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中耳炎でもプールは入れる?受診の目安と治療の流れを解説

スイミングスクールなど年間を通してプールに通うお子さんも多く、「中耳炎でも泳がせて大丈夫?」と不安に思う保護者の方は少なくありません。
中耳炎は、耳に水が入ること自体が直接の原因というより、多くは風邪や鼻炎で鼻の奥の炎症が強くなり、耳管を通じて中耳に影響が出ることで起こります。
この記事では、中耳炎の症状や治療、プール再開の目安、家庭での予防法までわかりやすく解説します。
正しい知識を身につけて、お子さんの耳の健康を守りましょう。
もくじ
中耳炎とは|耳の感染症

中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳(ちゅうじ)という空間がウイルスや細菌によって炎症を起こす病気です。多くの場合は風邪がきっかけで、鼻やのどで増えた菌が耳管(じかん)を通って中耳に達することで発症します。
プールの水そのものより、鼻やのどの状態が影響しやすいことが特徴です。中耳炎にはいくつかのタイプがあり、原因や症状も異なります。
中耳炎の種類(急性中耳炎・滲出性中耳炎)
中耳炎は主に次の2つのタイプに分けられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

耳だれが長く続く、鼓膜の穴がなかなか閉じないなど長引く経過では別のタイプが関係することもあるため、耳鼻科での評価が勧められます。
中耳炎を疑うときのチェックポイント
お子さんの様子から、次のようなサインがあれば中耳炎の可能性があります。
- 夜中に耳を痛がって泣く
- 耳だれ(耳から液体が出る)
- 呼んでもふり向かない、テレビの音が大きい
- 耳が詰まる、自分の声が響くと訴える
低年齢の子どもは、痛みをうまく言葉にできないこともあります。耳を触る・ぐずる・夜泣きが続く場合は注意が必要です。
原因
中耳炎は、プールの水が耳に入ることよりも、鼻やのどで起こる炎症が引き金になります。
鼻の奥と耳をつなぐ耳管は、中耳の換気を保つ通り道です。風邪やアレルギー、乾燥などで耳管が腫れると感染や炎症が生じ、細菌が中耳に届きやすくなります。
特に子どもの耳管は短く水平に近いため、細菌が広がりやすい構造です。鼻やのどの健康を保つことは、中耳炎を防ぐうえで欠かせません。
中耳炎が起こる流れ
中耳炎は、以下のように鼻やのどの炎症が耳へと波及することで発症します。
- 風邪や鼻炎で鼻・のどにウイルスや細菌が増える
- 鼻をすする動作や、くしゃみで鼻の奥に圧がかかる
- 細菌が耳管を通って中耳に入りやすくなる
- 中耳で炎症が起き、膿や液体(滲出液)がたまる
プールで鼻に水が入ると鼻炎が悪化し、中耳炎につながることもあります。その炎症が耳へと広がると、中耳炎につながることもあるため、鼻や耳のケアをしっかり行うことが大切です。
子どもに中耳炎が多い理由
中耳炎が子どもに多い理由は、耳の構造や免疫の発達、生活環境などが関係しています。
具体的な要因は以下のとおりです。
- 耳管が太く短く、水平に近いため細菌が中耳に届きやすい
- 免疫が未発達のため風邪などの感染症にかかりやすい
- 保育園や幼稚園などの集団生活で感染の機会が多い
- 鼻の奥のリンパ組織(アデノイド)が大きく炎症を繰り返しやすい
子どもの中耳炎は、耳管の構造上どうしても起こりやすい病気ですが、成長とともに耳管が長くなり自然と発症しにくくなります。
ただし、風邪や鼻炎を長引かせると再発の原因になるため、何度も繰り返す場合は、まず小児科に相談しましょう。
中耳炎の受診の目安
次のいずれかがあれば、当日〜早めの受診をおすすめします。
- 強い耳の痛み、夜泣きが続く
- 38℃以上の発熱がある/ぐったりしている
- 耳だれが出た
- 2〜3週間以上、聞こえにくさが続く
- 中耳炎を短期間に何度も繰り返す
まずは小児科で全身状態と鼻・のどを含めて評価し、鼓膜の評価や処置が必要そうなら耳鼻科へ連携します。
中耳炎のときプールに入っていい?判断の目安

