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赤ちゃんの黄疸はいつまで?生理的・病的の違いと受診の目安を解説

生まれたばかりの子どもの肌が黄色っぽく見える黄疸は、満期で生まれた赤ちゃんの約半数にみられる自然な現象です。頭ではわかっていても、「何か病気だったらどうしよう」と不安に駆られてしまうのは当然のことです。
多くの黄疸は心配ありませんが、まれに治療が必要な病的黄疸が隠れている可能性もあります。大切なのは、「どんなサインがあれば専門医に相談した方がよいか」を知っておくことです。
この記事では、黄疸の種類や原因、受診の目安、治療法を解説します。正しい知識で不安を解消し、赤ちゃんの変化に落ち着いて対応できるようになりましょう。
もくじ
赤ちゃんに生じる黄疸の種類と原因

肌や白目が黄色っぽく見える状態を黄疸(おうだん)といいます。黄疸は、ビリルビンという黄色い色素が、体の中で一時的に増えることで起こる現象です。
赤ちゃんに見られる、以下の3つの黄疸の原因や特徴を詳しく解説します。
①生理的黄疸
②病的黄疸
③母乳性黄疸
①生理的黄疸
生理的黄疸は、病気ではなく、生まれたばかりの赤ちゃんのほとんどに見られる自然な体の変化です。主に赤血球の分解によるものと、肝臓の働きが未発達なことによるものに分けられます。
お腹の中の赤ちゃんは、大人より多くの赤血球を持っています。しかし、生まれてからは多くが不要になって分解されることで、黄色い色素であるビリルビンが大量に作られます。
ビリルビンは、肝臓で処理されて体の外へ排出されることが一般的です。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんの肝臓は十分に発達していないので、大量に作られたビリルビンを処理しきれません。その結果、一時的に血液中のビリルビンが増え、肌や白目が黄色っぽく見えることがあります(生理的黄疸)。
早く生まれた赤ちゃん(早産児)では、黄疸のピークが少し遅れたり、長引いたりすることもあります。
生理的黄疸は、通常、生後2〜3日ごろから肌が黄色っぽく見え始め、生後4〜5日頃に色のピークを迎えます。1〜2週間ほどで肝臓の働きが追いつき、自然に消えていくことがほとんどです。
赤ちゃんの機嫌が良く、おっぱいやミルクをしっかり飲めているなら、生理的黄疸が見られても問題ありません。
②病的黄疸
生理的黄疸とは異なり、何らかの病気が原因で起こる黄疸を病的黄疸と呼びます。病的黄疸は、原因を突き止めて、適切な治療が必要になることがあります。
以下のようなサインが見られる場合は、病的黄疸の可能性を考え、すみやかに小児科医に相談しましょう。

病的黄疸の原因はさまざまです。
お母さんと赤ちゃんの血液型の「組み合わせ」によっては、赤血球が壊れやすくなり、黄疸が強くなる「血液型不適合黄疸」やウイルス・細菌による感染症が代表例です。生まれつき胆汁の通り道(胆道)がふさがっている胆道閉鎖症も原因として挙げられます。
白っぽい便は、胆道閉鎖症の重要なサインです。母子健康手帳には便の色をチェックする便色カードが付いているため、毎日のおむつ替えの際に確認しましょう。月齢2未満で、1回でも白っぽい便があった場合は早急に小児科を受診してください。
③母乳性黄疸
母乳で育っている赤ちゃんに見られ、生理的黄疸が消えるはずの時期を過ぎても黄疸が長引く場合、母乳性黄疸が考えられます。
母乳性黄疸の原因はまだ完全には解明されていません。母乳に含まれる脂質や特定の酵素などの成分が、肝臓でのビリルビンの処理を遅らせることが原因と考える研究もあります。(※1)
ただし、母乳性黄疸は、赤ちゃんの成長や発達に悪い影響を与える病気ではありません。赤ちゃんが元気に母乳を飲み、体重が順調に増えているのであれば、母乳性黄疸そのものが赤ちゃんの成長に悪影響を与えることはほとんどないため、多くの場合は母乳を続けながら経過をみることができます。
ただし、黄疸の程度やほかの病気が隠れていないかを確認するために、一度は小児科で相談しておくと安心です。
母乳性黄疸は生後3か月ごろまで黄色みが残ることがありますが、赤ちゃんの成長とともに自然に消えていきます。黄疸の程度が強かったり、母乳性黄疸なのか確認したかったりする場合は、医師の診察を受けてください。
赤ちゃんの黄疸はいつまで続く?受診の目安

