなどほかのけいれんを起こす病気と、次の表のような違いがあります。

初めての発作で判断に迷う場合や、少しでもいつもと様子が違うと感じたら、自己判断せず小児科医に相談してください。
泣き入りひきつけが起きたときの対処法

ここでは、お子さんが泣き入りひきつけを起こしたときに、ご家庭でできる以下の3つの対処法を解説します。
①横向きで寝かせる
②指を口に入れたり刺激を与えたりしない
③医師に伝えるべきポイントを観察する
①横向きで寝かせる
発作が始まったら、吐いたものによる窒息を防ぐために、お子さんの体を横向きに寝かせることが大切です。体全体を動かすのが難しければ、顔だけを横に向けるだけでも気道の確保を助けます。首周りのボタンやおむつ、ベルトなどを少しゆるめ、体の締め付けをなくして呼吸しやすい状態にしてあげてください。
発作中には抱きしめようとせず、危険のない床の上などへ移動してそっと寝かせましょう。発作の動きによる転落を防ぐため、ソファやベッドの上は避けてください。周囲のおもちゃや家具を片付け、手足を動かしてもぶつからない十分なスペースを作ることも必要です。
このような対応は、発作時にお子さんの安全を守るための基本になります。
②指を口に入れたり刺激を与えたりしない
発作を起こしているお子さんを前にすると焦ると思いますが、良かれと実施した行動がかえって危険を招く恐れがあります。そのため、発作中は以下の行動を避けてください。
- 口の中に指や物を入れる
- 体を強く揺さぶる、大声で呼びかける
- 無理に抱きしめたり、体を押さえつけたりする
「舌を噛むのではないか」と心配して、口へ指やタオルを入れるのは危険です。強く噛まれて親御さんが大けがをしたり、入れたものが喉に詰まって窒息したりする原因になります。
発作中は、脳が一時的に興奮している状態です。体を揺さぶったり大声で呼びかけたりする刺激は脳をさらに興奮させ、発作を長引かせる可能性があります。不安で抱きしめたくなりますが、無理に体を押さえつけることも避けてください。
発作中は手を出さず、静かに見守る姿勢が安全で適切な対応となります。焦らずに発作が自然に治まるのを待ちましょう。
③医師に伝えるべきポイントを観察する
医療機関を受診する際に発作の様子を詳しく医師に伝えることは、正確な診断のために重要です。熱性けいれんやてんかんなどと区別がしやすくなるよう、以下のチェックリストを参考に記録を取っておきましょう。

可能なら、スマートフォンで発作の様子を動画撮影しておくと、より多くの正確な情報が得られて診断の助けになります。
泣き入りひきつけ後の受診の目安

泣き入りひきつけ後に医療機関を受診すべきかの目安を把握することは重要です。ここでは「救急車を呼ぶ判断基準」と「小児科への相談方法」を説明します。
救急車を呼ぶ判断基準
泣き入りひきつけは、すぐに対応が必要なほかの病気が隠れているケースもあります。以下のチェックリストに1つでも当てはまる場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
- 発作が1分以上続く
- 呼吸が戻らない、または苦しそう
- 顔色の悪さ(チアノーゼ)が改善しない
- 意識がはっきりと戻らない
- 初めての発作で判断できない
- 発作中の動きにより頭などを強く打った
- 窒息(食べ物がつまった)が疑われる
発作が1分以上続く症状は、てんかん発作などのほかの病気の可能性もあります。
これらの症状がみられない場合でも、判断に迷ったり不安を感じたりした際は、医療機関へ連絡してください。夜間や休日であれば、子ども医療電話相談(#8000)に電話し、看護師や医師の指示を仰ぐと良いでしょう。
小児科への相談方法
救急車を呼ぶほどではなくても、泣き入りひきつけが起きたら、後日にでも小児科を受診しましょう。初めての発作であれば、てんかんなどほかの病気が隠れていないか専門医の診断を受ける必要があります。
小児科への相談目安として、初めて発作が起きたときのほか、発作の回数が増えたり様子が変わったりした場合が挙げられます。発作を繰り返してご家族の不安が大きいときも、小児科へ相談してみてください。
受診の際は、発作の時間やきっかけなどをメモし、可能ならスマートフォンで撮影した動画を持参すると診察がスムーズに進みます。泣き入りひきつけの多くは成長とともに自然に治まりますが、自己判断せず専門医へ相談することが安心につながるでしょう。
まとめ
泣き入りひきつけは脳の成長過程で起こる一時的な発作であり、ほとんど心配はいりません。大切なのは、親御さんが慌てずに、落ち着いてお子さんの様子を見守る姿勢です。発作が起きたら、慌てずに安全な場所へ横向きに寝かせ、静かに見守りましょう。発作の様子を動画で撮影しておくと、受診時に役立つはずです。
初めての発作や症状に不安がある場合は、自己判断せずに小児科へ相談してください。一人で抱え込まず、専門家の力を借りましょう。
練馬区中村橋にあるベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、初めて発作を経験した親御さんの不安に寄り添い、てんかんとの鑑別や貧血検査なども含めた丁寧な診療を行っています。練馬区周辺でお子さんの「泣きかた」や「ひきつけ」が気になっている方は、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本小児神経学会:「泣きいりひきつけは何故起こるのですか?」
- 日本小児神経学会:「泣きいりひきつけの対処法を教えて下さい。」
- StatPearls [Internet]:「Breath-Holding Spells」
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こどもの病気コラムの一覧です。
https://www.besta-kids.jp/category/pediatrics-column/
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
