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0歳の赤ちゃんのインフルエンザ|受診目安・ワクチン・家族でできる予防策

「ミルクを急に飲まなくなった」「ぐったりしていて心配…」など、0歳の赤ちゃんの体調不良は、保護者の方にとって判断がとても難しいものです。
本記事では、赤ちゃんに多いインフルエンザの症状・受診のタイミング・生後6か月未満の対策・ワクチン時期を小児科専門医が分かりやすく解説します。
もくじ
赤ちゃん(0歳)のインフルエンザで現れる5つの症状
ここでは、インフルエンザが疑われるときによく見られる代表的な症状を見ていきましょう。

①38℃以上の突然の発熱
インフルエンザでは、突然の高熱(38〜40℃)が起こりやすいのが特徴です。
風邪でも発熱しますが、インフルエンザは数時間で一気に熱が上がることがあります。
乳児では悪寒(おかん)の震えがはっきり出ないことも多く、熱が急に上がることで泣きやまない、触ると熱いなどのサインで気づくことが多いです。
水分がとれていて、比較的機嫌も良い場合は、しばらく様子を見ても問題ないケースもあります。
ただし、おしっこが明らかに減る、泣いても涙が出ない、授乳のたびに途中で疲れてしまうなどがある場合は脱水のサインの可能性があり、早めの医療機関での受診をおすすめします。
②ミルクや母乳を飲まない
ミルクや母乳を飲まなくなるのは、インフルエンザにかかった赤ちゃんによく見られる症状です。強い全身のだるさや高熱、のどの痛みが原因で、いつもより飲む量が減ったり、まったく受け付けなくなったりします。
0歳の赤ちゃんにとって、ミルクや母乳は栄養だけでなく水分補給の役割もかねています。赤ちゃんは大人より体の水分割合が多く、腎臓の機能も未熟なため、脱水症を起こすリスクが高いのが特徴です。
おしっこの回数・量が普段より少なかったり、肌や唇が可能してたりしないかを確認しましょう。極度の脱水がある場合、大泉門(頭のてっぺんの柔らかい部分)がへこむこともあります。
体調が悪い時は一度にたくさん飲ませようとせず、スプーンやスポイトで少量ずつ、こまめに与えるのが大切です。それでも水分がとれない場合は、点滴が必要になることもあるため、早めに小児科を受診しましょう。
③ぐったりして元気がない
ぐったりとして元気がない様子もインフルエンザへの感染を疑わせる症状です。体はウイルスに立ち向かう時に、サイトカインという物質が作られ、高熱や強い全身倦怠感の原因になります。
大人のように言葉を話せない赤ちゃんは、ぐったりとして元気がない様子で、つらさを表します。いつも喜ぶおもちゃに興味を示さなかったり、あやしても笑わなかったり、一日中うとうとしているなどの変化が見られます。
赤ちゃんの元気がないとき、インフルエンザが重症化している可能性もあります。
④機嫌が悪い
インフルエンザにかかると、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身に痛みを感じるため、赤ちゃんは一日中機嫌が悪くなりがちです。赤ちゃんは、体の痛みや不快感を「泣く」「ぐずる」などの形で表現します。
高熱などの他の症状と合わせて、「泣き方が激しい」「寝付かず泣き出す」など機嫌の悪さが続く場合は、インフルエンザの可能性を考えましょう。
⑤鼻水・鼻づまり
鼻水や鼻づまりは、インフルエンザにかかった赤ちゃんによく見られる症状のひとつです。赤ちゃんは鼻の通り道が狭く、自分で鼻をかめないため、鼻づまりが続くととても苦しくなります。
鼻づまりが続くと、ミルクを飲みづらくするほか、息苦しさが続いたり、中耳炎などの他の病気になりやすかったりします。
特に呼吸がゼーゼーして苦しそうなときや、唇の色が紫色になっているときは、すぐに医療機関を受診しましょう。
赤ちゃん(0歳)からインフルエンザを守る7つの対策

