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犬アレルギーで子供に出やすい症状|受診の目安と家庭での対策

「子どもが愛犬とじゃれ合った後にくしゃみが止まらない」「犬アレルギーとはどんな症状なのだろう?」
実際に犬と暮らしているご家庭だけでなく、これから犬を迎え入れようと考えているご家庭からも、こうした不安やご相談をいただくことがあります。
正しい知識を持ち、家庭での対策を徹底すれば、犬アレルギーがあっても愛犬との生活を続けられる可能性があります。また、お子さんの症状が軽くなることも期待できるでしょう。
この記事では、犬アレルギーの症状やサイン、受診の目安、さらに日常生活の中で今日から実践できる家庭での工夫について解説します。すでに犬と暮らしているご家庭も、これから飼う予定のあるご家庭も、ぜひ参考にしてください。
もくじ
子供の犬アレルギーとは?

子供の犬アレルギーは、体を守るための免疫機能が働き、本来は無害なはずの物質にまで過剰に反応して発症します。人間の体は、ウイルスや細菌などが侵入すると排除しようとします。
しかし、犬アレルギー体質のお子さんの場合、犬のフケや唾液などに含まれるアレルゲンに反応してしまいます。(※1)この免疫の誤作動によって、くしゃみや鼻水、目のかゆみ、皮膚の赤みといったアレルギー症状が引き起こされます。
近年は室内で犬を飼うご家庭が増え、子供たちが犬と密接に関わる機会も増えています。そのため、犬アレルギーに悩むお子さんも少なくありません。
原因
犬アレルギーの原因は、毛や皮膚に付いた目に見えないフケや唾液です。アレルゲンは小さく軽いため空気中を漂いやすく、呼吸で吸い込んだり皮膚に付いたりしてアレルギー症状を引き起こします。
また、皮膚のバリア機能がもともと弱い、あるいは特定の免疫細胞がアレルゲンに過剰反応しやすいお子さんは、発症しやすい傾向があります。(※2)
人間の体が異物と誤認してしまうアレルゲンには、以下のようなものがあります。

犬アレルギーは、体から出るさまざまな目に見えない物質が原因で引き起こされるのです。
子供に症状が出やすい理由
子供に症状が出やすい理由は「免疫」「皮膚」「生活環境」という3つの点で、アレルギーの原因物質の影響を受けやすいからです。
子供に症状が出やすい具体的な理由を、以下の表にまとめました。

子供の未熟な身体と、犬と密接に関わる生活スタイルが、同じ環境でも大人よりアレルギー症状を引き起こしやすくなります。
症状が出やすい犬種
「アレルギーが絶対に出ない犬種」は存在しません。どの犬種でもアレルギーの原因となるアレルゲンは持っているからです。
ただし、アレルゲンの量や飛散のしやすさには犬種による傾向があり、症状の出やすさに違いが見られることがあります。
一般的に、次のような特徴を持つ犬種は、アレルゲンが広がりやすいため注意が必要とされています。

プードルやビション・フリーゼのように毛が抜けにくいとされる犬種は、アレルゲンの飛散が比較的少ないといわれます。しかし、アレルゲンがゼロになるわけではなく、個体差も大きいため、必ずしも症状が出ないとは限りません。
犬アレルギーで子供に出やすい症状

犬アレルギーの症状は、アレルゲンに接触してから数分~数時間で現れます。出方は一人ひとり異なり、皮膚や目、鼻や気管支、時にはお腹の不調として現れることもあります。
お子さんに見られやすい代表的な症状は、以下の3タイプがあります。
①目や皮膚のかゆみ
②鼻水やくしゃみなどの呼吸器の症状
③腹痛や下痢、嘔吐などの消化器の症状
①目や皮膚のかゆみ
目や皮膚の症状は、犬アレルギーのなかでも特に現れやすい反応です。犬のフケや唾液に含まれるアレルゲンが、お子さんのデリケートな皮膚や粘膜に直接触れることで引き起こされます。
特に、もともとアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が弱いお子さんは、アレルゲンが侵入しやすく、症状が出やすい傾向です。
目の場合、強いかゆみや白目の充血、涙や目やにの増加、まぶたが腫れるといった「アレルギー性結膜炎」の典型的な反応が現れることがあります。
皮膚では、犬に舐められたり触れたりした部分が赤く腫れるほか、かゆみを伴う細かな湿疹やじんましんが出ることもあります。
このように、お子さんが犬と遊んだ後に目や皮膚に変化が見られた場合は、犬アレルギーのサインである可能性を考えましょう。
②鼻水やくしゃみなどの呼吸器の症状
空気中に舞っている犬のアレルゲンを吸い込むことで、花粉症や風邪とよく似た呼吸器の症状が出ることがあります。犬がいる環境に入った時に、以下のような症状が現れる場合があります。

