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赤ちゃんの頭の形がゆがんでる?原因と対処法、受診のタイミング

「うちの子、頭の形がいびつかも?」と、赤ちゃんのデリケートな頭の形に不安を感じていませんか?その心配は、多くの保護者の方が抱える共通の悩みです。赤ちゃんの頭のゆがみは珍しくなく、その多くは向き癖などが原因で起こります。
多くの赤ちゃんでは、成長とともに少しずつ目立たなくなっていくこともありますが、ゆがみの程度が強い場合は、自然に十分改善しないこともあります。ある報告では、専門的に「重度」と判断された赤ちゃんのうち、約7割では3か月後も大きな改善がみられなかったとされています。(※1)
「その子に合ったケアや、受診のタイミングを知っておくこと」が大切です。
まれに治療が必要な病気が隠れている可能性もあり、放置すると見た目や歯の噛み合わせに影響することもあります。
この記事では、ゆがみの原因からご家庭でできる具体的なケア方法、専門医に相談すべき重要なサインも紹介します。正しい知識を身につけて、不安をなくしましょう。
頭の形がゆがむ原因

赤ちゃんの頭の骨は、パズルのピースのようにいくつかに分かれていて、そのつなぎ目(縫合)はまだしっかり固まっていません。
そのぶん、脳がぐんと大きくなるためのスペースは確保しやすい一方で、同じ向きで長く寝ていると、その方向だけ平らになりやすいという特徴があります。
赤ちゃんの頭の形にゆがみができる主な原因は以下の3つです。
①斜頭症・短頭症・長頭症
赤ちゃんの頭のゆがみの主な原因は、寝ているときに外圧が柔らかい頭の骨に継続的にかかることで変化する「位置的頭蓋変形症」です。
主に以下の3つのタイプに分けられます。

これらの変形は、赤ちゃんの頭の成長過程で起こる場合があります。保護者の方の育て方が直接の原因というわけではありません。
②頭蓋骨縫合早期癒合症などの病気の可能性
赤ちゃんの頭のゆがみの多くは、寝る向きなどによって生じる「位置的頭蓋変形」ですが、まれに病気が原因のこともあります。その代表が「頭蓋骨縫合早期癒合症」です。
本来は脳の成長に合わせて少しずつ閉じていくはずの頭蓋骨のつなぎ目(縫合)が、生まれつき、または生後早期に閉じてしまう状態を指します。
縫合が早く閉じると、脳が成長するためのスペースが不足し、頭蓋骨が内側から圧迫されて変形します。
頭の形が特徴的に変わるだけでなく、脳の発達にも影響を及ぼす可能性があり、手術による治療が必要になるケースもあります。
③出産や子宮内環境による圧迫
赤ちゃんの頭のゆがみは、生まれる前から始まっていることもあります。
子宮内でのスペースが限られている場合、多胎妊娠(双子など)や骨盤位(逆子)では、赤ちゃんの頭が圧迫されてゆがむことがあります。これは母体の子宮内環境によって起こる自然な圧力の影響です。
出産時にも圧迫は起こります。赤ちゃんは狭い産道を通るため、頭蓋骨のピースが少し重なり合い、頭を小さくして通り抜けます。吸引分娩や鉗子分娩では、その圧力で一時的に頭が細長くなったり形が変わったりすることもあります。
これらのゆがみは、赤ちゃんの頭の骨が柔らかいために起こる一時的なもので、多くは生後数週間〜数か月で自然に丸い形へ戻ります。
ただし、生後に向き癖などが加わると形が残ることもあるため、日々の観察と適切なケアが大切です。
放置した場合のリスク

向き癖などが原因の位置的頭蓋変形症の多くは、命に関わる緊急性の高いものではありません。しかし、ゆがみの程度によっては、お子さんの成長とともに見た目や体の機能に影響が出てくる可能性があります。
①見た目の問題(整容的な影響)
頭の形のゆがみをそのままにしておくと、成長するにつれて見た目の問題が気になることがあります。頭蓋骨のゆがみは土台のゆがみであり、顔の骨ともつながっているため、お顔のバランスにも影響を及ぼすことがあります。
これらの影響は、日常生活のささいな場面で不便さを感じさせることもあります。帽子や自転車のヘルメットがうまくフィットしなかったり、眼鏡をかけたときに傾いてしまったりします。
将来、髪型や写真うつりなどを気にする年齢になると、頭の形や顔の左右差が気になるお子さんもいます。
そのため、気になるゆがみがある場合は、早めに相談しておくと安心です。
②噛み合わせや発達への影響
赤ちゃんの頭のゆがみを放置すると、将来的に噛み合わせや発達に影響を及ぼす可能性があります。
頭蓋骨は顎の骨と密接に連動しており、ゆがみが強い場合には顎の成長が左右非対称になり、歯の噛み合わせがずれる「不正咬合」につながることがあります。
頭と顔、顎の発達は深く関係しており、頭の形のゆがみが顔立ちや歯並びの形成にも影響することもあります。
頭蓋骨縫合早期癒合症のような病気が原因であれば、脳の発達そのものが妨げられる危険もあります。このため、頭の形に気になるゆがみがある場合は、早めに専門医で診断を受けることが重要です。
頭の形のチェック方法