赤ちゃんが体調を崩すと、お母さんもとても心配になりますよね。そんな時期を少しでも安心して過ごすために、赤ちゃんをインフルエンザウイルスから守るための対策をご紹介します。
①こまめに手洗いや手指の消毒をする
こまめな手洗いや手指の消毒は、インフルエンザ対策のなかでも有効な対策です。インフルエンザの主な感染経路は、ウイルスが付着した手で目・鼻・口を触ることによる接触感染です。ウイルスを物理的に洗い流す手洗いが、有効な予防策となります。
特に外からウイルスを持ち込むリスクの高い大人や兄弟が、しっかりと手洗いをすることが大切です。
手洗いは、石鹸を十分に泡立て、30秒ほどかけて丁寧に洗うことが推奨されています。
特にウイルスが残りやすいので指先、親指の付け根は丁寧に洗いましょう。
すぐに手洗いができない状況では、アルコールを含んだ手指消毒液も有効です。ただし、赤ちゃんが手をなめてしまう可能性もあるため、消毒液が乾いてから赤ちゃんに触れるようにしましょう。
②こまめに換気をする
こまめな換気は、インフルエンザの感染予防に有効です。ウイルスは、咳やくしゃみで飛び散る飛沫に含まれ、しばらく空気中を漂います。閉め切った空間ではウイルスがたまりやすく、定期的な換気が重要です。
換気をする際は、1〜2時間に1回、数分間でも大丈夫です。
その際、赤ちゃんに冷たい風が直接当たらない位置へ移動させましょう。
③温度と湿度を適切に保つ
インフルエンザは低温で乾燥した環境で活発に活動します。乾燥すると鼻やのどの粘膜のバリア機能も弱まり、ウイルスが体内に入りやすくなるため注意が必要です。
特に冬場は暖房を使用するため室内が乾燥しやすく、ウイルスにとって活動しやすい環境になりがちです。そのため、室温は20〜25℃、湿度は50〜60%を保つようにすると良いでしょう。
上記の環境を維持するために、加湿器を上手に使いましょう。タンクの水は毎日交換し、清潔を保つことが大切です。加湿器がない場合も、濡らしたタオルを干したり、洗濯物を室内に干したりすることで、湿度を上げることができます。
ワクチン接種は、インフルエンザへの感染を予防します。万が一感染しても、症状を軽くし、肺炎や脳症などの重い合併症のリスクを減らす効果が期待できます。
ワクチンは、生後6ヶ月から接種が可能です。13歳未満の子どもは十分な免疫をつけるために、2〜4週間の間隔をあけて2回接種することが推奨されています。
⑤家族全員で感染予防を徹底する
赤ちゃんをインフルエンザから守るためには、家族全員で感染を防ぐ意識を持つことが大切です。赤ちゃんの感染は、家庭内にウイルスが持ち込まれることが多いため、ご家族一人ひとりの行動が重要です。
外出する大人が感染源となることも多いので、人混みではマスクを着用する、スマートフォンやドアノブなどよく触る場所をこまめに消毒することを徹底しましょう。
また予防接種も家族全員で受けることも推奨します。
⑥流行時期は人混みを避ける
インフルエンザが流行する12月〜3月頃は、可能な範囲で人混みを避けると良いでしょう。ショッピングモールやスーパー、公共交通機関などは、ウイルスに接触するリスクが高まります。
やむを得ず人混みに出かけるときは、帰宅後に手洗いや着替えを徹底しましょう。日常の買い物をネットスーパーなどで代用するのも、感染リスクを減らす有効な方法です。
インフルエンザ予防接種の時期

インフルエンザ予防接種は、赤ちゃんを重症化から守るための有効な手段です。ここでは、赤ちゃんのインフルエンザ予防接種、ワクチン接種時期・回数・注意点をわかりやすく解説します。
生後6ヶ月から予防接種が可能
生後6ヶ月から、赤ちゃんはインフルエンザの予防接種を受けることが可能です。
生後すぐの赤ちゃんは、妊娠中にお母さんからもらった免疫で守られています。しかし、この効果は生後6か月ごろから弱くなるため、ワクチンで免疫を補う必要があります。
予防接種を受けることで、感染した場合でも肺炎や脳症などの重い合併症になるリスクを減らすことができます。
ワクチンの接種回数は2回が推奨
日本においてインフルエンザワクチンは、13歳未満のお子さんには1シーズンの2回接種が推奨されています。インフルエンザに感染した経験やワクチン接種歴が少ない子どもの場合、1回の接種では十分な免疫をつくれないことがあること、日本では流行期間が長期にわたることがあることが理由です。
1回目の接種では、体に「インフルエンザウイルスは敵だ」と認識させ、免疫の準備を整えます。2回目の接種で、より確実で長持ちする抵抗力をつける「追加免疫の効果」が期待できます。
2回の接種を行うことで本格的な流行シーズンに向けて、より強い免疫を獲得できます。
理想的な接種スケジュール
インフルエンザワクチンは、免疫がつくまでに約2週間かかります。流行が始まる12月頃までに接種を完了させることが理想的です。
予防接種は、ヒブ・小児肺炎球菌・四種混合などの定期接種との兼ね合いもあります。
「いつ打てばいいかわからない」という場合は、かかりつけ医にスケジュールをご相談ください。
当院でも、赤ちゃんの予防接種スケジュールを一緒に調整しています。
予防接種前に確認すべき注意点
予防接種を安全に受けるためには、接種当日の赤ちゃんの体調を確認することがとても大切です。万全の状態で接種を行うことで、副反応のリスクを抑えることができます。
予防接種の当日は、以下の点を確認しましょう。