特に注意すべきは「喘鳴(ぜんめい)」です。これは空気の通り道である気管支が狭くなっている危険なサインで、ぜんそく発作につながる可能性があります。
小児気管支ぜんそくをお持ちのお子さんの場合、犬アレルギーが発作の引き金になることもあります。咳がひどい、呼吸が苦しそうな場合は、速やかに医療機関を受診してください。
③腹痛や下痢、嘔吐などの消化器の症状
犬アレルギーは消化器系の症状を引き起こすこともあります。これは、アレルゲンが口から体内に入り、消化管の粘膜でアレルギー反応が起こるためです。
小さなお子さんの場合、以下のような状況でアレルゲンが口に入りやすくなります。
- 犬を触った手を洗わずに、お菓子などを指でつまんで食べる
- 犬に顔や口の周りを舐められてしまう
- ハイハイなどで床を動き回り、床に落ちたアレルゲンを吸い込む
腹痛や下痢、吐き気などが繰り返し見られる場合もあります。まれですが、重篤なアナフィラキシーにつながる可能性も否定できません。原因不明の消化器症状が見られる場合は、医師に相談することが重要です。
子どもの犬アレルギーの検査・診断方法

お子さんの犬アレルギー診断で重要なのは、実際の症状と合わせて総合的に判断することです。アレルギー検査で「陽性」と判定されても、必ずしも症状が出るとは限らないためです。
検査方法には、血液検査と皮膚プリックテストの2種類があります。

お子さんに気になる症状が見られたら、まずは小児科やアレルギー科を受診し、具体的な状況を詳しく医師に伝えて総合的な診断を受けましょう。
子どもの犬アレルギーの治療の基本

現時点では、犬アレルギーに対して根本的に治すための治療法は確立されていません。しかし、症状を軽減しながら日常生活を送りやすくするための治療は可能です。
お子さんの犬アレルギーも、適切な対応を行うことで症状を上手にコントロールできます。具体的な治療法は以下のとおりです。
- 薬物療法
- 免疫療法
- 環境整備(アレルゲンの回避)
薬物療法
薬物療法は、アレルギー反応によって引き起こされる、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状を抑える基本的な治療法です。原因そのものを治すわけではなく、症状を和らげることで、お子さんが穏やかに過ごせる時間を増やします。
主に使用されるお薬には、以下のような種類があります。

薬の種類や量は医師がお子さんの状態を見て判断します。症状が楽になっても自己判断でやめず、必ず指示された用法用量を守りましょう。
環境整備(アレルゲンの回避)
出ている症状を和らげるためには、環境整備(アレルゲンの回避)も重要です。薬による治療と並行して、ケアを行うことで、お子さんの不快感を和らげ、穏やかに過ごすことができます。
以下のようなケアは、自宅でも行えます。

薬物療法と合わせてご家庭での対症療法を上手に取り入れることで、日々の症状のつらさを改善できる可能性があります。
アレルギーでも犬と暮らすための基本対策

お子さんが犬アレルギーと診断されても、ご家庭での対策を徹底することで、愛犬との生活を継続できます。犬のアレルゲンはゼロにするのではなく、可能な限りアレルゲンを減らす工夫が必要です。
アレルギーでも犬と暮らすための基本対策は、以下の4つです。
①ペットを清潔に保つ(ブラッシング・シャンプー・タオル拭き)
②室内を徹底的に掃除・換気する
③トイレ・ベッド・おもちゃを小まめに清潔にする
④触った後は必ず手洗い・着替えを行う
①ペットを清潔に保つ(ブラッシング・シャンプー・タオル拭き)
室内に広がるアレルゲンを減らすためには、犬自身を清潔に保つことです。
アレルギーの主な原因は犬の毛そのものではなく、付着したフケや唾液です。アレルゲンの発生源である犬の体を直接ケアすることで、アレルゲンの広がりを抑えることができます。
具体的な3つのケア方法と、ポイントを以下の表にまとめました。

②室内を徹底的に掃除・換気する
日々の掃除や換気に加え、空気清浄機や加湿器といった家電を活用すると、室内のアレルゲンを減らせます。
空気清浄機と加湿器の役割や使い方のポイントを以下の表にまとめています。

