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クループ症候群とは?原因や咳の特徴、受診する目安を解説

夜中に突然、お子さんが「ケンケン」と今まで聞いたことのない苦しそうな咳をし始めたら、とても心配になりますよね。
その咳は、「クループ症候群」かもしれません。ほとんどの場合は自然に回復しますが、重症化すると呼吸困難に陥ることもあります。
この記事では、クループ症候群の危険なサインや受診の目安、家庭でできる応急処置について詳しく解説します。いざという時に慌てず、お子さんを守るための知識を身につけましょう。
もくじ
クループ症候群とは?

クループ症候群は、主にウイルス感染が原因で起こる病気です。空気の通り道である喉頭(のど仏のあたり)やその周辺が炎症を起こし、特徴的な咳や呼吸の苦しさといった症状が現れます。
①症状
クループ症候群の症状は、夜間に突然始まったり、悪化したりすることが多いです。日中は少し咳が出る程度だったのに、夜寝てから急に症状が強くなることも少なくありません。
お子さんの様子を注意深く観察し、以下のような症状がないか確認しましょう。

発熱原因となるウイルス感染に伴い、38度前後の熱が出ることがあります。しかし、熱がそれほど高くならない場合や、全く出ない場合もあります。
②原因
クループ症候群のほとんどは、ウイルス感染が原因です。
空気の通り道である喉頭や気管にウイルスが感染し、粘膜が炎症を起こして腫れることで、特徴的な症状が引き起こされます。
原因ウイルスはパラインフルエンザウイルスが代表的ですが、RSウイルス、インフルエンザ、ライノウイルスなどでも起こります。「特定のウイルス=必ずクループ」ではなく、気道が細い乳幼児ほど症状が出やすいのが特徴です。
麻疹ウイルスによる炎症と細菌の二次感染が原因となることもあり、呼吸困難が強い場合は気管内挿管による呼吸管理が必要になるケースもあります。(※1)
ごくまれに、細菌感染やアレルギー反応が原因となることもあります。
③似た症状との違い
クループ症候群の症状は、他の病気と似ていることがあります。症状の重さや対処法が異なるので、以下の表で違いを把握しておきましょう。

クループ以外を疑うサイン
◆食事中・遊んでいる最中に突然の場合
→異物誤嚥の可能性
◆じんましん、顔の腫れ、急な声枯れ
→アナフィラキシーの可能性
◆強いよだれ、飲み込めない、前かがみで苦しい
→急性喉頭蓋炎など重い上気道閉塞の可能性
これらが疑われるときは、自宅ケアより受診(または救急要請)を優先してください。
④合併症
クループ症候群は、喉頭の腫れがひどくなると、合併症を引き起こす可能性があります。
最も注意すべき合併症は、重度の呼吸困難です。空気の通り道がさらに狭くなると、体の中に十分な酸素を取り込むことができなくなります。
次のような症状は、窒息の危険があり、救急車の要請や緊急外来の受診が必要なサインです。

クループは“息を吸う時に、のどが狭くなって鳴る”病気です。音が胸から聞こえ、吐く時に強い場合は喘息など別の原因も考えます。
呼吸が苦しくて水分や食事がとれない状態が続くと、脱水症になることもあります。お子さんの様子を観察し、気になる場合は早めに受診しましょう。
クループ症候群の診断と検査

クループ症候群は特有の咳や声のかすれなどの特徴的な症状があるため、特別な検査をしなくても診断は可能です。
一方で、重症度を判定するために以下の検査が行われることもあります。

※内視鏡(気管支鏡)などは一般的なクループでは通常行いません。別の病気が疑われるときに限って検討します。
クループ症候群の治療法

クループ症候群の治療は、炎症で狭くなったのどの腫れを和らげ、呼吸を楽にすることが重要です。ご家庭でのケアも回復を早めるポイントになります。
①内服薬
クループ症候群の治療で、使用されるのが内服のステロイド薬です。
ステロイド薬は、ウイルスによって強く腫れてしまった喉の粘膜に作用し、その炎症を強力に抑え込みます。炎症が鎮まることで喉の腫れが引き、空気の通り道が広がるため、特徴的な咳や息苦しさを速やかに改善する効果が期待できます。(※2)
多くの施設では、単回または数回の投与(例:デキサメタゾン等)で十分なことも多く、症状と年齢に合わせて薬が選ばれます。自己判断で増減せず、指示通りに使いましょう。
②吸入治療
息を吸う時の「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音が安静時にも聞こえたり、呼吸がとても苦しそうな場合には、吸入治療を行います。
これは「ネブライザー」という専用の機械を使い、薬を細かい霧状にして、直接気道に届ける治療法です。
クループ症候群で主に使用されるのはアドレナリン(ボスミン®)です。中等症〜重症の呼吸困難がある場合に行う治療法で、気道の血管を収縮させて喉の腫れを素早く抑えます。
アドレナリンの治療後は30分〜2時間ほどは効果が持続するため、呼吸が少し楽になるでしょう。吸入治療は、お子さんの状態に合わせて医療機関で医師の判断のもと行われる専門的な治療です。
③自宅でできるケア
お薬による治療と合わせて、ご家庭でのケアは、回復を助けるために重要です。お子さんを安静にし、部屋の湿度を50~60%程度に保ちましょう。空気が乾燥すると咳が悪化しやすくなるため、加湿器を使ったり、濡れたタオルを部屋に干してください。
寝るときは、バスタオルなどを背中の下に敷いて、上半身を少し高くしてあげると気道が広がりやすくなり、呼吸が楽になることがあります。
咳で苦しい場合でも、こまめに水分補給をして、脱水にならないように注意してください。
クループ症候群でよくある質問