「赤ちゃんの黄疸はどのくらい続くのだろうか」と不安に思いますよね。個人差はありますが、一般的な目安は次のとおりです。

ご家庭で赤ちゃんの様子を観察し、病的黄疸の症状が見られたら、1か月健診を待たずに小児科を受診してください。病的黄疸と母乳性黄疸のどちらなのかを自己判断できない場合も、専門家に相談することが大切です。
黄疸で病院を受診した場合の検査と治療

赤ちゃんの黄疸で病院を受診した場合の検査・治療として、以下の内容を解説します。
①主な検査項目
②一般的な治療法と入院期間・副作用
③重症例に行う治療法
④黄疸治療にかかる費用と医療費助成制度
主な検査項目
赤ちゃんの黄疸の診断では、視診や経皮ビリルビン測定などが行われます。肌・白目の色や黄疸の範囲、ビリルビンの数値などが主な検査項目です。
経皮ビリルビン測定で値が高かったり、病的黄疸が疑われたりする場合には、血液検査で以下の項目を詳しく調べます。
- 血液中の総ビリルビン値
- 直接ビリルビンと間接ビリルビンの割合
- 血液型
- 赤血球に結合し得る抗赤血球抗体の有無
間接ビリルビンは、肝臓で処理される前のビリルビンのことです。肝臓での処理後のビリルビンは、直接ビリルビンと呼ばれます。これらの割合を調べることで、「血液が壊れやすいタイプか」「肝臓や胆道のトラブルが疑われるのか」といった黄疸の原因をある程度見極めることができます。
一般的な治療法と入院期間・副作用
赤ちゃんの黄疸の検査でビリルビン値が一定の基準を超えている場合は、入院して治療を行います。一般的な黄疸の治療法は光線療法です。
光線療法は、青い光を赤ちゃんの肌に当て、ビリルビンを水に溶けやすい形へと変化させる治療法です。水に溶けやすくなったビリルビンは、肝臓で処理をされなくても体の外へスムーズに排出されるようになります。
治療の際は、目を保護するために赤ちゃんにアイマスクをし、おむつだけの姿で保育器の中で光を浴びせます。光線療法は大きな副作用は少なく、長年、多くの赤ちゃんに行われている治療です。必要性と効果・リスクを医師が確認したうえで実施します。
入院期間は、赤ちゃんの状態やビリルビン値の下がり具合によって異なりますが、一般的には2日〜1週間程度の入院となることが多いです。治療中は、ビリルビン値が下がり、治療をやめても再び上昇しないことを定期的な血液検査で確認してから退院します。
ただし、光線療法は、まれに以下のような副作用が一時的に見られる点に注意してください。

副作用は治療に伴う一時的な反応であり、治療が終了すれば自然に治まります。入院中は、点滴で水分を補ったり授乳回数を増やしたりしながら、医師や看護師が赤ちゃんの状態を注意深く見守ります。
重症例に行う治療法
ごく一部の重症ケースでは、次のような治療が必要になることがあります。

黄疸治療にかかる費用と医療費助成制度
光線療法や交換輸血などの黄疸治療にかかる費用は、公的医療保険の対象です。(※2)年齢や所得に応じて、自己負担額は1〜3割に軽減されます。
公的医療保険だけでなく、自治体が助成する乳幼児医療費助成制度もあります。乳幼児医療費助成制度は、保険診療の自己負担額が無料になったり、少額で済んだりする仕組みです。利用するためには、以下のような手続きを行う必要があります。
- 赤ちゃんの健康保険証の発行
- 乳幼児医療費受給者証の交付手続き
乳幼児医療費受給者証の交付手続きは、お住まいの市区町村の役所で行なってください。手続き後、病院の窓口で健康保険証と医療費受給者証を提示すると助成が受けられます。
乳幼児医療費助成制度の名称や対象年齢、自己負担額の有無は、お住まいの自治体によって異なります。また、制度の内容は数年ごとに見直されることがあります。最新の情報は、市区町村の窓口や公式サイトでご確認ください。
赤ちゃんの黄疸治療に関するよくある質問