掃除や換気と合わせて家電の力を借りることで、お子さんが過ごす空間の空気をより安全に保ち、アレルゲンの影響を最小限に抑えることができます。
③トイレ・ベッド・おもちゃを小まめに清潔にする
犬が毎日使うものは、アレルゲンが多く付着します。唾液には「リポカリン」、尿には「アルブミン」というアレルゲンが含まれています。発生源を直接清潔に保つことで、家全体のアレルゲン量を減らせます。
以下の表では、清潔に保ちたいアイテムと清掃方法をまとめています。

犬が直接触れるものを常に清潔に保つ意識が、アレルゲンの発生を元から断つための対策となります。
④触った後は必ず手洗い・着替えを行う
犬と触れ合った後は、必ず手洗いや着替えを行い、アレルゲンを生活空間に持ち込まないことが大切です。
手や衣服に付着したアレルゲンは目や鼻から侵入し、特に寝室に持ち込まれると睡眠中に吸い込み続けて症状が悪化する恐れがあります。そのため、遊んだ後は玄関で衣服を脱ぎ、寝室専用の清潔な服に着替えるなど、家庭内での生活ルールを徹底しましょう。
こうした日常の習慣を家族全員で守ることが、お子さんのアレルギーを和らげ、安全な環境を保つための基本です。
子供の犬アレルギーでよくある質問

お子さんの犬アレルギーに関するご質問に対して、医学的な視点から解説します。
成長とともに改善する?
犬アレルギーは改善するかどうか個人差が大きく、一概に断定することはできません。「いつか治るはず」と考えるのではなく、今ある症状の管理が大切です。
犬アレルゲンに触れ続けると、お子さんの体は常に過剰な免疫反応を起こしている状態になり、症状が慢性化する恐れがあります。食物アレルギーのように自然に慣れていく(免疫寛容)こととは異なり、症状の放置は推奨されません。
自己判断で対策をやめず、医師の指導のもとで適切な治療や環境の整備を続けましょう。
「慣れれば大丈夫」は本当?
「犬と一緒にいれば慣れて治る」という考えは、医学的な根拠のない危険な誤解です。むしろ、お子さんの症状を悪化させてしまう可能性があります。
アレルギーは免疫がすでに過剰反応している状態です。原因物質に触れさせ続けると、体が慣れるどころか、さらに強い症状を引き起こす危険性があります。
無理に慣れさせようとすると、以下のリスクが生じます。
- 症状の慢性化:くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみが続く
- 重症化:軽い症状から喘息発作のような呼吸困難に進行
- アナフィラキシー:血圧低下や意識障害など命に関わる反応
アレルギー治療の基本は、原因となるアレルゲンを可能な限り避けることです。医師と相談しながら、お子さんの症状を安全にコントロールすることを最優先にしましょう。
症状がでにくい犬種は?
絶対にアレルギーが出ない犬種は存在しません。ただし、抜け毛が少ないシングルコートの犬種はアレルゲンの飛散が少なく、プードルやラブラドールなどは症状が出にくい傾向があるとされます。(※1)
しかし、アレルゲンの原因は毛ではなくフケや唾液に含まれるタンパク質であり、犬種や個体による差も大きいため、保証はできません。犬を迎える際は、事前にアレルギー検査を受け、希望する犬種と複数回長時間触れ合って確認することが欠かせません。
犬種選びだけに頼らず、迎えた後の環境整備が何より重要です。
まとめ
犬アレルギーについて、「慣れれば大丈夫」という考えは危険を伴うため、まずは正しい知識を持つことが大切です。アレルギーと診断されても、すぐに諦める必要はありません。
こまめな掃除や換気、犬を清潔に保つといった対策を丁寧に行うことで、アレルゲンを減らし、症状を和らげることは可能です。
大切なのは、自己判断せずに専門医に相談することです。お子さんの症状を正確に伝え、適切な診断と治療を受けることが、愛犬との健やかな暮らしにつながります。
ベスタこどもとアレルギーのクリニックでは、小児科とアレルギー科の診療を365日行っており、犬アレルギーを含む幅広いアレルギー相談が可能です。アレルギーに不安を感じる方も、まずはお気軽にご相談ください。
子どもの犬アレルギーについて相談する
参考文献
- 東京大学大学院農学生命科学研究科 農学部 犬・猫との共生を阻む社会課題の大きな原因、 動物アレルギーを克服する新しい一歩
- 岡部永生.Associations between fetal or infancy pet exposure and food allergies: The Japan Environment and Children’s Study.PLOS ONE,2023.
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
