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「溶連菌感染症」と診断されたら?家族で知っておきたいケアと注意点
「のどが痛くて、熱がある…」 受診の結果、溶連菌(ようれんきん)感染症と診断されると、これからの看病や学校をいつから再開できるのか、不安に思われる保護者の方も多いでしょう。
溶連菌感染症は、子どもにとって非常に身近な病気ですが、適切な治療とホームケアがとても重要です。この記事では、診断されたあとにご家族が知っておくべき情報を網羅して解説します。
もくじ
溶連菌感染症とは?(原因と症状)

溶連菌(正式名称:A群β溶血性連鎖球菌)という細菌が、のどに感染して炎症を起こす病気です。冬だけでなく、春から初夏にかけても流行が見られます。
主な症状
- 突然の熱: 38〜39度の高熱が出ることがあります。
- のどの痛み: のどが真っ赤に腫れ、飲み込むのがつらいほど痛むのが特徴です。
- イチゴ舌: 舌にブツブツができ、まるでイチゴのようになります。
- 発疹: 体や手足に、小さくて赤いザラザラした発疹が出ることがあります。
- その他: 頭痛、腹痛、吐き気を伴うことも少なくありません。
※風邪と違って、「せき」や「鼻水」が少ないのが溶連菌の特徴のひとつです。
治療の要:抗菌薬は「最後まで」が鉄則です
溶連菌は「細菌」による感染症なので、**抗菌薬(抗生物質)**がよく効きます。飲み始めてから24時間以内には熱が下がり、のどの痛みも和らぐことが多いです。
「症状が消えても、処方された薬は最後まで飲みきってください」
途中で薬をやめてしまうと、菌が体内に残り、再発したり、のちほど解説する「合併症」を引き起こしたりするリスクが高まります。
もし「抗菌薬を飲んでも良くならない」なら?

溶連菌は抗菌薬(ペニシリン系など)が非常によく効く細菌です。
きちんと薬を飲めば、ほとんどの方が翌日には熱が下がって、元気になっています。
万が一、「2日以上しっかり薬を飲んでいるのに、全く熱が下がらない」「のどの痛みがむしろ悪化している」という場合は、他の可能性を考える必要があります。
「陽性が出たのにどうして?」、「検査が間違えていたの?」と思うかもしれませんが、「溶連菌をのどに持っている(保菌)」だけの状態の人がいるためです。
アデノウイルス、インフルエンザ、コロナウイルスによる「咽頭炎」や、EBウイルスなどによる「伝染性単核球症」は溶連菌と症状が非常によく似ています。
「アデノウイルス」と診断された。熱はいつまで続く?注意点と対応方法
高熱、発疹、いちご舌などの症状があるのに、抗菌薬が効かないのであれば、川崎病にも注意が必要です。
「川崎病」発熱が続いているけど、このまま様子を見ても大丈夫?
注意!溶連菌が引き起こす「重篤な合併症」

溶連菌はのどに留まらず、周囲の組織や全身へ悪影響を及ぼすことがあります。以下の症状が見られた場合は、たとえ治療中でもすぐに再診、あるいは救急外来を受診してください。
扁桃周囲膿瘍(へんとうしゅういのうよう)
扁桃腺の奥深くに膿が溜まってしまう病気です。
注意すべき症状
のどの痛みが極めて強く、つばを飲み込むことができない。
口を大きく開けることができない(開口障害)。
首の腫れや強い痛み。
これらは、のどの炎症が周囲の組織まで波及しているサインです。重症化すると気道を塞いでしまう恐れもあり、入院治療が必要になることがあります。
リウマチ熱
治療が不十分だった場合に、感染から数週間後に起こることがあります。心臓の弁に障害が出たり、関節が腫れて痛んだりします。現代の日本では抗菌薬の普及により減っていますが、決して忘れてはいけない合併症です。
溶連菌後糸球体腎炎(PSGN)
感染から1〜4週間後に、腎臓に炎症が起こる病気です。
注意すべき症状:
おしっこの色がコーラ色や赤褐色になる(血尿)。
顔や足がむくむ。
おしっこの量が減る。
腎炎については、重要な合併症であるため、別記事で詳しくまとめています。
溶連菌感染の後、どうして尿検査をみるの?【ベスタの小児科医が解説】
家庭での過ごし方とホームケア

のどの痛みが強い時期は、食事や水分補給に工夫が必要です。
食事のポイント
のどを刺激しない、「薄味」「熱すぎない」「のどごしの良いもの」を選んでください。
おすすめ:ゼリー、プリン、アイスクリーム、お粥、豆腐、ポタージュ、うどん
水分補給
こまめに少しずつ、経口補水液や麦茶などで水分を摂らせてあげてください。のどの痛みで飲めない場合は、早めに医療機関にご相談ください。
お風呂
熱が下がり、本人の元気があればシャワーや入浴は問題ありません。
学校や保育園はいつから行ける?
溶連菌感染症は、学校保健安全法によって出席停止期間が定められています。
- 基準: 「適切な抗菌薬の服用開始後、24時間を経過していること」
多くの場合は、薬を飲み始めて2日目(翌々日)から、熱が下がって元気であれば登園・登校が可能になります。
ご家族への感染を防ぐために

溶連菌は、つば(飛沫)や接触によってうつります。
- 手洗い・うがい: 基本ですが、もっとも効果的です。
- タオルの共有を避ける: 治るまでは家族で別々のタオルを使いましょう。
- 食器の区別: 箸やコップの使い回しは避けましょう。
もし、ご家族の方(大人も含む)に「強いのどの痛み」や「発熱」が出た場合は、早めに医療機関を受診し、「子どもが溶連菌でした」と伝えてください。
まとめ
溶連菌感染症は、抗菌薬をしっかり飲めば決して怖い病気ではありません。
- 薬を最後まで飲みきること
- のどの痛みに配慮した食事をとること
- 数週間後の体調変化(むくみや尿の色)に気をつけること
この3点を守って、お子さまをゆっくり休ませてあげてください。
看病の中で気になることがあれば、いつでも当院へご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
