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新生児(赤ちゃん)は脱水になりやすい?症状や対策について解説

生後直後〜数か月の赤ちゃんの体は約80%が水分で満たされています。(※1)そのため、水分が少し不足しただけでも体への影響が大きく、風邪を引いている時などは、気づかないうちに脱水が進行する場合があります。いつもよりおしっこの回数が少ない、元気がないと感じるなどの気づきは脱水のサインかもしれません。
この記事では、脱水の症状から、ご家庭での予防策、脱水時の治療までを解説します。赤ちゃんを守る知識を一緒に確認しましょう。
新生児(赤ちゃん)の脱水症状|危険サインとチェックリスト

生まれたばかりの赤ちゃんは、水分バランスのわずかな乱れが体調に影響します。のどの渇きや気分の悪さを言葉で伝えられないため、大人が赤ちゃんの変化に気づくことが大切です。
脱水は急に進行する場合があります。日頃から赤ちゃんの様子を観察し、これから紹介する危険なサインや症状に早めに気づくことが重症化を防ぐポイントです。
①おしっこの回数・色・量
赤ちゃんの脱水は、おしっこの回数・色・量から気づけることが多いです。水分が足りないと尿が濃くなり、回数や量が減って色が濃くなることがあります。
正常の目安は、1日6回以上おむつが濡れて、色は無色〜薄いレモン色で、ときどきおむつがずっしり重くなることもあります。
脱水が疑わしいのは、6時間以上おむつが濡れない、おしっこの回数が普段の半分以下、色が濃い黄色〜オレンジ色、おむつがいつもより軽い場合です。
12時間近くおむつが濡れていないときは、脱水が進んでいる可能性があります。
②大泉門のへこみ・皮膚のハリの変化
大泉門とは、赤ちゃんの額から頭頂部にある、骨がまだ閉じていない柔らかい部分を指します。正常な状態であれば、頭の骨と同じ高さか、わずかにへこんでいる程度です。一方、脱水状態では、触れたときに明らかにへこんだりしているように感じます。
赤ちゃんの皮膚は弾力がありますが、脱水になるとハリが失われます。正常な状態では、つまんだ皮膚から指を離すとすぐに元に戻ります。脱水状態となると、皮膚をつまんだ指を離しても、跡がしばらく残り、皮膚の戻りが遅くなります。
皮膚のハリは、赤ちゃんのお腹や太ももの内側の皮膚を優しくつまんで確認してください。
③ぐったりしている・元気がないなどの全身状態
赤ちゃんの機嫌や活気も脱水症状の目安になります。いつもより眠っていてなかなか起きないときや、あやしても笑わず反応がうすい場合は軽度の脱水症状になっているかもしれません。
ぐったりして体に力が入っていない、泣き声が弱々しい、機嫌が悪く泣き止まないなどの状態がある場合は、中等度〜重度の脱水のサインです。
午前中は元気だったのに夕方からぐったりしているなど、数時間の間に急な変化が見られた場合は特に注意が必要です。
④おむつに赤いシミ
生後間もない赤ちゃんの体内では、細胞が日々入れ替わっています。その過程でプリン体が分解され、尿酸が生成されます。尿酸は主に尿から排泄されますが、このとき脱水状態だと尿中に尿酸塩として析出しやすくなり、おむつに赤いシミとして残ることがあります。
このようにしてできた赤いシミは、夏場の暑い時期にもよくみられますが、軽い脱水のサインである可能性があります。授乳量や尿の回数、元気があるか、などの他の症状を確認し、不安があれば医療機関を受診しましょう。
新生児(赤ちゃん)が脱水になりやすい原因とメカニズム