お子さんがクループ症候群と診断されると、治療のことだけでなく、日常生活に関するさまざまな疑問や不安が湧いてくるかと思います。
安心して看病に取り組めるよう、正しい知識を身につけていきましょう。
Q.人にうつりますか?
A.クループ症候群のほとんどは、パラインフルエンザウイルスをはじめとするウイルス感染が原因のため、人にうつります。
感染している人の咳やくしゃみに含まれるしぶきを吸い込む「飛沫感染」や、ウイルスがついた手で口や鼻を触る「接触感染」に感染します。
ただし、感染した人が必ずクループ症候群を発症するわけではありません。大人が同じウイルスに感染しても、多くは軽い喉の痛みや鼻水といった、いわゆる風邪の症状で済みます。
乳幼児は大人に比べて空気の通り道である気道が細く狭いため、同じウイルスでも喉が腫れやすく、クループ症候群特有の症状が出ます。
Q.治るまでどれくらいかかりますか?
A.症状の強さにもよりますが、ほとんどの場合、治療を開始してから4〜7日程度で回復に向かいます。(※1)クループ症候群は、以下のような経過をたどることが多い病気です。

お子さんの年齢や体力、原因となったウイルスの種類によって、回復までにかかる期間には個人差があります。
症状が良くなってきたように見えても、処方されたお薬は医師の指示通りに最後まで使い切ることが大切です。
Q.夜だけ悪化するのはなぜですか?
A.夜は体内リズムの影響で気道の腫れが目立ちやすく、さらに乾燥・疲れ・横になる姿勢が重なって、咳や息苦しさが強く出ることがあります。
Q.登園・登校の基準はありますか?
A.クループ症候群には、法律で定められた明確な基準はありません。
登園や登校を再開するかどうかは、お子さんの全身の状態を見て総合的に判断することが大切です。
登園や登校を考える際には、以下の内容をお子さんの状態と照らし合わせてみてください。
- 解熱して24時間以上経過している
- 普段通りに食事や水分が摂れている
- 室内で普段通りに遊べるくらい体力が回復している
- 「ケンケン」という特徴的な咳がほとんど出なくなった
- 安静時に、息を吸う音がゼーゼー・ヒューヒューいっていない
- ひどい咳で夜中に何度も起きることがない
園や学校によっては独自の基準を設けていたり、「登園許可証」の提出が必要な場合もあります。
いつから登園させて良いか迷う場合は、自己判断せずにかかりつけの医師に相談し、園や学校にも確認しておくと安心です。
Q.再発しますか?
A.一度クループ症候群を経験したお子さんは、小学校低学年頃までは風邪をひくたびにクループ症候群の症状を繰り返しやすい傾向があります。
何度も繰り返すとご家族は大変心配になるかと思いますが、成長とともに体も変化するためかかりにくくなります。
Q.再発を防ぐ方法はありますか?
クループ症候群そのものを直接予防するワクチンや特効薬はありません。しかし、原因となるウイルス感染の機会を減らし、体の抵抗力を高めることが、最も効果的な再発予防につながります。
A.日頃から部屋の湿度を保ち、基本的な感染症対策を徹底してください。体の抵抗力を高めるために規則正しい生活習慣を送り、ウイルスに負けない体づくりを目指しましょう。
感染症にかからないように、日々の生活習慣を見直すことが再発防止につながります。
まとめ
クループ症候群の特徴的な咳に気づいたら、重症化する前に早めに医療機関を受診しましょう。
息を吸うたびに胸がペコペコへこむ「陥没呼吸」や、唇の色が悪い「チアノーゼ」、ぐったりしている様子が見られる場合は、緊急性が高い危険な状態です。迷わず救急車を呼ぶか、夜間救急を受診してください。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、お子さんの咳症状の相談を受け付けています。気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省.「麻疹の流行の背景と要因分析について」
- Garzon Mora N, Jaramillo AP, Briones Andriuoli R, Torres S, Revilla JC, Moncada D. An Overview of the Effectiveness of Corticoids in Croup: A Systematic Literature Review. Cureus,2023,15(10),e46317.MSDマニュアル クループ(喉頭気管気管支炎)
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