中耳炎のままプールに入ると症状がぶり返したり、治りが遅くなったりする恐れがあります。入っていいか迷ったときは、以下を基準にしてみてください。

入ったらだめなときについて、理由を詳しく見ていきましょう。
痛み・発熱・耳だれがあるとき
ズキズキとした耳の痛みや発熱や耳だれがある場合は、急性中耳炎の炎症が活発なサインです。原則としてプールは控えましょう。
水泳は体力を使うため、回復期のお子さんでは疲れがたまりやすく、症状がぶり返すことがあります。プール後に鼻やのどが乾燥・刺激を受けて、鼻炎が悪化することもあるため、無理は禁物です。
耳だれがあるときは要注意です。耳だれは、鼓膜に小さな穴が開いている(または切開後)可能性があり、水が入ると悪化することがあります。
この場合はプールは休み、早めに受診してください。
聞こえにくいだけのとき
痛みや熱が落ち着き、耳が詰まった感じや聞こえづらさだけが残る場合は、滲出性中耳炎が疑われます。医師が鼓膜や鼻の状態を確認し、問題なければプール参加が許可されるケースもあります。
許可が出た場合でも、以下の点には十分注意が必要です。
- 潜水・飛び込みを避ける
- 顔を水につける時間は短めにする
- プールから上がったら、耳の入口をやさしく拭いて乾かす
滲出性中耳炎は鼓膜に穴が開いていないことが多く、水が直接中耳に入る心配はほとんどありません。鼻から水が入ると鼻炎が悪化し、耳の状態に影響することがあるため、プールは無理をしないようにしましょう。
なお、滲出性中耳炎は痛みが少ない一方で、聞こえにくい状態が続くことがあります。
2〜3週間以上「聞き返しが増えた」「テレビの音が大きい」が続くときは、早めに相談しましょう。必要に応じて聴力の評価を行います。
鼓膜チューブを入れているとき
滲出性中耳炎の治療が長引く場合や、繰り返す場合には、鼓膜チューブの留置を行うことがあります。
鼓膜チューブが入っていても、日常的な水遊びや、顔をつけない程度のプールは許可されることがあります。
潜水・飛び込みは水圧で水が入りやすくなるため控えめにし、必要に応じて専用の耳栓を検討します。
鼓膜チューブは直径がごく小さく、ふつうの水遊びで中耳に水が入り込む可能性は高くありません。プールに入ってもよいかどうかは、挿入されているチューブの種類や鼓膜の状態によって異なるので参加前に必ず主治医へ確認しましょう。
中耳炎でプールを控えるべき3つの理由

お子さんが楽しみにしているプールですが、中耳炎のときは無理をさせないことが大切です。
中耳炎のときにプールを控える理由は次の3点です。
①治りが遅くなる
中耳炎が落ち着いてくると、「そろそろプールに入っても大丈夫かな」と悩むお母さんも多いと思います。
しかし、プールに入ると体力が消耗し、水による刺激で回復が遅れることがあります。水泳で疲れがたまり、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まるほか、プールの塩素が鼻やのどの粘膜を刺激して炎症が長引くこともあります。
さらに、体が冷えることで血行が悪くなり、治りが遅くなることがあります。
中耳炎の急性期は、体が病原体と戦っている大切な時期なので、無理をせず十分に休養を取ることが大切です。
②菌が耳に入りやすくなる
中耳炎の状態でプールに入ると、新たな細菌が耳の中に入り、症状が悪化する恐れがあります。
菌が入りやすくなる経路は二つあります。ひとつは鼻からです。プールで鼻に水が入ると鼻炎が悪化し、菌を含んだ鼻水が耳管を通って中耳に届きやすくなります。
もうひとつは耳からです。耳だれがある場合や鼓膜を切開したあとは、中耳が外とつながった状態のため、水中の菌が侵入して炎症をぶり返すことがあります。
このように、鼻と耳の両方から菌が侵入するリスクがあるため、医師の許可が出るまではプールを控えることが安心です。
③耳栓では完全に防げない
耳栓だけで中耳炎の再発や症状の進行を完全に防ぐことは、難しいとされています。
主な理由は次のとおりです。
- 動いているあいだに耳栓がずれ、すき間から水が入ることがある
- 根本の原因である鼻からの水の侵入は防げない
- 潜水や飛び込みの水圧で、水が中耳に押し込まれる恐れがある
鼓膜チューブ留置中で耳を特に保護する必要がある場合は、医師からの指示で専用耳栓を使うことがあります。
プール再開の目安と治療の流れ

中耳炎治療の進め方
中耳炎の治療は、症状の程度やタイプによって異なります。耳鼻咽喉科では、耳鏡や内視鏡で鼓膜の状態を詳しく確認し、急性か滲出性かを診断します。
診断結果に応じて、まずは薬による治療(内服)から始めるのが一般的です。主に使用される薬は次のとおりです。