赤ちゃんは体のつくりなどが大人と違い、少しの変化で脱水を起こしやすいです。ここでは、「赤ちゃんが脱水症状になりやすい原因」と「哺乳不足・発熱・下痢による脱水のメカニズム」、「赤ちゃんの不感蒸泄」を解説し、「どのくらい飲めていれば大丈夫なのか?」を考えていきます。
脱水症状になりやすい原因
成人は体重の60%が水分なのに対し、新生児は体重の約80%が水分でできています。1歳未満の乳児も70%が水分です。(※1)体重あたりの必要水分量は大人の数倍にもなるため、水分が少し不足しただけでも体への影響が大きくなります。
また赤ちゃんは、大人よりも体重に対して体の表面積が広く、皮膚が薄いため、皮膚から蒸発する水分が多くなります。呼吸数も大人より多く、呼吸とともに失われる水分も多くなりがちです。新陳代謝が活発な点も、多くの水分消費につながります。
赤ちゃんの腎臓は機能がまだ未熟で、尿を濃縮して水分を体内に保持する力が弱いです。そのため、水分が不足し始めても、大人のように尿量を減らして水分を調整できません。
赤ちゃんは、水分を失いやすく、蓄えにくい状態のため脱水症状になりやすいのです。
哺乳不足・発熱・下痢による脱水のメカニズム
新生児の脱水で注意が必要なのが、哺乳不足・発熱・下痢・嘔吐です。これらの症状が続くと、脱水症状につながる可能性があります。
母乳やミルクは赤ちゃんの水分補給でもありますが、ウイルスなどによる感染性胃腸炎も、脱水の原因です。下痢や嘔吐を繰り返すと、水分とナトリウムなどの電解質も一緒に失われます。赤ちゃんは、細菌による重い胃腸炎のリスクだけでなく、脱水が急速に進行する場合があるので注意しましょう。
赤ちゃんの不感蒸泄について
赤ちゃんは皮膚や呼吸から失われる水分(不感蒸泄)が多く、体重あたりの水分消失量が大きいことが特徴です。不感蒸泄量の目安としては、新生児〜生後数か月の赤ちゃんでは約40mL/kg/日とされ、発熱時には50〜70mL/kg/日程度まで増えると考えられています。
例えば体重4kgの赤ちゃんでは、不感蒸泄だけで約160mL/日、発熱時には200〜280mL/日の水分が失われている計算になります。
どのくらい飲めていれば大丈夫なのか?
風邪で少し調子が悪くて哺乳量が低下している時に、赤ちゃんの脱水を心配される親御さんはとても多くいらっしゃいます。
発熱していたり、下痢をしていれば、そのぶん水分は喪失されるので、注意は必要です。
しかし、少し哺乳量が減っただけで、すぐに脱水になるわけではありません。
例えば、普段800mL/日程度のミルクを飲んでいる体重6㎏の赤ちゃんの必要な水分量を考えてみましょう。
体重6㎏の赤ちゃんの不感蒸泄量は240mL/日程度です。普段800mL/日程度飲めているミルクが500-600mL/日程度まで哺乳量が減ったら、不感蒸泄量を差し引き、尿量は200-300mL/日程度まで低下します。しかし、この尿量が保たれていれば、脱水が進行することは多くありません。
一方、300-400mL/日未満の状態が続いた場合、十分な尿量を確保できず、脱水が進行していく可能性があります。高熱でぐったりしていれば不感蒸泄量は400ml/日程度まで増えますし、激しい下痢が続く場合は下痢による水分喪失量が増えます。そのような状況であれば、早めに受診をする必要があります。
新生児(赤ちゃん)の脱水症状の予防法