頭の形は少しずつ変わっていくので、毎日見ている保護者の方ほど変化に気づきにくいことがあります。月に1〜2回、次のような方法でチェックしてみましょう。
1.赤ちゃんをまっすぐ前を向くように抱っこする
2.そのまま真上から頭の形を見てみる
3.スマートフォンで真上から写真を撮り、同じ角度でときどき見比べる
同じ角度・照明で撮影すると、変化がわかりやすくなります。以下の表で、実際に確認するときのポイントをまとめています。
これらはあくまでご家庭でできる簡易チェックです。当てはまる点がある場合は、3Dスキャナーなどで正確に計測できる専門医への相談をおすすめします。
自宅でできる赤ちゃんの頭の形ケア

赤ちゃんの頭のゆがみは、ご家庭での工夫によって改善が期待できます。病気が原因でない「位置的頭蓋変形症」であれば、日常の中で頭にかかる圧力を分散させることが何より大切です。
頭蓋骨が柔らかい生後すぐから首がすわるまでの時期は、ケアの効果が出やすいタイミングです。
今日から実践できる具体的な方法として、「寝かせ方・抱き方の工夫」と「タミータイムの取り入れ方」を解説します。
寝かせ方・抱き方の工夫
1.声やおもちゃの位置を変える
いつも同じ方向から話しかけるのではなく、あえて反対側から声をかけたり、おもちゃを置いたりして、自然に向く方向を変えていきます。
2.寝る向きをときどき入れ替える
ベッドに寝かせる向きを、日ごとに頭と足の向きを180度入れ替えるようにすると、赤ちゃんの目線が向く方向が変わり、頭にかかる圧が分散しやすくなります。
3.体ごとそっと傾ける
丸めたタオルを背中からお尻の下に入れて、頭の平らな側が下になりすぎないように、体を少しだけ傾けてあげます。
※タオルを使ったポジショニングは、必ず大人がそばで見守れるときだけにしましょう。柔らかいクッションやドーナツ枕は、窒息のリスクがあるため使用をおすすめしません。
タミータイムの取り入れ方
タミータイムとは、赤ちゃんが起きている時間に、保護者の方が見守る中でうつ伏せで過ごす遊びの時間のことです。
起きている間に保護者が見守りながら安全にうつ伏せにすることで、後頭部への圧力を減らし、寝返りやハイハイなどの発達を促す効果が期待できます。
無理のない範囲で、次の3つのポイントを意識して行いましょう。
- 開始の目安:首がすわる前から始められる。まずは1回3〜5分、機嫌の良いときに1日数回行う
- 目標時間:赤ちゃんの様子を見ながら時間を延ばし、生後3〜4か月頃には1日合計30〜60分を目安にする
- 楽しく続ける工夫:床にブランケットを敷き、保護者が目線を合わせて笑いかける
赤ちゃんから目を離さない・硬めの床で行う・授乳直後は避けるなど、安全面にも十分注意してください。
泣いて嫌がるときや眠ってしまったときは、無理せず仰向けに戻しましょう。
病院を受診するタイミング

赤ちゃんの頭のゆがみには、ご家庭でのケアだけでは改善が難しく、専門家による診断や治療が推奨されるケースもあります。
病院に相談するタイミングの目安を知っておくことで、いざというときも落ち着いて対応できるようになります。
受診する主なタイミングとして、以下の3つが挙げられます。
①強い向き癖がある・首の筋肉が硬い
赤ちゃんがいつも同じ方向ばかり向いて寝ている場合、向き癖が定着している可能性があります。多くは成長とともに自然に改善しますが、首の筋肉に硬さがある場合は注意が必要です。
以下のようなサインがみられるときは、専門医への相談を検討しましょう。
- おもちゃなどで注意を引いても、反対側をほとんど向かない
- 反対側を向かせようとすると体をこわばらせて強く嫌がる
- 首の付け根を触ると左右で筋肉の硬さが違う
- しこりのようなものがある
- 頭のゆがみだけでなく、顔のふくらみや目の大きさにも左右差がある
このような状態の背景には、先天性筋性斜頸という首の筋肉(胸鎖乳突筋)が硬く縮まる状態が隠れていることがあります。放置すると頭の片側が圧迫され、ゆがみが悪化する可能性があります。
早期発見して理学療法などを行うことで、首の可動域が広がり、頭の形の改善にもつながります。
②生後3〜4か月時点でゆがみの改善がみられない場合
赤ちゃんの頭の骨は、生後数か月間はとても柔らかく、ご家庭でのケアがいちばん効果を発揮しやすい時期です。
多くの赤ちゃんは、生後3〜4か月ごろに首がすわり、自分で頭を左右に動かせるようになるため、この頃までに少しずつゆがみが目立たなくなっていくことが多いです。
逆に、生後3〜4か月を過ぎてもゆがみがほとんど変わらない、むしろ強くなってきたと感じる場合は、一度小児科や専門外来に相談しておくと安心です。
多くの赤ちゃんは生後3〜4か月頃になると首がすわり、自分の意思で頭を左右に動かせるようになります。
そのため、寝ている間の圧力が分散され、自然に向き癖やゆがみが軽減していくケースが多くみられます。
しかし、この時期を過ぎてもゆがみの改善がみられない場合は注意が必要です。頭の骨は成長とともに硬くなり、形が次第に固定されていくため、自然な回復が難しくなる可能性があります。
改善しないと感じたら、早めに小児科や専門医へ相談し、頭の形の状態を客観的に確認してもらうことが大切です。
③相談先・診療科の選び方
赤ちゃんの頭の形が気になったとき、どこに相談すれば良いか迷われるかもしれません。まずは、赤ちゃんの全体的な健康や発達を把握している、かかりつけの小児科医に相談するといいでしょう。
そこから必要に応じて、専門外来や専門医への紹介を受ける流れが一般的です。それぞれの相談先の特徴を以下の表にまとめています。

