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思春期のニキビ、自己流ケアで悪化する前に。小児科で始める正しいニキビ治療
「最近、顔にポツポツとニキビが…」
「洗顔はちゃんとしているはずなのに、どんどん増えてきた」
「ニキビ跡になったらどうしよう…」
思春期のシンボルともいえる「ニキビ」。
「ニキビくらいで病院に行くのは大げさかな?」と感じるかもしれませんが、お子さんの自信や学校生活にも影響を与えかねず、決して見た目だけの問題ではありません。
適切な時期に治療を始めることが大事です。今回は病院で使用するニキビ治療薬の使い方や注意点などを説明します。
そもそも、どうしてニキビはできるの? 3つの原因
【1】毛穴の出口が詰まる
思春期になると、ホルモンの影響で皮膚の角質が厚くなり、毛穴の出口が狭くなってしまいます。これがニキビの始まりである「コメド(面ぽう)」です。
【2】皮脂の分泌が増える
同じくホルモンの影響で、皮脂腺が活発になり、皮脂がたくさん作られます。詰まった毛穴の中に皮脂が溜まっていきます。
【3】アクネ菌が増える
皮脂は、皮膚の常在菌である「アクネ菌」の大好物です。詰まった毛穴の中で皮脂をエサにしてアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れた「赤ニキビ」や、膿が溜まった「黄ニキビ」になってしまうのです。
この3つの原因にアプローチすることが、ニキビ治療の基本となります。
クリニックで処方されるニキビの薬、どんな種類がある?
【1】毛穴の詰まりを改善する薬(アダパレン、過酸化ベンゾイル)
ニキビの始まりである「毛穴の詰まり」に直接アプローチする、近年のニキビ治療の主役です。
◎アダパレン(商品名:ディフェリンゲルなど)
角質が厚くなるのを抑え、毛穴の詰まりを取り除きます。新しいニキビができるのを防ぐ効果が高く、ニキビ治療のベースとして使われます。
◎過酸化ベンゾイル(商品名:ベピオゲルなど)
毛穴の詰まりを改善する「ピーリング作用」と、アクネ菌に対する「殺菌作用」を併せ持つお薬です。赤ニキビにも白ニキビにも効果が期待できます。
【使い始めの注意点】
これらの薬は、使い始めの1〜2週間ほど、皮膚が赤くなったり、カサカサしたり、ヒリヒリとした刺激を感じることがあります。これは薬が効いているサインでもありますが、多くは保湿ケアをしっかり行うことで乗り越えられます。
【重要な注意点:妊娠について】
**アダパレン(ディフェリンゲル)は、妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は使用できません。**治療中に妊娠を希望される場合や、妊娠が分かった場合には、すぐに使用を中止し、必ず医師に相談してください。
【2】炎症を抑える薬(抗菌薬)
赤く腫れてしまった「赤ニキビ」に対して、アクネ菌を殺菌して炎症を鎮めるために使います。
◎クリンダマイシン(商品名:ダラシンTゲルなど)
◎ナジフロキサシン(商品名:アクアチムクリームなど)
◎オゼノキサシン(商品名:ゼビアックスローションなど)
【注意点】
抗菌薬は、長期間使い続けると薬が効きにくくなる「薬剤耐性菌」を生む可能性があります。そのため、炎症が落ち着いたら、前述の「毛穴の詰まりを改善する薬」を中心とした治療に切り替えていくことが重要です。
【3】複数の成分が入った「配合剤」
近年、治療の選択肢として増えているのが、作用の異なる成分を組み合わせた配合剤です。1本で複数の原因にアプローチできるため、効果が高く、塗り忘れも防ぎやすいというメリットがあります。
◎デュアック配合ゲル(過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)
毛穴の詰まりを改善する作用と、アクネ菌を殺菌する作用を併せ持つお薬です。主に炎症のある赤ニキビに効果を発揮します。
◎エピデュオゲル(アダパレン+過酸化ベンゾイル)
アダパレンの「毛穴の詰まりを改善し、新しいニキビを防ぐ作用」と、過酸化ベンゾイルの「ピーリング作用・殺菌作用」を併せ持つ、非常に強力な配合剤です。炎症のあるニキビから、これからできそうなニキビまで、幅広くアプローチできるため、効果的にニキビを減らし、悪化を防ぐことが期待できます。
