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小児科でのインフルエンザワクチン接種|子供の年齢別の回数と注意点

秋から冬にかけて流行するインフルエンザ。
突然の高熱でつらそうにする姿は胸が痛みますよね。ワクチンは、脳症などの深刻な合併症からお子さまを守る最も有効な手段です。6歳未満のお子さまなら、発症リスクを約60%減らせるというデータもあります。(※1)
とはいえ、「生後6か月からで本当に安全?」「卵アレルギーだけど大丈夫?」「2回目はいつ打てば良いの?」など、多くの疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、年齢別の回数や最適な接種時期、副反応への対処法まで、保護者の皆さまが知りたい情報を網羅しました。
子供のインフルエンザワクチン接種に関する5つの基本。

インフルエンザワクチンは、お子さまを感染から守るだけでなく、重症化や脳症などの深刻な合併症を防ぐための最も有効な手段の一つです。ここでは、ワクチン接種に関する基本的な知識を分かりやすく解説します。
不活化ワクチンと生ワクチンがある

お子さまが接種できるインフルエンザワクチンには、不活化ワクチンと生ワクチンの2つの種類があります。(※2)
不活化ワクチン(注射)
日本で最も一般的に使用されている、実績のあるワクチンです。
ウイルスの感染力を完全になくし(不活化)、免疫をつけるのに必要な成分だけを取り出して作られています。ウイルスそのものが体内に入るわけではないため、ワクチン接種が原因でインフルエンザを発症することはありません。
安全性に関するデータが豊富で、生後6か月の赤ちゃんから接種できます。
生ワクチン(経鼻・点鼻スプレー)
毒性を弱くした生きたウイルスを、鼻の中にスプレーするタイプのワクチンです。注射の痛みがないため、お子さまの負担が少ないのが特徴です。また、実際の感染に近い形で鼻の粘膜に免疫が作られます。
日本では、2歳〜18歳までを対象に一部の医療機関で接種可能です。ただし、喘息の持病があるなど、健康状態によって接種できない場合があります。
生後6か月から接種可能
インフルエンザワクチンの接種は、生後6か月の誕生日を迎えてから可能です。
赤ちゃんは生まれたときに、お母さんからもらった免疫(移行抗体)で守られています。
ただしこの免疫は時間とともに弱まり、生後6か月ごろにはほとんどなくなります。
同時に、それ以前の赤ちゃんは免疫の仕組みがまだ十分に育っていないため、ワクチンを打っても効果が出にくいことが分かっています。
こうした理由から「生後6か月以降」がインフルエンザワクチン接種の基準になっているのです。保育園などの集団生活が始まる前に免疫をつけておくことは、感染拡大を防ぐうえでも重要です。
年齢別の推奨回数と間隔
インフルエンザワクチンの接種回数は、お子さまの年齢によって異なります。ウイルスから体をしっかり守るために、推奨される回数と間隔を守ることが大切です。

日本ではこのように13歳未満の方には2回ワクチンを接種することが通例です。
しかし、世界保健機関(WHO)や米国予防接種諮問委員会(US-ACIP)では9歳以上の方には1回接種で十分であるという見解を示しています。
医療事情の違いやワクチンの違いもあるため、一概に比較はできませんが当院では厚生労働省が推奨している通り、13歳未満の方には2回接種することをおすすめしています。
また「もうかかったからワクチンは大丈夫」と思われる方もいますが、型が違えば再び感染する可能性があります。予防のために接種しておくと安心です。
インフルエンザワクチンの効果
インフルエンザワクチンの最大の目的は重症化を防ぐことです。感染を完全に防げるわけではありませんが、発症のリスクを下げる効果があります。
実際、厚生労働省によれば6歳未満の子どもでは発症をおよそ60%防げたとする報告もあり、接種しない場合に比べて半分以下に抑えられるとされています。また、かかってしまっても高熱が長く続くのを防ぎ、肺炎や脳症などの重い合併症を避けることができる点が重要です。
ワクチンの効果は接種から2週間ほどで現れ、5か月程度は持続します。そのため、日本の長い流行シーズンをしっかり乗り切るには、毎年秋に接種しておくことが勧められます。
2回接種が勧められる理由
先述したとおり、インフルエンザワクチンの接種回数については、WHOと日本で立場が異なります。
WHOは「初めて接種する6か月〜8歳までは2回、その後は毎年1回」で良いとしています。一方、日本では6か月〜13歳未満の子どもには毎年2回の接種を基本としています。
当院が2回接種をおすすめしているのは、日本の推奨に沿ったものです。特に、初めてワクチンを受ける年は1回だけでは十分な免疫がつきにくく、2回打つことでしっかり効果を発揮します。
また、日本では流行の時期が長いため、2回接種しておくことでシーズンを通して安心して過ごすことができます。
さらに、ある年にはB型インフルエンザに対して2回接種の方が効果が高かったと報告されたこともあり、このような理由から日本では子どもには毎年2回接種するのが基本となっています。
今年の接種はいつから?シーズンに間に合わせる最適な時期
ワクチンの効果を流行のピーク時に最大限発揮させるためには、適切な時期に接種しておくことが重要です。
接種開始時期多くの小児科では、毎年10月上旬から中旬にかけてインフルエンザワクチンの接種を開始します。インフルエンザの流行時期例年、インフルエンザは12月頃から流行が始まり、1月末〜3月上旬にかけてピークを迎えます。
効果が出るまでに約2週間かかることを踏まえると、以下のスケジュールが理想的です。