当日は赤ちゃんの腕をすぐに出せるよう、袖がゆったりした服や前開きの服装が便利です。時間に余裕を持って受診しましょう。
赤ちゃん(0歳)のインフルエンザでよくある質問

Q.ワクチン接種後に副反応はありますか?
A.インフルエンザワクチンの接種後、副反応が出ることがあります。しかし、多くは軽いもので、重い副反応が起こることはまれです。
ワクチンは、ウイルスが体に侵入してきたときに戦えるよう免疫を準備させるためのものです。免疫を作る過程で軽い炎症反応が起こるため、以下の症状がみられることがあります。

上記の症状は、体が免疫を作っているサインでもあります。多くの臨床研究でワクチンの安全性と有効性は確認されており、重い病気を防ぐメリットは、副反応のリスクを大きく上回ります。(※2)
Q.ワクチンは毎年必要ですか?
A.インフルエンザワクチンは毎年接種が推奨されています。
インフルエンザウイルスは毎年少しずつ姿を変えるため、前年のワクチンでは十分な効果が得られないことがあります。そのため、流行する型に合わせて新しいワクチンが作られます。
またワクチンによる免疫効果は、接種後2週間〜約5か月で徐々に低下するため、毎年の接種が必要です。
Q.生後6か月未満の赤ちゃんはどう対策すればいいですか?
A.生後6か月未満の赤ちゃんは、まだインフルエンザワクチンの接種ができません。家族全員で感染予防を徹底することが、赤ちゃんを守る対策になります。
生後6か月未満の赤ちゃんの感染は、家庭内にウイルスが持ち込まれることがほとんどです。まずは周囲の大人がかからないようにしましょう。
もし家族に感染者がいる場合は、症状が落ち着くまでできるだけ赤ちゃんから隔離させることが大事です。
Q.感染したらどのような治療がありますか?
A.インフルエンザに感染した場合、抗インフルエンザ薬や解熱鎮痛剤などを服用します。
代表的な抗インフルエンザ薬には、タミフルがあります。タミフルはインフルエンザウイルスの増殖を抑える作用がありますが、症状を緩和するには発症から48時間以内に服用することが重要です。1日2回の服用を5日間継続します。
また最近では、ゾフルーザという比較的新しい薬を使用することもあります。ウイルスの増殖を抑える点ではタミフルと同じですが、1回服用するだけでいいのが特徴です。
なお解熱鎮痛剤の中には、インフルエンザに感染しているときは服用してはいけないもの(アスピリン、ロキソニンなど)もあります。
赤ちゃんの場合、アセトアミノフェン(カロナール)が一般的です。
市販薬では判断が難しいため、必ず医師に相談してください。
まとめ
赤ちゃん(0歳)のインフルエンザ対策で一番大切なのは、家族全員で感染を防ぐことです。
生後6ヶ月を過ぎたら、適切な時期にワクチンを接種して重症化を防ぎましょう。ワクチンを接種できない生後6ヶ月未満の赤ちゃんがいる場合には、家族が感染対策を徹底することが重要です。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、赤ちゃんのインフルエンザ予防接種を実施しています。生後6か月を過ぎたら、流行シーズンが到来する前に接種を済ませておきましょう。
https://www.besta-kids.jp/vaccination/
参考文献
- Taha MK, Marcek T, Chapman TJ, Finalle R, Johnson DR, Wilck M. “Infant protection from invasive Haemophilus influenzae type b disease using the PRP-OMPC conjugate vaccine: An update.” Human vaccines & immunotherapeutics 21, no. 1 (2025): 2553949.
- Bansal A, Trieu MC, Mohn KGI, Cox RJ.Safety, Immunogenicity, Efficacy and Effectiveness of Inactivated Influenza Vaccines in Healthy Pregnant Women and Children Under 5 Years: An Evidence-Based Clinical Review.Front Immunol,2021,12.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