赤ちゃんの黄疸治療に関して、以下のようなよくある質問に回答します。
①治療が遅れた場合の後遺症リスクは?
多くの新生児黄疸は、後遺症を残すことなく改善します。一方、まれにビリルビン値が異常に高い状態が続くと、核黄疸やビリルビン脳症を引き起こすことがあるため注意が必要です。
核黄疸は、脳の動きや聴覚に関わる部分にダメージを与え、以下のような後遺症を残す可能性があります。
- 脳性まひによる運動障害:手足が突っ張ったり、意図しない動きをしたりする
- 聴力障害:音の聞こえが悪くなる、あるいは全く聞こえなくなる
- 発達の遅れ:知的発達や運動発達に影響が出る
黄疸が強い場合には、すみやかにビリルビン値を測定し、基準値を超えていれば光線療法などの治療を開始します。早期に発見し、適切な治療を行うことで、核黄疸を防げるでしょう。
赤ちゃんの様子をよく観察し、気になることがあればすぐに医師に相談することが大切です。
②黄疸が長期化・再発したときはどう対応すれば良い?
1か月健診の時期を過ぎても黄疸が続いたり、一度良くなった黄疸が再び濃くなったりした場合は、小児科医に相談してください。以下のような病気が発症している可能性があります。

先天性サイトメガロウイルス感染症は、難聴の主な原因の一つとしても知られる病気です。黄疸以外にも発疹や肝臓・脾臓の腫れなどの症状が見られることがあります。(※4)
これらの病気はいずれも頻度としてはまれですが、早く見つけてあげることがとても大切です。
先天性代謝異常症や甲状腺機能低下症の多くは、生後まもなく行う「新生児マススクリーニング(かかとからの採血検査)」でチェックされています。黄疸以外の症状や検査結果も総合して、医師が必要な検査を判断します。
③黄疸がある場合は予防接種できる?
赤ちゃんの黄疸があっても、軽度であれば基本的には予防接種を受けられます。
ただし、以下のようなケースでは、赤ちゃんの体調を優先し、接種を一時的に見合わせることがあります。
- ビリルビン値が高く、光線療法などの治療を受けている場合
- 検査の結果、光線療法が必要と判断される場合
- 病的黄疸が疑われ、原因を調査中の場合
- 発熱、哺乳不良、ぐったりしているなどが見られる場合
黄疸の治療や体調の関係で、予防接種の予定が少し遅れることがありますが、多くの場合はスケジュールを調整しながら追いつくことができます。無理に予定どおり打とうとするよりも、そのときの体調を優先して、主治医と相談しながら進めていきましょう。
まとめ
「このくらいの黄疸なら様子を見ていいのかな」「受診した方がいいのかな」と迷うお気持ちは、とても自然なものです。
ベスタ子どもとアレルギーのクリニックでは、乳幼児健診はもちろん、「黄疸が心配」「便の色を一度見てほしい」といったご相談もお受けしています。気になることがあれば、どうぞ一人で悩まずにご相談ください。
https://www.besta-kids.jp/medical-checkup/
参考文献
- Gao C, Guo Y, Huang M, He J, Qiu X.Breast Milk Constituents and the Development of Breast Milk Jaundice in Neonates: A Systematic Review.Nutrients,2023,15,10.
- 日本産婦人科医会:「産婦人科社会保険診療報酬点数早見表」.
- 厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業:「平成22年度総合研究報告書」P5.
- Khalil A, Heath PT, Jones CE, Soe A, Ville YG, Royal College of Obstetricians and Gynaecologists.Congenital Cytomegalovirus Infection: Update on Screening, Diagnosis and Treatment: Scientific Impact Paper No. 56.BJOG: An International Journal of Obstetrics and Gynaecology,2025,132,2,e42-e52.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