薬での改善が不十分な場合は、耳の換気を促す耳管通気や、鼓膜切開などの外科的治療を検討します。また、アデノイド(鼻の奥にあるリンパ組織)が大きく、耳の通気を妨げている場合には、切除を行うこともあります。
治療方針は、お子さん一人ひとりの状態によって異なります。医師と相談し、納得できる治療を続けていきましょう。
プールを再開できるタイミング
プールを再開できる時期は、中耳炎の種類と回復の程度で変わります。急性中耳炎の場合は、以下の点を確認しましょう。
- 耳の痛みがなくなっている
- 平熱へ戻っている
- 耳だれが止まっている
- 濃い鼻水が続いていない
- 診察で鼓膜の赤みや腫れが引いていると確認された
急性中耳炎は治療開始から1〜2週間ほどで許可されることもありますが、回復の早さには個人差があります。滲出性中耳炎や、鼓膜切開・チューブ留置後は、耳の状態が安定するまでプールを控えることが大切です。
見た目が元気でも、鼓膜の奥に炎症が残っていることがあります。プールの再開は、必ず医師の診察を受けてからにしましょう。
繰り返すときの注意点
中耳炎を何度も繰り返す場合は、耳の中だけでなく、鼻やのどの病気が関係していることがあります。
代表的な3つの病気と、中耳炎との関係は次のとおりです。

これらの病気があると中耳炎が治りにくく、再発しやすくなります。耳の治療だけでなく、鼻やのどの炎症をしっかり抑えて、耳の中の状態を安定させることが重要です。
アデノイド肥大や副鼻腔炎がある場合、鼓膜チューブ留置とアデノイド切除術を併用することで、再発を減らし、聴力の改善につながることが報告されています。(※1)
すべてのケースで必要になるわけではなく、症状の程度や再発の頻度に応じて医師が判断します。
中耳炎の再発を防ぐ効果的な対策

中耳炎は再発しやすい病気ですが、日常の工夫で予防できます。鼻やのどの炎症が関係するため、鼻のケアと体調管理を意識することが大切です。家庭で続けやすい予防のポイントを3つ紹介します。
①鼻のかみ方を教える
中耳炎の再発予防で重要なのは、正しい鼻のかみ方です。鼻を強くかむと鼻の奥の圧が高まり、鼻水が耳へ逆流しやすくなります。
鼻をかむときのポイントは次のとおりです。
- 片方ずつゆっくりかむ
- 口を少し開けて圧を逃がす
- 力を入れすぎず、数回に分けてやさしくかむ
小さなお子さんは鼻を上手にかめないことがあります。鼻吸い器でやさしく吸い取ってあげると安心です。
②風邪予防とワクチン接種
中耳炎は風邪の合併症として起こることが多いため、日頃の体調管理が予防につながります。
日常生活では、帰宅後や食前の手洗い・うがいを習慣にする他、栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠を確保することを徹底しましょう。
肺炎球菌やヒブ(インフルエンザ菌b型)ワクチンの接種も有効な手段です。原因菌による感染を減らすことで、中耳炎の発症リスクを下げられると報告されています。(※2)
③プール後の耳のケア
プールのあとに正しく耳のケアを行うことは、外耳炎や鼻の炎症を防ぐために大切です。
お子さんが水遊びを終えたら、まず頭を軽く傾けて水を自然に出し、清潔なタオルで耳の入口をやさしく拭きましょう。そのあと、ドライヤーの冷風を20〜30センチほど離して軽く当てると乾きやすくなります。
綿棒を奥まで入れたり、耳を強く叩いたりすると傷がつくおそれがあるため避けてください。
まとめ
耳の痛みや発熱、耳だれなどの症状があるときは、無理をせずプールを休みましょう。
見た目が元気でも、鼓膜の奥に炎症が残っていることがあります。自己判断で再開すると、治りが遅れるかもしれません。
プールを再開するタイミングは、医師の診察を受けて確認するのが安心です。中耳炎は適切な治療を受ければ、お子さんも再び安心してプールを楽しめるようになるでしょう。
不安があるときは、まず小児科に相談し、必要に応じて耳鼻咽喉科を受診しましょう。ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、中耳炎の相談も受け付けているのでお気軽にご相談ください。
https://www.besta-kids.jp/pediatrics/
参考文献
- Alamri AA, Almudi HA, Alsubaie SA, Alseri AA, Alshuaibi RO, Alotaibi LA, Almaghrabi SJ, Mozahim SF, Mozahim NF, Tonkal A.Effectiveness of adenoidectomy and tympanostomy in otitis media with effusion: A systematic review and meta-analysis.Int J Pediatr Otorhinolaryngol,2024,174,p.112179.
- 日本耳科学会 日本小児耳鼻咽喉科学会: 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