新生児(赤ちゃん)の脱水症状は、一度始まると進行が早いため予防が重要です。ここでは、脱水の予防法として、「夏は汗、冬は乾燥に注意する」と「こまめな水分補給を心がける」を解説します。
夏は汗、冬は乾燥に注意する
赤ちゃんは、体温調節機能が未発達です。(※2)周囲の温度や湿度の影響を受けやすいため、季節に合わせた環境管理が脱水の予防につながります。
脱水を予防するために、夏は汗、冬は乾燥に注意しましょう。
夏は室温26〜28℃・湿度50%前後を目安にし、通気性の良い服装でこまめに着替え、日中の外出は控えましょう。
冬は暖房で乾燥しやすいため、湿度50〜60%を保ち、厚着させすぎないように注意してください。
こまめな水分補給を心がける
咳や鼻汁、下痢などの風邪症状があって哺乳量が落ちている時は、1回に飲める量が少なくなるので、こまめな水分補給が基本です。
また、発熱時には水分が失われやすいので、いつもよりもこまめな水分補給を心がけることが大切です。
以下のような場面では水分が失われやすいため、哺乳で水分摂取のタイミングを意識的につくっても良いでしょう。
- お風呂上がり
- たくさん汗をかいたあと
- 朝に目覚めたとき
- お昼寝から起きたとき
- 外出の前後
脱水になったとき

ここでは、水分摂取が難しくなってしまい、病院を受診した場合に行われることを解説します。
脱水で受診した場合の治療(点滴・入院など)
自宅での水分補給で改善しないときは、すみやかに医療機関を受診しましょう。医療機関では、脱水の程度や原因を確認したうえで、赤ちゃんの状態に応じた水分補給が行われます。
中等度以上の脱水や、嘔吐が強く口からの補給が難しい場合は、点滴(静脈内輸液)で水分や電解質、ブドウ糖などを直接補います。
点滴を継続して行う必要がある場合や、感染症などの治療・経過観察が必要な場合は、入院になることもあります。全身状態を注意深く確認しながら治療を進めます。
医師に伝えるべき症状や状況の把握
保護者の方からの情報は、診察時に赤ちゃんの状態を正確に把握するのに大切です。伝え漏れを防ぐためにも、受診前に以下の点をメモしておくと良いでしょう。
- いつから、どのような症状が始まったか
- 最後に母乳やミルクを飲んだ時刻とその量
- おしっこの色や量の変化、嘔吐や下痢の回数、便の色や性状
- 体温、活気、機嫌や泣き方、顔色や皮膚の色
これらの情報を整理して伝えることで、医師は脱水の重症度や原因を判断し、最適な治療方針を立てられます。
まとめ
赤ちゃんは、体の機能が未熟なため、大人よりも脱水を起こしやすいです。言葉で不調を伝えられない赤ちゃんの代わりに、周りの大人がわずかな変化に気づいてあげることが大切です。今回の記事を参考に、日頃から赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。
ベスタこどもとアレルギークリニックでは、脱水症状を始めとした赤ちゃんの病気に関する相談を受け付けています。脱水が疑われる症状が見られ、判断に迷ったり不安に感じたりしたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 徳島県医師会:「からだの水分(1)」.
- こども家庭庁:「みんなで見守り「こどもの熱中症」を防ぎましょう!」.
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こどもの病気コラムの一覧です。
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監修
ベスタこどもとアレルギーのクリニック 院長 濵野 翔
日本専門医機構認定小児科専門医
日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
医療上の免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の赤ちゃんの状態や健康に関する問題については、必ず医師の診察を受けてください。この記事の情報だけで判断せず、ご心配な点はかかりつけ医にご相談ください。
この記事を監修した医師
小児科専門医 / 院長 濵野 翔
ベスタこどもとアレルギーのクリニック
当院の記事は、「こどもとご家族に寄り添い、より良い医療を考える」という理念のもと、 小児科・アレルギーの専門医が監修しています。日々の子育てで不安に感じることがあれば、 いつでもご相談ください。
経歴
- 2009年 杏林大学医学部付属病院 初期研修
- 2011~2017年 杏林大学医学部付属病院 小児科
- 2018年 福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科、2019~2023年 杏林大学医学部付属病院 小児科
専門・所属学会
- 日本小児科学会認定 指導医・専門医
- 日本アレルギー学会認定 専門医
- 日本小児アレルギー学会 ほか関連学会所属