近年は、AIを活用した画像解析による高精度な診断技術も進歩しており、早期発見・治療が可能になっています。(※2)気になる症状がある場合は、早期に専門医を受診することが重要です。
赤ちゃんの頭の形(ゆがみ)を治療する方法

ご自宅でのケアを試しても、赤ちゃんの頭のゆがみが改善しないと心配は募りますよね。
医療機関では、まず頭のゆがみの原因や程度を正確に診断し、一人ひとりの状態に合わせた専門的な治療をご提案します。
赤ちゃんの頭の形を治療する方法として、「①ポジショニング(体位変換)」と「②ヘルメット治療」を解説します。
①ポジショニング(体位変換)
ポジショニング(体位変換)とは、理学療法士などの専門家が、赤ちゃんの状態に合わせて寝かせ方や体の向きを指導し、頭にかかる圧力を均等にする方法です。
まず赤ちゃんの首の筋肉の状態などを詳細に評価します。向き癖の原因が「先天性筋性斜頸」のように首の筋肉の硬さにある場合、ストレッチも指導します。
以下のように、一人ひとりの発達状況に合わせて以下のような方法でケアを行います。
- 丸めたバスタオルなどを赤ちゃんの背中からお尻の下に差し込む
- 体全体を優しく傾け、頭の平らな部分が常に下にならないように調整する
- 向き癖を改善するための首のストレッチを行う
ポジショニングは、比較的軽度のゆがみの場合や、ヘルメット治療の補助として行われることが多いです。
②ヘルメット治療
ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭の形をぎゅっと締めつけて矯正する治療ではなく、頭が大きくなる力を利用して、ゆがみを少しずつ目立ちにくくしていく方法です。
平らな部分には余裕を持たせ、出ている部分にはヘルメットがやさしく触れることで、頭全体のバランスが整いやすいように「成長の方向をサポートする」イメージの治療になります。
基本的には、向き癖の修正や寝かせ方の工夫など自宅でのケアが第一選択となります。それでも改善が難しい場合にヘルメット治療(自由診療)が検討されます。

治療は自費負担となる場合が多く、低身長治療などと同様に慎重な判断が必要です。リスクとメリットを十分に理解したうえで、専門医とよく相談して選択することが大切です。
まとめ
「少し良くなってきたような気もするけれど、本当に大丈夫かな?」「このまま様子を見ていていいのかな?」と迷われたときは、一人で抱え込まず、早めに相談していただくのがおすすめです。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、赤ちゃんの頭の形の相談にも対応しており、必要に応じて大学病院や頭の形外来など、適切な専門医療機関へのご紹介も行っています。
「自宅ケアで様子を見ていいケース」と「専門医に相談した方がいいケース」を一緒に整理しますので、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献
- Noto T, Nagano N, Kato R, Hashimoto S, Saito K, Miyabayashi H, Sasano M, Sumi K, Yoshino A, Morioka I.Natural-Course Evaluation of Infants with Positional Severe Plagiocephaly Using a Three-Dimensional Scanner in Japan: Comparison with Those Who Received Cranial Helmet Therapy.J Clin Med,2021,10(16),3531.
- Nozhan Azimi, Katayoun Talebi Rafsanjan, Mohammad Mahdi Khanmohammadi Khorami, Asghar Ebadifar, Ali Azadi.Applications of Machine Learning in Image Analysis to Identify Craniosynostosis: A Systematic Review and Meta-Analysis.Orthod Craniofac Res,2025,28,5,733-751.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