【重要な注意点:妊娠について】
エピデュオゲルにはアダパレンが含まれるため、妊娠中の方、妊娠の可能性がある方は使用できません。
【重要!】正しい塗り方とスキンケアのコツ
せっかく良い薬を使っても、塗り方が間違っていると十分な効果が得られなかったり、副作用が強く出てしまったりします。
「点」ではなく「面」で
ディフェリンゲル、ベピオ、エピデュオなどのニキビ薬は、「できているニキビの上だけに塗る」のではありません。
ニキビができやすいおでこや頬、あご全体に、うすく広めに塗るのが基本です。
目に見えないニキビの赤ちゃん(微小面ぽう)にも作用させ、新しいニキビを予防することが大切です。
「夜」にぬりましょう
ニキビ薬を塗るタイミングは、特に指示がなければ**「1日1回、夜の洗顔・保湿の後」**が基本です。
日中の活動で汗をかいたり、お薬が落ちてしまったりする心配がなく、また一部の薬による紫外線の影響を避けるためにも、夜の使用が推奨されます。
(※お薬によっては1日2回など指示が異なる場合があります。必ず医師の指示に従ってください。)
「保湿薬」を先にぬる
ぬる順番は、洗顔 → 保湿剤 → 少し時間をおく → ニキビの薬 です。
刺激感を和らげるために、先に保湿剤を塗ることをお勧めしています。保湿はニキビ治療の土台作りとしても非常に重要です。オイルフリーなど、ニキビができにくい処方(ノンコメドジェニックテスト済み)の保湿剤を選びましょう。
洗顔は優しく、ニキビ用の洗顔料をよく泡立て、肌をこすらずに泡で包み込むように洗いましょう。洗いすぎは禁物です。1日2回で十分です。
「抗生剤」は最後に、「点」でぬる
ダラシンTゲル、アクアチムクリームといった抗菌薬(抗生剤)は、炎症を起こして赤くなっているニキビの上に、最後に「点」で置くように塗ります。
紫外線対策を毎日行う!
ニキビ治療中の日焼けは絶対に避けましょう。 治療薬の影響で肌が紫外線に敏感になり、赤みや刺激が出やすくなることがあります。また、ニキビの炎症がある肌に紫外線が当たると、シミのような跡(炎症後色素沈着)が残りやすくなります。部活動などで屋外にいる時間が長いお子さんはもちろん、通学時だけでも毎日日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。肌への負担が少なく、ニキビを悪化させにくい**「ノンコメドジェニックテスト済み」**と表示のある製品がおすすめです。
絶対に潰さない
ニキビを自分で潰すと、炎症が悪化したり、クレーターのような跡が残ったりする原因になります。気になっても触らない、潰さないことをお子さんにもしっかり伝えてあげてください。
バランスの取れた生活
睡眠不足やストレス、食生活の乱れもニキビの悪化因子です。規則正しい生活を心がけることも、肌にとっては大切です。
こどもの病気コラム 一覧
医療上の免責事項 本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や状況に応じた医学的な診断・治療を代替するものではありません。お子さまの症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指示に従ってください。
監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医

初めまして。
当院のホームページをご覧くださりありがとうございます。
私は小児科の中でも特にアレルギーと呼吸器を専門にしていますが、赤ちゃんの体重が増えない、おねしょが無くならない、ニキビが気になる、便秘気味など少しでも心配なことや不安に感じることがあれば、何でもご相談していただければと思います。
こどもたちがなるべく制限を受けることなく笑顔で日々を過ごし、自分らしく元気に成長できるよう、ご家族の不安を取り除けるよう、「優しさ」を持ったクリニックを目指して、地域の子育てに貢献できるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