お住まいの地域や医療機関によってワクチンの在庫状況や予約開始時期が異なります。かかりつけの小児科に早めに問い合わせ、計画的に予約を取りましょう。
4価ワクチンから3価ワクチンへ
インフルエンザワクチンは、含まれるウイルスの型数によって3価ワクチンと4価ワクチンに分けられます。2025-2026年シーズンより、日本のインフルエンザワクチンは従来の4価から3価に切り替わることが決まりました。
インフルエンザウイルスには、主に、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こすA型とお子さまの間で流行しやすいB型があります。
従来の4価ワクチンにはA型2株(A/H1N1とA/H3N2の2種類)とB型2株(山形系統とビクトリア系統の2種類)が含まれていましたが、3価ワクチンではB型の山形系統が外れ、A型2株とB型1株のみとなります。
「ウイルスの型数が減っているけど大丈夫なの?」と気になるかもしれませんが、B型の山形系統は世界的に見てもほとんど検出されなくなっているため、このように変更されました。
小児のインフルエンザワクチンの副作用と注意点

ワクチン接種は、お子さまをインフルエンザから守るための大切な手段です。しかし、接種後の副反応を心配される保護者の方も少なくありません。
ほとんどの副反応は、体がウイルスと戦う準備をしている正常な反応であり、軽く自然に治まります。事前に正しい知識を持っておくことで、万が一の時にも落ち着いて対応できます。
ここでは、ワクチンの副反応と注意点について、詳しく解説します。
一般的な副反応
インフルエンザワクチン接種後、お子さまの体には一時的な変化が見られることがあります。これは、体の中で免疫システムが活発に働き、ウイルスに対する抵抗力を獲得している証拠です。
多くの場合、心配はいりませんが、どのような症状が起こりうるか知っておきましょう。

これらの症状は通常、接種後24時間以内にあらわれ、2~3日でおさまることがほとんどです。発熱した場合は、お子さまの水分補給をいつも以上に心がけ、ゆっくりと休ませてあげましょう。
まれに起こる重い副反応
まれですが、ワクチン接種後に「アナフィラキシー」と呼ばれる重いアレルギー反応が起こることがあります。これは接種後数分〜30分以内に突然あらわれ、命に関わる危険な状態になることがあります。
症状としては、全身にじんましんが出たり、急に息苦しくなってゼーゼーとした呼吸になることがあります。また、顔色が悪くなり、唇が青紫色に変わったり、ぐったりして意識がもうろうとすることもあります。
すぐに対応が必要なため、接種後30分程度は院内かその近くで安静にし、様子を見ることが推奨されています。
その他の重い副反応として、以下のようなものもあります。
- けいれん、ひきつけ
- 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
- ギラン・バレー症候群
- 喘息発作
もし、接種後に普段と全く違う様子が見られたり、症状が長引いたり、どんどんひどくなったりする場合には、ためらわずに接種した医療機関やかかりつけ医にすぐに相談してください。
卵アレルギーや喘息を持つ子供が接種する場合の注意点
持病をお持ちのお子さまのワクチン接種については、特に気になる点が多いかと思います。安全に接種するために、必ず事前にかかりつけ医とよく相談しましょう。
現在のインフルエンザワクチンは、製造過程でごくわずかに卵の成分が残ることがあります。ただし製造技術が進歩しており、精製度が高いため、安全性は高くなっており、ほとんどの場合、問題なく接種できます。
接種にあたっては、診察時に必ず医師に卵アレルギーの詳しい経過を伝えることが大切です。たとえば、卵を食べたときにどのような症状が出たのか、過去にアナフィラキシーを起こしたことがあるか、などの情報です。ご心配な場合は主治医の先生に相談するようにしましょう。
他のワクチンとの同時接種はできる?
多くの保護者の方が悩まれるのが、他のワクチンとの接種スケジュールです。結論から言うと、不活化タイプのインフルエンザワクチンは他のワクチンと同時に接種することが可能です。
同時接種のメリットとしては、通院回数が減る保護者の方とお子さまの身体的・時間的な負担を大きく軽減できる他、必要な免疫を適切な時期に得やすくなる点です。
【同時接種できるワクチンの例】
- 日本脳炎ワクチン
- 四種混合ワクチン
- ヒブワクチン(Hib)
- 小児用肺炎球菌ワクチン
- B型肝炎ワクチン
- 四種混合ワクチン、五種混合ワクチン
- 日本脳炎ワクチン
- 麻しん・風しん混合(MR)ワクチン
- 水痘ワクチン(生ワクチン)
- おたふくかぜワクチン(生ワクチン)
同時接種をする場合は、それぞれ別の腕に接種するなど、接種部位を離して行います。生ワクチンの接種間隔は決められているので、お子さまの体調や接種スケジュールを総合的に見て、かかりつけ医と相談しながら進めていくことが最も大切です。
ご不明な点や不安なことがあれば、遠慮なく医師にご質問ください。
接種当日と接種後の過ごし方に関する5つのポイント

ワクチン接種当日は、お子さまの体調も気になりますし、何を持っていけば良いのか、接種後はどう過ごせば良いのか、色々と心配になりますよね。しかし、事前にいくつかのポイントを押さえておけば、親子ともに安心してその日を迎えることができます。
ここでは、接種前から接種後まで、保護者の皆さまに知っておいていただきたい大切なポイントを5つに絞って、具体的に解説します。
接種前の体調チェック
ワクチンは、体の免疫システムが万全の状態で働くことで、最も効果的に、そして安全に機能します。体調が優れない時に接種すると、十分な免疫が作られない可能性や、副反応が強く出てしまうことがあります。
また、もともとの風邪などの症状と、ワクチンの副反応との区別がつきにくくなるため、接種後の判断が難しくなることも考えられます。接種当日の朝は、ご家庭で必ず以下の点を確認してください。
【接種当日の朝の体調チェックリスト】
- 体温37.5℃以上の熱はないか
- 全身の状態は良好か
- 風邪のような症状はないか
これらの症状が一つでも見られる場合は、接種が可能かどうか自己判断せず、必ずクリニックに電話で相談してください。お子さまの安全を最優先に考え、無理のないスケジュールで接種を進めましょう。
接種当日の持ち物リスト
接種当日に忘れ物をしてしまうと、せっかくクリニックにお越しいただいても、接種を受けられない場合があります。スムーズに接種を終えるために、前日までに持ち物を確認し、準備しておきましょう。
【必ず必要なもの】
- 母子健康手帳
- 健康保険証
- 診察券
- 予診票
- 自治体発行の接種助成の証明書
肩まで腕を出しやすいように、半袖の上にカーディガンを羽織るなどの工夫をしておくと、すぐに注射ができて便利です。
次に、お気に入りのおもちゃや絵本、動画が見られるタブレットなどを持っていくと、待ち時間や注射の際にお子さまの気を紛らわせ、不安を和らげる助けになります。
また、接種後は水分補給が大切になるため、普段飲み慣れているお茶やお水などの飲み物を用意しておくと安心です。
接種後の入浴や運動は?
「接種した後はお風呂に入って良いの?」「公園で遊ばせて大丈夫?」などのご質問をよくいただきます。接種後の過ごし方には、いくつか注意点があります。
入浴について接種当日の入浴は問題ありません。ただし、注射した部分を強くこすらないように気をつけてください。長時間の入浴は体力を消耗する可能性があるため、さっと済ませるのが良いでしょう。
運動に関しては接種当日は激しい運動は避けてください。血行が良くなることで、接種部位の腫れや痛みが強くなることがあります。室内でのんびり過ごしたり、普段通りに生活したりする分には問題ありません。
最も注意が必要なのは、接種後30分間です。アナフィラキシーのような重い副反応は、この時間帯に起こることが多いとされています。万が一の事態に迅速に対応できるよう、接種後はすぐに帰宅せず、院内やクリニックの近くで様子を見てください。
副反応が出た時の家庭での対処法
インフルエンザワクチンの副反応は、体がウイルスと戦うための免疫を作っている正常な反応の証です。多くは数日で自然に治まりますが、症状が出た時にご家庭でできる対処法を知っておくと、慌てずに対応できます。
【こんな時はすぐに医療機関を受診してください】
- ぐったりして元気がない、顔色が悪い
- けいれん(ひきつけ)を起こした
- 呼吸が苦しそう、息がゼーゼーする
- 繰り返し吐いてしまう
- 高熱が48時間以上続く
- 接種部位の腫れや痛みがどんどんひどくなる
子供が注射を嫌がる場合の対処法
注射を怖がるお子さまを見るのは、保護者の方にとってもつらいことですよね。
私たち医療スタッフも、お子さまが安心して接種できるよう最大限協力します。事前に「注射が苦手なんです」と一言伝えていただくだけでも、対応が変わってくるので、遠慮なく相談することが大事です。
まとめ
ワクチンは、お子さまをインフルエンザの重症化や脳症などの深刻な合併症から守るための、最も有効な手段です。副反応が心配な方もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどは一時的なもので、正しい知識があれば落ち着いて対処できます。
ご不明な点や不安なことは抱え込まず、かかりつけの医師に遠慮なく相談し、流行シーズンが本格化する前に計画的に接種を進めましょう。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、インフルエンザワクチンの予防接種も実施しているので、ぜひご相談ください。
https://www.besta-kids.jp/vpd/influenza/
参考文献
- 厚生労働省.「インフルエンザワクチン(季節性)」
- 厚生労働省.「小児に対するインフルエンザワクチンについて」
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
